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アフターサービス推進室活動報告書( Vol.4:2011年7月〜9月 )
平成23年9月30日
目次
- 1 調査結果報告(2011年7月〜9月)
- 2 「国民の皆様の声」などに対するさらなる改善事例
- 3 今後の調査活動および報告予定
1 調査結果報告(2011年7月〜9月)
アフターサービスの観点から、厚生労働省の制度・事業の中で改善が可能と思われるものについて、「国民の皆様の声」、現場視察、厚生労働省の制度・事業に関する情報収集を基に、以下の2件について調査・分析し、改善案の策定まで進めることができましたので、以下に概要を示します。
詳細は、テーマ別報告ページをご参照ください。
番号 (リンク先) |
案件名 | 概要 |
---|---|---|
1 | 労働基準行政等の実態調査 | 労働条件の確保・改善および労働基準関係法令についての周知が、より適切に図られるよう、労働基準監督行政において改善すべき点がないかについて調査する。 |
2 | 年金等支払いサービスの向上支援 | 「支払いが遅い」「いつ支払われるのか分からない」という「国民の皆様の声」に応えるため、支払い案件を調査し、原因を明確にして、改善を図る。 |
2 「国民の皆様の声」などに対する、さらなる改善事例
厚生労働省に寄せられた「国民の皆様の声」に対し、担当部局で既に対応済みですが、当室でさらに国民の皆様の声を踏まえ、行政サービスの向上につながる事案を取り上げて次のような提案を行っています。
番号 | 案件名 | 国民の声・担当部局による対応・さらなる改善提案 |
---|---|---|
1 | 21世紀成年者縦断調査に関する改善提案 (平成23年8月12日集計報告より。担当部局(課室):大臣官房統計情報部) |
【国民の声】 第6回21世紀成年者縦断調査結果の概要について、対象は全国の男女であるが、客体は第4回または第5回調査において協力を得られた人ということがよく分かりません。結局後者のデータをもとにしたのですか。 第4回、第5回の調査に協力しなくて第6回の調査に回答した人のデータは調査結果に反映されていますか。 また、第一回から第6回までで調査客体数にばらつきがあるのはどうしてですか。 第6回21世紀成年者縦断調査は誰が対象なのかはっきりと理解できなかったため、質問いたしました。回答をどうぞよろしくお願いします。 (その他調査結果(縦断調査以外の調査を含む)に対する問い合わせ多数) |
【担当部局による対応】(対応分類:(1)事実や制度を説明) 21世紀成年者縦断調査は、平成14年10月末時点で20〜34歳であった全国の男女から無作為に抽出して第1回調査を行った方(約3万4千人)について、継続的に調査をお願いしておりますが、統計の継続性の観点から2回連続でご協力を得られなかった場合は、それ以降は調査しないこととしております。 つまり、第4回と第5回のいずれの調査においてもご協力を得られなかった方については、第6回以降の調査は行わず、調査結果にも反映されないことになります。 以上のことから、第6回の客体は「第4回または第5回調査において協力を得られた者」という表現になっております。 また、調査客体数にばらつきがあるのは、2回連続で調査にご協力いただけなかった方の分が減る一方、前回は何らかの都合で調査にご協力いただけなかったが今回はご協力いただけた方の分が増えること等から、客体数は変化することとなります。 |
||
【さらなる改善提案】 ・利用者により分かりやすい方向に改める方向で実施するように検討する予定です。 |
3 今後の調査活動および報告予定について
(2)活動予定
継続調査中の案件は、以下の通りです。
番号 | 案件名 | 概要/中間報告 |
---|---|---|
1 | 住まいと就労に関するきめ細やかな相談を行うための提案 | 【概要】住まいと就労に関するよりきめ細やかな相談を行うために、相談者本人が持ち歩き、関係機関との相談内容を整理・統合するためのツールを開発し、広く活用するよう提案する。 |
【中間報告】7月から8月にかけて、ハローワーク(首都圏4カ所)の「住居・生活支援相談窓口」において、住まいと就労に関する相談に当たっている職員(住居・生活支援アドバイザー)の方に以下の点を中心にヒアリング調査を実施しました。 ・窓口へ相談に訪れる方への相談対応の流れ ・相談者が必要としている具体的な情報や支援の内容 ・相談対応におけるハローワークと他の関係機関との連携状況 現在これらの結果をもとに、相談者(利用者)、ハローワークの職員、関係機関(自治体、社会福祉協議会など)の職員の間で必要な情報を共有し、相談内容を整理できるようなツールの開発について検討を行っています。 具体的な提案については次回行う予定です。 |
その他の案件について調査を企画・検討しています。
(2)報告予定
国民の皆様に広く情報を公開するため、活動内容を報告書にまとめ、3〜4カ月ごとにホームページで公開します。次回の報告は2011年12月を予定しています。
以上
