医療行政をよりよくするために

看護系技官

医政局看護課
教育体制推進官

平成21年入省

入省の経緯、入省前の経験

急性期病院で看護師として働く中で、医療の質の平準化の重要性を再認識し、病院の退職のみならず、看護職を辞める人に遭遇したことの危機感から、看護部長の労働環境等に対するマネージメントに強い関心を抱くようになり、大学院修士課程に進学しました。在籍中に、授業で看護政策について詳しく学び、厚生労働省が開催する看護政策に関連する審議会の傍聴、2週間の看護課でのインターンシップへの参加や看護系学会等社会保険連合の事務局として診療報酬に関する要望書の提出といった経験も経て、行政に対する疑問や関心が高まりました。1つの医療機関といったミクロの視点でのマネージメントもとても重要ですが、それだけではなく、マクロの視点でのマネージメントとして、日本全国に影響を及ぼす政策形成に携わることで、医療行政をよりよくしたいという思いから、看護系技官になりたいと考えるようになりました。

これまでの職務内容

医政局看護課では看護教員の質向上に関する検討会の担当として会議を運営し、ゴールに導いていく過程を経験しました。保険局医療課では保険医療機関や訪問看護事業所の診療報酬や医療指導監査を担当し、関係団体との意見交換や現場の視察を通じて課題や要望を把握し、中央社会保険医療協議会の資料作成等、老健局老人保健課と連携しながら6年に一度の医療・介護同時の報酬改定を行いました。健康局保健指導室では標準的な健診・保健指導プログラムの改訂、被災地への保健師の派遣の在り方に関する検討会等に携わり、日本医療研究開発機構(AMED)では、公募研究課題の企画立案、各事業の進捗管理、評価等を担当しました。現在は、看護教育、国家試験等の担当として、看護基礎教育検討会において看護師等の教育内容等の見直しを行い、令和元年10月にとりまとめた報告書をもとに令和4年度の入学生からの改正カリキュラムの適用を目指し、関係省令や通知の改正等を進めています。

仕事を通じて感じていること

毎日の業務の中では、メール等を通じて非常に多くの情報を目にすることになりますが、状況や必要性等に応じて取捨選択しながら、業務に取り込んでいくことや複数の業務をスケジュール感と優先順位を意識して、効率よく実施することが求められます。また、2~3年周期で異動があるため、異動先での新たな政策や施策、その課題等に関して現場の視察や有識者との勉強会等により日々情報収集と分析を重ねる必要があります。そのような中で行政官として求められるのは、多くの文書作成や確認を行う上で必要な読解力、文章作成能力等だと感じています。さらに、看護職であればすでに有している他者への気遣い、調整力、コミュニケーション力、傾聴力等はどの部署でも重宝されます。何よりも、仕事や職場の仲間を通じて自分自身が成長でき、質の高い看護ケア等を報酬や制度にのせて全国に届け、医療の質の向上に貢献できることにやりがいを感じています。

看護系技官に興味がある方へのメッセージ

看護系技官は政策形成に貢献でき、やりがいがある一方で、肉体的、精神的なタフさが求められます。昨今では災害や感染症等の健康危機に対応する機会も増え、省内での迅速な情報収集、分析、対策立案等が求められるほか、現地に赴いて情報収集、業務調整、物資の調達支援等を行うなどの調整機能を発揮しています。

職位や部署にもよりますが、私のように、修学等のための早出勤務を利用し、働きながら博士課程を修了するといった就業と勉学の両立も可能であり、学びを職場でも生かしています。

あなたも、素晴らしい仲間と一緒に働いてみませんか。