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アフターサービス推進室の活動報告(Vol.7: 2012年4月〜6月)平成24年7月9日

1 調査結果報告(2012年4月〜2012年6月)

 アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の改善に資するよう「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に以下の件について調査・分析し、とりまとめましたので、以下に報告します。

案件名 概要
HIV/エイズ予防・支援活動を担っているNGOの実態調査 HIV/エイズ予防・支援活動では行政とNGOなどとの連携が重要である。今般、首都圏、名古屋、大阪地区等の大都市にあるNGOの活動状況などを調査し、行政とNGO間の連携の円滑化に役立てる。

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エイズ予防・支援活動を担っているNGOの実態調査(2011年10月〜2012年3月)

(1)調査目的

 HIV(Human Immunodeficiency Virus ヒト免疫不全ウイルス)が免疫細胞に感染し、免疫細胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす免疫不全症がエイズ(AIDS:Acquired Immune Deficiency Syndrome 後天性免疫不全症候群(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)と言われるものであり、1981年にアメリカ・ロサンゼルスで初めて症例報告されてから、今年で31年目に当たります。

 2006年4月から2011年3月まで、エイズ予防対策のさらなる推進を図るため、厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)の研究課題として、「戦略研究(エイズ予防のための戦略研究)」が、多くのNGO(Non-Governmental Organization)の参画を得て実施され、一定の成果を上げました。

 2012年1月には、後天性免疫不全症候群に関する特定感染症予防指針の改正が行われ、行政とNGOの連携の重要性が明記されました。

 このような中、行政とNGOがどのように連携できるのか、実態調査という形を取り、対面ヒアリングを行うことにしました。

※今回の調査範囲は、時間的制約等から首都圏および名古屋・大阪地域とその周辺の一部としました。

(2)調査内容

 NGOや行政機関等へのヒアリングやイベント参加を通して、下記好事例を収集しました。他地域で、行政とNGO間の連携・協働を進める場合の参考になれば幸いです。

時期 訪問したNGO・行政機関など(所在地(会場))
2011年10月
  • 非営利団体(当時) akta(東京都新宿区)(平成24年6月1日、特定非営利活動法人akta設立)
  • 特定非営利活動法人 ぷれいす東京(東京都新宿区)
  • 特定非営利活動法人 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(東京都新宿区)
  • かながわレインボーセンターSHIP(横浜市神奈川区)
  • AIDS知ろう館(東京都豊島区池袋保健所)
  • 特定非営利活動法人 AIDSネットワーク横浜(横浜市中区)
  • 横浜AIDS市民活動センター(横浜市中区)
11月
  • 特定非営利活動法人 CRIATIVOS - HIV・STD関連支援センター(横浜市旭区)
  • 特定非営利活動法人 動くゲイとレズビアンの会(アカー)(東京都中野区)
  • せかんどかみんぐあうと(東京都中野区)
  • 特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会(東京都台東区)
  • ぽーとたまがわ(さいたま市南区)
  • 特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会(東京都台東区)
  • HEARTY NETWORK(東京都)
  • エイズ・サポート千葉(千葉市中央区)
  • 第25回 日本エイズ学会学術集会・総会(会場:東京都新宿区)
12月
  • NGO SEPIA(茨城県水戸市)
  • 特定非営利活動法人 AMDA国際医療情報センター(東京都新宿区)
  • 社会福祉法人 はばたき福祉事業団(東京都新宿区)
  • レッドリボン伊勢原(神奈川県伊勢原市)
  • 高校生エイズフォーラムKANAGAWA(神奈川県県央)
  • AAA(Act Against AIDS)運営事務局(東京都渋谷区)
2012年1月
  • AGP[同性愛者医療福祉・教育・カウンセリング専門家会議](東京都中野区)
  • 特定非営利活動法人 ピアフレンズ(東京都豊島区)
  • 特定非営利活動法人 チャーム(大阪市北区)
  • Follow(大阪市北区)
  • 特定非営利活動法人 HIVと人権・情報センター(大阪市浪速区)
  • NPO法人 スマートらいふネット(大阪市福島区)
  • MASH大阪(大阪市北区)
  • PLANET(HIVと共に生きる会) (京都市伏見区)
  • さぽーと京都(京都市)
  • 第19回 静岡エイズ・シンポジウム(会場:静岡市駿河区)
2月
  • 東京都福祉保健局健康安全部感染症対策課エイズ対策係(東京都新宿区)
  • 日本エイズ学会学術集会HIV陽性者参加支援スカラシップ・参加報告会(会場:東京都渋谷区)
  • 北陸HIV情報センター(石川県金沢市)
  • 風知草の会(がらくた座)(長野県松本市)
  • 世界エイズデー in NAGOYA(名古屋市東区)
  • LIFE東海(名古屋市熱田区)
  • 特定非営利活動法人 魅惑的倶楽部(浜松市南区)
  • あいち医療通訳システム(名古屋市中区)
  • ANGEL LIFE NAGOYA(名古屋市中区)

