業務のモジュール化による習熟度評価と
ジョブローテーションによる多様な人材の育成
弊社は阪神大震災で被災し、1996年に神戸から三重県の田舎へ移転しました。地元を中心に雇用し高度人材に育てることから始めたため、社員のための「融通の利く仕組み」が必要となり、制度に発展しました。
社員成長が組織成長につながると考える弊社では社員エンパワーメントを徹底し、「社員の自己成長」を促し、同時に「自分の家庭に居るようなリラックス感」を作り出し、自主積極的な組織を作ることに努めています。
各部門において達成すべき仕事の能力を細かくモジュール化し、それぞれの達成度で社員能力を 評価して、賞与や昇給に反映しています。各項目は、A「日常作業等の簡単な項目」、B「取得するのに 相当な努力がいる項目」、C「会社にとって貢献度や重要度が高く、年数を重ねないと覚えられない 項目」の3段階のランクで点数に差をつけ、さらにそれぞれの項目を「やったことがない」、「一人でできる」、「教えてもらいながらできる」、「人に教えられる」の4段階の習熟度で点数をつけています。
また、各モジュールに応じて社員が工夫して作った手順書があるため、全組織横断のジョブローテーションを積極的に実施しています。モジュールの習熟度とジョブローテーションの連携が、社員の能力開発の重要要因と考えています。
年度始めにキャリアアッププランを作成し、上司が常にフォローするようにしています。プラン作成面談は個人指導という形で行われるため、社員はこれから取り組むべき課題について理解も進み、今後のキャリアについて考える機会となっています。
なお年2回、経営幹部(社長・部長)との面談を行い、ここでは配置転換や転属、会社に改善してほしいこと等について話し合いを行っています。家庭事情に伴う勤務時間の融通などもここで話し合われ、迅速に対応しています。
また2019年度には外部のキャリアコンサルタントによるキャリア面談も行いました。今後も随時、そういった機会を作っていく予定です。
社員が様々な業務改善を提案する「社長直行便!万協をもっと、良くしよう提案書」制度は、社員が直接会社を変えることができる提案制度として重要視しており、社長との直接対話も公開しています。
また年に1回、全社員が参加して行う成果発表会では、各課の前年度目標の振り返りと当年度目標の発表を行っています。短期戦略の検証を社員全員で行うことで、組織としての気付きを共有しています。近年では全国から顧客やビジネスパートナー、社外の見学希望者も増え、町内ホールを借り切って200人以上の規模で開催しています。そこでは社員の貢献に対して様々な表彰も行い、社員のモチベーションを高める仕組みともなっています。
その他、入社年度と所属を超えた6名のグループ「プチコミファミリー」での旅行や食事会など、万協ならではのユニークな制度はモチベーションを高めるとともに、コミュニケーション力育成につながっています。
様々な社員にとって魅力的な「融通の利く仕組み」が制度に発展し、弊社は三重県内で「社員想いの会社」として次第に有名となり、研究開発に欠かせない高度人材の採用につながっています。また社員エンパワーメントを徹底し、自己成長を促すキャリア支援の取組によって、個人能力と組織的能力の向上、さらに会社の業績向上に寄与しています。
モジュールシステムは業務の習熟度が誰の目にも明らかで、「能力向上の確認」ができることから、個々人の意識向上や、「次はこの項目を習得したい」という自発的な申し出につながったり、上司も部下にフォローがしやすくなりました。モジュール総点数も順調に伸びており、社員の能力向上、つまり会社にとっても人材育成が進んでいることが伺えます。また、モジュールシステムにより部門内の仕事のフォローがしやすく、有給休暇取得率が業界全国平均より高い水準で推移し、働きやすい環境と言えます。
なお、ジョブローテーションで他部署を経験した社員が増加するに伴い、部門を超えて協力し合える体制が社内に行き渡ってい
ます。
上司とのキャリアアッププラン作成面談では、モジュールシステムと同様、個人の取り組むべき課題について理解が進み、上司もフォローがしやすくなりました。様々な悩みの相談の場でもあり、メンタル支援としても寄与しています。
