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アフターサービス推進室活動報告書(Vol.5: 2011年10月〜2011年12月) 平成24年1月26日

1 調査結果報告(2011年10月〜12月)

 アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の中で改善が可能と思われるものについて、「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に、以下の件について調査・分析し、改善案の策定まで進めることができましたので、以下に報告します。

案件名 概要
仕事、住まい、生活に関するきめ細かな相談支援を実施するために
―「本人記録用SOS窓口一覧」活用の提案―
住まいと就労に関する、よりきめ細かな相談を行うために、相談者本人が持ち歩き、関係機関との相談内容を整理・統合するためのツールを開発し、広く活用するよう提案する。

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(1)調査目的

 離職によって住まいや生活に困窮している方への支援策として、ハローワーク、地方自治体、市区町村社会福祉協議会などによる、「求職者支援制度」や「住宅手当」、「総合支援資金貸付」などの「第二のセーフティネット」があります。
 これらの実施については、関係機関が連携して相談・支援を行うことが求められていますが、中でもハローワークは離職者が最も多く訪れる窓口となっています(注1参照)。このことから、ハローワークで適切な支援につなげるための情報提供の方法を充実させることにより、各自が必要とする情報にアクセスしやすくなると考えられます。
 具体的には、支援を求める相談者が各窓口での相談や対応の経緯を整理し、その時々の状況下で必要な支援の相談窓口を一覧できるようなツール「本人記録用SOS窓口一覧」を新たに作成して、ハローワークで使用している各支援策の説明用資料と合わせて活用することにより、よりきめ細かな相談支援が可能になるのではないかと考えられます。
 そこで、ハローワークの「住居・生活支援窓口」を利用する相談者に必要な情報とはどのようなものか、相談対応を円滑に行うにはどのようなことが求められているのかを明らかにするために本調査を実施しました。

  1. 注1:住宅手当の実施主体は地方自治体であるが、「平成22年度住宅手当緊急特別措 置事業全国調査」の結果によると、「住宅手当」の受給者の認知媒体別割合では「ハローワーク窓口」が34.8%と最も多く、次いで地方自治体窓口(18.1%)、地方自治体の広報誌(16.7%)となっている。

(2)調査内容

 「第二のセーフティネット」施策のうち、「住宅手当」の実施主体は地方自治体ですが、情報提供や相談支援の起点という点でハローワークは重要な役割を果たしており(注1参照)、中でも、住まいと就労に関する相談対応に関しては「住居・生活支援窓口」の役割が重要と考えられます。
 そこで本調査では、2011年7月から11月にかけて、5カ所のハローワーク(首都圏、東海地区)の「住居・生活支援窓口」で住まいと就労に関する相談に当たっている職員(「住居・生活支援アドバイザー」)に、以下の点を中心にヒアリング調査を実施しました。

  • 上記の窓口に相談に訪れる方への相談対応の流れ
  • 相談者が必要としている具体的な情報や支援の内容
  • 相談対応におけるハローワークと他の関係機関との連携状況

 あわせて、地方自治体の「住宅手当」の担当課、「総合支援資金貸付」を担当している社会福祉協議会、さまざまな悩みを抱えた方々を支援している民間団体に対しても、上記の内容を中心にヒアリング調査を実施しました。

(3)調査結果:現状と改善に向けての提案

 調査の結果、「住居・生活支援窓口」での相談対応の状況を把握することができました。現状の課題とそれらの改善のために必要と考えられる提案をまとめたのが以下の表です。
 提案内容を「本人記録用SOS窓口一覧」に反映させることにより、各相談者が身近な地域の相談窓口にアクセスしやすくなると共に、ハローワークが相談者を、他の機関の相談窓口に迅速かつ的確に案内しやすくなるというメリットが考えられます。

