グッドキャリアプロジェクトグッドキャリアプロジェクト

本サイトは厚生労働省の表彰事業「グッドキャリア企業アワード」を通じて、企業や働く方に自律的なキャリア形成について発信するためのサイトです。

TIS株式会社

大賞

評価のポイント

1人ひとりの自己実現を重視したタレントマネジメントや
女性の活躍を促すキャリア支援の推進


  • 代表取締役会長兼社長
    桑野 徹

    経営者からのメッセージ

    当社の最も重要な経営資源は人材です。この信念のもと、人材戦略を重要施策と位置付け様々な施策を進めてきました。今回の評価を一層の励みに、多様な人材のWillを引き出し、活かす取組を続けて参ります。
  • 企業概要

    ●事業概要:コンサルティングサービス・システムインテグレーションサービス・アウトソーシングサービス・IT基盤構築サービス・先端技術の研究と提供
    ●業種:情報サービス業
    ●所在地:東京都新宿区
    ●従業員数:6,002人(男性4,307人/女性1,695人、うち非正規雇用25人)
    ●平均年齢:39.7歳
    ●創業年:1971年
  • キャリア形成支援担当者紹介

    ●キャリア形成支援の取組をして良かったこと
    社員のWill引き出し・組織のWill受け止めを並行し、エンゲージメントに繋がる取組ができました。
    ●キャリア形成支援の取組で苦労したこと
    「将来展望」と「棚卸からの自己理解」の両方をバランスよく考えてもらうよう、情報発信に努めました。

    人事本部 人材開発部
    左から
    山澤 美加子 担当年数:3年
    俊成 さえ子 担当年数:3年
    田口 愛味子 担当年数:3年

具体的な3つの取組

取組をはじめたきっかけとこれまでの経緯

TISは「ムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りを」ミッションを掲げ、デジタル技術を駆使し新しい世界へと動かしていくモノやコト、システムを生み出す人材が活躍する組織作りを進めています。多様な価値観やスキルを持つ社員一人ひとりのWillが輝き自己実現に取り組めることが、新たなビジネスの創造には不可欠です。「自己実現の重視」をマニフェストとして社員に宣言し、様々な取組を実施しています。

  • 一人ひとりのWill形成を促す研修・対話の場づくり

    「自分で自分のキャリアを考える」ためには、考えるための知識を得ること、安心安全な場で対話し内省する機会を増やすことが大切です。70歳までキャリアを継続できるよう再雇用制度を改定しており、より中長期的な視点でキャリアを考える場を提供しています。

    まず、節目年齢毎にキャリア研修を設けました。新入社員研修、最初の昇格研修、10年度ごとの節目年齢に応じたキャリア課題を知り、自分自身や同期との対話から過去と未来を考えます。

    上司とは、1on1でキャリアや能力形成などのテーマを部下が自由に決め対話します。役職者は全員、傾聴・コーチングを講義や演習で学んで1on1に臨んでいます。

    人事本部も、新卒3年目社員全員への面談や5年目社員全員との対話会を開催しています。また、希望者はキャリアコンサルタントに面談することができます。対話を通じ、自分の「Will-Can-Must」を考える機会にもなっています。

  • キャリアプランをタレントマネジメントに活用

    毎年1回、全社員は自分の経験やスキル(Can)と将来展望(Will)を内省し、キャリアプランシートを 作成します。スキル情報やキャリアプランはタレントマネジメントシステムに取り込みます。
     上司は面談で想いを聴き、Will実現を支援する立場でコメントや育成案を組織内で共有します。その後、Will-Can-Mustを活かすジョブアサインを考えていきます。
     高度の技術職やデータサイエンティストなど新職種が設けられ、キャリアの選択肢が増えています。
    また、Will実現には能力形成が欠かせません。全社研修だけでも年間120講座540回を用意しています。提携するベンチャー企業へ出向し「武者修行」する機会もあります。今年度はコロナ禍でも学びの 機会を維持するため、全社研修を全てオンライン開催に転換しました。新しい取組として社員同士がテーマを掲げ気軽に学び合う「ワクワクスクール」も始めています。

