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アフターサービス推進室活動報告書(Vol.13 2013年9月〜12月) 平成25年12月26日

I 調査結果報告

 アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の改善に資するよう「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に以下の件について調査・分析し、とりまとめましたので、以下に報告します。

案件名 調査概要
シルバー人材センター―高年齢者の就業機会の確保に向けた調査  本調査は、高年齢者の就業機会の向上に資することを目的として、就業機会の確保のため創意工夫し様々な取組を行う全国7つのシルバー人材センターを調査したものである。

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1 シルバー人材センター事例調査―高年齢者の就業機会の確保に向けた調査

(1)調査目的

 内閣府「平成25年版高齢社会白書」によると、我が国の65歳以上人口は、約3,079万人(総人口12,752万人に占める割合は24.1%)となっており、年々増加傾向にある。こうした中、国民の皆様の声(国民年金受給者の方)では、厚生労働省に「現在の年金額(月約8万円)では生活が苦しい。あと、4〜5万円程度の収入を得たいが、ハローワークへ行っても経済状況が低迷する中、高齢を理由になかなか就職先が決まらない。もっと、高齢者の働く場を増やしてほしい。」というような声(ご意見)も寄せられているところである。
 高年齢者の就労(就業)支援では、ハローワークを始めとした行政機関の役割が重要であるが、これを補完するものとして、シルバー人材センターやNPO法人の役割もますます重要になってきている。本調査は、高年齢者の就業機会を確保するため、創意工夫し様々な取組を行っている「シルバー人材センター(注)」の取組みを紹介し関係者に今後の参考としていただくとともに、国民の皆様の声(意見)にあるような高年齢者就労(就業)対策の一層の向上・充実を図ること等に役立たせていただくことを目的とする調査である。

  • 注)シルバー人材センターは、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」に定められた、市町村(特別区を含む)単位ごとに設置された団体で、臨時的・短期的・軽易な業務を主に請負・委任の形態で行う公益法人等であり、60歳以上が加入条件とされる会員が自主的に運営する団体である。近年、草取り・襖張りといった従来の請負等業務に加え、一部のシルバー人材センターでは、労働者派遣事業、職業紹介事業のほか介護保険事業、及び会員の就業機会を増やすため独自事業として学習教室、農作物の生産・販売、食堂の運営など様々な取組みをしている。

(2)調査対象

 今回調査対象としたシルバー人材センターは、独自の事業開拓により高齢者の生きがいの充実と就業機会の確保・地域活性化に努めるなど、創意工夫が見られる全国のシルバー人材センターの中から以下の7センターとした。

調査対象シルバー人材センター一覧表
番号 名  称 所在地 設立年月日
(公益社団法人移行日)
1 公益社団法人
草加市シルバー人材センター
〒340-0021
埼玉県草加市手代町1009-1 TEL:048-928-9211
昭和60年1月26日
(平成24年4月1日)
2 公益社団法人
福井市シルバー人材センター
〒910-0019
福井市春山2丁目7番15号 TEL:0776-27-0701
昭和55年10月21日
(平成23年4月1日)
3 公益社団法人
上田地域シルバー人材センター
〒386-0027
長野県上田市常磐城3-2-10 TEL:0268-23-6002
昭和63年4月27日
(平成23年4月1日)
4 公益社団法人
甲賀市シルバー人材センター
〒528-0035
滋賀県甲賀市水口町名坂830-1 TEL:0748-63-0872
平成元年2月28日
(平成23年5月2日)
5 公益社団法人
守口市シルバー人材センター
〒029ー2205
大阪府守口市桃町3-30 TEL:06-6998-3601
昭和55年11月20日
(平成23年3月22日)
6 公益社団法人
伊丹市シルバー人材センター
〒664-0015
兵庫県伊丹市昆陽池2丁目13番 TEL:072-772-0161
昭和50年4月1日
(平成23年4月1日)
7 公益社団法人
府中町シルバー人材センター
〒735-0013
広島県安芸郡府中町浜田三丁目9番2号 TEL:082-285-0161
昭和62年12月19日
(平成23年4月1日)

