グッドキャリアプロジェクトグッドキャリアプロジェクト

本サイトは厚生労働省の表彰事業「グッドキャリア企業アワード」を通じて、企業や働く方に自律的なキャリア形成について発信するためのサイトです。

株式会社JTB

大賞

評価のポイント

キャリア改革を経営改革の1つに位置づけ、
社員の成長を促す多様な学びや対話の機会を創出


  • 代表取締役
    社長執行役員
    山北 栄二郎

    経営者からのメッセージ

    当社は、人財が最大の経営資源の会社であり、一人ひとりが「自律創造型社員」として専門性を磨き成長することによって、社の成長、グループの発展を支えるという考え方で、これまで人財育成に取り組んで参りました。大賞受賞の栄誉を嬉しく思い、今後も新たな交流の時代を切り拓いていく社員の育成に努めて参ります。
  • 企業概要

    ●事業概要:「交流創造事業」として、ツーリズムを基盤に、法人のお客様や社会の課題解決を図るビジネスソリューションや、地域の価値向上に取り組むエリアソリューションを展開。
    ●業種:旅行業
    ●所在地:東京都品川区東品川二丁目3番11号
    ●従業員数:14,497人(男性5,465人/女性9,032人、うち非正規雇用2,224人)
    ●平均年齢:39歳
    ●創業年:1912年

  • 人事部
    ダイバーシティ推進
    事務局長
    高岡 裕之
    担当年数:3年

    キャリア形成支援担当者紹介

    ●キャリア形成支援の取組をして良かったこと
    社員一人ひとりに、社の目指す方向と自身の将来を重ね合わせて一歩を踏み出す機会を提供できていること。
    ●キャリア形成支援の取組で苦労したこと
    社内での推進体制を築くこと。様々な制度や教育の機会を社内に周知し多くの社員に利用してもらうこと。

具体的な3つの取組

取組をはじめたきっかけとこれまでの経緯

当社は、2018年に地域と機能に分かれていた15社を経営統合し、抜本的なビジネスモデル変革や組織変革を進めてきました。社員の活躍領域が全国にそして様々な事業に拡がった中で、社員一人ひとりがその変化をチャンスと捉え、自身の能力を最大限に発揮しイキイキと働くこと、そしてその力を掛け合わせて、お客様にとって価値あるソリューションを創出・提供し続けることを目指して、社員のキャリア支援に取り組みました。

  • 「社員と会社の関係性を変えていく」カルチャー改革

    2018年度からの経営改革の3本柱の一つに「カルチャー改革」を掲げ、「ダイバーシティを基盤としたイノベーションあふれる風土」の実現を目指して参りました。その中で「会社が社員を育てる」のではなく「会社は社員一人ひとりの自己発揮・自己実現を支援する(社員が自ら育つ、社はそれを支援する)」という、『社員と会社の関係性を変えていく』ことをカルチャー改革の一つとして位置づけ、「キャリア改革」を掲げました。
     その具体策として「キャリア開発の主体を変える(主体的・能動的なキャリア開発への転換)」「キャリアの築き方を変える(活躍領域の拡大と新たな能力開発の拡充)」「マネジメントを変える(メンバーのキャリア開発を支援するマネジメントへ)」という3つの変革を起こす取組を進めました。社員と会社の新たな関係性の中で生まれる「社内外で活躍し続ける社員」が経営改革実現の人財基盤となることを目指しています。

  • 「あなたの学びの応援団」~JTBユニバーシティ~

    社内育成プラットフォームである「JTBユニバーシティ」では、企画・運営・研修実施と一貫した体制のもと年間800本以上の集合研修やウェビナーの実施、eラーニングの作成、キャリア開発支援などを行っています。昨今のコロナ禍では、集合研修からウェビナーへの転換、休業を余儀なくされた社員が自宅で利用できるeラーニングの作成・配信も行い、「学び」の機会を提供し続けました。また、多様な挑戦機会として、海外や専門領域(財務、法務、I T、シンクタンク、MBAなど)への派遣研修や異業種交流研修への参加支援、通信教育や資格取得の費用補助も行っています。2019年からは、「必要な時に、必要な学びの提供」を掲げてLMSを導入し、学びのコンテンツを一人ひとりにワンストップで提供するサービスを開始。2021年度からは全社に展開し、社員のキャリアプランに応じて教育機会をレコメンドするような取組を行っていきます。

