数理職員として厚生労働省で働くということ

総合職(数理系)

保険局調査課
数理企画官

平成11年入省

厚生労働省で働くということ

このホームページをご覧になっている皆さんは、どのような職業を選択しようか、ご自身の将来を想像しながら日々悩まれていることかと思います。自分自身のことを振り返ると、学生時代に学んだ専門性を生かしつつ社会に貢献したい、と数理職員として入省したことを思い出します。自分が厚生労働省で携わったことや感じていることをお伝えすることが、皆さんが将来を考える上での参考になれば幸いです。

国の機関で働くことのスケールの大きさ

私は入省後、政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)、保険局、年金局、老健局、政策統括官(総合政策担当)にて、主に社会保障分野の仕事に従事してきました(部署名は現在の組織名で記載)。その中で、記憶に残っている事を紹介したいと思います。

まずは1年目。統計の部署に配属され、死亡や出生の統計を基に平均寿命等を計算する“生命表”を作成する仕事に従事しました。平均寿命と言えば、報道で“日本の平均寿命は●●歳、世界第▲位”などと聞いたことがあるでしょう。担当者として計算に携わったので、当然、発表前に数字を知ることになるのですが、まだ気分は学生、公表後のことを想像する頭はありませんでした。公表後の新聞報道や問い合わせの多さに、国の機関で働くというスケールの大きさを頭では分かっていたつもりでしたが、そのことを実感をもって体感し、心の底から気持ちが引き締まり、良い経験になりました。

様々な立場の人の視点で考える

次に印象深いのは、公的年金の財政に関する仕事です。係員、係長として国民年金の財政検証の実務を担当し、その後、補佐として進捗管理なども行いました。例えば、高齢の方にとっては現在受給している年金が、若い世代の方にとっては現在の保険料・将来の年金がどうなるかが関心事項です。このように、公的年金制度は、すべての方の生活に密着した仕組みであり、国民の皆さんの関心も高い制度です。皆さんの期待に応えるためには、数理職員として正確な財政検証(財政検証の具体的な内容は数理職員のパンフレットにある年金局の業務紹介をご覧ください)を行うことはもちろん、一方で、様々な視点をお持ちの国民の方々に対して誤解や疑念を生じさせないような説明をしていくことも重要となります。多くの先輩から、広い視点で考えることの重要性を学びました。

助けてくれる先輩・仲間の存在

当然のことながら、日々の仕事の中には、楽しい(≒自分の興味や好奇心が満たされる)ものばかりではなく、専門性とは関係のないと思われるような関係部署との調整や問い合わせに対する対応など、自分自身が携わっている政策を進めていくためには必要な業務も数多くあります。この点は皆さんも不安に感じることかもしれません。現状の分析や将来の見通しなど、どんなに素晴らしい“モノ”ができたとしても、それを共有して活かしていかないと(究極的には制度改正等に繋げて、少しでも現状より世の中の状況をいい方向に変えていくこと)意味がありませんので、これも大事な数理職としての仕事の一部なのです。自分自身も最初は慣れず、振り返ると反省すべき点も多くありますが、先輩・仲間に助けてもらいながら、なんとかやってきました。私たちはチームで仕事をしています。周りには必ず同じような経験をし、助けてくれる先輩がいますので、安心してください。

厚生労働省の雰囲気を肌で感じてほしい

最後になりますが、学生時代に一番長い時間を過ごす場所は学校ですが、社会人となるとその場は職場となります。「仕事内容」は言うまでもありませんが、一緒に働く「仲間」も自分自身のモチベーションに大きく影響します。説明会や官庁訪問などを通じて、是非、厚生労働省数理職の先輩の人となりに触れ、隣で働いてみたいか・働いている姿を想像できるか、このようなことも感じてみてください。