ダイナミックな仕事にチャレンジしませんか?

総合職(薬学系)

保険局医療課
薬剤管理官

平成6年入省

「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」

超高齢社会を迎えた我が国では、2015 年度の国民医療費は42.4 兆円にまで増加し、そのうち薬剤費は9.6 兆円を占めています。このような中、革新的ではあるものの非常に高額なバイオ医薬品が上市されるようになり、また、今後はより製造コストが高い再生医療等製品の承認が続々と見込まれるなど、「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」をいかに両立させていくかが、薬価制度及び医療保険制度上の喫緊かつ重要な課題となっています。

また、近年、医薬分業が進む一方で、薬局や薬剤師が患者負担に見合う機能を果たせているのか、といった厳しい指摘が相次いでおり、地域包括ケアシステムの構築を進める中で、あらためて医薬分業のあり方が問われています。

多様な意見を聴きながら、患者・国民目線で

保険局医療課の薬系技術職員は、これらの課題の解決のため、日本医師会・日本薬剤師会等の関係団体や健保連等の保険者、製薬業界などの関係者と幅広く意見交換を行いながら、国民負担の軽減と革新的医薬品等の開発を可能とする薬価制度や、かかりつけ薬剤師・薬局を推進し医療の質の向上につながる調剤報酬の実現を目指して日々取り組んでいます。

もちろん、こうした制度の構築・改革は多くの関係者が関わることから一筋縄では行きません。そもそも医療課内だけでも医師、歯科医師、看護師を始めとした多職種で業務を行っており、チーム医療さながらに多様な意見を踏まえつつ、患者・国民目線を第一に粘り強く進めていくことになります。このため、関係者の理解が得られ、新たな制度の構築や改革が実現できた時の喜びも格別で、大変やりがいのある仕事だと感じています。

仕事のつながりとやりがい

皆さんの中には、厚生労働省で自分のやりたい仕事ができるのか、不安に思う方もいるかも知れません。かく言う私も、難病治療薬の研究開発支援に魅力を感じて入省しましたが、経済課を皮切りに、医薬品の臨床試験の実施基準(GCP)の法制化、新薬の承認審査や安全対策、WHO に出向して途上国の薬事規制当局への支援、薬価制度改革と調剤報酬改定などの業務を経て、実際に研究開発振興課で直接的な研究費支援の担当になったのは、入省後15 年以上経過してからでした。でもその間、仕事にやりがいがなかったかと言えばむしろ逆で、他の部署にいても違った形で創薬支援を行えるという面白さを学びました。

具体例を挙げれば、医薬品医療機器総合機構(PMDA)における承認審査体制を強化し審査期間を欧米並みに短縮することが、製薬企業による日本での開発を加速化するインセンティブになりますし、再生医療等製品の条件・期限付き承認制度の導入により、国内外の企業による再生医療等製品の開発が一気に活性化しました。また、医療課の課長補佐として勤務していた頃には、一定要件を満たす新薬について2年に1度の薬価改定時の引下げを猶予するという制度を導入することで、欧米よりも日本での開発が遅れる「ドラッグ・ラグ」が相当程度解消されました。

人との出会いと厚生労働行政の魅力

他府省でも医薬品等の研究開発に関わることはできますが、こうした企業の行動変容を促すようなダイナミックな仕事ができるのは、薬事規制や薬価制度を所管している厚生労働省ならではの魅力と感じています。

厚生労働省の仕事は多岐にわたりますが、その分、様々な経験や人との出会いが行政官として、そして何よりも人として成長させてくれますし、面白いことに前職と関係がなさそうな部署に異動しても、思わぬところで業務のつながりや考え方の共通性があり、過去の経験を活かせることが多いです。また、大学時代に培った専門性も必ず役に立ちます。

人とのつながりを大切にし、国民の健康保持・増進のためにダイナミックな仕事をしてみたい、という熱意のある皆さん、日本の未来のために一緒に頑張りましょう!