現状 改善に向けての提案
[1]相談者自身が相談の経緯を覚えておくことが難しい
 施策によって申請する窓口が異なるため、相談者自身が、どこでどのような相談をしたのかを正確に覚えておくことが難しい。
 そのため、相談者が再度、問い合わせようとしても、迅速に連絡を取ることができない、相談先を勘違いすることによりトラブルが生じる可能性もある。
提案[1]:相談者本人が相談の経緯を記録し整理できるようにする
 相談者がそれぞれの窓口でどのような相談をしたのかを、自ら記入することができるようにする。
 本人が相談(問い合わせ)の経緯を整理できるようにすることで、再度問い合わせが必要になった際にも迅速に正確に窓口を調べることができる。
 また、支援に当たるそれぞれの窓口で、これまでの相談経緯が分かれば、相談者の置かれている状況がより把握しやすくなるという副次的な効果が期待できる。
[2]相談者が相談窓口一覧を知ることができない
 ハローワークでは相談者から提供される情報や確認できた事実をもとに、利用可能と考えられる支援策の紹介や手続きが行われる。その際、個々の支援策ごとに詳細な説明用パンフレットが用いられる。
 しかし、相談者に提供する情報は相談時点の状況に応じたものであるため、支援終了後、根本的な課題が解決されていない場合には、引き続き生活面で困窮する可能性が高い。
提案[2]:地域での相談窓口の情報を集約しておくことにより、相談者が適切な窓口の存在を知ることができる
 相談内容に応じた地域の相談窓口(国、都道府県レベルでの広域的な窓口を含む)をあらかじめリスト化しておく。これにより、相談者自身でもアクセスすることが可能となる。
 また、これを手元に置いておくことは、相談者の安心感につながると考えられる。
[3]相談者が必要な情報にアクセスするための支援が十分でない
 相談者からの求めがない場合には、相談者に情報提供を行うことが難しいため(注2)、必要な情報が本人に伝わらない場合も多いと考えられる。
  1. 注2:「求職者の中には、求職活動に不利になると考え、心の悩みを打ち明けることに強い抵抗感を持つ者が少なくない」ということが指摘されている(平成22年5月28日厚生労働省自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム「施策の鳥瞰図」 p.2)。
提案[3]:相談しにくい内容について窓口情報を提供する
 他人に相談しにくいと思われる問題に関する相談窓口についてもあらかじめ広く周知しておくようにする。
 相談者からの求めがない場合でも、このような相談窓口の情報を幅広く提供しておくことにより、相談者が必要となった時にいつでも気軽に相談できるようにする。
 これにより、「こころの健康相談に係る確認と選択の助言及び誘導」をより徹底させることができる。
[4]社会保険に関する情報の周知が十分でない
 相談者の中には、社会保険(国民健康保険、国民年金)の制度そのものについての理解が十分でないケースも多いと考えられる(注3参照)。
 相談を受けた時点では条件に該当しない場合でも、その後の状況によっては制度の適用対象となることも予想される。
 よって、そのような方に対しても社会保険(国民健康保険、国民年金)の軽減措置などに関する情報を事前に情報提供しておく必要がある。
提案[4]:本人の申請が必要な社会保険の手続きに関して周知を徹底する
 国民健康保険料の軽減措置や、国民年金保険料の免除制度などに関する相談窓口をツールに明記しておく。
 このことにより、相談者が必要に応じて自身で問い合わせや手続きなどができるよう支援する。
  1. 注3: 報道発表(平成22年3月5日「倒産などで職を失った失業者に対する国民健康保険料(税)の軽減措置の創設及びハローワーク等での周知について」保険局国民健康保険課)に基づいて、ハローワークにおいて、対象となりうる方に対し、リーフレットを配布することとしている。

(4)「本人記録用SOS窓口一覧」活用の提案

 「住居・生活支援窓口」での「本人記録用SOS窓口一覧」の活用について、各ハローワークへの周知は各都道府県の労働局を通じて行うことを提案します。
あわせて、地方自治体の「住宅手当」の担当部門に対して周知を行うよう、また、各地方自治体内部における関係部門および社会福祉協議会など地域における関係機関内でも周知・活用されるよう提案します。
 本ツールを有効に活用していただくために、関係機関に以下のことを提案します。

