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アフターサービス推進室の活動報告(Vol.11:2013年1月〜4月)平成25年4月30日

I 調査結果報告

 アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の改善に資するよう「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に以下の件について調査・分析し、とりまとめましたので、以下に報告します。

番号
(リンク先)
案件名 概要
職業訓練事例調査―就職率向上支援の推進に向けた調査  「国民の皆様の声」の中で、「現在実施されている職業訓練では実務では役に立たず就職が出来ない」という声も一部寄せられている。これに対し職業訓練校の現場を調査し、どのように職業訓練校が独自に工夫しているか、基本的なアイデアやノウハウを開示してもらい他の職業訓練校への適用を検討してもらうきっかけになることを企画した。訓練内容をより良くし改善を図る参考資料として利用して頂きたい。授業内容を良くすることで一人でも多くの受講生の就職が可能となることを目的とする調査である。
第三者行為による健康保険等の利用状況調査  第三者行為による傷病の健康保険等の利用状況と保険者の求償の実態が明らかでないことから、実態を調査し改善できるところがあれば改善を提案する。

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1 職業訓練事例調査―就職率向上支援の推進に向けた調査

(1)調査目的

 公共職業訓練は各都道府県が主体となり、民間教育訓練機関へ公共職業訓練を委託しているコースも設定されているが、厚生労働省へ寄せられる国民の皆様の声には苦情例も見受けられている。本調査は民間事業者が実施する公共職業訓練の中でその取組が熱心であるとして都道府県より推薦されたものを紹介し、関係機関が参考として頂くことを通じて、より質の高い職業訓練を確保することを目的としている。

(2)調査対象

1)対象となる職業訓練

 国が関与している職業訓練は以下の2つのものがある。
 [1] 公共職業訓練
 [2] 求職者支援訓練(職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律(求職者支援法)に基づく認定職業訓練)
 これらのうち、「求職者支援制度」は新たな制度(注)が始まったばかりであり、未だ政策の効果が十分現れていないと考えられることから、本調査の対象から外した。
(注:緊急人材育成支援事業(基金訓練)は、平成23年9月開講分をもって終了となり、平成23年10月1日から「求職者支援制度」がスタートしている。)

 また、公共職業訓練の中には「離職者」「在職者」「学卒者」の3分野があるが、本調査の対象としては「離職者訓練」のうち「委託訓練」を対象とした。その理由は、平成23年度の公共職業訓練実施状況を見ると、他の訓練と比べて受講者数が最も多いものの、就職率が低い傾向にあるためである。(下表参照)

【平成23年度 公共職業訓練実施状況】

  合計 機構 都道府県
受講者数 就職率 受講者数 就職率 受講者数 就職率
離職者訓練 149,112 - 33,469 - 115,643 -
   うち施設内 42,639 80.3% 30,727 84.8% 11,912 71.6%
うち委託 106,473 66.8% 2,742 65.4% 103,731 66.8%
在職者訓練 90,333 - 39,332 - 51,001 -
学卒者訓練 20,012 93.1% 6,353 98.1% 13,659 91.5%
合計 259,457 - 79,154 - 180,303 -

注1 離職者訓練の就職率については、訓練修了3ヶ月後の就職状況
注2 学卒者訓練の就職率については、訓練修了1ヶ月後の就職状況
    【上記の表は、厚生労働省ホームページ、公共職業訓練の概要より】

2)今回調査の実施内容

 全国の職業訓練校のうち、以下の抽出方法で14校、現在実施中の25講座を今回の調査対象とした。教員・講師等学校側関係者との面談者数は32名、受講生は37名である。またアンケートによる受講生の意見は177名分を収集した。

【調査対象職業訓練校等一覧表】

番号 職業訓練校 所在地 離職者訓練コース 受講生数 訓練期間 就職率
(前回)
八戸社会福祉専門学校 八戸市 介護福祉士資格取得コース 31名 2年 100%
介護職員基礎研修科 26名 5ヶ月 100%
JMTC青森教室 青森市 簿記・企業会計科 14名 6ヶ月 84%
総合IT科 14名 6ヶ月 80%
気仙職業訓練協会 大船渡市 総合オペレーション科 4名 3ヶ月 90%
OA介護科 4名 3ヶ月 78%
岩手中央訓練協会 盛岡市 福祉住環境デザイン科 20名 3ヶ月 75%
OA実務科 19名 3ヶ月 68%
パソナ岐阜委託訓練センター 岐阜市 産業人材育成コース(就職力向上訓練) 11名 3ヶ月 73%
飯原学園 岐阜市 介護福祉総合科 20名 3ヶ月 96%
PCアカデミーオーシャン小田原校 小田原市 パソコン実務科 22名 3ヶ月 93%
Webデザイン基礎科 26名 4ヶ月 100%
スタッフエースビジネススクール燕三条校 三条市 CAD科 10名 6ヶ月 78%
経理事務エキスパート科 17名 6ヶ月 88%
IT事務応用科 10名 3ヶ月 76%
経理事務養成科 10名 3ヶ月 83%
ビジネス・インターネットカレッジ新潟校 新潟市 経理事務応用科 18名 3ヶ月 前回なし
WEBクリエーター科1 15名 3ヶ月 70%
10 つばめ福祉会 燕市 介護職員基礎研修科 20名 5ヶ月 82%
11 社会福祉法人こうほうえん 米子市 介護職員基礎研修科 20名 5ヶ月 100%
介護実習科 15名 3ヶ月 100%
12 日本海情報ビジネス専門学校 米子市 ITビジネス科 20名 3ヶ月 88%
IT事務科 20名 3ヶ月 85%
13 (株)日税サービス西日本 福岡市 OAビジネス科 27名 6ヶ月 88%
14 (株)ハーモニー 福岡市 英語ビジネス科 22名 4ヶ月 前回なし

(3)調査概要(職業訓練校による取組事例)

〜就職率向上や職業訓練の質を高める方策として工夫事例に基づく着眼点を提案〜

 各職業訓練校(委託訓練校)の取組状況は別添のとおりであり、この調査結果をみると、意欲的な取り組みを行っている職業訓練校は独自の工夫を凝らしていることが判明した。

 これらの職業訓練校の取り組みで比較的共通すると思われるものは、以下のとおりであり、就職率の向上や職業訓練の質を高める方策、もしくは着眼点として参考になれば幸いである。

1)職業訓練の意義を自覚してもらう工夫

2)受講生の能力を高めるためのクラス運営の工夫

3)就職支援のための様々な工夫

4)良質な講師を確保するための工夫

5)コミュニケーション能力の育成のための工夫

6)その他の工夫

以下それぞれの工夫ごとに各校の取組を整理してみた。

【主な職業訓練の特徴を凝縮したエッセンス】は以下のとおり。

1)職業訓練の意義を自覚してもらう工夫(カウンセリングも含む)

  • 職業訓練の意義を自覚できるよう工夫(ある職業訓練校では「職業人としての魂を育てる」といい、別の職業訓練校では、「志を教える」と表現している)
  • 「(生涯勉強であり)常に変わり続ける」「卒業生は就職後も仕事の楽しみがわかるようになることでずっと勉強を続け自分を磨いていける」等と表現することで、短期間で得る知識以外に長期に亘って勉強を続ける意欲を持ち続けることができるよう工夫
  • 職業訓練校とはいうものの、ここは学校ではなく職場であり、会社で働くことを意識した行動を取ることが要求されていることをしっかり自覚してもらうため、必ず初日に職業訓練の意義を説明し、理解してもらえるよう工夫
  • 「授業は真剣に聴くと同時に社会のマナーも修得できる」ことで人間的成長をみる事ができるよう工夫
  • 授業の進行上問題のある生徒ややる気のない生徒、精神的に不安定な生徒については学校側の生徒への気づきが大事であり、早期に相談にのることが重要であるため、苦情対応の相談窓口を設けるという工夫
  • 離職者訓練では、離職により自信を喪失している受講生も多いがグループカウンセリングや個別カウンセリングによって自信を取り戻すことができるよう工夫
  • キャリアカウンセラーの資格を持ち、かつ失業者に対する就労支援経験が豊富な人を講師にするという工夫
  • トラブルには早期に対処するよう工夫

2)受講生の能力を高めるためのクラス運営の工夫

  • PC訓練はソフトの種類を幅広く勉強し実戦的に対処できるよう工夫
  • どの職種でも対応できるようなビジネススキルを習得できるよう工夫
  • 職場訓練としてPDCAを使い、企業内での責任と役割を習得することができるよう工夫
  • 資格取得の重要性と必要性を説明し、資格を取得できるよう工夫
  • 訓練場所が職場と一体化しており、高齢者との接触等が自然にできるように訓練環境を工夫
  • イベントや法人従業員向けの研修会にでることで知識を広めることができるよう工夫
  • 単なる簿記の勉強だけではなく、即戦力として使用出来る会計ソフトを習得できるよう工夫
  • 消費税対応・年末調整・確定申告等、より実戦的な会計力を習得することができるよう工夫
  • 個人のスキルや就職希望状況に合わせて目標設定する等、資格取得目標管理を綿密に実施することでより確実に資格を取得することができるよう工夫
  • クラス内の実力差はどちらに合わせるかで不満の種となりやすいが、2種類のグループを作ることで上手く運営することができるよう工夫
  • グループでプロジェクトを進行させる課題設定で即戦力の実習ができるよう工夫
  • 介護コースでは特養・老健・デイサービス等全て現場の働く専門家が講師となっており、現場についての生の情報が得られることができるよう工夫

3)就職支援のための様々な工夫

  • キャリア・コンサルタントの指導によるジョブカードの作成によって自己の長所や短所の再認識に役立てることができるよう工夫
  • ジョブクラブ方式によるグループでの就職情報交換ができるよう工夫
  • フォーローアップ講習で学校側が卒業生のために情報交換の場を提供するという工夫
  • 個別面談による綿密な職業相談するという工夫
  • 書類作成指導で文書作成能力と伝達力の向上を図ることができるよう工夫
  • 就職情報の構内掲示や毎日の更新により就職支援するという工夫
  • 受講生のパソコンのトップページをハローワークの求人サイトに設定するという工夫
  • 就職活動は早期から実施することとし、後で自分の希望とずれないようにするという工夫
  • 就職力向上の指導のためにビジネスマナーの指導、ジョブカード作成をベースとした履歴書・職務履歴書の作成・個人面談指導等をするという工夫
  • 本人の特性が上手く生かせるよう本人との面談を4〜6回位行う。その上で独自のネットワークから本人に合った企業を紹介することができるよう工夫
  • 働くことに悩みを持つ受講生には、寄り添いが必要であり、気づきを促すカウンセリング、コーチング、コンサルティング等の伴走型の支援を実施するという工夫
  • 履歴書等の書類作成指導、面接指導を通して選考を突破する力をつけることができるよう工夫

4)良質な講師を確保するための工夫

  • 技術を教えるだけの講師は要らないと考えており、教える側の意気込みも伝えることで生徒のキャリア形成にも役立つ講師を面接重視で採用するという工夫
  • 職業訓練指導員免許をもつ人を講師にすることで講師の質を確保することができるよう工夫
  • 講師のための研修の実施や指導方法の検討会等を実施し、指導能力を向上させる工夫
  • 講師は非常勤ではなく常勤とすることで、講師の質を上げるという工夫
  • いい教師を集めるために教師を大事にするという工夫
  • 講師には受講生に教えさせて頂くという姿勢を持つことができるよう工夫
  • 求められる職員像を明確化することで、良い講師を確保しやすくする工夫
  • 講師のメンタルヘルスに配慮することで良い講師を確保し続けることができるよう工夫