(3)調査概要

1)高年齢化の推移と就業率の推移

日本の総人口は減少しているが、高齢化率は上昇している(資料:内閣府「平成25年版高齢社会白書」参照)。

高齢者の推移と将来推計

 高齢者の就業率を見ると、平成18年4月に高年齢者の雇用確保措置の義務化に伴い、定年延長・再雇用制度の定着化が図られてきており、特に、60〜64歳までの就業率が上昇している。平成20年度以降、シルバー人材センターは会員数の減少(特に、60〜64歳層の新規入会者数の減少)を見ているが、この影響が大きいものと指摘されている(下記「中高年者の就業率の推移」参照(総務省統計局「労働力調査」)。

就職率の推移

2)全国のシルバー人材センターの現状

 平成24年度現在、全国における団体数(センター数)は1,267団体となっており、センター数は、市町村合併により、平成15年の1,839団体をピークとして減少している。会員数は、平成20年度(764千人)をピークに、年々減少を続けており、平成24年度は744千人で平成20年度の764千人と比して約20千人の減少となっている。契約金額は平成19年度(3,270億円)をピークに、年々減少を続けており、平成24年度は2,982億円で平成20年度の3,198億円と比して約216億円の減少となっている。
 会員数の減少は、前記1)に見るように、高年齢者の雇用確保義務化の影響によることが原因と考えられ、今後会員の増加を図るには、魅力あるセンターの運営等により労働市場から退出過程にある団塊世代の受入を図るとともに、女性会員の参加促進の必要性が指摘されている。

契約金額・加入会員数・団体数の推移(全国)
年 度 契約金額
(億円)
団体数 加入会員数
(男性)
加入会員数
(女性)
加入会員数
(合計)
昭和55年 42 92 33,442人 13,006人 46,448人
平成元年 681 412 138,429人 64,828人 203,257人
平成5年 1,100 642 201,870人 105,686人 307,556人
平成10年 1,964 1,308 352,418人 186,524人 538,942人
平成15年 2,916 1,839 507,171人 255,118人 762,289人
平成20年 3,198 1,297 509,408人 254,754人 764,162人
平成24年 2,982 1,267 503,748人 240,221人 743,969人

出典:全シ協統計年報
注1)平成元年及び平成5年は国庫補助対象団体のみ集計
注2)平成20年以降の契約金はシルバー派遣を含めた実績値

3)各調査対象シルバー人材センターの現状

 調査対象シルバー人材センターの概要([1]組織概要(加入会員数等)、[2]事業概要(受注件数、契約金額等)、[3]その他(就業率・月平均就業日数・月平均配分金収入等))は、以下のとおりである。

1 【組織概要】
番号 名  称 加入会員数 男性会員、女性会員及びホワイトカラー出身者数(同割合) 管轄内自治体人口 うち60歳以上の人口
1 草加市シルバー人材ンター 2,203 男性:1,477人(67.1%)
女性: 726人(32.9%)
ホワ:  838人(38.0%
243,978人 68,767人
2 福井市シルバー人材センター 2,445 男性:1,420人(58.1%)
女性:1,025人(41.9%)
ホワ:  457人(18.7%)
267,509人 87,756人
3 上田地域シルバー人材センター 2,065 男性:1,367人(66.2%)
女性: 698人(33.8%)
ホワ:  64人(3.1%)
199,366人 71,859人
4 甲賀市シルバー人材センター 1,106人 男性: 671人(60.7%)
女性: 435人(39.3%)
ホワ: 187人(16.9%)
93,681人 28,491人
5 守口市シルバー人材センター 1,471人 男性: 864人(58.7%)
女性: 607人(41.3%)
ホワ:  94人(6.4%)
145,822人 48,451人
6 伊丹市シルバー人材センター 2,920 男性:1,787人(61.2%)
女性:1,133人(38.8%)
ホワ: 499人(17.1%)
197,160人 56,797人
7 府中町シルバー人材センター 347人 男性: 229人(66.0%)
女性: 118人(34.0%)
ホワ:  59人(17.0%)
51,507人 14,458人
  (全国総会員数)
(全国平均会員数)
743,969人
587人
男性:503,748人(67.7%)
女性:240,221人(32.3%)
ホワ:-
- -

