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アフターサービス推進室活動報告書(Vol.16:2014年4〜7月)平成26年8月1日
健康づくり事例調査
1 調査目的
がん、循環器疾患、糖尿病などの生活習慣病は、日本人の死因の約6割を占めるなど、日本人の健康にとって大きな課題となっている。
一方、厚生労働省への「国民の皆様の声」には、「過食や偏食による糖尿病が増えている。命にかかわる重要なことなので、もっと広報すべきである。」「受動喫煙対策を行っていないところの指導をしてほしい。」というご意見や、「高齢者が今の健康状態を維持するのにも健康づくりが必要である。」「会社で健康診断結果を踏まえた健康指導がされていないように思うので、国や会社単位で健康指導を行うべきである。」「医療費を使いすぎている。すぐに病院に行けばよいという風潮もよくない。」といったご指摘も寄せられている。
国は、国民の健康づくり等に関して地方自治体や企業(健康保険組合等)の取組を支援しているが、今回の調査は、こうした国民の皆様の声を契機に、国民の健康づくりに関して、地域住民や従業員の健康づくりの最前線と言える地方自治体、企業(健康保険組合等)における先進的な取組について調査したものである。
2 調査対象
今回調査対象とした地方自治体、企業(健康保険組合等)は、創意工夫により、住民の健康寿命延伸や従業員の健康維持増進に成果を挙げている中から、以下の地方自治体5か所および企業4か所とした。
調査対象地方自治体・企業一覧表
番号 | 名称 | 所在地 | 基礎データ |
---|---|---|---|
1 | 静岡県 | 〒420-0853 静岡県静岡市葵区追手町 9-6 |
人口3,715,901人(2013年10月1日現在) うち国保加入者1,034,863人(同年9月末日現在) 高齢化率 25.9%(同年10月1日現在)(注1) |
2 | 長野県松本市 | 〒390-8620 長野県松本市丸の内 3番7号 |
人口242,546人(2013年4月1日現在) うち国保加入者61,685人(同年3月末現在) 高齢化率 24.9%(同年4月1日現在) |
3 | 広島県呉市 | 〒737-8501 広島県呉市中央4丁目 1番6号 |
人口239,401人(2013年3月末現在、以下同じ) うち国保加入者53,943人 高齢化率 31.0% |
4 | 静岡県藤枝市 | 〒426-8722 静岡県藤枝市岡出山 1-11-1 |
人口146,214人(2013年3月末現在、以下同じ) うち国保加入者38,684人 高齢化率 24.6% |
5 | 新潟県妙高市 | 〒944-8686 新潟県妙高市栄町 5番1号 |
人口35,287人(2013年3月末現在、以下同じ) うち国保加入者8,575人 高齢化率 30.5% |
6 | 株式会社タニタ | 〒174-8630 東京都板橋区前野町 1-14-2 |
健保組合加入者数417人(2013年3月末現在、以下同じ) うち被保険者数 215人 うち被扶養者数 202人 |
7 | 株式会社大和証券 グループ本社 |
〒100-6751 東京都千代田区丸の内 一丁目9番1号 |
大和証券グループ(大和証券、大和総研など約20社)で構成 健保組合加入者数24,853人(2013年3月末現在、以下同じ) うち被保険者数 12,777人 うち被扶養者数 12,076人 |
8 | 三菱電機株式会社 | 〒100-8310 東京都千代田区丸の内 二丁目7番3号 |
三菱電機(グループ関係会社 国内128社、海外95社)で構成 健保組合加入者数 231,072人(2013年3月末現在、以下同じ) うち被保険者数 114,257人 うち被扶養者数 116,815人 |
9 | 東京都職員共済組合 | 〒163-8001 東京都新宿区西新宿 二丁目8番1号 |
東京都庁、特別区(23区)、東京消防庁等計36の事業主体で構成 共済組合加入者数 225,864人(2013年3月末現在、以下同じ) うち組合員数 123,734人 うち被扶養者数 102,130人 |
(注1)国保:国民健康保険の略、健保:健康保険の略
3 調査結果の概要(別添1は「創意工夫・インセンティブ」一覧および別添2は事例)
(1)健康づくりを進める上では、個人の行動を変えることが重要であり、そのための動機づけがポイント
近年、医療保険者によるレセプトや健康診断データ等の電子化やデータベース化が徐々に進んできており、医療費の分析や健康づくりに役立ってきている。今回調査した、地方自治体・企業においては、住民や従業員の医療費や健康診断データの蓄積を図り分析を行うことにより、地域や企業(健康保険組合)の課題を見える化した上で、生活習慣病対策など対象を明確化し、一定のインセンティブも付与しながら、様々に工夫を凝らして取組を積極的に行っている状況が見られた。
各自治体、企業に対する調査の結果、健康づくりを進める上では、各組織に属する個人(住民、従業員等)に対して日常の行動を変えてもらうよう促すことが重要であり、中でも「動機づけ」がポイントとなると言える。
今回調査した地方自治体、企業等では、インセンティブ(動機付け)を付与するため、例えば、[1]設定した目標の達成感を高めるため、毎日の体重や歩いた歩数を記録し消費したカロリーを可視化し実感を持たせたり、[2]歩いた歩数に応じて地図上で仮想の旅を経験できるなどの「遊び」や「楽しみ」の要素を取り入れるものが見られた。さらに、[3]キャンペーン期間中の歩数を同僚等と競わせたり(競う楽しみ)、[4]実績に応じてポイントを付与し景品と交換できる仕組み(特典の付与)や、[5]成績優秀者へは表彰を行う制度を設けるなど、個人のやる気を引き出す様々な取組が見られた。