5)コミュニケーション能力の育成のための工夫

  • チーム制作を重視し、組織人として成長することができるよう工夫
  • チームの団結でお互いに助け合って訓練を受けられることができるよう工夫
  • チームワーク型の実技を導入するという工夫
  • 自発性とチームワークを育成することができるよう工夫
  • コミュニケーションとして挨拶の訓練を定例化することができるよう工夫
  • グループディスカッション、グループプレゼンテーションやグループ面接実習、掃除など、コミュニケーション能力の大切さや必要性を実体験によって理解度を深めることができるよう工夫
  • 受講生とのコミュニケーションを大切にすることができるよう工夫
  • チームとして作品を製作する過程で意見をぶつけ合い組織人として成長することを狙うことができるよう工夫
  • 朝礼時に3分間スピーチを行うことで、コミュニケーションスキルを図ることができるよう工夫
  • 協調性を養うために全員で毎朝掃除しその後朝礼を行うことができるよう工夫
  • 自己PRや目標のスピーチによって、頑張るぞというクラスの雰囲気をつくりだすことができるよう工夫

6)その他の工夫

  • 協会会員事業所から職場実習先の提供や受講生の採用などの協力を得ることができるよう工夫
  • 手話の講習を通じて人に優しくなることができるよう工夫
  • 託児サービスの提供により、子育て中の母親にも訓練を受けることができるよう工夫
  • 創造的介護衣料の研修により、創造的な訓練を受けることができるよう工夫(例えば介護用衣料のペアボタンの色を一段毎に変えたものを作ることを思いついた。これは認知症等の患者に喜ばれているという。)
  • 受講生に快適な環境を提供することができるよう工夫(給茶器の設置、簡易ベッド等)
  • 税理士等が実践的経理を教えることで、より実戦的な経理を勉強することができるよう工夫

(4)職業訓練関係者のご意見等

 本調査では、職業訓練にかかる取り組み好事例を紹介する他、職業訓練委託者(県)、職業訓練受託者、職業訓練受講生の皆様から公共職業訓練(委託訓練)にかかるヒアリングを実施したので、そのご意見(主たるもの)を以下に紹介する。

公共職業訓練(委託訓練)にかかる関係者のご意見・ご要望等
都道府県(職業訓練委託者)のご意見
  • 委託訓練の実施要領が平成24年度から一本化(元々ある要領に全て入れ込んだため)したこと(それまで、離職者訓練、デュアル訓練が別々の要領となっていた)により、読みづらくなった(特に、離職者訓練の中にデュアル訓練関係の記載があることが分かり判りづらい)ので、次回改定時にはより判りやすくなるよう工夫して欲しい(岩手県)
  • 県独自に特色ある訓練として「就職力向上訓練」を実施している。就職できても中途半端な形で退職する方も見られる中、この訓練では自分自身を見つめ直し、就職の目指す先が何なのか掘り下げていくことにより、みるみる人が変化する。既存の訓練だけではなく、こうした訓練も取り入れるべきである。こうした訓練の成功の可否は、ハローワーク等関係行政機関の理解と協力が不可欠であり、関係機関には一層の協力をお願いする(岐阜県)
職業訓練施設(実施主体・受託者)のご意見・ご要望
  • 公共職業訓練(民間委託)は是非継続して欲しい(青森県A校)
  • 受講生の内的キャリア(コミュニケーション能力を高め人間関係を構築したり職業人意識を高める)を高めるため、厚労省作成のテキスト(基礎編・応用編)があると良い(岩手県A校)
  • 委託訓練を行う講師の要件として、訓練の質を担保するため、職業能力開発協会等が実施する技能検定2級以上取得資格者を原則とするべきではないか(岩手県B校)
  • 受講生を集めるのに苦労している。受託者も募集チラシを作成・配付し募集に努力しているが、チラシに新潟県のロゴ(マーク)を使用すると公的な訓練であることをよりアピールできるため、使用させていただけないか(新潟県A校)
  • ハローワークの入校指示により来られた訓練生の中には、明らかに介護に向かない人(腰が曲がっているような人)もおられ、紹介の際によく理解をさせて欲しい(新潟県C校)
  • 駅前で職業訓練校を開校している。県も当校も受講生募集PRに力を入れているが、平成24年2月生など採算ギリギリの人数しか集まらない状況であった。賃料の面で支援いただけると運営上有り難い(神奈川県A校)
  • 入校の際に就職の意思確認および意識付けを行っているが、必ずしも意思がはっきりしていない方(単に、パソコンを習いにきた)もおられることから、ハローワークでも、就職の意思確認を十分行った上で、紹介いただきたい(神奈川県A校)
  • 人材派遣業としての長年の経験から、企業が求める人物像は、「ヒューマンスキル」および「チームワーク力を含めたコミュニケーションスキル」のある人材であり、こうした求めにマッチングさせることが最も重要であると考えている。専門性がいくらあっても、これらの力が備わっていないと、就職に結びつかないことから、今後こうした点に重点を置く訓練コースを増やすべきである(岐阜県A校)
  • 受講生の利便性に考慮し、できるだけ駅に近い場所に訓練校を設けるとともに、講師の質を落とさないよう努力している。地方の場合、駅に近くないと人が集まらない傾向があるが、賃料(テナント料)の負担が大きく、徹退の要因となっている。この面でさらなる支援をいただけないか(岐阜県A校)
  • 訓練生はハローワークから紹介されてくるが、目的意識がはっきりしていない人もいる(取り敢えず、簿記でもパソコンでも何でも良いからという人)。面談をきめ細かく行い、目標の意識付けをある程度行ってから、紹介いただけると、事後の訓練でもしっかり実施できる(鳥取県B校)
  • 訓練志望者が多く、面接時間に十分時間を割けない。願書に志望動機や資格記載欄があると、面接官の理解が深まり、訓練するべき者を適切に選考できる(福岡県A校)
  • 県の施策方針によりコースの設定をしているが、訓練施設側が提案できるコース(例えば、総務・労務・販売管理等総務関係の知識を幅広く訓練できる)があっても良いのではないか(福岡県A校)
  • 職業訓練を拡充するべきである。その場合、当訓練施設では、職場実習先の開拓に長年力を注いできたところであり、就職へ結びつきやすい「デュアル訓練」を増やしていただけないか(福岡県B校)
職業訓練受講生のご意見・感想
  • 東日本大震災を契機に貨物船の仕事を辞め、現在は介護コースの職業訓練を受けている。講師は経験豊富で適切な説明をしていただいている。現場実習も組まれており応用できると思う。職業訓練には、非常に満足している(岩手県A校生・男性)
  • 東日本大震災時は、陸前高田町で水産加工の職に従事していたが継続はままならず、現在、建設重機の総合オペレータコースにおいて訓練を受けている。バックホーなど重機のオペの方法を適切にアドバイスしていただいており、不安なく動かせる状況ではあるが経験の少ない人を即戦力として採用してくれるか不安。3か月コースであるが、スキルUPにはもう少し時間があると能力向上が図られると思う(岩手県A校生・男性)
  • 離職時に比べ、確実に知識も増し、自信がついており感謝したい(新潟県A校生・男性)
  • 年齢が55歳であり介護の訓練は心配であったが、入校して見て、介護では人間の尊厳やコミュニケーションが重要であることを知り、入校して良かった。最近、中高年齢の離職者も多い状況であるが、年配者でも頑張れるのでハローワークでも入校をもっと勧めるべきである(新潟県C校生・女性)
  • 職業訓練をしていただいて恵まれていると感じるし、大変感謝している。講師も真剣にやっていただいている。事務職希望であるが、履歴書の記載一つ取っても、丁寧に見ていただいている(神奈川県A校生・男性)
  • 講師は厳しい中にも優しさがある教え方をしていただいている。訓練生も必死に授業についていけるよう聞いている(神奈川県A校生・男性)
  • ワード・エクセルなどの基本操作をこれまでに習う機会がなく自己流となってしまい、前職では十分こなせなかったことが悔しい。職業訓練で技術を習得し、アピールしていきたい。職業訓練の内容には満足している(鳥取県B校生・男女複数)
  • 職業訓練校の入学試験問題について過去問題がオープンになっていると、試験対策がしやすい。他県の過去問題やSPI試験問題集を参考に対策しているのが現状です(福岡県A校生・男女複数)
  • 職業訓練で使用するテキスト代は自己負担となっているが、高額であると負担が重い。1万円程度で収まるようさらなるご支援をいただけないか(福岡県A校生・女性)
  • 経理コースで訓練を受けているが、職場体験ができると、就職先(業種含め)の選定に参考となる(福岡県A校生・女性)
  • 職業訓練校の就職支援がしっかりしていて不安は少ないが、中途採用者向けの企業面接会の機会が少なく、増やしていただけるとさらに心強い(福岡県B校生・男性)

注)ご意見等は、主たる意見を記載。また、所属県名を表示した。

(5)おわりに

 今回の調査では、訓練実施機関関係者からご意見を聞くと共に面接又はアンケート方式により7県で受講生等計246名の方からご意見・ご感想を頂いたが、大多数の受講生からは訓練カリキュラムには満足しており、関係者に感謝の意が述べられるとともに、意欲的に訓練を受講している姿が見られた。
 ご協力いただいた職業訓練委託者(県)、職業訓練受託者、受講生の皆様には感謝申し上げるとともに、より良い公共職業訓練が行われるよう、厚生労働省としても引き続き努力するとともに、関係機関等におかれては本事例が参考となることを念願したい。

(別添)

○各職業訓練校の取組状況

 調査した職業訓練校の特徴、取組状況等について、職業訓練校毎に「概要」、「職業訓練の基本姿勢」、「職業訓練の特徴」の3点に整理して以下に紹介する。

職業訓練校 取組状況

1 八戸社会福祉専門学校

(八戸市)

1 概要

 八戸社会福祉専門学校(〒031-0082青森県八戸市常海町14-1)は青森県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【介護福祉士資格取得コース】と【介護職員基礎研修科】である(平成24年11月現在)。

 【介護福祉士資格取得コース】の現在の受講生は76名(うち離職者訓練受講生は31名)である。それを21名の従業員(教員・講師19名、事務2名)で支えている。主なカリキュラムは「人間と社会(人間の尊厳と自立等)」「介護(介護の基本、介護実習等)」「こころとからだのしくみ(認知症の理解等)」である。介護福祉科の社会福祉施設への就職者は過去100%の実績がある。2年間の修学期間を通して、社会人・職業人としてのルールやマナー、就職希望分野の理解、就職活動の実際等を指導。1年次から個別面談による就職相談を行うことで個々の進路志望に対応した就職指導を実施している。

 また、各施設・企業への就職実績と信頼のネットワークにより、地元志向が強い卒業生の就職を強力にサポートしている。就職先としての福祉施設には以下のものがある。特別養護老人ホーム・老人デイサービスセンター・身体障害者の施設・知的障害者の施設・介護老人保健施設・老人病院・ホームヘルプサービス・福祉関連企業等である。

 

 【介護職員基礎研修科】は離職者等再就職訓練事業として平成24年9月28日から平成25年2月27日までの5ヶ月間として実施中である。

 【介護職員基礎研修科】の現在の受講生は26名(全て離職者訓練受講生)である。それを14名の従業員(教員・講師13名、事務員1名)で支えている。主なカリキュラムは「生活支援の理念と介護における尊厳」「介護における社会福祉援助技術」「介護施設実習」などがある。研修時間(座学及び実技)は午前8時55分から午後4時10分と企業実習は実習先の時間に応じて1日8時間の実働を行っている。総時間数は568時間である。同じく就職率は100%である。訓練生の就職率は受け入れ開始時から前年度まで100%である。

 

八戸社会福祉専門学校 介護職員基礎研修科授業風景

 

 

2 職業訓練の基本姿勢

 介護職員基礎研修は、介護職員として介護サービスに従事しようとする者を対象として、介護に必要な能力を身に付けるための基礎的な職業訓練・教育として、対人理解や対人援助の基本的な視点と理念、専門的な職業人として職務にあたる上での職業倫理、基本的態度、基礎的な知識・技術等を学び介護に携わる人材の育成とより専門的な知識・技能を修得させることを基本姿勢としている。

 

