―いつの間にか成長していた―

総合職(人間科学系)

兵庫労働局
職業安定部長

平成9年入省

志望理由

就職活動は民間企業も含め幅広く考えていました。実際に志望が固まったのは官庁訪問の時です。お会いした先輩の方々が、どの企業よりも、どの省庁よりも魅力がありました。スマートであたたかみのある佇まい。難解な政策の内容を分かりやすい言葉で学生の私に説明してくれました。

―ここで働くと、将来こういう大人になれるのかもしれない―

そんな漠然とした「あこがれ」を抱いたのです。実に単純な動機です。官庁訪問で志望動機を聞かれた時、ストレス科学を専攻していたので「働く人の最大のストレス、つまり失業をなくしたい」と無邪気に答えました。今振り返ると、勢いだけで乗り切ろうとしていました。

現在の職務内容

兵庫県内の職業安定行政の責任者として、県下の全ハローワークの業務を取り仕切っています。指示を出す時は政府全体の動きを見据えながら、窓口の最前線で奮闘している一人ひとりの顔を思い浮かべます。今は「仕事は楽しく」というテーマを打ち出しながら、独自にマッチング能力の向上に取り組んでいます。

対外的な業務も多いです。例えば、赴任した数日後に地域の労働に関するフォーラムのパネリストに招かれ、労働組合や経済団体の幹部、学識経験者、ジャーナリストと一緒に大勢の聴衆やメディアの方々の前でスピーチをしました。また、日頃は積極的に自治体の首長や地元企業の経営者から様々な話を聞き、労働局・ハローワークに対する地域ニーズを把握しています。

最も印象深かった業務

この質問は少し困ります。これまでに関わったどの仕事にも深い思いと印象が残っているので・・・。「現職(職業安定部長)つながり」ということで、奈良労働局に赴任していた頃の話をします。

奈良県と「雇用対策協定」を締結したとき、目玉施策として、
―障害者雇用率で全国1位になる―
という無謀な目標を敢えて掲げました。奈良は従来から地道に取り組んでいたので、強みを活かしたいという思いです。県庁と一体となった独自の取組はメディアや各方面から注目され、県全体の大きなムーブメントとなり進化していきました。結果が出たのは私の離任後なのですが、地域に貢献できた手応えは、十分でした。苦労の甲斐あって、見事全国1位になりました!

受験生に向けてのメッセージ

人間科学職は「人」の専門家たる行政官です。めぐりあう「仕事」イコール「人」とも言えます。深い知見と愛情を持って向き合い、別れ、新たに出会って・・・。そんなめぐりあいを重ねていきます。

そして、そのような経験を積み重ね、いつの間にか自分で「自分の殻」を破ってきたことに、後になって気づきます。この「感じ」は、後になってからしか分からないものですが、それに気づいた時、深層から面映ゆい感情がふつふつと浮かび上がってきます。

子どもから大人になるというのはそんな感じではないでしょうか。大人になってから気づくこの感じ・・・。この仕事を通じてまさにそうした成長を実感することができます。
「さあ、私たちの仲間になりませんか?」