  • 女性キャリアを支える風土の醸成

    女性社員の活躍を進めるため、支える環境づくりと、本人と周囲(特に上司)双方の意識向上に取り組みました。
     育児と仕事との両立や管理職登用をサポートするため、いち早く「短時間勤務可能期間の延長」を行いました。いわゆる“小1の壁”の不 安軽減に活用されています。「フレックス」「テレワーク」を全社員に適用し、介護休暇制度など環境を整えました。
     管理職には「イクボス」セミナーを開催、育児などの両立に取り組む部下のマネジメントを指導しています。
     本人向けには、各種制度とその活用事例を社内のポータルサイトに公開、キャリア研修でも抜粋して紹介し、働き方のヒントを提供しています。「ワクワクスクール」でも、多様なテーマの一つとして両立しながら活躍する女性社員のパネルディスカッションを開催しました。
    1on1に加えて主任層の女性社員全員に、上司が管理職昇格への不安や支援策を話し合う面談を行っています。

取組の効果について

  • 中長期的なキャリア形成意識とたゆまぬ成長意欲の醸成

    「今とその先の未来」という視点でキャリアを考える意識が芽生え、日々の業務と繋げてWill - Can- Mustを本人/上司が共有する場が増えました。「キャリアオーナーシップ」の意識を持つことで成長意欲も高まり、学びの機会が活用されています。ワークライフ両立を前提にやりたいことに取り組む人も増えています。

  • 前述の取組❶の効果について
    成長実感を再認識し、キャリアを考える意識の醸成

    直近1年間だけでも、全社員の約2割がキャリア研修を受講しキャリアに関して学び、考える機会を持てました。研修を通じて経験やスキルを再評価し、自身の価値観に基づいたキャリア形成を意識しはじめ、具体的なスキルアップや成長イメージを持ち始めています。自身のキャリアを考える機会が増えたことで、日々の業務と繋げて「何ができるようになったか」「将来どうなりたいか」「それをどう実現していくか」を本人/上司が前向きに語る場が増えました。自ら「キャリアオーナーシップ」の意識を持ち、「新規事業創出」や「社内公募」などにチャレンジする社員が増えています。事業部の意識も高まり、独自のキャリア研修も行われています。

  • 前述の取組❶の効果について
    キャリアプランに基づいた適材適所実現へ

    キャリアプランシートの提出率は毎年95%以上に達しています。高度技術職や専門スキルの認定者が増えることで、認定を受けた本人のほか、技術力を強みとしたキャリア形成を考える若手社員のモチベーション向上にもつながりました。組織側でも適材適所の実現にキャリアプランを意識するようになってきました。
     定量的な効果として、毎年行っている「働きがい調査」で「働きがい」「誇り」のポイントが上昇しました。
     オンライン研修では、グループワークを多用し運営を工夫することで、理解度や満足度は集合研修と同等の水準を維持しています。
    「ワクワクスクール」も短い時間に気軽なテーマで学べる機会として認知度を高めています。

  • 前述の取組❶の効果について
    ワークライフ両立、そして挑戦へ

    男性の育休取得者も年々増え、社内全体にお互いのワークライフ両立を尊重しあう風土が形成されています。特に女性の復職者は働き方を見直しつつ、描いていたキャリアを継続して実現しようとする人が増えています。
     「ワクワクスクール」では出産・育児と両立して活躍する女性先輩社員に体験談や助言を率直に話してもらい、大きな刺激の場になりました。充実した育休・時短勤務制度を改めて知ることができた、などの感想もありました。
     女性主任への上司面談では、管理職昇格への不安やためらいを上司が傾聴し、昇格後も支援する姿勢を示すことで、女性社員が一歩を踏み出す機会になっています。

今後の課題と展望

  • 多様な人材が活躍し、社会の願いをかなえる企業体へ

    会社が目指す「社会の願いをかなえる企業体へ」を共有しつつ、一人ひとりの多様性を尊重し合うことが今後一層求められます。
    グループ会社も含め各組織において多様な仕事内容や働き方を示し、「一人ひとりのWill-Can-Mustを広げ、活かす」取組を強化していきます。
     社員全員が互いの多様なキャリア意識を知り視野を広げ、何歳になっても変化に適応し学び続ける、しなやかな企業体を目指します。

社員の声

  • Q1 自身のキャリアを考えるきっかけ(制度・出来事など)とは?
  • Q2 その後、取り組まれたことや起こった変化とは?
  • Q3 築いたスキルを今後どう活かしていくか、または将来ありたい姿とは?