3 職業訓練の特徴

(1)介護の授業は即社会の役に立つ

 「職業訓練の授業内容は実務の役に立たない」と言われることがあるが、当施設ではそのような事は全くない。介護は今の社会ですぐに役に立つ職業の一つである。その証拠に就職率はほぼ100%と高水準を保っている。厚生労働省の国民の皆様の声では「職業訓練の授業を受けたが、全く就職出来なかった」という意見もある様だが、ここでは受講生全員が介護福祉士になりたくて集まってきており、受講生からは「大変だがやりがいもあり、最後まで頑張りたい」という声を聞いている。

(2)授業は真剣、社会のマナーも修得

 厚生労働省の国民の皆様の声では「授業を聴く気のない受講生がおり、他の真剣に勉強している人達の邪魔になっている」との声があったが、このクラスでは全体に引き締まった空気が流れていた。高校を卒業してすぐに社会を知らずに入ってきた若い受講生と年長者である離職者訓練受講生が同じクラスで授業を受けているが、離職者訓練受講生は授業の足を引っ張るのではなくむしろクラス内でも他の受講生をリードしており、離職者訓練受講生は社会を知っているが故に真剣でありかつ成績上位者も多い。若い受講生はここで社会のマナーやルールを講師からのみではなく年長の履修生からも勉強することが多い。

(3)学校側の工夫

 いい授業の裏にはやはり学校側の様々な工夫があった。授業の進行上問題のある生徒ややる気のない生徒、精神的に不安定な生徒については、学校側で早期に気づき、相談に乗るなどの対応を行っている。また、苦情対応の窓口を設けるなどして工夫している。このため、クラスは担任制を取っており、ホームルームも開催されている。また、授業が単調にならないように、実習を上手く組み入れることで、飽きが来ないプログラムを作成するように気遣っている。その結果、受講生の声として「勉強に集中できる」とのアンケートをもらっている。

(4)質の良い教師

 この学校は先生を大事にしている。八戸社会福祉専門学校は単なる資格資格取得だけを目指す学校ではなく、人間教育も重視した学校であると同校校長は胸を張る。それは介護福祉士となってから5年以上の実習を経てさらに教員研修を積んだ方々を教員として採用しており、教員の質には自信を持っているからである。厚生労働省の国民の皆様の声欄では「説明はわかりにくく、初心者対象コースなのに初心者は全く理解できない」などというものがあったが、このようなことは一切聞かれなかった。

2 JMTC青森教室

(青森市)

1 概要

 JMTC青森教室(〒030-0844青森市桂木1-1-1)は青森県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【簿記・企業会計科】と【総合IT科】である。(平成24年11月現在)

 【簿記・企業会計科】では、ワープロ・表計算の基本的操作及び経理・総務事務の基本となる商業簿記、原価計算、労働保険に関する基礎知識、技能とITスキルの習得が目的である。「簿記・企業会計科」のカリキュラムは学科が「IT概論」「一般総務事務」「財務会計」「税務・管理会計」、実技として「パソコン基本操作」「ワープロ・表計算・プレゼンテーションソフト実習」「ホームページ作成実習」「インターネット活用」「一般総務事務」「財務会計実務」「税務・管理会計実務」「経理ソフト実習」「総合演習」である。取得資格は「日商簿記2級、3級(日本商工会議所)」「MOS Excel/Word 」「ホームページ作成能力試験(株式会社サーティファイ)」を目標としている。

 【総合IT科】では、ビジネスソフトの基本操作及び関連知識を学ぶとともにビジネスを広げるために必須となるWeb技術、効果的なWebプロモーション技術を習得する。VBA, PHP, Javaプログラミングの基礎知識を身に付けることも目的としている。このためのカリキュラムとして、学科は「IT概論」「Webマーケッティング概論」「プログラミング概論」がある。実技は「パソコン基本操作」「ワープロ・表計算・プレゼンテーション・データベースソフトソフト実習」「インターネット活用」「Webプロモーション実践」「ECサイト構築」「JavaScript基礎」「VBAプログラミング」「SQL基礎」「PHPプログラミング」「Javaプログラミング」「総合演習」がある。

取得資格は「MOS Excel2010/ MOS Word2010 」「MOS PowerPoint 2010」「MOS Access2010」「Excel VBAベーシック」「Excel VBAスタンダード」(オデッセイコミュニケーションズ)「Webクリエーター(初級)」「Webクリエーター(上級)」(サーティファイ)を目標としている。

 

簿記企業会計科授業風景 カウンセリング室

 

 【簿記・企業会計科】の受講生は現在14名(開校時20名、就職退所5名、自己都合1名)であり、訓練期間は6ヶ月である。【総合IT科】の受講生は、平成24年11月現在14名(開講時20名、就職退所6名)であり、訓練期間は6ヶ月である。

 JMTC青森の受講生数は現在61名(公共職業訓練47名、求職者支援訓練14名)、これを8名の講師で支えている。平成23年度JMTC青森教室全体の就職率は75.8%、うち離職者訓練対象者の就職率は72%である。【簿記・企業会計科】は84.2%、【総合IT科】は80.0%である。

 

2 職業訓練の基本姿勢

 JMTC青森教室は、平成13年に開設されたが、「人」「キャリア」「パソコン」等の視点から地域の為にできる事を考えるという理念を持ち、職業訓練を通じて求職者の資格取得や就職活動を支援している。

 離職者訓練、求職者訓練、在職者訓練を受託するJMTC青森教室では「知識」「技術」「センス(職業人としての価値観創設)」を3本柱に、基本的な知識・技術力を身につけさせるとともに、訓練生各人に本当にその仕事に就きたいのかという命題に向き合わせ、職業人としての「魂」を育てることを重視する姿勢で職業訓練を実施している。

 

3 職業訓練の特徴

(1)受講生間の交流を重視

 離職者訓練受講生、求職者支援訓練受講生、在職者訓練受講生は本来別コースであるが、職業人講話や就職支援などカリキュラム的に許すものや、休み時間・放課後などを利用して意見交換・交流の場を意識的に設けている。様々な職業経験者との交流から刺激を受け、社会人として自己を高めることでメリットが生じている。

(2)グループ・個別カウンセリングにより受講生のやる気を育成

 離職者訓練では離職により自信を喪失している訓練生が多いことから、グループ・個別カウンセリングにより自信を取り戻し、やる気にさせる工夫をしている。また、職業人としての自立性を高めるため、毎朝の朝礼時に3分間スピーチを行っている。さらに、職業訓練では「世の中に求められる職業人とは何か」を常に意識し追求するように指導するとともに、外部から有識者を招いて職業人講話を行うことなどによって職業人意識・コミュニケーションスキルの向上に日常的に取り組んでいる。

(3)ジョブカードは有効であり就職に対する意識を高めるために使用

 キャリアコンサルタントの指導によるジョブカードの作成は、自己の長所・短所を再認識させると同時に、就職に対する意識を促進させ目標を明確にさせることに有効である。また、ジョブカードを履歴書や職務経歴書などの応募書類としてコンパクトにまとめることで企業にPRするためにも有効と思われる。

(4)やる気のある講師を採用

 教える側の講師を採用する際には、「技術を教えるだけの講師はいらない」との考えから、教える側の意気込みを伝えられ、受講生のキャリア形成に役立つことのできる講師を面接重視で採用している。

(5)チーム制作を重視し、組織人として成長できるよう配慮

 WEB制作(WEBデザイン、企業・商品宣伝HP作成、ネットショップ運営等)ではチームを編成する。制作過程では訓練生がアイデアを出し合い、互いに意見をぶつけ合い、時には自らの意見を変える場合もあるなど、チーム内の議論を通じて、個人としてではなく、企業のチームとして制作(提案)したらどうなるかという観点から作業を行うことで組織人として成長できるよう配慮している。

(6)就職支援の一環としてジョブクラブ方式を採用

 訓練全般を通じて日常的に職業人意識、ビジネスマナー、基礎学力、コミュニケーションスキルの向上を就職支援の目的としているが、更に訓練中から「ジョブクラブ方式」によるグループでの就職活動を推進している。この方式は、主体的に目標を設定し、行動計画を立てる活動を目指すため、訓練終了後も週に一回集合日を設けて、就活生同士による就職情報の交換や面談の経験などの情報を教え合うなどの活動を行うことで就職力をつけようとするものである。

3 気仙職業訓練協会

(大船渡市)

1 概要

 気仙職業訓練協会(〒022-0003岩手県大船渡市盛町字みどり町13番地4)は岩手県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【総合オペレーション科】と【OA介護科】である(平成24年11月現在)。

 【総合オペレーション科】の受講生数は現在10名(うち離職者訓練は4名)、【OA介護科】は10名(うち離職者訓練は4名)である。これに対して教員は【総合オペレーション科】7名(非常勤)、【OA介護科】は13名(非常勤)が対応している。また、事務職として正社員2名、臨時職員2名がサポートしている。平成23年度【総合オペレーション科】の訓練期間は3ヶ月であり、離職者訓練の就職率は90%である。【OA介護科】の訓練期間は3ヶ月であり、離職者訓練の就職率は78%である。

 

総合オペレーション科授業風景 総合オペレーション科実習風景

 

2 職業訓練の基本方針

 東日本大震災により多くの方が職場を奪われ、離職せざるを得ない状況となったが、岩手県ではこれらの方々の再就職の為に、大船渡市において「総合オペレーション科」を特別訓練コースとして新設し、重機の免許取得を目指す職業訓練を行っている。気仙職業訓練協会ではこの事業を県の委託を受けて実施し、東日本大震災の復興に役立てたいとしている。

 

3 職業訓練の特徴

(1)震災復興に必要な建設機械の運転の修得

 復興を目指す建設現場では、様々な建設機械が必要であり、それぞれに応じた運転技術が要求される。例えばフォークリフト、小型移動式クレーン、バックホー、タイヤローダー等の荷役運搬・建設機械があるが、各々の機械の操作や玉掛けなどのこれに付随する作業には操作資格が必要であり、操作等資格を取得した訓練生が採用されている。

(2)復興に為に役に立ちたいという想い

 建設重機の操作は大変であるが、一早い復興には建設の仕事が不可欠であり、被災地の復興に一役買いたいという方々の想いがこの訓練の支えとなっている。

(3)チームの団結

 離職者訓練という性質上、前職が様々な人たちが集まっているにもかかわらず、津波等を受けられた沿岸部の方々は生活がかかっているため、受講生は皆真剣に取り組みお互いに助け合って訓練を受けている。非常にまとまりが良いことがクラスの特徴である。

(4)経験豊富な教授陣

 OA介護科を受講されているMさんは、前職は貨物船の船員だったそうだが、震災後は陸の上の仕事がしたいということで介護のコースを選択された。前職との大きなギャップがあるにもかかわらず、訓練が受けられているのは、「介護の先生が素晴らしかったから」と断言されている。厚生労働省の国民の声では「説明はわかりにくく、初心者対象コースなのに初心者は全く理解できない」という苦情があったが、ここではそのようなことは全くなく先生については申し分がないとのことである。

(5)しっかりした事務局体制

 気仙職業訓練協会の施設も津波の被害を大きく受けており、一階の天井部分まで津波に浸かったという状況にあったが、「離職された方々が早く就職出来るように」との想いから、震災から24日目で訓練を再開し、施設の修復を震災後3カ月で出来たのは、関係者及び事務局の皆様の懸命な努力の結果である。また、「受講生同士はお互いに知らない人達にもかかわらず、皆が励まし合って団結してクラスを終えることが出来たのは、受講生が困った状況にあり心が荒れているときも、一人一人に親身になって相談に乗ってもらえた優しいお母さんのようであった事務局長の存在がある」との声がある。

(6)就職後の状況

 訓練生の大船渡市での最大の雇用先であるN社の採用担当の方は「訓練を終えられた方は非常にまとまりがあり、よく働いている」との評価をもらっている。

4 岩手中央訓練協会

(盛岡市)

1 概要

 岩手中央訓練協会(〒020-0807岩手県盛岡市加賀野4丁目18番50号)は岩手県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【OA実務科】と【福祉住環境デザイン科】である(平成24年11月現在)。

