これまでの業務経験を振り返って

総合職(数理系)

雇用環境・均等局勤労者生活課
数理係長

平成26年入省

はじめに

今、このホームページをご覧になっているみなさまに向けて、職歴としては浅いのですが、若手の業務経験をお話しすることで、みなさまがより身近な将来を具体的に思い描くことができ、みなさまの今後のキャリアプランの検討に資することができれば幸いです。

入省当初

最初に配属されたのは統計情報部(現政策統括官(統計・情報政策担当))で、主に統計業務に従事し、統計の公表作業や各種の統計調査の標本誤差の算出等をしておりました。統計業務というと調査を行い、結果を公表して終わりと思うかもしれませんが、公表にあたっては記者や外部エコノミストからの問い合わせがあります。できるだけ納得していただけるように統計結果の分析を行い、説明することを心がけました。また、当時は係員でしたので担当はしておりませんでしたが、ここでは統計の調査設計も行っております。昨今、EBPMを筆頭にデータを基に考えることの重要性が非常に高まっていると感じており、その基となる統計が世の中の実態を正しく反映するように設計することは地味に見えるかもしれませんが、意義のある仕事です。

内閣府での経験

その後、出向する機会に恵まれ、内閣府にて月例経済報告や経済財政白書の作成に携わりました。いわゆる官庁エコノミストとしての勤務です。月例経済報告では、「各論」のうち住宅建設の担当として、住宅着工統計等の統計をはじめとした定量データの分析に加え、業界団体からのヒアリング等も参考にしつつ、その月の住宅建設に係る説明文等を準備します。その後、部局内での修正を踏まえて原案が作成され、各省協議、関係閣僚会議を経て公表され、それが景気に関する日本政府の見解となります。そのため、検討にも力が入り、業務を行っていく過程でソフト(EViewsやStata等)を使った分析や経済学の知識を習得していきました。経済学という数理職を目指す方にとってはなじみのない分野かもしれませんが、数理的な素養と親和性が高いため、取り組みやすいかと思います。

ここでは、局内幹部への説明等も班単位で行うことが多いため、仕事を主体的に行う意識を強く持つことにつながりました。また、行政官としては組織単位で仕事をすることが多いと思いますが、ここでは個人の考えや分析を公表する機会を用意していただいており、何度か書かせていただきましたが、非常に良い経験となりました。

ちなみに、この部署は民間からの出向者が多く、役所にはない文化や考え方があり、非常に刺激になったのを覚えております。

現在の仕事

内閣府から戻り、現在の仕事は中小企業退職金共済という制度の数理的部分の業務を担当しております。詳しい業務内容は雇用環境・均等局のページをご覧いただければと思いますが、責任準備金の算定方法を策定することや制度の安定性がとれているかどうかのチェックをしております。保険・年金数理的な能力に加え、資産運用に関する知識も要求されます。また、ここは年金局や保険局と違って数理職があまりいない部局なので、数理的部分についてはプロフェッショナルであることが求められ、常に責任を強く感じますが、やりがいもより感じられるかと思います。また、数理的な業務以外にも法令関係の業務等もあり、いろいろな経験をできる部署でもあります。

最後に

自分の業務経験を振り返りましたが、働く上で大切にしていることを一つあげるとすると、「コミュニケーション能力」です。数理職は専門的と呼ばれる仕事をすることが多いのですが、専門的な資料を作成したとしても相手に伝わらなければ意味がありません。説明する相手(省内の幹部や審議会の委員、国会議員等その時々で変わります)に応じて、柔軟に説明する能力が求められますので、そのあたりは頭にいれておいていただければ幸いです。

最後になりますが、若手職員が中心となって改革チームを立ち上げ、業務改革・働き方改革に取組むなど厚生労働省は変わろうとしており、改革を恐れずになかなか一筋縄ではいかないような課題に取り組んでいただける志のある方をお待ちしております。