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アフターサービス推進室活動報告書( Vol.3:2011年4月〜6月)

平成23年7月11日

1 活動報告(2011年4月〜6月)

アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の中で改善が可能と思われるものについて、「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に、以下の2件について調査・分析し、改善案を策定しましたので、以下に概要を示します。詳細は、案件別報告をご参照ください。

番号
(リンク先)
案件名 概要
1 年金フロントサービス改善支援 「日本年金機構の対応が悪い」「マナーが悪い」という国民の皆様の声が多いため、さらなる改善策を日本年金機構と共に検討する。
2 「退所児童等アフターケア事業」の推進支援 運営主体および利用者の声を通して、事業が果たしている役割や効果、課題について明らかにすることにより、事業の一層の推進を図る。

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2 今後の活動について

(1)継続案件

下記案件は、調査途中、調査後に課題や改善案を分析中、または改善内容について担当部局と調整中のものです。

番号 案件名 概要/中間報告
1 労働基準行政の実態調査 【概要】労働条件の確保・改善および労働基準関係法令についての周知が、より適切に図られるよう、労働基準監督行政において改善すべき点がないかについて調査する。
【中間報告】視察結果を分析して、当室において課題と思われるものを整理しつつある。今後担当局と協議の上、検討を進める予定である。
2 年金支払サービスの向上支援 【概要】「支払いが遅い」「いつ支払われるのかわからない」という国民の皆様の声に応えるため、支払案件を調査し、原因を明確にして、改善を図る。
【中間報告】国民年金保険料の還付金の支払手順をチェックした結果、支払が遅延するのは還付金支払い時の決裁方法に原因があることを確認した。お客様が受取先に指定された金融機関が、決裁時に銀行名や支店コードもしくは支店名等が変更になった場合にエラーとなるケースである。現在この原因によって引き起こされる支払遅延を回避する為に有効な方法を検討中である。時効特例のケースについても支払手順をチェック中である。

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(2)新規案件

今回新たに、下記1件について、具体的な調査・分析・改善に向けた取り組みを開始しました。

番号 案件名 概要
1 住まいと就労に関するきめ細やかな相談を行うための提案 住まいと就労に関するよりきめ細やかな相談を行うために、相談者本人が関係機関との相談内容などを記入して持ち歩くことができるツールを開発し、広く活用するよう提案する。

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(3)活動報告

国民の皆様に広く情報を公開するため、活動内容を報告書にまとめ、3〜4カ月ごとにホームページで公開します。次回の報告は2011年9月を予定しています。

以上

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年金フロントサービス改善支援に関する調査

1.調査内容

  1. ア)「国民の皆様の声」には、年金フロントサービスに対して、「年金事務所職員の説明が不十分」「態度やマナーが悪く不愉快な思いをした」など、年間2,000件前後の苦情が寄せられている。
  2. イ)年金事務所の窓口対応状況を視察するため、下記3箇所を訪問した。
    • [1] 江戸川年金事務所(平成23年2月23日)
    • [2] 京都南年金事務所(平成23年3月4日)
    • [3] 所沢年金事務所(平成23年3月9日)
  3. ウ)上記ア)イ)から以下の課題をまとめ、それに対する改善策を検討した。