 【OA実務科】とは、パソコンの関連知識と技能を学ぶことで、文書作成、表計算、インターネットに関わる知識と技能を修得すること、実務において必要なデータ処理や販売・広告活動に利用出来るアプリケーション操作ができるようになることを目的としている。学科は、「パソコンの基礎・概論」「ビジネス基礎スキル」「コミュニケーション」、実技として「パソコン基本操作」「文書作成実習」「表計算実習」「インターネット実習」「アプリケーション実習」「企業実習」「CADオペレーション実習」の訓練を受ける。【OA実務科】の受講者数は19名で全て離職者訓練生である。教員数は7名である。訓練期間は3ヶ月、就職率は68.4%である(平成23年度同科実績)。

 

福祉住環境デザイン科授業風景 フォローアップ講習

 

 【福祉住環境デザイン科】とは、福祉住環境の知識に基づき、高齢者や障害者に配慮した住まいの設計・製図、クライアントの要望を把握分析し、問題解決策の提案、ビジネスマナーの修得を目的としている。このため学科として「福祉住環境概論」「福祉用具専門知識」「コンサルティング技術」「労働概論」「労働安全衛生」「接遇・ビジネスマナー」「就職ガイダンス」、実技としては「文書帳票作成演習」「住環境設計演習」「CADオペレーション演習」「プレゼンテーション演習」の訓練を受けている。合計の訓練時間数は480時間である。「福祉住環境デザイン科」の受講者数は20名で全て離職者訓練生である。教員数は10名である。訓練期間は3ヶ月、就職率は75.0%である(平成23年度同科実績)。

 

2 訓練校の基本姿勢

当協会は盛岡市を中心に約150の事業所で構成している団体で、会員事業所が岩手中央高等職業訓練校に従業員を派遣して職業訓練を行っている。現在の技能・技術者は単にものを作ることができるだけではなく、その裏付けとなる知識を持っていなければよい製品は作れない。以前のような見習い制度では現在要求されている技能・技術の知識を身に付ける事はできず、優れた技能・技術者になるためには系統的組織的な訓練が必要である。そのため事業主が集まって協働して訓練を行う団体を作り県知事の認定を受けた訓練を行っている。

 

3 職業訓練の特徴

(1)PC訓練は幅広く、実戦的

 OA実務科では一般事務を行う基礎としてPC操作をウインドウズ、ワード、エクセル、インターネット、パワーポイントまでをカバーしており、CAD等専門性の高い分野まで幅広く訓練科目に取り入れている。

(2)多様な職種に対応するビジネススキルの習得

 ビジネスの基礎スキルとして、アイデアの提案と問題解決能力の開発、プレゼンテーション技術をベースとしたコミュニケーション能力の開発など、事務・営業・販売・精算・技術等、どの職種に行っても役立つ技能を提供している。

(3)職業訓練指導員が講師

 岩手中央職業訓練協会では訓練指導に当たる者は職業訓練指導員資格を持っている。訓練を担当する指導員は「職業訓練指導員免許」を必要であるため、厚生労働省の国民の皆様の声にあるような「生徒の質問にきちんと答えられないような講師」はいない。

(4)就職支援への独自の取組

 就職支援への独自の取組としては次のようなものがある。

1)訓練カリキュラム

[1] IT、介護等の科目別専門能力の訓練

[2] ジョブカードの作成等のキャリアデザインの訓練

[3] コミュニケーションスキル等の対人能力の訓練

[4] 創造的思考等の概念化能力の訓練

2)フォローアップ講習

[1] 復習練習等のスキルレベルアップ

[2] PCソフトウエア等の利用のため施設設備開放

[3] 関連資格受験等の資格取得

[4] 就職活動等受講生の状況把握

3)就職支援コーディネータ養成

[1] 企業実習先の開拓

[2] 登録キャリアコンサルタントへの登録

[3] キャリアコンサルタント養成講座の受講

[4] キャリアコンサルタント試験の受験(資格取得)

4)会員事業所の協力

[1] 企業職場実習を通じての職場体験

[2] 会員事務所による受講生の採用

[3] 事業所内の職業訓練指導員を講師として依頼

5)講師指導能力向上

[1] 能力開発研修

[2] 指導員免許の取得

[3] 指導方法検討会

6)キャリアコンサルティング

[1] ジョブカード作成支援

[2] 履歴書・職務経歴書作成指導

[3] 相談・アドバイス

[4] 職業情報提供

 この中でも特に岩手中央職業訓練協会独自の取組として、フォローアップ講習がある。これは、講習終了後、希望する者に対して各種就職支援及び資格取得とより高度な専門知識・技能を習得することができるものである。最長2ヶ月の訓練を続けて実施、受講料は無料である。ここで行われている就職試験などの情報交換等は就活生にとって貴重な情報であり、同じ仲間意識が共有できる。岩手中央職業訓練協会が公益団体であり、社会・地域への貢献を旨とする理念を持っているからこそできるものである。

5 パソナ岐阜委託訓練センター

(岐阜市)

1 概要

 (株)パソナ岐阜委託訓練センター(〒500-8833岐阜県岐阜市神田町7-13)は岐阜県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【就職力向上訓練】である(平成24年12月現在)。

 この訓練は、希望する職種や業界に関係なくどこでも受け入れられる能力を養成する新しいタイプの職業訓練であり、「産業人材育成コース」という名前でコースを設定している。どの企業においても一般的に企業が求めている能力・特性を伸ばしかつ最大限に高める研修を目指している。企業が求める能力・特性とは、主には「意欲、チャレンジ精神が旺盛である」「自分の考えを説明できて他人の話を良く聞ける」「謙虚・素直である」「変化にする適応力が高い」「学習能力が高い」「基本的なビジネスマナーを身に付けている」「基本的なITスキルがある」である。このために必要な訓練カリキュラムは学科として「企業人基礎」「企業人応用」「就活ノウハウ」「キャリアライフプラニング」「パソコンスキルアップ」がある。実技には「研修企画」「地域課題研究」「商品企画」「卒業制作」がある。また、就職支援として「キャリアカウンセリング」「応募書類添削」を行っている。訓練期間は3ヶ月、合計訓練時間数は348時間である。受講者数は11名(離職者訓練生)であり、教員数は全体で2名である。離職者訓練対象者の就職率は72.7%である。

 

2 訓練校の基本姿勢

 厳しい雇用状況の中、求職者が就業するためには様々なスキルが求められており、就職力向上訓練はますます必要となっている状況にある。求職者によっては技術スキルの向上が不可欠な人材もいれば、技術スキル以上にヒューマンスキルやソーシャルスキルの獲得が不可欠な人材もいる。この産業人材育成コースでは、パソコンスキル等に加えてヒューマンスキルやソーシャルスキルの開発養成に重点をおいた訓練を実施しており、就職率の結果からもこの訓練が有効であることがわかる。平成23年度の離職者訓練(委託)全国平均は66.8%、岐阜県からの委託の離職者訓練平均は67.7%に対して、当センターの産業人材就業マッチング事業では83.3%(うち離職者訓練は72.7%)である。従ってこの産業人材育成コースにおいては、ヒューマンスキル及びソーシャルスキルの開発養成に重点を置いた訓練を実施していくことにより多くの離職者を就職に結びつけ再雇用問題の一助としたいと考えている。

 

3 訓練の特徴

(1)エンプロイアビリティ(雇用され得る能力)の開発

 ヒューマンスキルやソーシャルスキルを開発する訓練により、エンプロイアビリティを身につけ、自力で就職活動できるようにする。

(2)キャリアカウンセラーの資格を持つ講師陣

 キャリアカウンセラーの資格を持ち就労支援経験が豊富で、かつ失業者に対してヒューマンスキルやソーシャルスキルを開発した経験がある人を講師としている。講師は必ず複数として相互にバックアップする体制となっており、訓練に支障が生じないようにしている。

 

就職力向上訓練科授業風景 職業訓練生募集用パンフレット

 

(3)チームワーク型の実技の導入

 自分を取り巻く状況を正しく認識し、同じ境遇の仲間との意識の共有を図ることで勤労、就業に対する意欲を高め、心の通じ合える環境で醸成された仲間意識(チームワーク)を作ることで研修に積極的に参加できるようにする。

(4)強固な就職支援体制

1)人的支援体制 

 キャリアカウンセリング資格を持っており、かつ就業支援経験を持っている人材を登用している。さらに求人開拓も可能な人材で支援体制を固めている。

2)就職支援カリキュラム

 パソナ独自の支援プログラムをベースに更に本訓練事業用にカスタマイズしたものを使うことで、高い就職率を上げている。具体的には「個別面談による綿密な職業相談」「オーダーメイド型求人開拓」「独自のノウハウによる面接指導」「ジョブフェア」などの手法を使っている。

(5)自発性とチームワークの育成

 協調性を養うために全員で毎朝掃除を行い、その後朝礼を行う。このことで自発性とチームワークを同時に養うことができる。

(6)いつでも就職が可能な状態

 ここは学校ではなく職場であり、いつでも就職のための面接に行けるようにスーツを着用するよう指導されている。人生に対する危機感を持つと同時に就職に対する臨戦態勢の準備ができていることが重要である。

(7)伴走支援の実施

 働くことについて悩みを持つ訓練生に寄り添う「伴走者」が置かれている。「伴走者」は、訓練生に対してカウンセリング(押しつけや指導ではなく気づきを促すカウンセリング)、コーチング(メンタル面とスキル面の強化)、コンサルティング(自己理解、仕事理解、環境理解、目標設定を促す)を行いながら、訓練生が自ら就職活動での自信をつけ、自身の個性や魅力、強みについて理解することが出来るよう指導する。これにより、自分で課題に気づき、自ら目標に向かって走れる「自立・自律型人材」を育成することを目標としている。

(8)選考を突破する力をつける

1)書類作成指導

 就職関連の書類の作成指導を受けることで、選考を突破できるだけの文章力を身につけることができ、更に業務上における書類・文書作成能力、文書を使った「伝達力」と「文書作成能力」を向上させる事ができるようになる。

2)面接指導

 面接では相手に自分の考えていることを適確に伝えることが大切である。また、その場で相手に印象づけることが要求される。そのためにはその時だけの付け焼刃ではなく日々の訓練によって伝達力を向上させることが面接に臨むために重要である。

6飯原学園

(岐阜市)

1 概要

 学校法人飯原学園(〒500-8082岐阜市矢島町1丁目28番地)は岐阜県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【介護福祉総合科】である(平成24年12月現在)。

 【介護福祉総合科】とは介護に関わる関連知識と技能を学ぶことで、カリキュラムとしては「介護員養成研修2級課程」「認知症・接遇・介護現場の話」「手話」「介護衣料」「パソコン」「就職支援」がある。生徒数は20名である。訓練期間は3ヶ月、就職率は96%である。

 

正面入口 介護福祉総合科授業風景

 

2 訓練校の基本姿勢

 当校の訓練を受けた卒業生には優秀な人が多く、就職後ヘルパーで約3年を経験した後に介護福祉士を目指して勉強をする人が殆どである。卒業生の多くは常に向上心を持ち、勉強を続ける気持ちを持っており、更にケアマネージャを目指す人もいる。当校を卒業後ヘルパーで就職し特別養護施設の施設長にまでなった卒業生もいる。介護の仕事の楽しみがわかるようになれば、長く介護の仕事を続けられる。また、学校であるので、単なる利益追求を行う民間企業とは違い、授業を教育として捉まえており、「志」を教育するという姿勢である。

 

3 訓練の特徴

(1)介護員養成研修2級課程は介護の第一歩

 介護員養成研修2級課程は介護の仕事に就く第一歩と位置付け、介護福祉士を目指せる人材を育成できるよう講師の人選をしている。

(2)介護で一番大事なのは心の持ち方であり、これがしっかりしていることがこの仕事を長く続けられる秘訣である

 技術はそれぞれの事業所により異なるため基本をしっかり身につけ、あとは「介護に関する心の持ち方」に重点を置いており、平成12年より同様の講座を行っているが、大半の人が介護の職についており、しかも長続きしている。