  • キャリアを考える多様な「対話」の機会を創出

    人事評価制度で利用する「成果プロセス評価シート」では、成果とプロセスを分けて評価をしており、プロセスの中に「自分らしさの発揮」を織り込むようにして日々の行動を意識するようにしています。「未来への行動チェックシート」では、ビジョンの記入だけでなく、自身の強み・弱みを把握した上で新たな挑戦を具体化させ、上司と共有しています。その上司⇔メンバー間の面談の質を向上させるために、キャリア面談サポートキット「プラス・キャリア」を作成すると共に、「JTBキャリアサイト」において自己理解や仕事理解を促す情報提供を行っています。

    その他にも、経営陣のトークや多様な活躍社員を紹介するオンラインイベントの「JTBキャリアデイズ」、キャリアデザイン研修(28、36、46、56歳必修)、29歳と56歳の社員全員が人事部との面談を行う(キャリアデザイン面談)など、多様な情報提供や対話の機会を設けています。

取組の効果について

  • キャリア支援の体系化による社員のキャリア意識の向上

    キャリア改革の取組を通して、仕事を通じた成長プロセスを「見える」→「学ぶ」→「実践する」→「評価する」という「社員の成長スパイラル」として明示し、人財育成の基本的な考え方の基に、キャリア形成支援に関する制度や施策を体系的に分かりやすく整理することで、社員のキャリア意識の向上につながりました。

  • 前述の取組❶の効果について
    「社員が自ら育つ、社はそれを支援する」カルチャーの醸成

    キャリア形成を織り込んだ人事評価制度が定着し、上司⇔メンバー間の相互理解が進んだことに加え、研修後の職場での能力発揮や定着を促す取組の浸透が進んでいることにより、キャリア改革で掲げた「メンバーのキャリア開発を支援するマネジメントへ」の転換が進んでいます。

    また、社員への意識調査で「教育研修やセミナー等に積極的に参加できる雰囲気がある」と回答した社員が9割を超えるなど、職場での学ぶ風土が根付いていることに加え、多くの社員から多様な教育・挑戦機会への申込みがなされており、社員の活躍領域の拡大と新たな能力開発の拡充につながっています。

  • 前述の取組❷の効果について
    一人ひとりの成長につながる「行動変容」の機会を提供

    JTBユニバーシティが提供する研修では、研修での学びを行動変容に繋げるため、「研修アクションプランシート」の作成を必須としています。社員が事前に上司と受講目的確認を行い、研修で受講後のアクションプランを記入し、受講1か月後と3か月後に進捗を自己評価をし上司からフィードバックを受ける、という一連の流れを仕組み化しています。2019年度、集合研修に延べ11,000名余りの参加者があった中で、シートを活用する研修(JTBユニバーシティが提供する研修全体の9割以上)でのシートの事前記入率はほぼ100%であり、3か月後の進捗確認の記入率は、77. 2%(前年度より4.9ポイント向上)となっており、研修後の職場での能力発揮や定着を促す取組の浸透が進んでいます。

  • 前述の取組❸の効果について
    様々な場面でキャリアを考える機会を創出

    社員意識調査で浮き彫りになっていた「キャリアに対する希望や想いを把握している」ということに対する『上司⇔メンバー間のギャップ』が改善してきており、職場での対話が進んでいます。

    キャリアデザイン研修受講後アンケートでは96%の社員が「有意義だった」と回答。キャリアデザイン面談後アンケートでも「自身の今と将来にとって役立った」という回答が85%となるなど、高い評価を得ています。「キャリア開発」に関する情報等を社員向けに発信する「JTBキャリアデイズ」では、前回は活躍する女性社員の本音トークや副業体験談などを取り上げ高い関心を集めました。

    様々な対話の機会や多様な働き方で活躍する社員に触れることを通して、多くの社員がキャリアを考える機会を得ています。

今後の課題と展望

  • 社員の働き方と学び方を変えていきます!