  • サービス事業統括本部
    デジタル社会サービス
    企画部
    岩間 遥

    社内で開催されている「新規事業企画体験研修」に参加しました。年齢や等級の制限がなく20代若手でもエントリーでき、内容も今までのIT技術研修とは大きく異なるものでした。ここでビジネスを産み出す体験をしたことが、エンジニアとしてのキャリアだけでなく、その他のキャリアの可能性についても考えるきっかけとなりました。

    研修で作った企画はあと一歩でしたが、その後も挑戦したいと思い、ある社会課題を解決するサービスを企画しました。結果、その企画が採用され、現在は新規事業企画推進のキャリアに転向しています。また、ボランティア休暇制度を利用して小学校にボランティアに行くこともでき、今までとは全く異なる方々と新しい交流を経験できました。

    エンジニアからキャリア転向をした経験を、社員同士で学びあう「ワクワクスクール」で今後シェアしていきたいと思います。そうすることで、自分以外にも多様なキャリアを歩む人が増えるきっかけとなればと考えています。


  • カードネットワーク
    事業部
    カードネットワーク
    第1部
    笠原 敦子

    事業部主催の次世代リーダー研修や人事部主催の選抜型研修を受講した時に、他部門の方との交流を通じて自身の強みや弱みを再認識することができました。それをきっかけに、今後の長期的なキャリア像を描くことが出来るようになりました。

    夫のサポートも受けながら家事・育児と両立してチームリーダーとしての仕事のバランスを取りながら業務を続けていました。目指すキャリア像に近づくため自分の強みである育成力をもっと伸ばしたいと思い、勉強してキャリアコンサルタントの資格を取得しました。キャリアの考え方や面談スキルを学んだことが、メンバーの育成に役立っています。

    まず、今までは部門内の1チームのリーダーとして仕事をしていましたが、これからは部門内にとどまらず部門・事業部全体に関わるエンハンスメント(システム保守)改革の一端を担いたいです。そして今後は管理職となり、部下との1on1やキャリア面談を通して各人が目指すキャリア実現を支援することで、お客様のビジネス拡大を支える人材を増やします。


  • リース・ローン事業部
    リース・ローンビジネス
    営業部
    藤本 彩花

    他業界からTISに転職して入社した直後に、上司との1o n1や、配属部外の先輩と話せるメンター制度(What's Up)を利用しました。先輩から業務の指導は受けつつ、それとは別の場で自分の将来像や困っていること等を話すことで考えが整理され、行動を起こすための気づきを得られました。

    IT業界用語や社内の専門用語が多く飛び交う中で当初は知識習得に不安がありましたが、面談で課題や自分が本当に注力すべきことが明確になり、着実に解決するよう努めました。その後のコロナ対応で在宅勤務が続くようになりましたが、周囲とコミュニケーションが取りやすくなっていたことで自主的に動けるようになりました。新規事業推進からアカウント営業に挑戦する機会を頂き、新しい案件にも自信を持って取り組むことが出来ています。

    新規事業の立ち上げを通して経験したことを活か し、アカウント営業として大きな案件を獲得できるよう挑戦し続けます。将来は業務の幅を広げグローバルで活躍できる人材を目指し、TISの更なる発展に貢献します。


  • ビジネスイノベーション
    事業部
    ビジネスイノベーション
    第2部
    村知 拓哉

    私はSEとしてキャリアを積んできました。長年担当した業界の知見を活かしつつ新しい経験を積みたいと考え社内公募制度を利用して、コンサル部門へ異動しました。また、その後、第3子が産まれることが分かり、家庭を支えるため、管理職昇格直後ではありましたが1か月の育休を取得しました。

    コンサルタントとしての業務を通じて以前と全く異なるスキルが身についたと感じています。新しい経験を得たことで将来のキャリアの選択肢を増やすことができました。また、私の育休がきっかけとなり、翌年、後輩の男性社員も長期の育休を取得しました。

    今後、同僚・部下が望む多様なキャリアプランに対して、自らの経験を元に社内制度を活用してワークライフを両立させる方法をアドバイスしたいです。何かを犠牲にして頑張る、ではなく、誰もが働きやすい風土のある職場環境を作り上げていきたいと考えています。

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