2.課題および改善案

課題 改善提案
(1)待ち時間が長い:「お客様へのお約束10ケ条」で「ご相談で来所された時のお待たせ時間は、30分以内とすることを目指します」と掲げているが、2時間以上の待ちが発生する年金事務所もまだ少なからず見られる。 待ち時間を減らすため、以下を提案する。
  1. ア)待合室に待合室担当の専門職員を置き、相談窓口に行く前にお客様の目的にあった説明をすることで効率化を図る。
  2. イ)特に、待ち時間2時間を超える原因を分析し、その打開策を立てる。
  3. ウ)上記により、時間短縮に効果を上げている事例を、日本年金機構本部が他の事務所に紹介することで、全事務所の効率化を推進する。
(2)各種通知や案内の内容が分かりにくい:同じ資料を見ても、お客様によって「内容が難し過ぎる」という意見がある一方で、「十分な情報が記載されていない」という意見もある。 各種通知や案内の内容を分かりやすくするために、「お客様向け文書モニター会議」や「文書審査チーム」において、以下の観点からも検討を行うことを提案する。
  1. ア)通知書や案内パンフレット作成に当たり、以下の点に留意しているか。
    • [1]難しい用語の使用は避けているか。
    • [2]細かい文字は避け、読みやすい大きさとしているか。
    • [3]絵やグラフを盛り込んだ、分かりやすい「簡易版説明書」がさらに必要かどうかを検討する。
  2. イ)通知書や案内パンフレットの内容を充実させるため以下の点に留意しているか。
    • [1]お客様から不十分と指摘された点を漏れがないように反映させているか。
    • [2]説明が不十分と言われることが多い文書については、「詳細版説明書」がさらに必要かどうかを検討する。
(3)年金事務所職員の説明が不十分という苦情が絶えない:年金の種類や加入状況によって、また、職員の熟練度によって、さまざまなケースが起こり得る。例えば:
  1. ア)簡単な説明しかしてもらえず、個別具体的な相談ができなかった。
  2. イ)受けた説明が間違っていた。
○一方、年金の正しい知識に関する国民への教育が不足。
不十分な説明をすることがないよう、以下の改善案を提案する。
  1. ア)お客様の疑問や質問事項を的確に把握し、説明漏れなどを防ぐため、苦情の事例を収集してデータベース化し、その原因を系統的に分析する。その結果を基に事例研修を行う。
  2. イ)職員に上記の事例研修を受講させ、お客様から同じ指摘をされないよう、ロールプレイなどで練習を重ねる。
○全ての国民が、若い時から、年金について正確な知識を持つことが重要である。「社会保障と税の一体改革案」の検討結果などを踏まえつつ、関係部局との当面の対応を整理することが望ましい。
(4)職員の態度・マナーが悪いという苦情が絶えない:ほとんどの職員が丁寧な応対を行っていても、一部の職員が悪い態度を取ると、全体の評判が悪くなる。 年金事務所職員の態度・マナーを改善するために以下の工夫を提案する。
  1. ア)サービスの標準化
    一部職員の接客態度が悪く、全体の評判を落としているため、サービスの標準化を図り、全員が良いマナーで応対できるようにする。
  2. イ)接客マナーの研修
    接客マナーは、日本年金機構職員向け「マナースタンダード実践テキスト」を基本にした研修DVDで研修を行い、模範的な接客を練習する事で、日々の接客に生かすようにする。
(5)電話での問い合わせに対し、適切な回答が得られない、また、受け応えが悪いという苦情も絶えない:特に複雑な年金制度になるほど、年金受け取りに関する苦情が多い。 電話の応対を改善するために、以下の工夫を提案する。
お客様からのクレームで特に多いのは、「いつ」、「いくら」お金を受け取れるのかという内容のもの。支払い時期や額など、個別の質問については、電話によるやりとりだけではトラブルに発展する可能性があり、慎重に対応する必要がある。このため、事例研修を行うと共に、できるだけ年金事務所窓口での相談を案内するなど、より確実な手続を取るようにする。
また、電話対応については、接客マナー研修の中で行うようにする。
(6)年金事務所のレイアウトに関する課題:施設によっては、お客様に不便を掛けているケースもある。 各年金事務所の相談窓口のレイアウト改善に当たっては、特に以下の点に配慮することを提案する。
  1. 1.総合受付の表示方法(見やすく)
  2. 2.ロビーの整理整頓(きれいに)
  3. 3.ロビーにおける順番待ち椅子席(動線を考えて)
  4. 4.ロビーの空きスペースの活用(ポスターの掲示など)
  5. 5.番号案内の表示板の位置(見やすく)
  6. 6.カウンターでの相談内容の漏洩防止

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「退所児童等アフターケア事業」の推進支援に関する調査

1.調査内容

「退所児童等アフターケア事業」(以下、「本事業」)(注1)は、児童養護施設などを退所した児童(以下、「退所者」)の社会的自立を支援するための国庫補助事業です。

この事業は先駆的な事業でもあり、具体的な内容や実施プロセス、および事業が果たしている役割について、自治体や関係機関(運営主体になり得る可能性のある機関や組織)の理解、周知が十分に進んでいない状況があり、このことが本事業をより多くの自治体で推進していく上での課題となっていました。

そのため、この事業の一層の推進を図るための提案を行うことを目的に本調査を実施しました。調査では、本事業の具体的な実施状況や果たしている役割、課題を明らかにすることとしました。具体的には、本事業の実施主体である自治体(注2)の担当課と、運営主体(注3)および、この事業の利用者などに対してヒアリング調査を行いました。併せて、関連資料の分析を行いました。(2.調査結果 参照