(3)調査結果:好事例の紹介

 調査の結果得た下記事例が、関係者の皆様にとって良い参考になれば幸いです。

1.一人でも出来るNGO
  • 「風知草の会(がらくた座)」は、豊富な経験と知識を持ち、所を選ばず、また老若男女を問わず、HIV/エイズ防止教育・啓発に貢献して来た。
     沖縄、鹿児島、熊本、大分、佐賀、福岡、島根、鳥取、広島、岡山、高知、愛媛、香川、徳島、兵庫、大阪、京都、奈良、三重、和歌山、岐阜、愛知、静岡、長野、石川、福井、富山、神奈川、東京、千葉、埼玉、栃木、茨城、群馬、岩手、山形、福島、青森、宮城、新潟、秋田、北海道など、全国的にHIV/エイズと共に生きる性教育、人権教育、当事者支援活動を展開している。
2.地元密着型NGO
  • 茨城県の「NGO SEPIA」は、小規模であるが、地元(水戸市及びその周辺)に深く根付いたNGOであり、水戸保健所など行政機関と上手く連携して、HIV/エイズ感染防止のための教育・啓発活動を続けている。
  • 千葉県では、「エイズ・サポート千葉」が千葉市や千葉県と連携し、主に県東で、エイズに関する正しい知識の啓発に努めるとともに、電話相談やバディ活動・ピア活動をしている。
  • 神奈川県央にある「レッドリボン伊勢原」は、小〜高校生を主対象とし、伊勢原市役所や秦野保健所と連携して、長年活動を続けている。
  • 京都の「PLANET(HIVと共に生きる会)」は、1993年から毎年、京都市役所前から円山公園に至る目抜き通りで、キャンドルパレードを続けている。
3.不特定多数に呼び掛けるNGO
  • 20年間に亘り日本全国のアーティストが参加して活動を続けている「AAA(Act Against AIDS)」運営事務局は、著名芸能人による啓発および募金活動を行っている。
  • また、AAAの主旨に賛同した「JAPAN FM LEAGUE」5局(NORTH WAVE(札幌)、J-WAVE(東京)、ZIP-FM(名古屋)、FM802(大阪)、cross fm(福岡))は、一昨年4月から6月までの3ヶ月間、番組やイベントなどでエイズの啓発メッセージを届けるキャンペーン「Act Against AIDS -Radio Action-」を実施した。
  • その他、FM東京、FM大阪など、放送局を出て、「高校生エイズフォーラムKANAGAWA」などイベントや出前講座など、HIV/エイズ予防キャンペーンに参画している。
4.行政およびNGO間の連携・協働 【NGO-NGO間の連携・協働】
  • 組織力や資金面で優れるNGOが、地域のNGOや当事者を支援している例を多く聞いた。例えば、「日本エイズ学会学術集会HIV陽性者参加支援スカラシップ」。企業などが資金援助する場合、有力なNGOを対象とする傾向があることは否めないので、このようなNGO-NGO間協力もあり得る。
  • 具体的には、「ぷれいす東京」「特定非営利活動法人 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」「はばたき福祉事業団」「HIVと人権・情報センター」などが、地方のNGOの良き支援者となっている。
  • 「AIDSネットワーク横浜」は、長野県の「風知草の会(がらくた座)を招き、6年間にわたって横浜市全18区でHIV/エイズ防止教育・啓発活動を行った。
  • 名古屋では、「世界エイズデー in NAGOYA」に14団体が参加しており、地域的な纏まりがある。
  • 関西エイズ対策協議会(KAC)は、団体(「チャーム」、「Follow」、「MASH大阪」、「Swash」等)及び個人が集まってエイズ及びその他の性感染症対策に取り組む諸団体・諸機関のネットワークを構築し、連携することにより相互支援を行う「協働のプラットフォーム」を作っている。
【行政-NGO間の連携・協働】
  • 夜間、土・日曜・祝祭日、およびイベントにおけるHIV検査では、平日の昼間時間の検査と比べて、HIV感染リスクの高い受検者が多く受診する傾向にある。しかし、自治体職員にとっては、勤務時間外での検査には多大の負担がかかり、継続性に支障をきたす可能性がある。その問題を、NGOとの協働で解決している事例は多い。
  • 「はばたき福祉事業団」が札幌市で、「アカー」が東京都中野区とさいたま市などで、「HIVと人権・情報センター」が大阪市・堺市・名古屋市・東京都杉並区で、HIV検査・相談事業に参画している。経験豊富なアドバイザーや当事者によるカウンセリングも行われている。
  • 「かながわレインボーセンターSHIP(後出)」における予約制個別HIV検査を、「しらかば診療所」が支援している。
  • 大阪府と大阪市は、HIV検査に必要な医療知識・経験を有すNGOとして、元保健師などで作るNGO「スマートらいふネット」と委託契約を交わしている。
  • 2007年から2010年に掛けて実施された「エイズ予防のための戦略研究(厚生労働科学特別研究事業 研究課題1)」に多数の団体が参加し、その成果をエイズ予防・支援活動に活かしている。ヒアリングした団体の中では、首都圏では、「ぷれいす東京」、「日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」、「かながわレインボーセンターSHIP(後出)」、「akta(旧Rainbow Ring)」が、阪神圏では、「MASH大阪」、「チャーム」、「Follow」が参加した。
  • 「akta」と「ぷれいす東京」は、上記戦略研究の成果の一部を事業化し、「同性愛者等のHIVに関する相談・支援事業」(公益財団法人 エイズ予防財団受託)の枠組みの中で、首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)の行政や保健所、検査担当者等に呼びかける形で「エイズ対策事業に関する意見交換会」や「HIV検査担当者向け研修会」を定期的に実施し、MSM(※)の受検行動および予防行動を促進している。