【コメント】

  • 会員数が2,000人を超えるところは、草加市SC、福井市SC、上田地域SC、伊丹市SCの4ヶ所である。
  • 女性会員が40%を超えているのは、福井市SCと守口市SCの2ヶ所である。
  • ホワイトカラー出身者数が会員の15%以上を占めているのは、草加市SC、福井市SC、甲賀市SC、伊丹市SC、府中町SCの5ヶ所である。
  • 全国平均会員数とは、総会員数を総団体数1,267で割った数値。
  • 各シルバー人材センターの統計数値は平成24年度を使用。
2 【事業概要】
番号 名  称 受注件数 契約金額(千円) 就業延べ人員 就業実人員
1 草加市シルバー人材センター 4,585件 851,079千円 214,584人日 1,597
2 福井市シルバー人材センター 12,978 968,401千円 202,551人日 1,787
3 上田地域シルバー人材センター 12,446 1,094,567千円 223,835人日 1,995
4 甲賀市シルバー人材センター 3,179件 265,038千円 61,989人日 831人
5 守口市シルバー人材センター 4,092件 603,684千円 176,728人日 1,320
6 伊丹市シルバー人材センター 7,265件 1,154,439千円 245,941人日 1,999
7 府中町シルバー人材センター 1,737件 153,803千円 39,323人日 318人
  (全国総合計数)
(全国平均値)
354万件
2,797件
298,227,920千円
229,583千円
68,953千人日
53千人日
61万6千人
486人

【コメント】

  • 受注件数が10,000件を超えているところは、福井市SCと上田地域SCの2ヶ所である。
  • 受注金額が10億円を超えているのは、上田地域SCと伊丹市SCの2ヶ所である。
  • 就業延べ人員が200,000人日以上となっているのは、草加市SC、福井市SC、上田地域SC、伊丹市SCの4ヶ所である。
  • 就業実人員が1,000人を超えているのは、草加市SC、福井市SC、上田地域SC、守口市SC,伊丹市SCの5ヶ所である。
  • 全国平均受注件数は、総受注件数を総団体数1,267で割った数値。
  • 全国平均契約金額は、総契約金額を総団体数1,267で割った数値。
  • 全国平均就業延べ人員とは、総就業延べ人員を総団体数1,267で割った数値。
  • 各シルバー人材センターの統計数値は平成24年度を使用。
3 【就業率・月平均就業日数・月平均配分金収入】
番号 名  称 年平均就業率 月平均就業日数 月平均配分金収入
1 草加市シルバー人材センター 72.5% 11.2 39,961円
2 福井市シルバー人材センター 73.1% 9.4日 36,085円
3 上田地域シルバー人材センター 96.6% 9.0日 39,772円
4 甲賀市シルバー人材センター 75.1% 9.0日 34,752円
5 守口市シルバー人材センター 89.7% 11.2 44,243
6 伊丹市シルバー人材センター 68.5% 10.3 36,559円
7 府中町シルバー人材センター 91.6% 10.3 33,370円
  全国平均 82.7 9.3 35,221円(上記7センター平均は37,820円)

注1)一人当り配分金=会員配分金÷(月平均就業実人員×12ヶ月)
注2)年平均就業率=年平均就業実人員÷年平均会員数×100

【コメント】

  • 就業率が90%を超えているところは、上田地域SCと府中SCの2ヶ所である。
  • 月平均就業日数が10日を超えているのは、草加市SC,守口市SC、伊丹市SC,府中町SCの4ヶ所である。
  • 調査対象7センターの月平均配分金収入は、37,820円(全国平均35,221円)となっている。なお、月平均配分金収入が40,000円以上となっているのは、守口市SCの1ヶ所である。
4)シルバー人材センターによる取組事例と工夫