これらの結果を踏まえて、本事業を推進していくための提案を行うこととします。(3.本事業の推進に向けての提案 参照

  1. 注1:国と運営主体である自治体の費用負担割合は各1/2。
  2. 注2:東京都、大阪府、鳥取県。
    大阪市、堺市も本事業の実施主体ですが、この調査においては広域的な視点から事業の実施状況を把握するため、大阪府に対してヒアリング調査を実施しました。
  3. 注3:社会的養護の当事者参加推進団体であるNPO法人「日向ぼっこ」、社会福祉法人 大阪児童福祉事業協会アフターケア事業部、鳥取こども学園が運営している「ひだまり」)

2.調査結果

<本事業で行われている支援>

本事業においては「退所に向けた支援」「事後対応的支援」「当事者支援」「施設職員などへの伴走支援」の4種類の支援が行われており、退所者(当事者)の居場所づくりを進めながら、離職などで困難な状況に置かれた時も社会から孤立することがないよう、社会的自立に向けた支援が行われています。

また、児童養護施設などの施設職員(以下、「施設職員」)が行うアフターケアをサポートしていくという「施設職員などへの伴走支援」も行われています。

このように、本事業においては4つの支援が連続的に行われることにより相乗効果が生まれていることが大きな特徴といえます。

4つの支援の具体的な内容と、各運営主体において見られた工夫点を以下の表にまとめました。




<本事業で行われている支援の内容と実施上の工夫点>

支援の種類 支援の内容 具体的な活動
[1] 退所に向けた支援 退所後に生じることが予測される問題に対応できるよう、児童が施設を退所する以前に行う支援 ●SST(自立生活技術講習会)の実施 ●自立生活テキスト(ハンドブック)の作成
[2] 事後対応的支援 退所者に対する相談支援であり、「精神的なサポート」と「具体的な問題解決の支援」に大別される ●当事者の立場に立った相談対応
●他機関との連携による支援
[3] 当事者支援 アフターケアを実施している主体間のネットワークづくりを通して、お互いの活動実践を共有すると共に、退所者個々のエンパワメントを促す ●当事者の交流の促進、当事者団体の活動支援
●社会的養護の啓発活動
[4] 施設職員などへの伴走支援 施設職員などが実施するアフターケアに伴走しながら児童の自立に向けた支援を行う ●施設職員などからの相談に対して(当事者の視点から)助言を行う ●アフターケアの実施に関係する主体を対象として講習会などを実施する
  • ●自治体における本事業の実施状況については、表9を参照されたい(各自治体における本事業の実施状況)
  • ●各運営主体における活動状況については、以下の表を参照されたい。

    ・NPO法人「日向ぼっこ」―表10(活動状況)表11(支援状況)

    ・社会福祉法人 大阪児童福祉事業協会アフターケア事業部―表12(活動状況)表13(相談者の所属別対応状況)表14(相談内容別対応状況)

    ・「ひだまり」―表15(活動状況)表16(支援状況)




    <本事業が果たしている役割>

    本事業の運営主体では、退所者の置かれている状況や心情を十分に理解した上で、生活支援や就労支援などの必要な支援につなげるために、関係機関への同行や、彼らのニーズを客観的に代弁するという一人ひとりに寄り添った支援が行われている状況が見られました。

    具体的な相談支援分野は「就職、就労に関すること」「金銭に関すること」「生活に関すること」「進路、学業に関すること」「健康に関すること」「精神的なサポート」「法律に関すること」など広範囲に及んでおり、多様な機関と連携することによりそれらの支援が可能となっている実態が明らかとなりました。

    本事業で行われている支援は、退所者にとって「セーフティネット」としての役割を果たしており、各運営主体は退所者にとって安心して支援を求めることができる存在となっていることがうかがえました。

    ●本事業が果たしている役割については、表17を参照されたい(本事業が果たしている役割)




    <地域の実情に合わせた本事業の実施>

    今後は、この調査で明らかにした3つの運営主体の工夫点や実践的なノウハウを参考にしてもらうことにより、より多くの主体(社会福祉法人、NPOなど)において本事業の実施が検討されることが期待されます。

    各主体によって設立背景や地域に存在する施設や利用できる福祉的なサービスが異なることが予想されますが、地域の実情に合わせて相談支援の事例を着実に積み重ねていくことにより、それぞれの地域で求められるアフターケアの実施体制がつくられていくと考えられます。




    3.本事業の推進に向けての提案

    この調査においては、児童養護施設、自立援助ホームなどに対してもヒアリング調査を行いました。その結果、それぞれの支援の場面で直面しているアフターケアの課題とその改善に向けて本事業に求められるものが明らかとなりました。

    これらの論点も参考にしながら、アフターケアの充実というより広い視点から、本事業の推進に向けて「今すぐできること」「中期的な取り組みが求められること」「長期的な取り組みが求められること」の3つの段階に分けて以下のことを提案します。