(3)介護衣料の講習は創造力の養成の場でもある

 介護衣料の時間を設け創造力を養い工夫する力をつけている。例えば患者さんのボタンの開発を行ってきた。ペアボタンの色を一段毎に変えることで掛け違えを防止できるなど使いやすい工夫が満載されている。「衣料の体験はとても新鮮な気持ちで取り組めた」との受講生の声もあり、受講生アンケートでは好評であった。

(4)手話の講習は人に対して優しくなれる訓練でもある

 介護主任で手話ができる講師が、現場の話を取り入れながら手話の授業を担当している。手話を学習するとその副次的な効果として人に優しくなれるという。

(5)パソコン訓練も必修

 介護の現場では報告文書を作成することが多いため、パソコンを使いこなせるように訓練を行っている。

(6)託児所も手当てしている

 子供を抱えた母親にも訓練を受ける事ができるよう、託児所を契約している。

(7)優秀な教授陣を揃えている

 講師は厳選しており、大学の介護福祉を教えている先生がプログラムを作成し、かつ丁寧に教えている。

(8)受講生のアンケートは訓練内容の素晴らしさの証明

 受講生からのアンケートでこのコースの感想を聞いてみたところ、多くの受講生が「良かった」「楽しかった」と言っている。また、「想像していたよりもはるかに楽しい仕事だとわかった」「授業を受けるうちにやってみたいという気持ちに変わった」「今まで知らなかった自分を発見できた」「介護とは人生の終盤をどう過ごすか、そのために今をどう生きるかを考える大切な時間であることを教えられた」「ときには命に関わることもある仕事の責任の重さも感じた」「実習で介護される側の人の気持ちがわかるようになった」「常に相手の立場にたった介護、尊敬の念を忘れないようにしたいと思った」「魂が震えるような瞬間を訓練で何度も体験し、より深く人と触れ合う仕事に就きたくなった」「誰かの為にと思っていたが、実は自分自身が豊かな気持ちになった」「受講の動機は介護の専門知識があればいずれ役に立つと思っただけだったが、いまは明確な志を持って介護のプロを目指している」といった回答は訓練の素晴らしさを十分に伝えている。

(9)高い就職率

 優秀な卒業生が在校生のレベルを保証し、施設と直結しているため求人も早く入手でき多数が就職している。

(10)スタッフの熱い思いが優秀な講師を集める原動力

 T理事の人柄と凛とした立ち居振る舞いは、「類は友を呼ぶ」という言葉どおり、介護に対する熱い想いを持つ講師の方々を呼び寄せ、ひいては受講生を感動させる授業へとつながっていると思われる。

 

7 PCアカデミーオーシャン小田原校

(小田原市)

1 概要

 PCアカデミーオーシャン小田原校(〒250-0011神奈川県小田原市栄町1−2−1)は神奈川県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【パソコン実務科】と【WEBデザイン基礎科】である(平成24年12月現在)。

 【パソコン実務科】は、ITに関わる関連知識と技能を学ぶことが目的であり、カリキュラムとしては「職業人基礎能力」「OS基礎」「Microsoft Office基礎(Word・Excel・PowerPoint・Access)検定対策、情報セキュリティ」である。 受講生数は22名であり、教員数は2名、事務スタッフ1名、就職支援スタッフ1名である。訓練期間は3ヶ月、就職率は平成23年10月コースで92.9%である。

 【WEBデザイン基礎科】は、Microsoft Officeの基本操作に加えてWeb制作に関連する知識・技能を習得し、事務職や営業職でもプラスαのスキルを身に付けることが出来る。具体的なカリキュラムとしては「職業人基礎能力」「コンピュータ概論」「Webデザイン概論」「情報セキュリティ」「Microsoft Office基礎(Word・Excel・PowerPoint」「画像編集(Illustrator・Photoshop・Flash)」Webページ作成(Dreamweaver・HTML・CSS)がある。 訓練期間は4ヶ月、受講生数は26名である。教員数は2名、事務スタッフ1名、就職支援スタッフ1名である。就職率は平成24年6月コースで100%である。

 

正面入口 WEBデザイン基礎科コース授業風景

 

2 訓練校の基本姿勢

 基本的な考え方として「職業訓練を受託した職業訓練校として、職業訓練の趣旨を理解し、委託訓練の目的を忠実に遂行する」ことを考えている。訓練生に対しても訓練開始当初から職業訓練の趣旨と目的を厳しく伝え、訓練生と正面から向き合って対応することで就職意欲を高めていくことを常に心掛けている。時には甘い考えを持っている訓練生や就職意欲のない訓練生からの反発もあるが、職業訓練はカルチャー教室ではないので、毅然とした態度・姿勢で指導している。就職支援担当者だけではなく、スタッフ全員が訓練生と正面から向き合い、就職意欲の向上と職業人としての社会での役割や社会貢献などを根気よく指導するという考え方で就職支援の取組を行っている。

 

3 訓練の特徴

(1)職業訓練の趣旨や目的を一番最初に強調

 開講直後に職業人基礎講座を行い、訓練の趣旨・目的を認識させる。これにより職業訓練を受けるという覚悟と認識が固まり以後の対応が上手くできるようになる。

(2)会社でのシミュレーションを常に考える

 コミュニケーションスキル・職業人意識・ビジネスマナー講座を実施しているが、常に職場にいるつもりで行動が取れるよう意識付けを行うとともに、改めて“働くこと”の理解を深め、社会人としての責任や社会貢献について自ら考えるように指導している。

(3)職場訓練としてのPDCA

 職場を仮定したグループ(課・係などをイメージ)を編成し、訓練期間中のグループの目標とルールを訓練生自身で協議・策定し、目標達成に向けての道のりを計画(P)し、実行(D)に移し、途中経過を確認(C)した結果、行動(A)の見直しを行う。最終的にこのプロセスをグループ毎に発表する。これによって企業内で組織として業務に取り組むことへの意識付けとなり、責任と役割を認識するようになる。

(4)就職活動への早期からの取組

 個別面談は、開講後の早い段階から開始し、訓練期間中に各自2〜3回実施し、状況の把握や就職活動の指導を行う。また、毎日の求人検索により最新の求人情報を閲覧することで、就職を常に意識させる。

(5)コミュニケーションとしての定例の挨拶訓練

 コミュニケーションの基本となる“挨拶”を重視し、授業の開始と終了の際に全員で挨拶を行う。

(6)細やかな就職相談体制

1)曜日・時間を問わず就職相談ができる体制としている。

2)訓練終了後は各訓練生の希望条件や適性にあった求人情報を検索し、週に2〜3回メールを配信している。

3)訓練終了後の就職状況報告時に未就職者に来校を促して活動状況の詳細を確認し、問題点の洗い出しや活動方法の見直しを話し合って指導する。

4)リクルートスーツのレンタル(無料)を行っており、いつでも面接に行けるように体制を整えている。

5)履歴書に貼付する写真撮影(無料)も行っている。

6)ビジネス英会話セミナー(無料)も実施している。

8 スタッフエースビジネススクール燕三条校

(三条市)

1 概要

 スタッフエースビジネススクール燕三条校(〒955-0092新潟県三条市須頃2丁目106番地)は新潟県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【CAD科】【経理事務エキスパート科】【IT事務応用科】【経理事務養成科】である(平成24年12月現在)。

 【CAD科】は、目標資格として「CADトレース技能審査機械部門初級(中央職業能力開発協会主催)」「同中級」「3次元CAD利用技術者試験2級(社団法人コンピュータソフトウエア協会主催)」を掲げている。カリキュラムは学科として「製図の基礎知識」「製図の知識応用」「機械製図の知識」「3次元CADの基礎知識」「CADシステムの基礎知識」「システム・ネットワークの基礎知識」「建築製図の基礎知識」実技として「ワード2007操作実習」「エクセル2007操作実習」「2次元CADの基本」「2次元CADの操作応用」「図面作成」   「建築図面の基礎演習」「3次元CADの基本操作」「CAD資格練習」であり、総訓練時間は、就職指導時間を含めて720時間である。受講生は10名、教員は2名(メイン担当教員と就職担当教員)プラス1〜2名の追加要員でサポートしている。訓練期間は6ヶ月、前回の就職率は78%である。

 【経理事務エキスパート科】は目標資格として「簿記検定3級(日本商工会議所主催)」「簿記検定2級(同)」「日商PC検定(文書作成)2級(同)」「日商PC検定(データ活用)2級(同)」を掲げている。カリキュラムは学科として「3級商業簿記」「日商簿記3級検定対策」「2級商業簿記」「2級工業簿記」「日商簿記2級検定対策」「日商PC2級文書作成演習」「プレゼンテーションの知識」「ワード2007操作実習」「日商PC2級文書作成演習」「エクセル2007操作実習」「日商PC2級データ活用実習」「パワーポイント2007操作演習」であり、総訓練時間は、就職指導時間を含めて714時間である。受講生は17名、教員は2名(メイン担当教員と就職担当教員)プラス1〜2名の追加要員でサポートしている。訓練期間は6ヶ月、前回の就職率は88%である。

 

CAD科授業風景 経理事務養成科授業風景

 

 【IT事務応用科】は目標資格として「ITパスポート試験」「日本商工会議所主催日商PC2級(文書作成)」「日商PC2級(データ活用)」を掲げている。カリキュラムは学科として「ITパスポート」「日商PC2級文書作成知識」「日商PC2級データ活用知識」であり、実技としては「ワード2007操作実習」「エクセル2007操作実習」「日商PC2級データ活用実習」がある。総訓練時間は、就職指導時間を含めて354時間である。受講生は10名、教員は2名(メイン担当教員と就職担当教員)プラス1〜2名の追加要員でサポートしている。訓練期間は3ヶ月、前回の就職率は76%である。

 【経理事務養成科】では、目標資格として「簿記検定3級(日本商工会議所主催)」「日商PC検定(文書作成)3級(同)」「日商PC検定(データ活用)3級(同)」を掲げている。カリキュラムは学科として「3級商業簿記」「日商簿記3級検定対策」「日商PC3級文書作成知識」「日商PC3級データ活用知識」があり、実技としては「ワード2007操作実習」「日商PC3級文書作成実習」「エクセル2007操作実習」「日商PC3級データ活用実習」である。受講生は10名、教員は2名(メイン担当教員と就職担当教員)プラス1〜2名の追加要員でサポートしている。訓練期間は3ヶ月、前回の就職率は83%である。

 

2 訓練校の基本姿勢

 「モノやカネ中心の時代」から「ヒトの時代」へと移っていく中で教育の大切さを大事にしていきたいとしている。同社のモットーは「変わり続ける」であり、常に変革を志し、新しいサービスを考えることが同校の基本姿勢である。

(1)教科指導

・主にオフィスワークに必要なスキルを習得するための訓練の実施

・ワード、エクセル、パワーポイント、アクセスその他のアプリケーションソフトに関する実習

・簿記、総務関連、会計ソフト、給与ソフトなど経理事務、総務事務

・Webクリエーター、CADオペレータ等の専門スキルの習得

・資格取得のための検定対策の実施(MOS、日商PC検定、日商簿記検定、コンピュータサービス技能評価試験、CADトレース試験、3次元CAD利用技術者試験、ITパスポート試験、Webクリエーター能力検定試験)

(2)生活指導

・挨拶の励行

・身の回りの整理整頓の励行

・コミュニケーション能力の育成

(3)就職指導

・職務経歴書・履歴書の書き方、面接の受け方の指導

・ビジネスマナーの実技指導

・就職支援(クラス毎に支援担当者がキャリアコンサルティングを実施)

・就職講話の実施

 

3 訓練の特徴

(1)充実した訓練とするための工夫

・講師の質を上げるために講師は常勤として採用している。

・講師は「常に教えさせて頂く」という姿勢のもと、訓練生の人権を十分に尊重した講習を心掛けている。

・訓練生には入校初日に就職講話として校長先生が社会人としての心構えを伝えている。

・オリジナルの練習問題を補助プリントとして豊富に用意しており、訓練生一人ひとりのスキルや理解度に合わせて練習問題を選択し、訓練時間を有効に活用できるように工夫している。

