平成10年労働争議統計調査結果概要

1 平成10年の労働争議の概況


(1)  平成10年の労働争議は、総争議件数1,164件、総参加人員118万6千人で、前年に比べ、件数は170件(対前年比12.7%)減、総参加人員は11万人(8.5%)減となった。このうち、争議行為を伴う争議は件数526件、行為参加人員16万5千人、労働損失日数10万2千日で、前年に比べ、件数は256件(32.7% )減、行為参加人員は4万7千人(22.2%)減、労働損失日数は9千日(7.9%)減といずれも減少した。(第1表第1図


(2)  争議行為を伴う争議を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」は件数145件、行為参加人員2万6千人、労働損失日数9万8千日で、前年に比べ、件数は31件(17.6%)減、行為参加人員は2万1千人(44.1%)減、労働損失日数は8千日(7.3%)減といずれも減少となった。また、「半日未満の同盟罷業 」は件数441件、行為参加人員 14万2千人で、前年に比べ、 件数は214件(32.7%)減、行為参加人員は2万7千人(15.9%)減となった。(第2表第2図)。


(3)  月別に総争議及び争議行為を伴う争議をみると、3、7、11月が多く、争議行為を伴う争議の行為参加人員は3、7月が多く、労働損失日数は3、4月が多い。前年に比べると、行為参加人員の3、11月の減少、7月の増加、労働働損失日数の4月の増加と11月の減少が目立っている。(第3図)。


(4)  労働組合員1,000人当たりの争議行為を伴う争議の行為参加人員及び労働損失日数をみると、行為参加人員は13.7人(前年17.3人)、労働損失日数は8.4日(同9.0日)で、前年に比べ、行為参加人員、労働損失日数ともに減少した。「 争議行為を伴う争議(半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖のみ。)」における行為参加人員1人当たりの労働損失日数は3.9日で、前年の2.3日を上回った。(第3表)。



2 春季賃上げ争議の状況


(1)  平成10年春季賃上げ争議(2〜5月に発生し、主要要求事項に「賃金増額」を含む労働争議をいう。)の総争議件数は181件、総参加人員は37万8千人で、前年に比べ、総争議件数は155件(46.1%)減、総参加人員は7万5千人(16.6%)の減少となった。このうち、 争議行為を伴う争議件数135件、 行為参加人員5万3千人で、 前年に比べ、 件数は166件(55.1%)減、行為参加人員は3万4千人(39.2%)の減少となった。争議行為を伴う争議のうち、「半日以上の同盟罷業」は、件数63件、行為参加人員1万人、 労働損失日数  1万7千日で、前年(101件、3万人、7万1千日)に比べ件数、行為参加人員及び労働損失日数とも減少となった。
また、「半日未満の同盟罷業」の件数は107件、行為参加人員は4万4千人で、前年(226件、5万8千人)に比べ、件数、行為参加人員はともに減少した(第4表)。


(2)  春季賃上げ争議の年間争議に占める割合をみると、総争議は件数で15.5%、総参加人員で31.9%となっており、前年に比べ件数、総参加人員ともに低下した。また、争議行為を伴う争議の年間争議に占める割合をみると、件数で25.7%、行為参加人員で31.8%となっている。このうち、「半日以上の同盟罷業」は件数で43.4%、行為参加人員で38.2%、労働損失日数で16.9%、「半日未満の同盟罷業」は件数で24.3%、行為参加人員で31.1%となっている。(第5表)。



3 産業別の状況


(1)  争議行為を伴う争議を産業別にみると、件数は、製造業、公務が、行為参加人員は、公務が、労働損失日数は、運輸・通信業が高い割合を占めている。前年に比べると、「半日以上の同盟罷業」をみると製造業は件数に占める割合が大きくなり、行為参加人員の割合も伸び、運輸・通信業で件数、行為参加人員及び労働損失日数のいずれも高い割合を占めている(第6表)。


(2)  労働組合員 1,000人当たりの行為参加人員及び労働損失日数を産業別にみると、行為参加人員では公務の53.2人、労働損失日数では運輸・通信業の54.5日が、他の産業に比べて多い。前年に比べると、公務の行為参加人員の減少が目立っている。(第7表)。



4 民営の企業規模別の状況


(1)  民営企業における争議行為を伴う争議をみると、企業数は1,084企業、行為参加人員は8万8千人、労働損失日数は10万2千日で、前年に比べ、企業数は10企業(対前年比0.9%)減、行為参加人員は1万2千人(11.8%)減、労働損失日数は9千日(7.9%)減となった。企業規模別にみると、企業数では規模の小さい企業、行為参加人員及び労働損失日数では規模の大きい企業の占める割合が高くなっている。(第8表第9表)。


(2)  民営企業における争議行為を伴う争議について、労働組合員1,000人当たりの行為参加人員は、9.3人、労働損失日数は10.7日で、前年に比べ、行為参加人員は1.0人減、労働損失日数は0.8日減とともに減少となった(第10表)。



5 主要団体別の状況



 争議行為を伴う争議を主要団体別にみると、件数、行為参加人員、労働損失日数は、連合では各々326件 、8万9千人、1万5千日、全労連では各々129件、5万1千人、7千日、全労協では各々15件、1千人、3千日等となっている(第11表)。



6 主要要求事項別の状況



 総争議を主要要求事項別にみると、「賃金増額」が392件(全体の33.7%)と最も多く、次いで、「臨時給与金」が278件(同23.9%)、「解雇反対・被解雇者の復職」が176件(同15.1%)、「組合保障及び組合活動」が144件(同12.4%)等となっている。前年に比べ、「解雇反対・被解雇者の復職」、「配置転換」、「退職手当」の増加が目立っている。また、[賃金及び手当]関係の671件は全体の57.6%と、依然高い水準にある(第12表)。



7 労働争議の解決状況


(1)  平成10年の労働争議1,164件のうち、10年中に解決又は解決扱いとなった件数は1,010件(労働争議全体の86.8%)で、解決を翌年へ繰り越した件数は154件(同13.2%)であった。解決方法別にみると「労使直接交渉」が286件(解決件数の28.3%)、「第三者関与」が345件(同34 .2%)、「その他(解決扱い)」が379件(同37.5%)となっている。なお、「第三者関与」により解決したものをみると、「労働委員会のあっせん」によるものが319件で最も多く、「第三者関与」により解決したものの9割強を占めている(第13表)。
 

(2)  (2) 労働争議の解決状況を継続期間(争議発生から解決に至るまでの日数をいう。)別にみると、「31日以上」で解決した労働争議が427件(解決件数の42.3%)と最も多く、次いで「5日以下」、「11〜30日」、「6〜10日」の順となっている。前年に比べると、全ての期間で減少している。「組合保障及び労働協約」、「賃金及び手当」、「経営及び人事」の各関係は、「31日以上」が、「賃金以外の労働条件」は「5日以下」が最も高い割合を占めている(第14表)。




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