調査の着眼点

 国民の皆様の声に代表されるような声に応えるためには、登録された会員が、持続的に就業の機会を得ていく必要がある。このためには、一般家庭や民間事業所がシルバー人材センターを利用していただくための取組みが求められる。こうした中、各地域のシルバー人材センターでは、様々な取組みをしており、これらを紹介する。
 調査の結果、意欲的な取組みを行っているシルバー人材センターは独自の工夫を凝らしていることがわかった。これらのシルバー人材センターの取組みで比較的共通すると思われるものは以下のとおりであり、就業の質を高める方策、もしくは着眼点として参考になれば幸いである。
 今回はシルバー人材センターの就業の質を高める方策としての工夫事例(特に地域ニーズ、会員の希望等を取り入れた事業の取組を図っている事例)を、特に、以下の3つの着眼点から調査を実施することとした。

  • 1 就業開拓に関する工夫事例
  • 2 利用奨励に関する取組みに関する工夫事例
  • 3 会員への仕事の配分に関する工夫事例

○取組み事例と工夫点のまとめ

 各シルバー人材センターの工夫点(まとめ)は、下記「各シルバー人材センターの工夫一覧表」のとおりとなっており、また、その詳細は、
別添1「シルバー人材センターによる取組事例と工夫一覧表」記載のとおりである。また、就業開拓等の取組に関して、特に、各センターが力点を置いて取組を図っているものを別添3「各シルバー人材センターの取組事例」にまとめた。