  1. [1]情報提供の充実に向けた「本人記録用SOS窓口一覧」の補完的な活用
     「本人記録用SOS窓口一覧」は、必要性が高いと思われる支援窓口を網羅的に記載し、相談者に情報提供することを目的としています。相談者が必要とする情報をもれなく提供できるよう、個々の支援策に関するパンフレットなどと合わせて活用してください(注4参照)。
    1. 注4: なお、「ハローワークにおける失業者への情報提供方法の充実」という点については厚生労働省の自殺防止対策における普及啓発のための重点施策としても掲げられている(平成22年5月28日厚生労働省自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム「誰もが安心して生きられる、温かい社会づくりを目指して〜厚生労働省における自殺・うつ病等への対策〜」p.8)。
  2. [2]各ハローワークにおける具体的な活用方法
     「本人記録用SOS窓口一覧」に掲載する相談窓口については地域の状況に応じ、適宜変更を加えて使いやすいものとなるよう、各ハローワークで検討してください。
     なお、相談窓口として掲載する場合には、関係機関の了承を得たうえで、窓口の名称や電話番号、相談対応時間などを明記してください。また、夜間や休日などにも対応できるような窓口を案内できるよう、民間団体も含めてご検討ください。
     様式についてA4で両面刷りとするか、あるいはA3で見開き1枚とするかは各ハローワークでご判断ください。
     表中の「相談の記録」欄への記入は相談者の任意ですが、相談者から求めがあれば、相談窓口で対応した職員が相談者に確認しながら記入することも可能です。
  3. [3]地域の実情に合わせたツールの活用
     「本人記録用SOS窓口一覧」の活用に当たっては、「第二のセーフティネット」に関わる機関(ハローワーク、地方自治体、市区町村社会福祉協議会など)に対し、周知、理解を進める取り組みが必要です。
     具体的には、「生活福祉・就労支援協議会」、「自殺対策連絡協議会」などの関係機関が集まる機会を利用して積極的な情報共有を図ることを提案します。
    なお、「本人記録用SOS窓口一覧」は、「住居・生活支援窓口」を利用する相談者を主な対象者として作成しましたが、ハローワークの他の窓口においても活用していただくことも可能と思われます。
     本ツールがより使いやすいものとなるよう改良を進める中で、各相談窓口の連携が深まっていくことが期待されます。

仕事・住まいから心の悩みまで SOS窓口一覧

仕事・住まいから心の悩みまで SOS窓口一覧

2 「女性医師等の復職支援方法に関する調査(H23.3.31公表分)」についての追加提案

 過去当室で行った調査に関連し、以下の新規情報が参照可能となったので、女性医師等の復職支援関連事業などで活用されることを提案します。

番号 案件名 新規情報
1 女性医師等の復職支援方法に関する調査
Vol.2参照

注)三師調査
2年に1度、全国の医師、歯科医師、薬剤師の従事場所や診療科などを調査するもの。

2010年12月31日に実施された三師調査(注)に基づき、無職である医師の数は、都道府県別に、あるいは市区町村別に、下記アドレスで公表されています(「無職」欄参照)。
アドレス先の「csv」というボタンをクリックすると、Excel形式で表を開くないしダウンロードすることができます。

●都道府県別:表番号27
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001084609

●市区町村別:表番号4(都道府県毎別ファイルになっています)
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001084640

 三師調査には、「(13) 本届出票の活用に対する同意確認」項目において、「各都道府県における医師確保対策の検討等に活用するため、本届出票に記載した情報の全部又は一部を、従事先の所在地の都道府県に提供されることに同意する場合には、右欄に○を付けること」となっています。したがって、第(13)項目に○と回答された「無職」の方に対しては、医業に復帰する意志をお持ちかどうか、都道府県側から問い合わせすることは可能であると考えられ、女性医師等の復職支援の観点から、積極的に活用されることを提案します。
 また、今回の調査においても、医師の届出率が不明だったことから、無届けの離職者がいる可能性があります。このため、母集団の大きさの確認と届出率の向上を図る仕組みについて検討されることを提案します。

