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アフターサービス推進室活動報告書(Vol.13 2013年9月〜12月) 平成25年12月26日
I 調査結果報告
アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の改善に資するよう「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に以下の件について調査・分析し、とりまとめましたので、以下に報告します。
案件名 | 調査概要 |
---|---|
シルバー人材センター―高年齢者の就業機会の確保に向けた調査 | 本調査は、高年齢者の就業機会の向上に資することを目的として、就業機会の確保のため創意工夫し様々な取組を行う全国7つのシルバー人材センターを調査したものである。 |
1 シルバー人材センター事例調査―高年齢者の就業機会の確保に向けた調査
(1)調査目的
内閣府「平成25年版高齢社会白書」によると、我が国の65歳以上人口は、約3,079万人(総人口12,752万人に占める割合は24.1%)となっており、年々増加傾向にある。こうした中、国民の皆様の声(国民年金受給者の方)では、厚生労働省に「現在の年金額(月約8万円)では生活が苦しい。あと、4〜5万円程度の収入を得たいが、ハローワークへ行っても経済状況が低迷する中、高齢を理由になかなか就職先が決まらない。もっと、高齢者の働く場を増やしてほしい。」というような声(ご意見)も寄せられているところである。
高年齢者の就労(就業)支援では、ハローワークを始めとした行政機関の役割が重要であるが、これを補完するものとして、シルバー人材センターやNPO法人の役割もますます重要になってきている。本調査は、高年齢者の就業機会を確保するため、創意工夫し様々な取組を行っている「シルバー人材センター(注)」の取組みを紹介し関係者に今後の参考としていただくとともに、国民の皆様の声(意見)にあるような高年齢者就労(就業)対策の一層の向上・充実を図ること等に役立たせていただくことを目的とする調査である。
- 注)シルバー人材センターは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に定められた、市町村(特別区を含む)単位ごとに設置された団体で、臨時的・短期的・軽易な業務を主に請負・委任の形態で行う公益法人等であり、60歳以上が加入条件とされる会員が自主的に運営する団体である。近年、草取り・襖張りといった従来の請負等業務に加え、一部のシルバー人材センターでは、労働者派遣事業、職業紹介事業のほか介護保険事業、及び会員の就業機会を増やすため独自事業として学習教室、農作物の生産・販売、食堂の運営など様々な取組みをしている。
(2)調査対象
今回調査対象としたシルバー人材センターは、独自の事業開拓により高齢者の生きがいの充実と就業機会の確保・地域活性化に努めるなど、創意工夫が見られる全国のシルバー人材センターの中から以下の7センターとした。
調査対象シルバー人材センター一覧表
番号 | 名 称 | 所在地 | 設立年月日 (公益社団法人移行日) |
---|---|---|---|
1 | 公益社団法人 草加市シルバー人材センター |
〒340-0021 埼玉県草加市手代町1009-1 TEL:048-928-9211 |
昭和60年1月26日 (平成24年4月1日) |
2 | 公益社団法人 福井市シルバー人材センター |
〒910-0019 福井市春山2丁目7番15号 TEL:0776-27-0701 |
昭和55年10月21日 (平成23年4月1日) |
3 | 公益社団法人 上田地域シルバー人材センター |
〒386-0027 長野県上田市常磐城3-2-10 TEL:0268-23-6002 |
昭和63年4月27日 (平成23年4月1日) |
4 | 公益社団法人 甲賀市シルバー人材センター |
〒528-0035 滋賀県甲賀市水口町名坂830-1 TEL:0748-63-0872 |
平成元年2月28日 (平成23年5月2日) |
5 | 公益社団法人 守口市シルバー人材センター |
〒029ー2205 大阪府守口市桃町3-30 TEL:06-6998-3601 |
昭和55年11月20日 (平成23年3月22日) |
6 | 公益社団法人 伊丹市シルバー人材センター |
〒664-0015 兵庫県伊丹市昆陽池2丁目13番 TEL:072-772-0161 |
昭和50年4月1日 (平成23年4月1日) |
7 | 公益社団法人 府中町シルバー人材センター |
〒735-0013 広島県安芸郡府中町浜田三丁目9番2号 TEL:082-285-0161 |
昭和62年12月19日 (平成23年4月1日) |
(3)調査概要
1)高年齢化の推移と就業率の推移
日本の総人口は減少しているが、高齢化率は上昇している(資料:内閣府「平成25年版高齢社会白書」参照)。
高齢者の就業率を見ると、平成18年4月に高年齢者の雇用確保措置の義務化に伴い、定年延長・再雇用制度の定着化が図られてきており、特に、60〜64歳までの就業率が上昇している。平成20年度以降、シルバー人材センターは会員数の減少(特に、60〜64歳層の新規入会者数の減少)を見ているが、この影響が大きいものと指摘されている(下記「中高年者の就業率の推移」参照(総務省統計局「労働力調査」)。
2)全国のシルバー人材センターの現状
