障がい者1人ひとりの個性に応じた成長のサポートと
高齢者や女性も含め多様性を活かしたキャリア支援の推進
会社設立の趣旨が障がい者雇用(精神と知的)とその育成であり、一人ひとりの特性に応じて、会社生活を通じて社会人としての成長、自立を支援しています。その支援にあたっては、サポートスタッフ6名と親会社の人材育成スタッフ、さらに社長、部長で構成される「個人の成長プロジェクト」として定例会を開催し、これまでに多能工化を目的としたスキルマップによる習熟度の判定、評価面談、資格手当、表彰制度に取り組んでいます。
業務社員の成長支援プログラムとして、業務に対する作業能力判定、勤務態度(行動評価)を標準化して、一人ひとりの評価と、定期的な面談を通じて、少しでも多くの業務に挑戦する仕組みを制定・運用しています。具体的には主な作業として、70を超える業務があり、間接補助作業に加え、製造部門の作業も受け入れ、見える化して、業務社員とチャレンジしてみたい業務を話し合い、多くの業務ができるよう多能工化を推進しています。また、多くの業務社員にとって、キャリア形成を主体的に考えることは、大変難しいと考えますが、社会人として、身につけておくべきことを勤務態度として評価し、業務社員のみならず、一番の支援者である家族とも連携して、成長していくことを支援しています。
業務社員のスキル、知識習得の目標の一つとして2019年より14種類の資格に賞与支給時に手当を支給することとしました。今後もスタッフと同じような資格等の能力向上に役立つものを増やすとともに、弊社独自の作業の中にもスキルを必要とする作業、知識については資格認定をおこなっていきます。さらに、それらの資格取得状況と業務態度、スキルマップの履修数上位で模範となる者については新たな役職としてリーダー職を新設しました。また、2020年1月には業務社員への表彰制度として6つの賞を設けて毎年各賞の該当者を表彰することで、日頃の努力に報いることとしています。
業務社員を支えるサポートスタッフの平均年齢は54歳で、22名在籍しています。そのうち工場製造部門からの出向者は18名で、サポートスタッフ全員、過去に障がいがある者と働いた経験はほとんどありません。当社は障がいを考慮し、軽作業が中心であり、加齢とともに体力的な衰えなどから、高齢者の継続雇用の場でもあり、第一線のものづくりで活躍されていた方を受け入れております。異動後は障がいに対する基礎知識を習得すべく、業務社員に関する講習会などにも積極的に参加するとともに、新たな役割として、現場手法を使い、作業のしやすさや働きやすい職場づくりと模範的な作業者、指導者として、65歳まで継続的に勤務しております。また、女性スタッフも共感性が高く、業務社員に対して細やかな配慮ができるサポートスタッフとして2018年度3名から2020年度8名と増員しています。
継続的に障がい者雇用率を高める為に、社内外の業務拡大に取り組んでおり、業務社員の特性やレベルに合った配置、増員をおこなっています。配置にあたり、企業在籍型のジョブコーチからのアドバイスを受けながら、多くの業務社員が前向きにチャレンジし、新規業務の拡大につなげています。
サポートスタッフがここ3年間、成長支援プログラムの運用を通じて、業務社員に向き合う意識、姿勢が向上し、障がいの特性を理解しながら、多能工化することや社会行動を向上させていく役割が浸透してきました。心身のバランスを崩しやすい業務社員において、2018年度の離職者2名は、自閉症の社員でしたが、プログラムによるキャリア支援の効果もあり、同様な特性のある社員も含め、2019年1月以降、退職者はいません。また、評価点数はリーダー人選時の評価指標となっており、2019年度には、リーダーに2名昇進、2020年度には6名が上位等級へ昇格しています。
資格認定の際には朝礼等で表彰、社内報にも掲載することで、資格挑戦者が増え、2019年度で16名に資格手当を支給しました。また、工場作業において、2020年度には3業務を対象として追加します。認定を受けることによる達成感と作業スキルについては毎年、認定確認をおこなうことで、業務品質が維持されています。