【各シルバー人材センターの工夫一覧表】
工夫の種類 分野別 代表的な取組例
就業開拓に関する工夫   育児分野
  • 親子のひろば「のびーすく」:地元自治体に協力し子育て支援事業を展開。地域の子育て支援と高齢者の就業機会の両立を図る(草加市SC)
  • 子ども一時預かり事業:「日だまりの家」「えくぼ」「のびのび」など地域の子育て支援と高齢者の就業支援をうまく組み合わせている(福井市SC)
  • みどり保育園の運営:全国のシルバー人材センターでも類を見ない月極保育園を運営(伊丹市SC)
農業分野
  • シルバー農園:地元自治体に協力し、地域の課題(耕作放棄地の活用、農業後継者の育成)に取り組むとともに会員の就業機会を確保(上田地域SC)
  • 甲賀野菜の栽培販売:地元自治体の進める地元野菜のブランド化に協力し、農産物の生産と販売を実施(甲賀市SC)
介護分野
  • 通所介護事業(「ひだまりの家」):約二千坪の敷地に日本家屋と広い庭がある施設を拠点にデイサービス提供(福井市SC)
  • 老健施設入居者へのサービス事業を運営:介護老人保健施設と提携し、病弱者への福祉サービスを提供すると同時に高齢者の就業機会を確保(守口市SC)
  • 訪問介護事業:訪問介護事業を通じて地域へ貢献すると同時に高齢者の就業機会を確保(守口市SC)
家事援助分野
  • ちょこっと手助けサービス:シルバー会員の就業機会の提供と高齢者の地域見守りを同時に達成(草加市SC)
  • シルバーママサービス事業:子どもの一時預かり事業を通じて高齢者の活躍の場を提供(府中町SC)
その他
  • 剪定枝葉チップリサイクル堆肥の生産販売:剪定作業で不要となった枝葉を再利用し肥料を生産し、販売(甲賀市SC)
  • 売店事業(「昆陽池売店」「スカイパーク売店」):高齢女性会員が働きやすい就業場所の確保に努める(伊丹市SC)
  • ふれあい喫茶「椿庵」の運営:地元の食材を使用(地産地消)するなどを通じて地域の振興を図ると同時に、シルバー会員に喫茶・飲食分野での就業場所を確保(府中町SC)
  • 一人一開拓運動(上田地域SC)
利用奨励に関する工夫 就業開拓
  • お客様担当(就業開拓創出員)を2名配置(草加市SC)
  • 会員一人一開拓運動を推進、シルバー人材センターの利用勧奨に取り組む(上田地域SC)
  • 理事による事業所や発注者訪問活動(草加市SC、守口市SC)
  • 就業開拓員等による企業訪問や家庭訪問など、仕事の出来栄えの聞き取り調査を実施、かつシルバー人材センターのPRも実施(守口市SC)
  • 会員による入会勧誘・リピーター獲得のための声掛け(府中町SC)
広報活動
  • 会員によるチラシの配布やポスター掲示(草加市SC、福井市SC)
  • 市広報誌への掲載(草加市SC他)
  • 除草、植木剪定従事会員による就業先近辺へのチラシ配布(福井市SC)
  • 就業開拓員、業務推進員による事業所訪問(福井市SC)
  • ビデオ紹介、パンフ、ノベルティ配付でシルバー人材センターの知名度向上や就業案内をPR(上田地域SC)
  • 顧客へ毎年カレンダーを配付し利用促進を依頼(上田地域SC)
  • 機関誌・広報誌を発行し活動内容を市民・会員等へ広く周知(「ふれあい」(草加市SC)、「あじさい」(福井市SC)、「シルバーこうか」(甲賀市SC)、「ふれあい」(守口市SC)等)
  • 中心市街地での街頭活動(伊丹市SC)
  • 地元FM局による広報(伊丹市SC)
  • シルバーフェスティバルやシルバー文化作品展開催によるPR(伊丹市SC)
  • 地域班を中心とした清掃奉仕活動によるPR (伊丹市SC)
  • ホームページでの情報提供(全てのSC)
出張相談・セミナー・イベント
  • ハローワーク窓口での出張相談業務やシルバー人材センターセミナーを実施(甲賀市SC)
  • イベント等への参加や各マスコミ等への取材協力にて活動内容を啓発周知(甲賀市SC)
  • 「シルバーフェア」を開催(守口市SC)
  • 社会福祉協議会、町内会連合会で入会促進や就業開拓を実施(府中町SC)
  • 企業訪問の実施(府中町SC)
その他
  • お客様への満足度調査を実施し就業への反応を把握(上田地域SC)
  • 植木剪定・除草作業について、翌年分の事前予約はがきを送付(伊丹市SC)
仕事の配分に関する工夫 ルール関連
  • 適正就業基準を設けてローテーション就業、長期就業の是正を図るよう推進(甲賀市SC)
  • 就業期限の設定に関する基準で3年を限度として他の会員と交代する旨規定(草加市SC)
情報発信
  • 「しごと情報」を発行(草加市SC)
  • HP及び「事務局だより」で周知(府中町SC他)
  • 携帯メールを活用した就業情報提供(上田地域SC)
    シルバーだよりの掲載やテレフォンサービスでも就業情報提供。携帯メールを導入。連絡に係る事務の効率化と就業機会提供の公平性の担保を同時に図っている(上田地域SC)
  • 会報「シルバーだより」にて就業情報を掲載(甲賀市SC)
公平性の担保
  • 未就業会員への優先的就業提供(福井市SC)
  • 未就業会員への声かけ(上田地域SC)
  • 就業相談会を実施し、会員の詳細な希望等の把握(守口市SC)
  • 公開受注簿で、受注状況を常に公開(守口市SC)
  • 入会時の希望職種に基づき就業相談を実施し、適する仕事があれば紹介(伊丹市SC)
  • 月曜日から金曜日まで毎日就業相談を実施し、来館者に募集中の業務を斡旋(伊丹市SC)
その他
  • 一人一開拓運動では自分のできる仕事を開拓(上田地域SC)
5)シルバー人材センター関係者のご意見等

 今回の調査を通じ、シルバー人材センター会員、利用者、運営者等の関係者からご意見・ご要望を聴取したところ、代表的なものは以下のとおりである。なお、詳細については、 別添2「シルバー人材センター関係者のご意見・ご要望等一覧表」参照。