平成24年度現在、全国における団体数(センター数)は1,267団体となっており、センター数は、市町村合併により、平成15年の1,839団体をピークとして減少している。会員数は、平成20年度(764千人)をピークに、年々減少を続けており、平成24年度は744千人で平成20年度の764千人と比して約20千人の減少となっている。契約金額は平成19年度(3,270億円)をピークに、年々減少を続けており、平成24年度は2,982億円で平成20年度の3,198億円と比して約216億円の減少となっている。
会員数の減少は、前記1)に見るように、高年齢者の雇用確保義務化の影響によることが原因と考えられ、今後会員の増加を図るには、魅力あるセンターの運営等により労働市場から退出過程にある団塊世代の受入を図るとともに、女性会員の参加促進の必要性が指摘されている。
契約金額・加入会員数・団体数の推移(全国)
年 度 | 契約金額 (億円) |
団体数 | 加入会員数 (男性) |
加入会員数 (女性) |
加入会員数 (合計) |
---|---|---|---|---|---|
昭和55年 | 42 | 92 | 33,442人 | 13,006人 | 46,448人 |
平成元年 | 681 | 412 | 138,429人 | 64,828人 | 203,257人 |
平成5年 | 1,100 | 642 | 201,870人 | 105,686人 | 307,556人 |
平成10年 | 1,964 | 1,308 | 352,418人 | 186,524人 | 538,942人 |
平成15年 | 2,916 | 1,839 | 507,171人 | 255,118人 | 762,289人 |
平成20年 | 3,198 | 1,297 | 509,408人 | 254,754人 | 764,162人 |
平成24年 | 2,982 | 1,267 | 503,748人 | 240,221人 | 743,969人 |
出典:全シ協統計年報
注1)平成元年及び平成5年は国庫補助対象団体のみ集計
注2)平成20年以降の契約金はシルバー派遣を含めた実績値
3)各調査対象シルバー人材センターの現状
調査対象シルバー人材センターの概要([1]組織概要(加入会員数等)、[2]事業概要(受注件数、契約金額等)、[3]その他(就業率・月平均就業日数・月平均配分金収入等))は、以下のとおりである。
1 【組織概要】
番号 | 名 称 | 加入会員数 | 男性会員、女性会員及びホワイトカラー出身者数(同割合) | 管轄内自治体人口 | うち60歳以上の人口 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 草加市シルバー人材ンター | 2,203人 |
男性:1,477人(67.1%) 女性: 726人(32.9%) ホワ: 838人(38.0%) |
243,978人 | 68,767人 |
2 | 福井市シルバー人材センター | 2,445人 | 男性:1,420人(58.1%) 女性:1,025人(41.9%) ホワ: 457人(18.7%) |
267,509人 | 87,756人 |
3 | 上田地域シルバー人材センター | 2,065人 | 男性:1,367人(66.2%) 女性: 698人(33.8%) ホワ: 64人(3.1%) |
199,366人 | 71,859人 |
4 | 甲賀市シルバー人材センター | 1,106人 | 男性: 671人(60.7%) 女性: 435人(39.3%) ホワ: 187人(16.9%) |
93,681人 | 28,491人 |
5 | 守口市シルバー人材センター | 1,471人 | 男性: 864人(58.7%) 女性: 607人(41.3%) ホワ: 94人(6.4%) |
145,822人 | 48,451人 |
6 | 伊丹市シルバー人材センター | 2,920人 | 男性:1,787人(61.2%) 女性:1,133人(38.8%) ホワ: 499人(17.1%) |
197,160人 | 56,797人 |
7 | 府中町シルバー人材センター | 347人 | 男性: 229人(66.0%) 女性: 118人(34.0%) ホワ: 59人(17.0%) |
51,507人 | 14,458人 |
(全国総会員数) (全国平均会員数) |
743,969人 587人 |
男性:503,748人(67.7%) 女性:240,221人(32.3%) ホワ:- |
- | - |
【コメント】
- 会員数が2,000人を超えるところは、草加市SC、福井市SC、上田地域SC、伊丹市SCの4ヶ所である。
- 女性会員が40%を超えているのは、福井市SCと守口市SCの2ヶ所である。
- ホワイトカラー出身者数が会員の15%以上を占めているのは、草加市SC、福井市SC、甲賀市SC、伊丹市SC、府中町SCの5ヶ所である。
- 全国平均会員数とは、総会員数を総団体数1,267で割った数値。
- 各シルバー人材センターの統計数値は平成24年度を使用。
2 【事業概要】
番号 | 名 称 | 受注件数 | 契約金額(千円) | 就業延べ人員 | 就業実人員 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 草加市シルバー人材センター | 4,585件 | 851,079千円 | 214,584人日 | 1,597人 |
2 | 福井市シルバー人材センター | 12,978件 | 968,401千円 | 202,551人日 | 1,787人 |