経営幹部との面談においても、仕事のみならず家庭事情の相談が可能であり、勤務時間の変更等も迅速に対応していることから、様々な事情を抱える社員が働きやすい環境となっています。近年、多様な勤務パターンのパートタイム契約社員が数多く勤務してくれているのは、雇用形態による優遇の差がないのはもちろんのこと、職業能力評価の仕組みが明確であり、社員にとって融通の利く仕組みが整っているためと考えます。
モジュールシステムによる個人の成果が、各課の目標達成に通じているという連携図を毎年作成し、年に1回の成果発表会で発表しています。これにより、社員と組織の目標とその達成はつながっているということが明確になり、特に現在では個人の目標を小目標、チームの目標を中目標、課の目標を大目標として設定することで、より個人目標から組織の目標への連携を各個人が意識しやすくなりました。
また、成果発表会での表彰や提案書制度は、自発的な職場改善や社員のモチベーションアップに寄与し、その他プチコミファミリーなどの取組は、会社の人間重視の姿勢をより理解してもらいやすくなり、部門を超えた連携につながっています。
過去5年間で社員が急増し、半数以上が入社3年以内の若者のため、統一した教育プログラムを行うのが難しくなってきています。若者には人材教育と基礎的な技術教育、中堅社員にはリーダーシップ教育やマネジメント教育、加えて製薬会社であることから高度な人材教育と正確な製造管理・品質管理が求められていますが、これらを一つの教育プログラムで補完することは難しく、個別プログラムの構築が急務であると考えています。
入社5年目にジョブローテーション制度で、品質保証課での分析業務から開発課へ異動し、業務内容が大きく変わったことがきっかけでした。キャリアップ面談でスキル習得状況を把握することで、自身の成長を意識することができました。
異動後は経営幹部との打ち合わせや顧客とのやり取りが増え、一気に視野が広がりました。自社のビジネスや組織について学べ、これまで習得したスキルを基に、チームや部署単位の繋がりを意識しながら、会社全体への貢献を考えるようになりました。
会社の将来図を描くことに積極的に関わることで、会社とともに自身や課員も合わせて成長していきたいです。そのために能力を最大限に発揮できる仕組み・環境作りに携わり、会社全体を考えて行動し成長できる人を増やしたいと考えています。
前部署の品質管理部品質管理課でリーダーになり、書類の作成や試験室の管理、監査の対応等を担当するようになった時、専門的な知識が不足していると感じたことがきっかけです。
当時は会社が三重県に移転してまだ日も浅く、社内に指導してくれる人が少なかったため、様々な社外セミナーや勉強会に参加しました。その後、現在のGMP課に異動となり、業務の一環として従業員への教育を行うようになりました。
会社の成長に伴い毎年多くの新人が入社し、教育の重要性が高まっています。自らも新しい知識やスキルを習得しつつ、会社全体の成長につながるような指導や教育を行っていきたいと思います。
入社当初は契約社員からスタートしました。キャリアアップ面談や経営幹部との面談などで、自身の成長を促す機会が多くあり、熱心に指導してくれる上司達と一緒に働き成長していきたいと思い、正社員を目指したことがきっかけでした。
業務習得を追求することで、自身の成長が実感できました。積極的な姿勢で臨むと気づきも得られ、製造現場の改善も自発的に取り組むようになりました。この行動が会社の成長に繋がることが分かり、やりがいと楽しさが増えていきました。
現在、入社3年以内の若い社員が多いです。自身の経験を伝え成長を後押ししていきたいと思います。そして、仕事にやりがいと楽しさを感じる自主積極的な人を増やし、共に成長していきたいと考えています。
経営幹部との面談や、社内で社長自らが講師となって行われている「次世代養成塾」に参加したことがきっかけで、リーダー=役職ではなく、社員一人一人がリーダーシップを発揮して行動する重要性を、意識するようになりました。
何が会社にとって正しい道かを考え、職場改善の提案を行ったり、初めて経験する業務に挑戦しました。そうすることで役職としてのリーダーなど、今後の自分のキャリアを考える自信にもつながりました。
一人一人の自律した職場改善意識や成長意欲が、会社をよい方向に導いていくということを、自らも行動を起こし、周りの社員に伝えていきたいと思います。そして会社とともに自分自身をより成長させたいです。