・開始時と終了1ヶ月前にアンケートを取り要望や改善点等があればできる限り対応するようにしている。

・全社員が訓練生の様子を気にかけ、気づいたことを伝えあっている。そのため訓練生一人ひとりに対して細やかな対応ができる。

・担任以外にも相談窓口を設置しており、相談しやすい環境を作っている。

・コース毎に授業担当者(担任)と就職支援担当者が明確に分かれているため、訓練生が相談しやすい環境となっている。

(2)訓練生に快適な環境を提供するための工夫

・無料駐車場完備、給茶器の設置、OAフロア、多目的トイレ・エレベーターの設置、就職・苦情相談室を2部屋設置、個人情報取扱の徹底、急病時対応として毛布・簡易ベッド・車椅子設置、緊急時に備え避難経路図の掲示と訓練生への周知、インフルエンザ等ウイルス感染防止のため加湿器・消毒液を設置。

・ISO14001を取得しており、環境並びに法令遵守に関する社員教育が徹底されている。

(3)就職率を上げるための工夫

・グループディスカッション、グループプレゼンテーションやグループ面接実習、掃除などグループで作業する時間を設けてコミュニケーション能力の大切さや必要性を実体験によって理解度を深めている。

・派遣事業を行っていることから企業の求める人材についての情報の提供を可能としている。

・就職支援情報を常に教室内の掲示板に見やすく掲示している。

・履歴書・職務経歴書等の応募書類を丁寧に添削し指導している。

・訓練終了期間後も登校日を設け就職状況の情報交換を行い、就職活動に対してのアドバイスも実施している。

・就職支援担当者は企業を多数訪問しており、地場の最新情報に詳しく巾広い情報提供と適確なアドバイスができるようにしている。

・訓練生のパソコンのトップページをハローワークの求人検索サイトに設定している。

(4)資格取得に向けた取組

・可能な限り本校を試験会場として登録することで試験当日の訓練生の負荷を軽減するように配慮している。

・資格の重要性・必要性を日々の訓練の中で指導を行うことで、できる限り多くの訓練生が受験するように指導している。

9 ビジネス・インターネットカレッジ新潟校

(新潟市)

1 概要

 ビジネス・インターネットカレッジ新潟校(〒950-0912新潟県新潟市中央区南笹口1丁目1-54)は新潟県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【経理事務応用科】と【Webクリエーター科】である(平成24年12月現在)。

 【経理事務応用科】は短期間で経理とパソコンスキルを身につけ実務に役立つ事務員となることを目的としており、目標資格として「簿記検定3級(日本商工会議所主催)」「日商PC検定(文書作成)2級(同)」「日商PC検定(データ活用)2級(同)」を掲げている。カリキュラムは学科として「社会」「ワークガイダンス」「デジタル仕事術」「簿記概論」であり、実技は「ワード」「エクセル」「パワーポイント」「ビジネスメール」「IT実務トレーニング」「簿記演習」「簿記実務トレーニング」である。」訓練期間は3ヶ月、総訓練時間は330時間である。受講生は18名、教員は4名(簿記1名、IT2名、その他1名)でサポートしている。

 

経理事務応用科授業風景 職業訓練生募集用チラシ

 

 【Webクリエーター科】は、ホームページの更新スキルとビジネスソフトを習得し、実務力を養い就職することを目的としている。目標資格としてはWebクリエーター能力認定試験初級を目指している。カリキュラムは学科として「社会」「パソコンの基礎知識」「ワークガイダンス」「情報社会」「Web概論」であり、実技は「ワード」「エクセル」「実務トレーニング」「インターネットと情報処理」「ビジネスメール」「Webの基本」「Webの制作演習」「画像処理」である。訓練期間は3ヶ月、総訓練時間は336時間である。受講生は15名、教員は2名プラス1名の追加要員でサポートしている。前回就職率は70%である。

 

2 訓練校の基本姿勢

 変化に対応しうる人材の育成を目指して職業人育成を行っている。社会状況の半歩先を見据えた人材教育をモットーとして時代に合わせた教育・訓練を実施している。

 この地域では中小企業が多いために特定の専門的な要員を専門分野毎に雇う余裕はない。このため一般職員(事務員)の業務内容を補強し専門性を持たせることを主眼とした教育内容としている。主な訓練としてはIT基礎・応用、Web訓練、簿記訓練がある。

 職業訓練の3本柱として、以下のものを挙げている。

(1)教科指導:職業に必要な専門的な知識・技術の習得

(2)生活指導:職業人にふさわしい生活態度の涵養

(3)職業指導:就職、キャリア形成に係わる助言指導

 

3 訓練の特徴

(1)独自の就職支援

 就職支援は非常勤講師に一任する学校が多い中、当校は教育訓練担当者とは別に就職担当の社員がおり、この社員が受講生の訓練の悩み、進路の相談、受講後の就職相談までを一つのパッケージとして担当している。これによって個人のモティベーションに合わせた就職支援を可能としている。就職担当者は原則学校に待機しており、いつでも相談に応じるという体制を敷いている。特に本人が気づいていないその人の強みを見つけ、本人のやる気を引き出し、本人の力で就職出来るように指導している。

(2)就職のフォローアップ

 入校から訓練受講、そして訓練終了となるが、更に終了後も就職活動を行っており、3ケ月〜6ヶ月位までのフォローアップを行っている。

(3)細やかな生活指導

 生活指導担当者は生徒の問題に寄り添い、親身になって指導を実施している。このような地道な努力が当校の評判を支えている。

(4)充実した教育体制

 3つある各教育施設は、講習会場となるとともに検定試験の会場ともなっており、より資格試験が受けやすい状況を作り出している。講師陣は総勢20名以上のスタッフをそろえており、それぞれ各分野のスペシャリストである。機材は全校で200台以上のPCを揃えており、ソフトウエアも最新版で充実させている。

(5)託児サービスの提供

 修学前の児童を対象に、職業訓練を受講することによって当該児童を保育することができない場合や同居の親族その他の者が当該児童を保育することができない場合に利用可能としたサービスを提供している。

(6)求人票は毎日更新

 教室及び廊下に張り出されている求人票は毎日更新され、受講生に最新の情報を提供しようという学校側の姿勢が現れている。

10  つばめ福祉会

(燕市)

1 概要

 社会福祉法人つばめ福祉会(〒959-1263新潟県燕市大曲2486番地)は新潟県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【介護職員基礎研修科】である(平成24年12月現在)。

 【介護職員基礎研修科】はホームヘルパー1級より上位に位置する研修であり、今後(平成25年度から)は実務者研修として位置づけられることとなる。

 学科は「生活支援の理念と介護における尊厳の理解、認知症の理解」「高齢者・障害者等が活用する制度及びサービスの理解」「高齢者・障害者等の疾病・障害等に関する理解、生活支援と家事援助技術」「医療及び看護を提供する者との連携、介護における社会福祉援助技術」「生活支援の為のアセスメントと生活、介護職員の倫理と職務」「キースキル講習」である。

 実技は、「介護におけるコミュニケーションと介護技術」「事前、事後演習」「施設実習(特別養護老人ホーム、デイサービスセンター等)」である。訓練期間は5ヶ月、学科340時間、実技254時間、合計594時間の実習を予定している。今回のコースでは受講生数は20名であるが、この授業に関わる講師の数は約30名近くにのぼる。それは本法人が多くの老人ホームや事業所を抱えているため、現職の職員が実務等の講師を兼ねていることが大きい。前年度までの平均就職率は82.4%である。就職先としては、社会福祉法人が61.0%と圧倒的に多い。

 

2 職業訓練の基本姿勢

 「尊厳を守る組織」「身近に感じる福祉」「地域からの信頼」を経営理念の3本柱とし、職員の行動指針として以下のものを上げている。

・私たちは、接するお客様やご家族の要求を予測し、それに応えることに努めます。

・私たちは、礼儀正しく、友好的で優しい態度で、誰の話にも耳を傾けます。

・私たちは、施設を安全で、清潔で、楽しく、心のこもった環境に改善し続けます。

・私たちは、協力して働き、自分がそうしてもらいたいように、お客様をもてなします。

・私たちは、お客様の生活の質の向上のために頭を使い、体を使います。

・私たちは、つばめ福祉会の一員として自覚と誇りを持ち、地域福祉の増進に誠心誠意努めます。

 

介護職員基礎研修科授業風景 介護職員基礎研修科授業風景

 

3 訓練の特徴

(1)人材が豊富である

 教える者に現場経験があり、教科書一辺倒でなく、豊富な経験をもとに教えているため、内容がよくわかる。これはつばめ福祉会が16もの老人ホームや事業所を抱えているために、現場で働いている人材を豊富にもっている強みとなっている。受講生のアンケートでも「この研修を受けて現場に行くのと行かないのとでは大きな違いがあると思う。受講して良かった」との声がある。

(2)受講生とのコミュニケーションを大切にしている

 訓練や施設実習、就職活動などに対する不安や疑問に対して、相談し易い雰囲気作りに努めている。その基本には「人を大切にする」というつばめ福祉会の方針がある。受講生のアンケートにも「この法人は人を大切にしているということがわかるので、研修を受ける意欲になります」と答えている。

(3)講師や施設実習担当者との受講生の情報共有

 常に講師と受講生との情報の共有化を図ることで、密に連携している。特に単なる介護ではなく、人間の尊厳に関わる重要な仕事であるとわかってからは、この仕事が興味深く、楽しい授業が受けられるようになったとのことである。 

11   社会福祉法人こうほうえん

(米子市)

1 概要

 社会福祉法人こうほうえん(〒683-0853鳥取県米子市両三柳1400)は鳥取県の公共職業訓練を委託されており、今年度実施中の離職者訓練コースは【介護職員基礎研修科】と【介護実習科】である(平成25年1月現在)。

 【介護職員基礎研修科】では『ホームヘルパー2級課程』『介護職員基礎研修課程』『ガイドヘルパー』(視覚障害者移動介護従業者養成課程と全身性障害者移動介護従業者養成課程)の資格取得を目指している。研修期間は約5ヶ月で訓練時間総合計は581時間である。

 『ホームヘルパー2級課程』の学科は「福祉理念とケアサービスの意義」「サービス提供の基本視点」「高齢者保健福祉・障害者(児)福祉の制度とサービス」「介護保険・医療関係制度の基礎知識」「ホームヘルプサービス概論・職業倫理」「生活援助の方法」「介護概論」「高齢者・障害者(児)の心理及び家族の理解」「医学の基礎知識」「在宅看護の基礎知識」「障害・疾病の理解」「リハビリテーション医療の基礎知識」「住宅・福祉用具に関する知識」「相談援助とケア計画の方法」「介護事例検討」がある。

 『介護職員基礎研修課程』の学科は、「生活支援の理念と介護における尊厳の理解」「認知症の理解」「介護におけるコミュニケーションと介護技術」「医療及び看護を提供するものとの連携」「介護における社会福祉援助技術」「生活支援のためのアセスメントと計画」「修了評価」がある。

 『ガイドヘルパー』の学科は、「障害者福祉に係る制度とサービス」「障害者(児)の疾病、障害者等に関する講義」「基礎的な移動に係る技術に関する講義」がある。

 『ホームヘルパー2級課程【演習】』の実技は、「共感的理解と基本的態度の形成」「レクリエーション体験学習」「訪問介護計画の作成と記録・報告の技術」、基本介護技術として「腰痛の予防等援助者への健康管理」「ベッドメイキングの方法」「体位・姿勢交換の介護」「肢体不自由者の歩行の介護」「車椅子への移乗等の介護」「視覚障害者の歩行の介護」「衣類着脱の介護」「入浴の介助」「身体の清潔」「障害に応じた食事の介護」「排泄・尿失禁の介助」「緊急時対応法」「口腔ケア・誤飲防止」「食生活と知識」がある。