【シルバー人材センター関係者のご意見・ご要望等一覧表】
番号 属性 関係者等のご意見・ご要望等
1 加入会員
  • 人と接することが好きなので水を得た魚のように喜んで働いている。(ふれあい喫茶「T庵」Nさん、F町SC)
  • 子育て支援事業を「のびのび」などで担当しているが、お母さん方が自分で解決出来ない悩みを聞き、解消してあげている。F市は転勤族が多く、3〜4年で変わる。しかし、赤ちゃんが産まれたときなど、近所に知っている人もいない中で、支援を行い大変喜ばれている。小さな子供を抱えた若い母親への支援として、保育園への送迎、掃除、小さな子供の預かりなどがある。地元の方も多いが、ここでママ友を作り、広場で悩みを話せることで救われる母親も多い。安心して預けられることもあって人気が高く、この仕事にやり甲斐を感じている。(会員Jさん、F市SC)
  • ランドリーサービスを担当しています。ランドリーサービスは近くのコインランドリーを使っている。家族が遠く離れている状況で、利用者は孤立しているため、コミュニケーションをとりながらやっています。また、出来るだけ本人の意見を聞きながらやっています。利用者の「待っていたよ。」の一言が支えとなっている。(会員Mさん、M市SC)
  • ちょこっと手助けサービスで家事援助を担当しています。要支援1の介護度で、軽度の認知症の方の話相手になっています。週一回のサービスで3人を受け持っています。やすらぎ支援事業も担当しています。こちらは家族がいても、日中はひとりなので話相手を担っています。本人は勿論、家族の方にも喜んでもらっています。(会員Kさん、S市SC)
2 利用者
  • リンゴ園に人材を送り出しいただき心から感謝しています。会員の皆さんの明るく前向きな姿勢、そして最高のチームワークでがんばっていただいたおかげでわずか3日間で終わらせることができました。ありがとうございました。」(利用者Xさん、U地区)
  • 利用者の母親世代の人たちが、面倒を見てくれるため、子供の相談とか、パパとのかかわり方など、幼稚園では相談出来ない様々なことが相談出来る。また、紙芝居や、昔ながらのわらべ歌など、シルバーの会員さんが一生懸命で、研究熱心であり、常に勉強する姿勢が伺えてとても尊敬しています。(利用者Aさん、S市SC)
  • 過剰農薬散布を気にせず、安心して食べられ、また規格サイズを気にせず、育成した新鮮で美味しい野菜を作れるのは、シルバー人材センターの会員であればこそできる事業だと思います。健康がなによりと感じている会員の就業の場が広がり、特産品が食べられるという特典もあるいい事業だと思います。(利用者Tさん、K市SC)
3 センター運営者
  • 事業仕分けで事務局の経費が1/3カットされ困っている。県内で16,000名、当センターでも347名の会員の支援をするのは事務局であり、ここが弱体化するとシルバー人材センターを円滑に運営し、仕事を確保し会員を支えていくことが困難となる。(F町SC)
  • 平成22、23年度2年間で補助金は1,380万円削減され、事業実績も低下し、800万円の赤字決算となった。このため自主財源を見直す必要性に迫られている。運営費の削減1,100万円、平成24年度会費を1,700円から3,500円に引き上げせざるを得ず、平成25年度事務費も8%から10%に引き上げ、会員の負担が増大した。就業開拓努力も実施しているが、経営健全化のためには、削減された補助金の復活が必要であり、ご検討願いたい。また、広域加算金が切られるときは、具体的な方策を示すなどデザインの提示が望まれる。(U地区SC)
  • 一般労働者派遣事業は、派遣契約期間は一年間(最大3年間)なっているが、このため多くの就業機会を失う状況となっている。3年で終わるのではなく、延長出来るようなものとして欲しい。(F市SC)(I市SC)
  • 最近は隣近所が疎遠になったように思われる。高齢者の孤立化だけではなく、子育てにおいても相談出来る人がおらず、このように困っている人たちを繋ぐ地域のネットワークが必要である。行政はこのネットワークの形成に関して、もっと力を入れるべきで、シルバー人材センターも、既存の組織との連携を密にすることで、地域社会のネットワークの再構築を図ることが必要と思う。(S市SC)