    時間や場所に縛られず、デジタル×リアルによるハイブリッドな働き方を「新たなJTBワークスタイル」として定め、制度や仕組み、ツールの整備を進めています。また「JTBユニバーシティ」でも社員の学び方を大きく変えようとしています。そのワークスタイル変革とユニバーシティ改革によって、社員の働き方と学び方を大きく変え、働きやすさと働きがいの向上につなげて、一人ひとりのキャリア形成を支援していきます。

社員の声

  • Q1 自身のキャリアを考えるきっかけ(制度・出来事など)とは?
  • Q2 その後、取り組まれたことや起こった変化とは?
  • Q3 築いたスキルを今後どう活かしていくか、または将来ありたい姿とは?

  • 教育第二事業部
    品田 直子

    新卒で教育旅行(学校)営業として入社後、3回の育休取得や時短勤務をする中で、自身のキャリアが漠然としていましたが、「女性営業職のためのリーダーシップ強化研修」の受講が今後のキャリアを考えるきっかけとなりました。

    私にとってのキャリアアップは「自分のできる仕事が増える」というのが一番近いイメージです。二の足を踏んでいた「マネジメント」もその一つであると気付き、キャリアアップについて前向きかつ柔軟に考えられるようになりました。

    育児や介護、その他の環境によりキャリアアップを諦めることなく、変化は大きなチャンスだと捉え、自分のやりたいことを積極的に発信できるワークライフバランスの取れた環境作りをしたいと思っています。


  • 東京中央支店
    塔岡 有彩

    結婚を機会に自身のキャリアを見直そうと思い、会社のキャリアサポート制度を利用しました。当時は大阪の支店で勤務地制限なしの営業職をしていましたが、結婚相手が東京勤務ということでしたので、地域を東京エリアに指定し、内勤の職種に変更しました。

    新しい職場の東京中央支店はダイバーシティの取組が進んでおり、様々な職種や働き方の社員と出会うことができました。コロナ禍の影響もあり、異動後すぐは慣れない事も多くありましたが、その分新しい事を経験できる良い機会だなと思い、日々仕事に向き合っています。

    営業から内勤への職種変更により、これまで経験できない事にもたくさん携わるようになりました。そこでは営業経験を活かして自分らしさを出していきたいと思っています。これからもいろいろな仕事を経験して成長し、将来、出産の機会があれば、子育てをしながら仕事を続けたいと思っています。


  • 経営戦略本部
    経営戦略チーム
    山口 章宏

    自らの知識の幅を広げる必要性を感じ、社内の公募制度を利用して、一橋大学 大学院 経営管理プログラム(ホスピタリティ・マネジメント・プログラム)で経営学を学びました。

    2年間の大学院派遣を経て、2020年4月より現在の部署に所属しております。多面的に検討する必要が多い環境において、経営分析のフレームや財務の知識、他社事例など、MBAプログラムで得た知識が役に立っていると感じています。

    2年間の学びで得た知識や人脈を、社業の発展に活かしていく責務を感じています。個人的には、将来は社会課題の解決に資するようなソリューションの開発に取り組みたいと考えています。


  • 人事部
    人財開発チーム
    秋元 智絵

    教育営業でキャリア教育に携わった事をきっかけに、自身のキャリアについて真剣に考えるようになりました。そして、これまで何となく実施していた人事評価面談で、「未来への行動チェックシート」をもとに、自身の強い「想い」を上司に伝えることができました。

    毎年の面談を通じて、これまでの自身のキャリアの棚卸を行い、今後自分がどうなりたいのかを考える機会が増えました。その中で、他者のキャリアサポートに携わりたいと考え、キャリアコンサルタントの資格取得に向けて勉強を始めました。

    実際に希望していた人事部門に異動した今、現在学んでいるキャリアコンサルタントの知識を活かして、社員が自分のキャリアを真剣に考えるきっかけを与えられるような機会の提供やサポートに関わっていきたいと思います。

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