 『ホームヘルパー2級課程【実習】』の実技は、「介護実習」「ホームヘルプサービス同行訪問」「居宅サービス提供現場見学」の法定実習がある。

 『介護職員基礎研修課程【実習】』の実技は、「事前演習・事後演習」「施設・居住型実習」「通所・小規模多機能型実習」「訪問介護実習」「地域の社会資源実習」がある。

 『ガイドヘルパー【演習】』は、「移動介護に係る技術に関する演習」「車椅子での移動の介助に係る技術に関する演習」「生活行為の介助」がある。

 

介護実習科授業風景 介護実習科授業風景

 

 次に【介護実習科】は訓練期間は3ケ月間であり、総訓練時間数は379時間である。

 【介護実習科】『ホームヘルパー2級』の学科は、「福祉理念とケアサービスの意義」「サービス提供の基本視点」「高齢者保健福祉・障害者(児)福祉の制度とサービス」「介護保険・医療関係制度の基礎知識」「ホームヘルプサービス概論・職業倫理」「生活援助の方法」「介護概論」「高齢者・障害者(児)の心理及び家族の理解」「医学の基礎知識」「在宅看護の基礎知識」「障害・疾病の理解」「リハビリテーション医療の基礎知識」「住宅・福祉用具に関する知識」「相談援助とケア計画の方法」「介護事例検討」がある。

 『ガイドヘルパー』の学科は、「障害者福祉に係る制度とサービス」「障害者(児)の疾病、障害者等に関する講義」「基礎的な移動に係る技術に関する講義」がある。

 『ホームヘルパー2級課程【演習】』の実技は、「共感的理解と基本的態度の形成」「レクリエーション体験学習」「訪問介護計画の作成と記録・報告の技術」、基本介護技術として「腰痛の予防等援助者への健康管理」「ベッドメイキングの方法」「体位・姿勢交換の介護」「肢体不自由者の歩行の介護」「車椅子への移乗等の介護」「視覚障害者の歩行の介護」「衣類着脱の介護」「入浴の介助」「身体の清潔」「障害に応じた食事の介護」「排泄・尿失禁の介助」「緊急時対応法」「口腔ケア・誤飲防止」「食生活と知識」がある。

 『ホームヘルパー2級課程【実習】』は、「介護実習」「ホームヘルプサービス同行訪問」「居宅サービス提供現場見学」の法定実習とは別に、職場実習として約1か月の職場実習を行っている。

 現在の【介護職員基礎研修科】の受講生は20名、【介護実習科】は15名である。それを51名の講師で支えている。訓練生の就職率は「介護職員基礎研修」「介護実習科」両方とも100%(本年度の確定値がまだ出ていないものは前回の同コースの数値を使用)である。

 

2 職業訓練の基本姿勢

 基本理念として「私たちは、地域に開かれた、地域に愛される、地域に信頼される『こうほうえん』を目指します」を掲げている。この理念に基づき「サービス業のプロとして正しい情報を伝達し自分が受けたい保健・医療・福祉の提供、改善に努める」ことを目標として「ぬくもりとやさしさと安心そして地域とのふれあい」を大切にし、地域の皆様が安心してご利用頂けるサービス提供を目指すことを基本姿勢としている。

 

3 訓練の特徴

(1)訓練環境が良いこと

 訓練を実施している場所が、実際のサービス付き高齢者向け住宅内にあるため、日常的に高齢者との触れ合いが図れており、高齢者に対するマナーや接遇を自然と身に付けられる。特に挨拶には力を入れており、「挨拶がしっかりと出来るようになった」との受講生の声もある。また、同施設内にデイサービスがあるので、特浴(機械浴)なども実際に見学することが出来る。

(2)講師の人材が豊富で質が良い

 講師は介護福祉士・医師・看護師・薬剤師・理学療養士・作業療養士・言語聴覚士・歯科衛生士・介護支援専門員・社会福祉士・管理栄養士の各有資格者がなっており、高い専門性が担保されている。

 また、講師には全員主任以上の職員を充てており、訓練生はテキスト以外にも長年培った現場の知識や経験を直接吸収できる。

(3)働く場所についての生の情報が得られる

 講師は現在も特養・老健・デイサービス・デイケア・訪問介護・訪問看護・地域包括センター・ケアプランセンターなどそれぞれの職場で働いているため、事業所情報や実状についての情報が得られる。

(4)職場実習が実践的である

 職場実習を外部委託にすることなく本法人の施設内で行うため、実習の講師との連携が綿密である。また、職場実習先も特養・老健・デイサービス・デイケアと多種用意されており、豊富である。法定実習は見学のみに終わる事なく、実際に介護実習を行っており、実戦的な介護実習となっている。

(5)イベントや法人従業員向け研修会のチャンスがある

 訓練生は、本法人が主催するイベント(AJCC,介護の日 (注))などや法人従業員向け研修会に参加することが可能であり、知識を広めることができる。

(注1) AJCC(オールジャパンケアコンテスト)全国規模の介護技術のコンテストを開催した。

(注2) 介護の日:介護についての理解と認識を深め、介護サービス利用者及びその家族、介護従事者等を支援するとともに、これらの人たちを取り巻く地域社会における支え合いや交流を促進する観点から、高齢者や障がい者等に対する介護に関し、国民の啓発を目的としている。

(6)講師の精神衛生にも配慮している

 講師の精神状況についても「心の健康チェック表」などを使って常にチェックし気を配っている。「職場におけるメンタルヘルス」等の講義を行い、うつやストレスへの対処法について勉強を重ねている。

(7)日本経営品質賞の考え方に基づき経営品質向上活動を実施

 互恵互助をスローガンとしてお互いを助け合いお互いが幸せを分かち合う精神を大切にしている。この精神をこの法人の共通の価値観とするために「互恵互助」という本を作成し、日々の朝礼で唱和している。更に法人の「中期目標から個人目標まで」を「互恵互助」との繋がりの中で明確となるように目標の設定をしている。この設定された目標は人事考課の評価項目としており、法人活動に一貫性を持たせている。

(8)求められる職員像を明確化

 求められる職員像として以下を明文化し分かり易くしている。

 ・「感性、思いやり」のある職員

 ・「やってみよう!」とする職員

 ・「向上心、探求心」のある職員

 ・「挨拶、笑顔、掃除」の出来る職員

 ・「仕事に要求されるスキル、知識」を備えている職員

12  日本海情報ビジネス専門学校

(米子市)

1 概要

 日本海情報ビジネス専門学校(〒683-0064鳥取県米子市道笑町2-227)は鳥取県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【ITビジネス科】と【IT事務科】である(平成25年1月現在)。

 【ITビジネス科】では、「ビジネス社会において必要とされるビジネスソフト(ワープロ・表計算・プレゼンテーション)及び情報通信に関する知識と技能を習得し、企業内における各種データ処理(文書管理、データの集計や検索・抽出の処理等)ができる人材の育成を目指す」ことを訓練目標としている。学科として「社会」「パソコン運用管理」「就職ゼミ・ビジネスマナー」を、実技として「パソコン基礎」「ワード・プレゼンテーション」「エクセル・データベース」「Web演習」を実施している。

 【ITビジネス科】の訓練期間は3ケ月間であり、総訓練時間数は360時間(学科147時間、実技213時間)である。資格は中央職業能力開発協会コンピュータサービス技能評価試験ワープロ部門2〜3級・表計算部門2〜3級・データベース部門2〜3級、実務技能検定開発協会秘書検定2〜3級の資格取得を目指している。

 

日本海情報ビジネス専門学校 ITビジネス科授業風景

 

 【IT事務科】では、「企業の事務部門において必要な簿記・経理の知識、ビジネスワープロソフト(ワープロ・表計算)の基本的な活用方法を習得し、さらにコミュニケーション能力を身に付け、幅広い業務に対応できる人材を育成する」ことを訓練目標としている。学科として「社会」「商業簿記」「ビジネスマナー」「就職ゼミ」を、実技として「文書作成実習」「表計算実習」「パソコン会計」「プレゼンテーション・インターネット」を実施している。

 【IT事務科】の訓練期間は3ケ月間であり、総訓練時間数は372時間(学科168時間、実技204時間)である。日本商工会議所簿記検定3級・電子会計実務検定初級、中央職業能力開発協会コンピュータサービス技能評価試験ワープロ部門2〜3級・表計算部門2〜3級、実務技能検定協会秘書検定2〜3級、専修学校教育振興会ビジネス能力検定3級の資格取得を目指している。

 現在の受講生は【ITビジネス科】20名【IT事務科】20名である。講師は【ITビジネス科】4名、【IT事務科】は5名、事務2名の他実技授業のアシスタントが1名が支えている。訓練生の前回就職率は【ITビジネス科】は88%、【IT事務科】は85%となっている。

 

2 職業訓練の基本姿勢

 日本海情報ビジネス専門学校は「人間力を有し、地域で活躍する有意の人材」の育成を基本理念としている。この理念達成の為、具体的には、[1] 専門的知識及び技能の習得(検定を通ること)をし、[2] 豊かな人間性の涵養(人間的豊かさのある人とは、意欲があり責任感もある人であり、礼儀マナーを身に付け、社会的常識があり忍耐力もあること)を行い、[3] 職業人、社会人としての実践力(社会で技術を実際に活かすこと)を身に付けるよう、教育を行っている。

 

3 訓練の特徴

(1)資格取得目標管理を綿密に実施

 訓練生のスキルや就職希望状況に合わせて目標設定を細かく実施している。目標設定した資格検定に合わせた授業や個別指導を出来る限り行えるようにカリキュラムや授業を常に講師陣で話し合い訓練に反映している。

(2)即戦力の実習

 就職後即戦力となるように実際に業務を想定してグループでプロジェクトを進行させるように課題設定を行っている。課題の成果については発表会を開催してお互いに完成度を確認したり意見交換をしたりする。

(3)就職活動の早期実施

 就職活動に関しては早い段階から授業や面談を実施している。具体的には履歴書作成は訓練の最初の週から始め、職務履歴書やジョブカードの作成を行いながら実際の就職活動に備える。就職活動を早い時点で行うことのメリットは後になってずれないことである。この着手が遅いと何故このような結果になったのかと悩むケースもある。

(4)クラスの雰囲気作り

 朝の3分間スピーチなどを使い、自己PRと今年の目標等を言うことでクラス全体に頑張るぞという空気を作り上げる。頑張る受講生が過半数を占めるとほぼ成功する。特にスピーチは面接試験と思ってやって行く事が大事である。

(5)トラブルには早期に対処する

 トラブルは性格的に合う人と合わない人の組み合わせで決まることが多い。よって合わない場合にはすぐに席替えを行う。また、対人関係だけではなく手を休ませないようにすることも重要である。作業に集中している間は対人関係のトラブルはないからである。また、グループ学習で個々人の役割を決め、各々が個別の仕事をやれる環境作りも大切である。

(6)クラス内の実力差を上手く利用することで破綻させない工夫

 コンピュータサービス技能評価試験ワープロ部門では、同じクラスの中で出来る人と出来ない人のグループが生じた場合、週一度くらいの頻度でアンケートやテストを行い、進捗度に応じて、一つのクラスの中で席替えによって、2段階のクラス分けを行うことで、お互いの不満を解決している。先生側の密度は2倍になるが対応することで効果を生んでいる。

13  日税サービス西日本

(福岡市)

1 概要

 (株)日税サービス西日本(〒812-0016福岡県福岡市博多区博多駅南1-13-21)は福岡県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【OAビジネス科】である(平成25年1月現在)。

 【OAビジネス科】では、「日商簿記検定2級程度の簿記知識と経理業務に必要な税務知識、会計ソフトの操作・活用、経営分析及び実務に役立つWord・Excelの操作・活用方法など、事務職に必要な知識・スキルを現役の税理士・会計ソフトインストラクター等、多彩な講師陣による実践的な内容で学習する。またキャリア・コンサルタントによるキャリア形成支援をはじめ、自己理解・他者理解等ヒューマンスキルの向上にも力を入れている。履歴書・職務経歴書の作成指導や個人面談を行い、自信を持って就職活動を行えるよう支援する」ことを訓練内容としている。