また、ICT(注2)を活用し、レセプトデータを蓄積し、医療費などについて地域的な傾向や年齢による違い、複数データを用いた相関関係を分析し、自治体の施策や健康保険組合の取組方針に反映させるとともに、体の状態をより正確に把握するツールとして用いるほか、健康づくりをゲーム感覚で楽しみながら持続できる手法として活用する例も多く見られた。
さらに、健康づくりの取組に当たっては、人員や費用に限りがある中で、データを分析し、課題を目で見える形で明らかにした上で、働きかける対象を明確化し、効果的な手段を検討することが重要である。
「課題の見える化」と「対象の明確化」のため、レセプトや健康診断データ等からターゲットとして重点的に取り組む生活習慣病の種類を特定し、その分布等を見える形にして提示し、その予防により慢性化・長期化を防ぐ対策に役立たせようとする事業主体が見られた。
(注2)ICT(Information and Communication Technology)は「情報通信技術」の略
(2)健康づくりにかかる地方自治体、企業の分野別の取組
ア 生活習慣病予防の推進、住民、従業員に対する啓発活動・取組意欲の促進
- a 静岡県
県民の特定健診データを分析して地図に落とし込み、「健康マップ」の作成により「見える化」を行い、県民に公表するとともに、市町の健康づくりの施策に役立たせている。さらに、生活習慣病の予防策として、県独自の生活習慣改善プログラム「ふじ33プログラム」を開発、県内市町と協働して「健康マイレージ」制度(日々の運動、健康診断等を受診した住民が特典を受けられる制度)を創設し、住民の健康づくりのモチベーションを高める工夫をしている。 - b 藤枝市
ウォーキング習慣を普及定着させるための「バーチャル東海道の旅」や公募した「ふじえだ健康スポット20選」のマップを作成し、20選を活用したウォーキングやフォトラリーなどを開催している。 - c 妙高市
「バランスのとれた食事の摂取」のための啓発を実施している。特に乳幼児については、「子育て応援食育キャラバン」を実施している。 - d 松本市
「こどもの生活習慣改善事業」を実施して、若い時からの生活習慣を身につけることを学習させている。 - e 呉市
ジェネリック使用促進に取り組むと同時に、「糖尿病性腎症等重症化予防事業」に取り組んでいる。 - f 株式会社タニタ
「タニタの健康プログラム」を導入し、からだの状態の見える化を図り、遊びと競争で楽しめる要素も取り入れた「歩数イベント」などを開催し、社員の行動変容を促進させようとしている。 - g 三菱電機株式会社
「三菱電機グループヘルスプラン21(略称:MHP21)」を全社的に展開、「BMI・運動習慣・禁煙・歯の手入れ・ストレス」の5分野の共通目標を設定し、各事業所ごと、個人ごとに目標を設定させることにより意識づけを図るとともに、達成者に対する表彰制度や賞品の授与などモチベーションを高め推進している。 - h 株式会社大和証券グループ本社
「ウォーキングプログラム」や「腹八分目キャンペーン」を実施している。 - i 東京都職員共済組合
40才未満の若年層からの生活習慣病予防対策に取り組むとともにウェブ(「健康情報提供サービス」)を活用した「健康な人を評価する」仕組みを導入している。
イ 特定健診受診率向上に向けた取組
- a 藤枝市
「土曜日や午後の健診」を実施しているほか、「年間の日程表(115日)の中から自分の都合がいい日を選べる」という選択方式を採用したり、市の指定日に無料送迎バスの利用が可能としている。 - b 妙高市
「元気いきいき健康条例」を施行し、市民や事業所への啓発を行っている。具体的には、定期的に健康診査、がん検診、歯科検診その他の健康診断を受けることにより、自らの心身の健康状態を把握し、健康の保持増進に努めることなど、市としての基本理念を示している。 - c 株式会社大和証券グループ本社
「健診結果が時系列で閲覧できるウェブサイトの導入」「イエローペーパー(有所見者受診確認票)」を用いた「ハイリスク者対策」を実施している。 - d 東京都職員共済組合
心電図、胸部エックス線、血清クレアチニン等の各検査項目を無料で追加した「生活習慣病健診」を新たに設けるとともに、さらに、女性専用の「巡回レディース健診」や人間ドックで受診できるようにするなどの多様な健診機会を被扶養者にも提供することとし、受診率を向上させている。
ウ 保健指導の充実、生活習慣病の重症化・慢性化の予防
- a 妙高市
健診結果説明会を健診後市内54か所で開催したり、自身の健診結果を自分で見て理解できるよう、健診データを図を使ってわかりやすく説明するほか、郵送を極力少なくし、訪問、窓口等で返却することで、保健指導を意味のあるものにしている。 - b 株式会社大和証券グループ本社
ハイリスク者を含め一般健康診断で何らかの所見があった者に対して「有所見者受診確認票」(イエローペーパー)を健診結果とともに送付し、医療機関を確実に受診させ、報告を求めることにより、生活習慣病の重症化・慢性化の予防を図っている。
エ その他の取組
- a 減塩運動
呉市では、市民の塩分摂取量の把握を進めつつ、幅広い世代に向けて減塩の必要性を説く「はじめよう!減塩生活」の取組を実施したり、妙高市では、高血圧やがん予防に焦点をあてたキャンペーン「みょうこう減塩生活大作戦」を実施している。 - b 認知症予防
松本市では、「若い時からの認知症予防事業(脳活ポイントプログラム)」を全市をあげて取り組んでいる。 - c 禁煙