    ※男性間で性行為を行う者(MSM:Men who have Sex with Men)
5.広域的連携・協働
  • 「アカー」がさいたま市で、「はばたき福祉事業団」が札幌市で、HIV検査・相談に参画している。(再掲)
  • 「北陸HIV情報センター」は、北陸ブロック3県(富山、石川、福井)のほぼ中心に位置し、主に車を使って3県を上手くカバーしている。
  • 「MASH大阪」は京都府からも補助金を得て活動している。
  • エイズ発症やHIV感染を期に、転居する人も少なくない。「社会福祉法人 はばたき福祉事業団」は就労支援を行っている。
6.在日外国人支援
  • 「特定非営利活動法人 CRIATIVOS - HIV・STD関連支援センター」、「特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会」、「特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会」、「特定非営利活動法人 チャーム」、「特定非営利活動法人 AMDA国際医療情報センター」は、他NGOと広域的な連携を行っている。
  • その他、東京都や愛知県(「あいち医療通訳システム」)では、独自の在日外国人対策を実施しているが、東京都や神奈川県では、「特定非営利活動法人 AMDA国際医療情報センター」とも協働している。
  • 神奈川県は、県内35病院に対する医療通訳の提供全般で「特定非営利活動法人 多言語社会リソースかながわ(MICかながわ)」と協働事業を行い、保健所におけるエイズ等感染症対策では、「MICかながわ」に医療通訳等を業務委託している。京都市は、「NPO法人 多文化共生センターきょうと」及び「公益法人 京都市国際交流協会」と協働で、医療通訳事業を実施している。
  • 「特定非営利活動法人 チャーム」と「(財)京都市ユースサービス協会」が、平成23年11月に京都市伏見区で主催した「外国籍住民の健康フィエスタ」では、在日外国人の場合、結核やHIV以外の性感染症に感染している可能性もあるので、それらを総合的に診ると共に、健康および一般相談も同時に提供した。
7.個別施策層対策
  • 厚生労働省は、MSM等向けコミュニティ・センターを全国に7カ所、主に歓楽街の中や周辺に設けているが、それが無い地域では、地方自治体やNGOが独自に、地域のニーズに合わせたセンターを運営している。
  • また、MSMでなくても、HIV感染不安を抱えている人、HIV/エイズやセクシュアリティなどについて学びたいと考えている人が自由に気軽に集まれる場を、歓楽街ではない所に設け、関係者に喜ばれている事例が幾つかある。
  • 東京都が運営する「ふぉー・てぃー」、神奈川県も資金援助した「かながわレインボーセンターSHIP(旧施設を平成24年3月10日に閉鎖し、その近辺に、平成24年5月より、新施設「SHIPにじいろキャビン」を開設した。)」、横浜市がYMCAに運営を委託している「横浜AIDS市民活動センター」、「特定非営利活動法人 魅惑的倶楽部」が緊急雇用対策事業等を利用して浜松市で運営した「まちなか保健室」、「HIVと人権・情報センター」が厚生労働省からの委託事業として大阪市で運営する「chotCASTなんば」など例がある。
  • 若者中心の集まりである「特定非営利活動法人 ピアフレンズ」は、「ふぉー・てぃー」や「かながわレインボーセンターSHIP」と連携している。(上記の通り、「かながわレインボーセンターSHIP」は一旦閉鎖され、平成24年5月から「SHIPにじいろキャビン」として再スタートしている)。
  • この他、東京都などが実施している、MSM向けの雑誌での広告、インターネットでの周知、コミュニティー・センターからのアウトリーチ、浜松市で「全日本オートレース選手会」「特定非営利活動法人 魅惑的倶楽部」および「(財)エイズ予防財団」が共催している「レッドリボンカップ(オートレース)」などは、個別施策層に直結している。
8.NGOの基盤強化
  • 昨年(2011年)6月30日に、認定特定非営利活動法人(認定NPO法人)になる要件が緩和された。
  • 例えば、浜松市の「特定非営利活動法人 魅惑的倶楽部」は、パブリック・サポート・テスト要件の判定基準として追加された、絶対値基準「実績判定期間内の各事業年度中の寄附金の総額が3,000円以上である寄附者の数の合計数が年平均100人以上であること」を利用している。(国税庁が、平成23年7月に出した「認定特定非営利活動法人制度改正のあらまし」あるいは「「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(平成23年法律第82号)」をご参照下さい。)
9.HIV陽性者に対する当事者支援(ピア・サポート)
  • 「はばたき福祉事業団」、「ぷれいす東京」、「日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス」、「動くゲイとレズビアンの会(アカー)」など、組織力や資金面で優れるNGOは、HIV陽性者に対する主なピア・サポートの提供源となっている。
  • 「ぽーとたまがわ」、「HEARTY NETWORK」、「Follow」、「Life東海」、「さぽーと京都」など、適正規模を保ちつつ、地道な相互支援活動を続けているNGOも少なくない。
10.その他長期活動しているNGO
  • 1994年に横浜で国際エイズ会議が開かれた頃にスタートし、今年で20周年を迎えるNGOやプロジェクトなどが多い。神奈川の「特定非営利活動法人 AIDSネットワーク横浜」、「高校生エイズフォーラムKANAGAWA」および「レッドリボン伊勢原」(再掲)に出展されていた伊志田高等学校1年生が描き続けているエイズ予防ポスター、「第19回静岡エイズ・シンポジウム」で見た静岡県焼津中学校の生徒が作り続けているメッセージ・キルトなどが挙げられる。