3 | 上田地域シルバー人材センター | 12,446件 | 1,094,567千円 | 223,835人日 | 1,995人 |
4 | 甲賀市シルバー人材センター | 3,179件 | 265,038千円 | 61,989人日 | 831人 |
5 | 守口市シルバー人材センター | 4,092件 | 603,684千円 | 176,728人日 | 1,320人 |
6 | 伊丹市シルバー人材センター | 7,265件 | 1,154,439千円 | 245,941人日 | 1,999人 |
7 | 府中町シルバー人材センター | 1,737件 | 153,803千円 | 39,323人日 | 318人 |
(全国総合計数) (全国平均値) |
354万件 2,797件 |
298,227,920千円 229,583千円 |
68,953千人日 53千人日 |
61万6千人 486人 |
【コメント】
- 受注件数が10,000件を超えているところは、福井市SCと上田地域SCの2ヶ所である。
- 受注金額が10億円を超えているのは、上田地域SCと伊丹市SCの2ヶ所である。
- 就業延べ人員が200,000人日以上となっているのは、草加市SC、福井市SC、上田地域SC、伊丹市SCの4ヶ所である。
- 就業実人員が1,000人を超えているのは、草加市SC、福井市SC、上田地域SC、守口市SC,伊丹市SCの5ヶ所である。
- 全国平均受注件数は、総受注件数を総団体数1,267で割った数値。
- 全国平均契約金額は、総契約金額を総団体数1,267で割った数値。
- 全国平均就業延べ人員とは、総就業延べ人員を総団体数1,267で割った数値。
- 各シルバー人材センターの統計数値は平成24年度を使用。
3 【就業率・月平均就業日数・月平均配分金収入】
番号 | 名 称 | 年平均就業率 | 月平均就業日数 | 月平均配分金収入 |
---|---|---|---|---|
1 | 草加市シルバー人材センター | 72.5% | 11.2日 | 39,961円 |
2 | 福井市シルバー人材センター | 73.1% | 9.4日 | 36,085円 |
3 | 上田地域シルバー人材センター | 96.6% | 9.0日 | 39,772円 |
4 | 甲賀市シルバー人材センター | 75.1% | 9.0日 | 34,752円 |
5 | 守口市シルバー人材センター | 89.7% | 11.2日 | 44,243円 |
6 | 伊丹市シルバー人材センター | 68.5% | 10.3日 | 36,559円 |
7 | 府中町シルバー人材センター | 91.6% | 10.3日 | 33,370円 |
全国平均 | 82.7% | 9.3日 | 35,221円(上記7センター平均は37,820円) |
注1)一人当り配分金=会員配分金÷(月平均就業実人員×12ヶ月)
注2)年平均就業率=年平均就業実人員÷年平均会員数×100
【コメント】
- 就業率が90%を超えているところは、上田地域SCと府中SCの2ヶ所である。
- 月平均就業日数が10日を超えているのは、草加市SC,守口市SC、伊丹市SC,府中町SCの4ヶ所である。
- 調査対象7センターの月平均配分金収入は、37,820円(全国平均35,221円)となっている。なお、月平均配分金収入が40,000円以上となっているのは、守口市SCの1ヶ所である。
4)シルバー人材センターによる取組事例と工夫
○調査の着眼点
国民の皆様の声に代表されるような声に応えるためには、登録された会員が、持続的に就業の機会を得ていく必要がある。このためには、一般家庭や民間事業所がシルバー人材センターを利用していただくための取組みが求められる。こうした中、各地域のシルバー人材センターでは、様々な取組みをしており、これらを紹介する。
調査の結果、意欲的な取組みを行っているシルバー人材センターは独自の工夫を凝らしていることがわかった。これらのシルバー人材センターの取組みで比較的共通すると思われるものは以下のとおりであり、就業の質を高める方策、もしくは着眼点として参考になれば幸いである。
今回はシルバー人材センターの就業の質を高める方策としての工夫事例(特に地域ニーズ、会員の希望等を取り入れた事業の取組を図っている事例)を、特に、以下の3つの着眼点から調査を実施することとした。
- 1 就業開拓に関する工夫事例
- 2 利用奨励に関する取組みに関する工夫事例
- 3 会員への仕事の配分に関する工夫事例
○取組み事例と工夫点のまとめ
各シルバー人材センターの工夫点(まとめ)は、下記「各シルバー人材センターの工夫一覧表」のとおりとなっており、また、その詳細は、
別添1「シルバー人材センターによる取組事例と工夫一覧表」記載のとおりである。また、就業開拓等の取組に関して、特に、各センターが力点を置いて取組を図っているものを別添3「各シルバー人材センターの取組事例」にまとめた。
【各シルバー人材センターの工夫一覧表】
工夫の種類 | 分野別 | 代表的な取組例 |
---|---|---|
就業開拓に関する工夫 | 育児分野 |
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農業分野 |
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介護分野 |
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家事援助分野 |