注)ご意見等は、主たる意見を記載。

6)まとめ
1 シルバー人材センターは、高年齢者の就業機会を確保する上で頼れる存在の一つ
  1. (1) 本調査は、「国民の皆様の声」に寄せられた年金受給者からの「現在の年金額では生活が苦しい。あと、4〜5万円程度の収入を得たいが、ハローワークへ行っても高齢を理由になかなか就職先が決まらない」との切実なご意見を端緒に実施した。
  2. (2) 我が国の65歳以上の高齢者は、内閣府「平成25年版高齢社会白書」に拠ると、2012年では24.1%であるものが、2025年には3割を超え、2050年には38.8%に達すると推計され、急速に高齢化が進行している。こうした中、65歳以上の高齢者にとっては現実問題として就労が厳しい面もあり、その中で、頼れる存在の一つとなっているのが、「シルバー人材センター」であると言える。
2 得られる収入額は、「国民の皆様の声」に寄せられたご意見(ご要望)の概ね7〜8割が確保

 法令で定められた「シルバー人材センター」の多くは公益社団法人であり、60歳以上であれば、誰でも会員になれる。また、仕事の内容は「臨時、短期、軽易な業務」であるが、一定の技能を要する仕事もあり、未経験の場合には、シルバー人材センターが主催する講習等を通じて、技能習得が可能である。また、会員は基本的には提供される仕事のメニューの中から自分がやりたい仕事を選択(入会面接時等で相談)できる。
 なお、平成24年度における月平均配分金は、調査対象の7センター平均が37,820円、全国平均が35,221円となっており、国民の皆様の声に寄せられたご意見(ご要望)の概ね7〜8割を満たすものとなっている。

3 生きがい・やり甲斐を感じている会員が多く収入以上のものを得ている

 今回調査において会員および関係者の声をお聴きしたところ、シルバー人材センターの活動を通じて、多くの会員が健康の実感や生きる喜び(生きがい・やり甲斐)を得ており、経済効果以外にも、健康の維持・増進などの効果があることが見受けられた。全国シルバー人材センターの調査によれば、高齢者の医療費等の削減や生活保護費削減等にも寄与しているということであり(注1)、また、ヒアリングをした会員からは、例えば、「ちょこっと手助けサービス」などは、困っている人を助けるという社会貢献活動ともなっており、満足感を得ているとの意見が聴かれた(注2)。

4 シルバー人材センターは、高年齢者の就業機会を確保するため様々な事業を展開
  1. (1) 各シルバー人材センターは、会員の就業機会の確保を図るため、様々な取組みをしている。従来の草取り、植木の剪定等の委託事業に加え、労働者派遣事業、職業紹介事業のほか、介護保険事業、及び独自事業として学習教室の運営、農産物・工芸品の生産販売、食堂・売店の運営、子ども一時預かり施設の運営など「臨時、短期、軽易な業務」に係る就業機会の確保のため、多岐にわたる分野で事業を展開している。
     こうした独自事業は、会員の発意によるものも多く情熱が注がれており、これまで以上の「やり甲斐」や「生きがい」を生み出す効果が生じている。就業する会員からご意見・感想を聴いたところ、「やり甲斐」があるとする意見が多数であることに加え、「水を得た魚のようだ」とする意見もあることからも、こうしたことが覗える。また、今回調査した事業の利用者からも、高い評価を聴くことが出来た。
  2. (2) また、センター運営者は、会員の就業機会を確保するため、会員とともに相当な努力をしており、理事自らが地元企業などへ訪問し、シルバー人材センターへの協力を依頼するなどの活動を行っている。また、会員のモチべーションを上げるため、理事長から会員へ「会員お一人お一人がセールスマンの気持ちを持ち、座して待つのではなく自ら行動を起こし、元気で生きがいのある毎日を過ごそうではありませんか」と呼びかけたり、会員一人が一つの契約獲得を目標に「会員一人一開拓運動」を展開するセンターも見られる。このように会員の就業機会の確保のため並々ならない関係者の努力が見られるところである。
5 シルバー人材センターを活用するのも選択肢の一つ