    <ステップI> 今すぐできること
    →本事業の普及 + 本事業の効果的な実施

    現状 推進に向けての提案
    ●本事業の具体的な内容や実施プロセス、および事業が果たしている役割について、自治体や関係機関(運営主体になり得る可能性のある機関や団体)に十分に周知、理解されていない状況が見られる。 [1] 本事業のさらなる周知
     この調査では、退所者に対して行っている具体的な支援の内容や事業が果たしている役割を明らかにすると共に、運営主体の活動からこの事業を行うのに必要なノウハウやポイントについて集約を行った。
     これらの結果について、さまざまな機会を通して自治体や関係機関に周知を図り、活用してもらうことにより、事業の実施を積極的に促していくことを提案する。
    ●退所者の日常生活の自立度の状況や福祉的な対応の必要度によって求められるアフターケアの内容が異なる状況が見られる。
     本事業を活用して退所者に適切な支援を効果的に実施していくためには、支援を行う主体間で情報やネットワークを共有し連携を密にしていくことが求められる。
    [2] 他施策との連携強化の支援
     この調査では、本事業の運営主体がアフターケアの実施において関係機関とどのような役割分担を行い、具体的にどのように連携しているのかを明らかにしました。
     関係機関の連携を強化することにより本事業の効率的な実施につなげるため、調査で明らかとなった具体的な連携方策について広く共有してもらうための取り組みを実施することを提案する。
    ●本事業においては里親家庭で育った人たち(里親家庭出身者)も支援の対象となっている。
     しかし、施設退所者と比べると里親家庭出身者たちは数的にも少なく、当事者同士のネットワークづくりが難しい状況に置かれている。
    [3] 当事者ネットワークの拡大・強化の推進
     本事業において実践されている
     (ア)里親家庭出身者同士の具体的な連携方策を他団体に広く紹介する
     (イ)当事者活動に参加している里親家庭出身者の意見を聞く機会を設ける
    といった取り組みを進めていくことにより、里親家庭出身者も含めた当事者ネットワークの拡大・強化を推進していくことを提案する。
     このような取り組みを進めていくことにより、当事者ネットワークがより拡大・強化されると共に、本事業に新たな視点が反映されることが期待できる。

    <ステップII> 中期的な取り組みが求められること
    →本事業の定着化

    現状 推進に向けての提案
    ●本事業の実施をはじめ、アフターケアの実施においてはさまざまな分野の専門家によるサポートが不可欠である。
     しかし、それぞれの運営主体が個々にサポート体制をつくっていくことは容易ではないことが予想される。
    [4] アフターケアの実施主体のバックアップ体制づくりの支援
     アフターケアの実施において、必要に応じて専門家のサポートを受けることができる体制を地域(ブロック)単位で整備することを支援していくことを提案する。
     このようなバックアップ体制が整備されることにより本事業の拡大、定着が可能になると考えられる。

    <ステップIII> 長期的な取り組みが求められること
    →本事業を関連施策に包摂させることにより重層的にアフターケアを実施

    現状 推進に向けての提案
    ●児童福祉法では18歳までの児童を対象としている。そのため、18歳を過ぎると法的な支援根拠が明確でなくなるため、退所者への支援に空白部分が生じている状況が見られる。 [5] 青少年施策、就労支援施策へのアフターケアの視点の反映
     青少年施策、就労支援施策の対象者として退所者を明確に位置づけ、それらの施策が確実に実施されるよう働きかけることを提案する。
     本事業による支援を上記の自立支援施策に包摂させていくという方向性を国が示すことにより、自治体レベルにおける重層的なアフターケアの推進につながっていくことが期待できる。
    ●退所者の置かれている状況や心情を理解した上で相談に乗り、適切な支援をしてくれる(あるいは適切な支援につなげてくれる)第三者的な相談窓口が不可欠となっている状況が明らかとなった。
     しかし、そのような場所が十分に確保されていないのが現状である。
    [6] アフターケアの実施におけるセンター機能の整備
     長期的な視点から見た場合にアフターケアを充実させていくためには、本事業が有している相談機能、生活支援機能、就労支援機能にさらにシェルター機能を付加し、退所者からの相談を一元的に受け止め、必要に応じて適切な支援をコーディネートすることができるセンター機能を整備していくことが必要ではないかと考えられる。
     国が本事業の実績を踏まえた上で、実施可能なレベルで具体的な構想を自治体に示していくことにより、各自治体において既存の施設などを活用しながらアフターケアの実施におけるセンター機能の整備について検討が進められていくことが期待できる。

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