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その他 |
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利用奨励に関する工夫 | 就業開拓 |
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広報活動 |
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出張相談・セミナー・イベント |
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その他 |
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仕事の配分に関する工夫 | ルール関連 |
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情報発信 |
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公平性の担保 |
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その他 |
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5)シルバー人材センター関係者のご意見等
今回の調査を通じ、シルバー人材センター会員、利用者、運営者等の関係者からご意見・ご要望を聴取したところ、代表的なものは以下のとおりである。なお、詳細については、 別添2「シルバー人材センター関係者のご意見・ご要望等一覧表」参照。
【シルバー人材センター関係者のご意見・ご要望等一覧表】
番号 | 属性 | 関係者等のご意見・ご要望等 |
---|---|---|
1 | 加入会員 |
|
2 | 利用者 |
|
3 | センター運営者 |
|
注)ご意見等は、主たる意見を記載。
6)まとめ
1 シルバー人材センターは、高年齢者の就業機会を確保する上で頼れる存在の一つ
- (1) 本調査は、「国民の皆様の声」に寄せられた年金受給者からの「現在の年金額では生活が苦しい。あと、4〜5万円程度の収入を得たいが、ハローワークへ行っても高齢を理由になかなか就職先が決まらない」との切実なご意見を端緒に実施した。
- (2) 我が国の65歳以上の高齢者は、内閣府「平成25年版高齢社会白書」に拠ると、2012年では24.1%であるものが、2025年には3割を超え、2050年には38.8%に達すると推計され、急速に高齢化が進行している。こうした中、65歳以上の高齢者にとっては現実問題として就労が厳しい面もあり、その中で、頼れる存在の一つとなっているのが、「シルバー人材センター」であると言える。
2 得られる収入額は、「国民の皆様の声」に寄せられたご意見(ご要望)の概ね7〜8割が確保
法令で定められた「シルバー人材センター」の多くは公益社団法人であり、60歳以上であれば、誰でも会員になれる。また、仕事の内容は「臨時、短期、軽易な業務」であるが、一定の技能を要する仕事もあり、未経験の場合には、シルバー人材センターが主催する講習等を通じて、技能習得が可能である。また、会員は基本的には提供される仕事のメニューの中から自分がやりたい仕事を選択(入会面接時等で相談)できる。
なお、平成24年度における月平均配分金は、調査対象の7センター平均が37,820円、全国平均が35,221円となっており、国民の皆様の声に寄せられたご意見(ご要望)の概ね7〜8割を満たすものとなっている。
3 生きがい・やり甲斐を感じている会員が多く収入以上のものを得ている
今回調査において会員および関係者の声をお聴きしたところ、シルバー人材センターの活動を通じて、多くの会員が健康の実感や生きる喜び(生きがい・やり甲斐)を得ており、経済効果以外にも、健康の維持・増進などの効果があることが見受けられた。全国シルバー人材センターの調査によれば、高齢者の医療費等の削減や生活保護費削減等にも寄与しているということであり(注1)、また、ヒアリングをした会員からは、例えば、「ちょこっと手助けサービス」などは、困っている人を助けるという社会貢献活動ともなっており、満足感を得ているとの意見が聴かれた(注2)。
4 シルバー人材センターは、高年齢者の就業機会を確保するため様々な事業を展開
- (1) 各シルバー人材センターは、会員の就業機会の確保を図るため、様々な取組みをしている。従来の草取り、植木の剪定等の委託事業に加え、労働者派遣事業、職業紹介事業のほか、介護保険事業、及び独自事業として学習教室の運営、農産物・工芸品の生産販売、食堂・売店の運営、子ども一時預かり施設の運営など「臨時、短期、軽易な業務」に係る就業機会の確保のため、多岐にわたる分野で事業を展開している。
こうした独自事業は、会員の発意によるものも多く情熱が注がれており、これまで以上の「やり甲斐」や「生きがい」を生み出す効果が生じている。就業する会員からご意見・感想を聴いたところ、「やり甲斐」があるとする意見が多数であることに加え、「水を得た魚のようだ」とする意見もあることからも、こうしたことが覗える。また、今回調査した事業の利用者からも、高い評価を聴くことが出来た。 - (2) また、センター運営者は、会員の就業機会を確保するため、会員とともに相当な努力をしており、理事自らが地元企業などへ訪問し、シルバー人材センターへの協力を依頼するなどの活動を行っている。また、会員のモチべーションを上げるため、理事長から会員へ「会員お一人お一人がセールスマンの気持ちを持ち、座して待つのではなく自ら行動を起こし、元気で生きがいのある毎日を過ごそうではありませんか」と呼びかけたり、会員一人が一つの契約獲得を目標に「会員一人一開拓運動」を展開するセンターも見られる。このように会員の就業機会の確保のため並々ならない関係者の努力が見られるところである。