 以上のように、金銭的収入から見た場合に今回寄せられたご意見に対する答えとしては、金銭収入を主目的としないシルバー人材センター事業のみで応えうるものではないが、現に就業する多くの会員は「やり甲斐」「生きがい」を持ち、地域の中で生き生きと就業しているものと認められ、金銭収入以上のものを得ていることが考えられる。こうしたことから、最寄りの「シルバー人材センター」でご相談されることも選択肢の一つと思われる。

6 引き続き、地方自治体及び国の支援が望まれる
  1. (1) シルバー人材センターはその事業活動を通じて、高年齢者の就業機会を確保するほか、高年齢者がやり甲斐・生きがいを持つとともに地域の社会参加を可能とすることに貢献しており、運営費の助成等の地方自治体及び国の支援が引き続き必要である。
  2. (2) また、就業機会確保の面では、更なる積極的な就業開拓は当然として、独自事業のような新たな取組みも重要である。この場合に問題となるのは事業の採算性ならびに事務局負担の増大と言えるが、地方自治体や国の補助を受けながら事業を運営する「企画提案方式」による事業(注3)も独自事業の立ち上げによる就業延人員増加には有効であり、引き続き、地方自治体及び国の支援が望まれる。
7 本事例が参考となることを念願

 今回調査にご協力いただいたシルバー人材センター関係者の皆様方には感謝申し上げるとともに、本格的な高齢化社会が到来する中、就業を希望する高年齢者のためにより良いセンターの運営が行われるよう、厚生労働省としても引き続き努力するとともに、関係機関等におかれては本事例が参考となることを念願したい。

(注1)シルバー人材センター活動の様々な効果
  1. (1)高齢者医療費等の削減効果
    • 就業している会員の総医療費の推計値は年間35.8万円であり、一般高齢者の41.8万円と6万円の差額がある。
    • センター会員であることで、要介護者の減少が、年間約5千人と推計される。
    • 以上を推計すると、医療費は80万人の会員全体で年間約480億円、介護保険サービス費用は約37億円、 合わせて517億円の医療介護の財政軽減に寄与。
      (資料:全シ協「高齢者の社会活動と健康維持・増進に関する調査(平成18年3月)」)
  2. (2)生活保護費の削減効果
    • シルバー人材センターからの収入がなくなった場合、会員の4割が生活保護受給者となる恐れがある。
    • シルバー人材センター事業により年間1,000億円の生活保護費が削減。
      (資料:全シ協:「シルバー人材センター会員の実態に関する調査(平成22年9月)」)
(注2)就業する会員の満足感を示す意見
  • 「子育て支援による育児活動」→利用者の声「とても助かっています。」、会員の声「ありがとうと言われることが生きがいです。」「感謝されることで仕事にはりができます。」「元気をもらえる。」(S市、F市、I市)
  • 「介護支援活動」→利用者の声「大変感謝している。」、会員の声「頼りにされるとうれしい。」(S市)
  • 「高齢者の見守り活動」→利用者の声「待っていたよ。」、会員の声「この一言が支えです。」(M市)
  • 「農業支援活動」→利用者の声「安全安心をありがとう。」、会員の声「本当に役に立っている。」(U地域、K市)
  • 「食堂支援活動」→利用者「ありがとう。美味しかった。」、会員の声「この声でやり甲斐を感じる」(F町)
  • 「地域の伝統産業育成活動」→利用者「大変有意義です。」、会員の声「地域で活かしたい」(K市)
(注3)企画提案方式による事業
 「企画提案方式」とは、厚生労働省が平成20年度よりシルバー人材センター事業の新たな取り組みとして、政策要請の高い分野(教育・子育て・介護・環境等の分野)で地方公共団体と連携し、共同で企画提案された事業を厚生労働省の採択を受け、国から事業運営にかかる支援を受けながらシルバー人材センターが実施するもの。シルバー人材センターの創意工夫により地域社会ニーズに応えるとともに、高齢者の就業確保が期待されるもの(平成24年度から観光・第1次産業の分野が追加)。

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