 学科としては『普通学科』と『専門学科』があり、『普通学科』では、「オリエンテーション」の他、「就職支援」「ビジネスコミュニケーション」として36時間を設定している。『専門学科』には「簿記基礎(3級)」「簿記応用(2級商業簿記)」「簿記応用(2級工業簿記)」「検定対策(簿記)」「税務基礎、税理士講話」「OA事務基礎」「情報セキュリティ」で369時間を訓練時間として設定している。

 「実技」では「パソコン基礎」「インターネット・電子メール」「Word」「Excel」「パソコン会計」「検定対策(PC)」で288時間 を設定している。

 【OAビジネス科】の訓練期間は6ヶ月間であり、総訓練時間数は693時間である。日商簿記検定2〜3級、中央職業能力開発協会コンピュータサービス技能評価試験表計算部門2〜3級、同ワープロ部門2〜3級、日商PCネット検定、文書作成、データ活用3級の資格取得を目指している。現在の受講生は【OAビジネス科】27名である。それを当社社員7名と税理士1名で支えている。訓練生の前回就職率は【OAビジネス科】は87.9%であった。

 

2 職業訓練の基本姿勢

(株)日税サービス西日本は九州北部税理士協同組合、南九州税理士協同組合、沖縄税理士協同組合の3つの税理士協同組合の共同出資によって設立されている。「信頼と安心」「顧客の満足」に努めることが目標である。よってパソコンや簿記だけではなく税務もわかる人材の育成を基本としている。

 

OAビジネス科授業風景 生徒自身による資格取得宣言

 

3 訓練の特徴

(1)即戦力の会計ソフトを習得

 日商簿記検定2〜3級の簿記知識やWord、Excelだけではなく、会計ソフトである「弥生会計」等実務で役立つ知識スキルを習得できるように指導している。

(2)就職力向上の指導

 就職活動に必要なビジネスマナーの指導、ジョブカード作成をベースとした履歴書・職務経歴書の作成指導や個人面談・模擬面接などを実施し、訓練生が自信をもって再就職できるように指導を行っている。

(3)より実践的な会計力を身につける

 通常の日商簿記検定2〜3級の簿記では教えてくれないが、就職すれば毎日の記帳に必要な消費税の対応が必要になる。このような実践的対応を丁寧に教えている。また期末の年末調整や確定申告の処理方法についても説明を受けることが出来る。通常簿記3級はほぼ全員が合格、2級も受験者の8割が合格しているが、訓練生は税務知識を得ることが出来ており、会計知識以上の実践力を持っている。

(4)税理士等が実践を教える    

 当校は九州北部税理士会の系列団体である九州北部税理士協同組合の支援の下で事業を展開している。毎回税理士を講師に招き、税務知識や会計事務所での業務等について授業してもらうことで実務経験の浅い訓練生から好評を得ている。

(5)就職に独自のネットワーク

 協同組合に当校の取組が浸透することで、会計事務だけではなく、その取引先である各種の企業からも求人情報を多数もらえるようになった。当校の職業訓練を受けた訓練修了生は多様な企業で活躍している。

(6)競争倍率が高い

 当校の職業訓練は福岡県内でも人気コースとなっており、選考試験の競争倍率はかなり高い。30名の定員であるが、入校希望者は180名〜200名である。

14  ハーモニー

(福岡市)

 

1 概要

 (株)ハーモニー(〒810-0041福岡県福岡市中央区大名2丁目9-30)は福岡県の公共職業訓練を委託されており、現在実施中の離職者訓練コースは【英語ビジネス科】である(平成25年1月現在)。

 【英語ビジネス科】では、「英語ビジネスの基本文法から英語文書の書き方、日常場面やサービスの場面を想定したロールプレイを行い、話す、聴く、読む、書くを一体化して学習する。また、全業種で必要であるパソコン技能のWord/Excel/PowerPointによるプレゼンテーション技能を実務レベルで習得する。その上でTOEIC試験、CS検定等の資格取得についても十分な対策を行っている。また、ビジネスマナー、コミュニケーション能力、履歴書の書き方、面接対策、カウンセリング等就職支援にも力点をおいた早期就職に向けた訓練」を目指している。 

 学科は、『普通学科』と『専門学科』に分かれ、『普通学科』では就職支援として、求職活動の基礎知識、就職個別指導、履歴書、職務経歴書の作成指導、就職講話、ビジネスマナー等を36時間学習し、『専門学科』では、基礎英語、ビジネス英語、商業英語、総合英語、TOEIC対策を228時間学習する。

 「実技」では、パソコン基礎、Word基礎・応用、Excel基礎・応用、PowerPoint実践、検定対策を183時間学習する。総訓練時間は447時間であり、訓練期間は4ヶ月である。資格取得目標はTOEIC600点以上、CS技能評価試験はワープロ3級、表計算3級である。現在の受講生は【英語ビジネス科】は22名である。それを教員2名、パソコン常勤1名+臨時3名で支えている。なお、【英語ビジネス科】としての就職は今回が初回であるが、他コースと同様(他コースの就職率は96%)高い就職率が見込まれている。

 

2 職業訓練の基本姿勢

 (株)ハーモニーは「人材教育を通して社会に貢献する」ことを基本理念としている。企業の発展はその中で働く従業員の成長であり、人生とは常に仕事を通して仕事の中から気づき学ぶことが大切である。このことから、「更に仕事のスキルを上げたい」「違う職種の仕事に就いてみたい」「人生を再チャレンジしたい」「何をしたいか分からない」人を応援することを基本姿勢としている。

 

英語ビジネス科授業風景 英語ビジネス科授業風景

 

3 訓練の特徴

(1)優秀な講師

 講師は在日10年以上の英国人で、かつ日本語も流暢な方が務めている。この学校に来る前は、商社でビジネス英語の教鞭をとられていたとのことである。ネイティブの英語を駆使してそのビジネスへの応用の仕方を直接教えている。メールの英語教育では彼自身が書き上げたオリジナルのテキストを使用している。

(2)レベルの高い受講生 

 入校者は国語・数学・英語の3科目の学科試験と面接により選考される。55名の入校希望者から24名が選ばれており、競争倍率は高く、語学力を生かした就職を目指す就業意識の高い人達が集まっている。TOEICは平均で550〜570点位のレベルの人が多く更に600点以上を目指しているが、800点位のレベルに達する人もいる。パソコン技能はWord、Excelは全員が3級を取得しているが、2級を目指す人もいる。またタッチタイピングは10分間550〜1000文字を目標としている。

(3)独自の就職活動 

 就職活動のために本人とのヒアリングを4〜6回実施する。その人に一番合ったアドバイスをするためである。実際には英語が話せるというだけで就職できる訳ではなく、英語力を活かして何ができるかを考え出さないと就職には結び付かない現実がある。訓練生活の中で把握できた受講生本人の強み、特性、考え方等を生かせる職種・企業を求めて、ハローワーク・求人情報誌・紹介派遣会社・ネット情報からも情報を常に収集している。ハローワーク以外にも同校代表であるF氏が金融機関勤務での経験を生かし長年に渡って築き上げた人脈に拠る独自のネットワークをもっており、F氏等が本人と同行することで、企業先に本人の強み等を十分に伝えられるようにサポートしている。またこのサポートによって相手先にも安心感を十分に伝えることができるというメリットもある。結果としてこのことが同校の高い就職率を生み出している。クラスが修了した後も高いモチべーションを保たせながらフォローを行うことで受講生の早期就職を支援している。

(4)クラス内の工夫 

 最初にまず挨拶が出来るように教育している。急に欠席したいと行ってくる人に対しては、必ず電話で具合を聞くようにしている。直接会って話すことでいろいろな事情も見えてくるからである。一方で皆勤賞を設定しており、受講生には賞を取得する様に奨励している。トラブルを起こしそうな受講生に対しては、何回も直接本人と話をすることで解決の道を探るようにしている。この際本人の気持ちを大事に、誠意を持って接することが大事である。授業時間は9時30分から4時30分までであるが、授業終了後6時半頃まで当校の教室を開けておき、各人が独自に学習できる環境作りを行っている。

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2 第三者行為による傷病治療における健康保険の利用状況調査報告

(1)調査に至った経緯

 「国民の皆様の声」に「悪質な交通事故に遭い、治療を受けられなかった」、「交通事故で健康保険は使って欲しくないと病院に言われた」、「交通事故で健康保険を利用したら診断書は書かないと言われた」といった意見が寄せられている。
 また、日本医師会の「労災・自賠責委員会答申」(平成22年1月)では、「第三者行為による傷病で健康保険が利用された場合に保険者が確実に求償していないのではないか」、「公的な医療保険制度の財源が適正に使用されているか否かについては、国が主体となってチェック機能を担っていくべきであり、各医療保険者に対応等を任せるのみではなく、国として各データを把握しているべき」との指摘がなされている。
 そこで、これらのご意見やご指摘を踏まえ、第三者行為による傷病治療の健康保険の利用状況と求償の実態について調査した。

(2)課題および改善内容

 調査した結果、以下の課題があると考えられるため、保険局保険課と協働しながら以下の改善を行った。

  課題 改善内容
【第三者行為による傷病の健康保険の利用上の課題】
[1] 保険医療機関が健康保険等の利用に消極的なこと
[2] 自賠責保険(共済)があるため、医療費の抑制が働かないこと
[3] 第三者行為による傷病の治療でも健康保険等が使えるということが被害者に周知されていないこと
[4] 被害者自身が健康保険等を利用することのメリットを理解していないため、「なぜ、加害者が悪いのに自分の健康保険を使わなければならないのか」という誤解があること
【第三者行為による傷病の健康保険の利用についての周知】
 第三者行為による傷病の治療についても健康保険等が利用できることは、昭和 43 年 10 月 12 日保険発第 106 号で既に通知がなされている。しかし、調査した結果、現時点においても依然として第三者行為による傷病の治療について健康保険等の利用を認めていない事例があることが判明し、通知から40年以上も経過していることから、平成23年8月9日に担当部局より、日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、地方厚生(支)局、健康保険組合連合会等に対して、「犯罪行為や自動車事故等による傷病の治療についても医療保険の給付の対象である」旨の通知を再度発した(保保発0809第5号)。

犯罪被害や自動車事故等による傷病の保険給付の取扱いについて [322KB]

【健康保険の保険者の求償漏れが発生する原因】
[1] 「第三者行為による傷病届」が確実に提出されていないこと
[2] 健康保険の保険者の中には求償に消極的なところがあること
[3] レセプト(診療報酬明細書)の外傷点検には限界があること
【健康保険の保険者の求償漏れの解消について】
 第三者行為による傷病の治療で健康保険を利用した場合、保険者は、加害者(保険会社)に求償することになるが、その求償がなされないことがあるという問題である。
 左記原因の内、[2]については、保険者自身の問題なので、健保財政が逼迫する中で、自覚をもって求償漏れがないよう取り組んでもらうしかない。また[3]の問題は、[1]が確実になされれば解決される問題なので、改善すべきなのは、[1]の第三者行為による傷病届を確実に提出してもらうことである。しかし、第三者行為による傷病届の提出が必要であることを周知することは必要だとしても、全ての人に提出を求めることは現実的ではない。
 そこで、損害保険会社の協力を得て、第三者行為による傷病届の提出についてサポートをしてもらうことが考えられる。ただ、「第三者行為による傷病届」は、約1500もある保険者毎に様式が異なるため、その様式を簡易化・統一化する必要がある。そこで、第三者行為による傷病届の手続の合理化について、健康保険組合連合会と全国健康保険協会に対して協力を要請した。
 その結果、健康保険組合連合会については、趣旨に賛同頂き、様式の統一化と手続の合理化について本年4月より実施することが決定された。

以上

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