2 今後の調査活動および報告予定について

(1)活動予定

新規及び継続調査中の案件は、以下の通りです。

番号 案件名 概要/中間報告
1 子どもを守る地域ネットワーク(「要保護児童対策地域協議会」)の強化の推進に向けた調査・提案 【概要】
 虐待を受けるなど見守りが必要な子どもたちを守るためのネットワーク(子どもを守る地域ネットワーク)がほぼ全ての区市町村に設置されている。
 このネットワークが関係機関と連携し、求められている役割をより効果的に果たすことができるようにするため、取り組みの具体的方策の提案を行う。
【現状】
 「要保護児童対策地域協議会(以下、「地域協議会」とします。)」の活動が活発に行われている自治体の関係部門へのヒアリング調査や関係者会議などの視察を行った結果をもとに、他の自治体の「地域協議会」の効果的な運営につながるような提案について検討を行っています。
2 第三者行為による健康保険等の利用状況調査 【概要】
 第三者行為による傷病の健康保険等の利用状況と保険者の求償の実態が明らかでないことから、実態を調査し改善できるところがあれば改善を提案する。
【現状】
引き続き調査を継続中。

その他の案件について調査を企画・検討しています。

(2)報告予定

 国民の皆様に広く情報を公開するため、活動内容を報告書にまとめ、3〜4カ月ごとにホームページで公開します。次回の報告は2012年9月を予定しています。

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