5 シルバー人材センターを活用するのも選択肢の一つ
以上のように、金銭的収入から見た場合に今回寄せられたご意見に対する答えとしては、金銭収入を主目的としないシルバー人材センター事業のみで応えうるものではないが、現に就業する多くの会員は「やり甲斐」「生きがい」を持ち、地域の中で生き生きと就業しているものと認められ、金銭収入以上のものを得ていることが考えられる。こうしたことから、最寄りの「シルバー人材センター」でご相談されることも選択肢の一つと思われる。
6 引き続き、地方自治体及び国の支援が望まれる
- (1) シルバー人材センターはその事業活動を通じて、高年齢者の就業機会を確保するほか、高年齢者がやり甲斐・生きがいを持つとともに地域の社会参加を可能とすることに貢献しており、運営費の助成等の地方自治体及び国の支援が引き続き必要である。
- (2) また、就業機会確保の面では、更なる積極的な就業開拓は当然として、独自事業のような新たな取組みも重要である。この場合に問題となるのは事業の採算性ならびに事務局負担の増大と言えるが、地方自治体や国の補助を受けながら事業を運営する「企画提案方式」による事業(注3)も独自事業の立ち上げによる就業延人員増加には有効であり、引き続き、地方自治体及び国の支援が望まれる。
7 本事例が参考となることを念願
今回調査にご協力いただいたシルバー人材センター関係者の皆様方には感謝申し上げるとともに、本格的な高齢化社会が到来する中、就業を希望する高年齢者のためにより良いセンターの運営が行われるよう、厚生労働省としても引き続き努力するとともに、関係機関等におかれては本事例が参考となることを念願したい。
(注1)シルバー人材センター活動の様々な効果
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(注2)就業する会員の満足感を示す意見
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(注3)企画提案方式による事業
「企画提案方式」とは、厚生労働省が平成20年度よりシルバー人材センター事業の新たな取り組みとして、政策要請の高い分野(教育・子育て・介護・環境等の分野)で地方公共団体と連携し、共同で企画提案された事業を厚生労働省の採択を受け、国から事業運営にかかる支援を受けながらシルバー人材センターが実施するもの。シルバー人材センターの創意工夫により地域社会ニーズに応えるとともに、高齢者の就業確保が期待されるもの(平成24年度から観光・第1次産業の分野が追加)。 |
II 過去の活動報告
アフターサービス推進活動にかかるこれまでの報告書のリンク先は以下のとおりです。
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.1: 2010年9月〜2010年12月) 平成22年12月24日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.2: 2011年1月〜2011年3月) 平成23年3月31日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.3: 2011年4月〜2011年6月) 平成23年7月11日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.4: 2011年7月〜2011年9月) 平成23年9月30日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.5: 2011年10月〜2011年12月) 平成24年1月26日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.6: 2012年1月〜2012年3月) 平成24年4月13日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.7: 2012年4月〜2012年6月) 平成24年7月9日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.8: 2012年7月) 平成24年8月3日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.9: 2012年8月〜2012年11月) 平成24年12月21日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.10: 2012年12月) 平成25年1月11日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.11:2013年1月〜4月)平成25年4月30日
- アフターサービス推進室活動報告書(Vol.12:2013年5月〜8月)平成25年9月30日
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