松本市では、「タバコと向き合う松本スタイル」を実施している。
静岡県では、習慣的喫煙者が多い地域のマップを作成し、「見える化」を実施している。
株式会社大和証券グループ本社では、「禁煙チャレンジ実施者」には保健師からサポートメールを送付し、禁煙サポートを実施している。
三菱電機株式会社では、禁煙月間キャンペーンの実施や、禁煙本の紹介、禁煙指導を行う医療機関の紹介、禁煙治療薬の紹介を行っている。 - d その他の特徴的な取組
妙高市では親子の歯科保健指導を実施、松本市では「世界健康首都会議」の開催や「自殺予防対策事業(専用相談窓口、気づき・見守る地域支援者の育成等)」を実施している。
静岡県では市町別の「お達者度」(健康寿命)を算出し、健康づくりに取り組んでいる。
株式会社タニタでは、社員食堂で提供したヘルシーなメニューを書籍化、レストラン化するなどして社外にも健康づくりのノウハウを提供している。
東京都職員共済組合では、ジェネリック医薬品の普及促進を図っている。
(3)取組の効果
上記2および3での地方自治体や企業の様々な取組や工夫の結果、以下のような一定の成果が見られた。
地方自治体では地域ごとの「お達者度」の算出や「市町別健康マップ」の作成を通じて見える化が図られた結果、高血圧症や、喫煙状況等、市町が抱える健康面での課題を明らかにすることができ、これまで健康に関心の薄かった県民各層にも健康づくりの機運を高めることができた。
また、他の自治体では、ジェネリック医薬品の使用で、2008(平成20)年〜2013(平成25)年の5年間の累計で、約5億円の薬剤費の削減を果たすことができたところもあった。
企業部門では独自の健康プログラム導入から半年で、メタボ対象社員の平均体重が3.6kg減少、平均体脂肪率が1.7%減少し、プログラム導入1年間でメタボ社員の減少と約9%の医療費の削減を実現した企業があり、また別の企業では、9年間で70.4億円の医療費が削減(他の特例退職被保険者制度を有する保険給付費と同じ伸び率で保険給付費が推移した場合と比較し推計したもの)されたところも見られた。
4 おわりに
今回調査にご協力いただいた、地方自治体および企業(健康保険組合等)の皆様方に感謝申し上げるとともに、住民の健康寿命延伸や従業員の健康維持増進に携わる関係者に本事例が参考となることを期待したい。
なお、「創意工夫・インセンティブ」一覧については別添1に、また、「地方自治体・企業の取組事例」を別添2に付した。
II 過去の活動報告
アフターサービス推進活動にかかるこれまでの報告書のリンク先は以下のとおりです。
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.1: 2010年9月〜2010年12月) 平成22年12月24日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.2: 2011年1月〜2011年3月) 平成23年3月31日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.3: 2011年4月〜2011年6月) 平成23年7月11日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.4: 2011年7月〜2011年9月) 平成23年9月30日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.5: 2011年10月〜2011年12月) 平成24年1月26日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.6: 2012年1月〜2012年3月) 平成24年4月13日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.7: 2012年4月〜2012年6月) 平成24年7月9日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.8: 2012年7月) 平成24年8月3日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.9: 2012年8月〜2012年11月) 平成24年12月21日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.10: 2012年12月) 平成25年1月11日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.11: 2013年1月〜4月)平成25年4月30日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.12: 2013年5月〜8月)平成25年9月30日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.13: 2013年9月〜2013年12月)平成25年12月26日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.14: 2014年1月〜2014年3月)平成26年3月31日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.15: 2014年3月〜6月)平成26年6月30日
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