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3 「国民の皆様の声」などに対する、さらなる改善事例

厚生労働省に寄せられた「国民の皆様の声」に対し、担当部局で既に対応済みであるが、さらに行政サービスの向上につながるよう、当室で提案を行った結果、担当部局から以下のさらなる改善を行うという回答が得られた。

番号 案件名 国民の声・担当部局による対応・さらなる改善提案
1 薬の重要事項説明について(平成23年11月10日 コールセンター受付意見より。)
担当部局(課室):医薬食品局
【国民の声】
 薬局で「胃に優しい」と勧められて購入した睡眠薬を開封したところ、中に入っていた説明書に「胃潰瘍・十二指腸潰瘍の人は絶対に飲まないでください」と赤字で書かれていた。
 睡眠薬は購入した薬局に返品したが、その際に「ほとんどの薬では、重要事項の説明は中に入っている説明書に書いてあり、外箱には記載されていない」と言われた。
 なぜ、このような重要事項の説明が外箱に記載されていないのか。
【担当部局による対応】
お問い合わせに対しては、医薬品医療機器総合機構(PMDA)・お薬相談窓口をご案内した。
http://www.info.pmda.go.jp/
【さらなる改善】
  1. (1)2011年10月14日付けで、厚生労働省・医薬食品局から下記通知が発されており、重要事項を外箱に記載するよう、メーカーに依頼がなされ、今後外箱に重要事項が記載された商品が流通していくことをお知らせする。<通知:薬食発1014第3号 一般用医薬品の使用上の注意記載要領について>
  2. (2)ただし、新しい規格の外箱に入った薬品が各薬局等に流通するまでには時間を要すると思われることから、薬局等において、薬剤師・登録販売者・購入者等が、上記PMDAのウェブ・ページをPC/携帯電話/スマートフォン等で参照することを推奨する。
    なお、薬剤師と登録販売者には、購入希望者から質問がなくても情報提供を行うことが義務付けられている。
    • 一般用第一類医薬品:薬剤師の義務
    • 一般用第二類医薬品:薬剤師及び登録販売者の努力義務
      (「一般用医薬品の販売制度概要(下図)」参照)
  3. (3)その他のアクション
     ちらし等を用いて、上記PMDAのウェブ・ページの活用が推奨されるよう、薬局等の店頭等で国民に働き掛けて頂く。

一般用医薬品の販売制度に係る薬事法改正の内容

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4 今後の調査活動および報告予定について

(1)活動予定

新規に調査を開始した案件は、以下の通りです。

番号 案件名 概要/中間報告
1 子どもを守る地域ネットワーク(「要保護児童対策地域協議会」)の強化の推進に向けた調査・提案  虐待を受けるなど見守りが必要な子どもたちを守るためのネットワーク(子どもを守る地域ネットワーク)がほぼ全ての区市町村に設置されている。
 このネットワークが関係機関と連携し、求められている役割をより効果的に果たすことができるようにするため、取り組みの具体的方策の提案を行う。
2 エイズ防止活動に参画しているNGOの実態調査  エイズ予防ではNGOなどとの連携が重要であるが、それらの実態は必ずしも明らかになっていない。NGOの活動状況などを調査し、今後の行政とNGO間の連携の円滑化に役立てる。
 10月から12月にかけて、関東圏にあるNGOをランダムに選び、以下の点を中心にヒアリング調査を実施した。
  • 活動の対象者
  • 活動内容
  • 活動地域
  • 他のNGOとの連携・協働状況
 今後、調査地域を関東圏以外にも広げ、エイズ/HIV防止活動にかかわる当事者や関係者が、必要な情報を共有するのに便利なツールの開発について検討する予定である。
3 健康診査・保健指導による生活習慣病予防対策―先進事例についての調査  健康診査・保健指導によって生活習慣病予防対策として成果を上げているケースについて、その成果をもたらしている特徴的な取り組みについて調査する。先進事例を紹介することで国民の生活の質の向上に役立てる。

その他の案件について調査を企画・検討しています。

(2)報告予定

国民の皆様に広く情報を公開するため、活動内容を報告書にまとめ、3〜4カ月ごとにホームページで公開します。次回の報告は2012年3月を予定しています。

以上

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