表彰制度では、挨拶、笑顔等が本人の特性も含め、他の模範となっている社員について、日々の良き行動が習慣化していることを褒めることにより、その行動を伸ばしていきます。
設立当初、親会社での障がい者への理解があまり進んでいないこともあり、当社への異動希望者はほとんどなく、業務社員の支援体制構築に苦労しました。そのため、見学者の積極的な受け入れにより多様性への理解促進を進めました。今では、高齢者(シニア)には社内での成長支援プログラムを実行するサポートスタッフとして、面倒見の良さや豊富な社会経験を活かし、業務社員の良きサポート役になっています。また、女性社員もそれぞれのライフステージの中で、業務社員を見守るサポートスタッフとしてやりがいを持って接しています。今後も障がい者の増員を計画しており、障がい者、高齢者、女性といった多様性を活かしたチームで進めていきます。
今後もプログラムを愚直に実行し、会社生活を通じて、人から慕われることに対し、ポジティブな気持ちを持つ自立した社会人として活躍できる人をできる限り多く育成したいと考えます。また、親会社(住友電装株式会社)は製造会社であり、その社員と同様に改善意識の醸成や自身の安全を確保する為に、3S活動や危険予知訓練をおこなっており、ものづくり企業の一員としての自覚とその行動の習慣化を進めていきます。
2019年6月、四日市事業所の開設にあたり、製造部門から異動。年齢を重ね、子育ても少し落ち着いてきて、次の自分自身のキャリアを考えていたタイミングであり、新たな挑戦として、前向きに進むことが出来ました。
四日市事業所の第1号スタッフとして業務社員の気持ちを少しでも理解出来るように研修会の参加等を含め、取り組んだ結果、2020年4月よりチームリーダーとして業務社員をまとめる立場となりました。
業務社員の一人ひとりが社会の一員として自信を持って、行動、生活していけるよう、仕事の幅を拡げる等、業務を通じて、個人の成長を支援していきます。
まず、自分の可能性を引き出す方法を考えました。その最初がメンタルヘルス検定の資格取得でした。その資格が会社として認定され、手当てとして受け取れるよう制度化して頂きました。これが次のステップのきっかけでした。
その後、自分だけの成長を考える事だけではなく、他の業務社員のスキル向上でした。それには、他の業務社員の気持ちがどこにあるかを知ることを考え、ジョブコーチの資格を取得し、リーダーにも任命されました。
今後は、自分の業務の一つとして、他の業務社員への「声掛け」を行い、会社スローガンである『安全、挨拶、笑顔』を実践できるよう、日々一歩ずつ成長していきます。
スマイルへの異動前は工場の班長として、製造、検査、物流を経験した後に、特例子会社立ち上げに参画し、製造部門での経験とスキルを業務社員への指導、作業環境での配慮等で活かす、新たな挑戦となりました。
業務社員5名からスタートしましたが、作業指導全般を行っており、相手に伝える事の難しさを痛感しました。写真及び映像、漫画で見本を見せる事等、作業者目線で説明、フォローすることで安全を確保しています。
社内専属のジョブコーチの助言や他のスタッフとで、業務社員との接し方をこれからも学び続け、業務目標を一緒に達成したい。更に、常に安全を意識し指導力を上げていけるように日々精進していきます。
入社まもなく学生時代に勉強したパソコンに関連した業務に携わる事があり、その事がきっかけで業務社員の作業時間管理や有価物の集計等の作業改善に取り組むことになりました。
スタッフしか使用できなかったハンドリフトでの運搬業務も任せられ、他の認定された業務社員も使用できるきっかけとなりました。また、資格認定制度でメンタルヘルス・マネジメント検定試験Ⅱ種、Ⅲ種に挑戦、合格出来ました。
現状、私にしかできない業務があるので、今後はリーダー職として後輩に伝える役割を担えればと思っています。私自身は第一種衛生管理者の資格取得にチャレンジし、更なるスキルアップを目指していきます。