労働基準行政等の実態調査
1.調査内容
「国民の皆様の声」に、労働基準監督行政等についての意見が多数寄せられていたことから、労働局や労働基準監督署を視察し、現場の職員からヒアリングするなどして、改善すべき点はないかについて調査をしました。
2.調査日および調査した機関
調査日 | 調査した機関 |
---|---|
平成22年12月15日 | 東京労働局 |
平成22年12月17日 | 渋谷労働基準監督署 |
平成23年1月25日 | 愛知労働局 |
平成23年1月26日 | 名古屋北労働基準監督署 |
平成23年2月2日 | 大阪労働局 |
平成23年2月3日 | 大阪中央労働基準監督署 |
平成23年3月8日 | 福島労働局 |
平成23年3月9日 | 郡山労働基準監督署 |
平成23年3月10日 | 広島労働局 |
平成23年3月11日 | 広島中央労働基準監督署 |
3.課題および改善提案
上記調査結果に基づき、担当部局と実態等につき意見交換しながら、以下の課題を抽出し、改善提案を行いました。
課題 | 改善提案 | |
---|---|---|
1 |
【労働基準監督署(窓口)の環境について】
|
【労働基準監督署(窓口)の環境改善を図る】
|
2 |
【労働者の声を聞くことについて】 「国民の皆様の声」には、「平日働いているのにいつ相談に行けばいいのか」との意見が寄せられている。 |
【労働者の声を積極的に聞く】 厚生労働省のホームページで、できる限り速やかに、メールによる労働者からの労働相談(労働基準法等違反情報)の受付を開始する。今後とも、地域のニーズなどに応じ、労働者からの相談に的確に対応できるよう努める。 |
3 |
【相談者の秘密の保持について】 「国民の皆様の声」には、「会社に情報提供者であることがわかってしまうため相談できない」との意見が寄せられている。 |
【情報提供の秘密が守られるということを周知する】 相談は匿名でも受けられること、相談者が勤務先などには知らせないで欲しいとする事項については秘密は守るということを、関連するホームページやリーフレットなどに記載することにより周知する。また、労働基準法や公益通報者保護法によっても労働者は保護されるということも併せて周知する。 |
4 |
【労働基準関係法令の周知・情報提供について】 労働基準法では国に資料の提供等の援助義務が課されており、労働基準監督業務の省内事業仕分けの改革案でも「労働基準関係法令の周知・情報提供」が挙げられている。特に労働者への法令周知について充実を図る必要がある。 |
【積極的に法令周知活動をする】 労働基準関係法令等についてわかりやすく解説した労働者向けのパンフレットを厚生労働省のホームページに掲載し、今後とも法令等の周知に取り組む。 また、学生のときから労働関係法令への理解が深められるよう、学校および教育行政機関と連携しながら、積極的な取り組みを進めるよう努める。 |
5 |
【資料等について】 リーフレットや自主点検シートで分かりにくいものがある(情報量が多すぎるものや専門用語が多用されているものなど)。 |
【分かりやすい資料に改善する】 今後、リーフレットや自主点検シートを作成する場合には、労働者あるいは利用者の視点に立った分かりやすい内容への改善に努める。 |
6 |
【相談員の対応について】 総合労働相談員の窓口対応に差がある。 |
【相談員の対応の均一化】
|
7 |
【窓口でのプライバシーについて】 総合労働相談窓口におけるプライバシーの配慮が不足している。 |
【窓口でのプライバシーに配慮する】 総合労働相談コーナーの設備をプライバシーに配慮したものとする。もっとも設備面の改修は、予算を伴うものであるから、当面は、待合スペースを相談カウンターから離す、あるいは音楽を流したり音響発生装置を設置するなど応急の措置を検討する。また、設備面だけでなく、相談者にプラバシーへの配慮が必要かを相談前に必ず確認し、必要な場合には別室で対応するなど、窓口でのプライバシーへの配慮を徹底する。 |
年金等支払いサービスの向上支援
1調査内容
「国民の皆様の声」に、以下の支払い遅延に関する苦情が寄せられている。
(A)「国民年金の保険料還付金の支払い処理が遅い」
(B)「年金再計算(時効特例)による支払いが遅い」
上記の2つの課題について調査し、その改善策を検討した。
調査対象:日本年金機構本部、足立年金事務所、江戸川年金事務所
2調査結果と改善案
課題(A)「国民年金の保険料還付金の支払い処理が遅い」の場合
- (a)説明を受けた日数より長くかかったために遅いという苦情になるケース
- (b)そもそも5週間もかかることが遅いという苦情になるケース
還付請求書の受け付けから支払いが完了するまで5週間かかると説明している年金事務所で処理が遅いと思うお客様は以下の2つのケースに分類される。
- (a)のケースについての調査結果
- 1)日本年金機構での国民年金保険料還付金の標準支払いフローの調査
標準支払いフローでは受け付けから支払いまで通常5週間かかる。
以下、国民年金保険料還付金の標準支払いフローの作業明細- [1] 還付請求書の受け付け・内容審査 (年金事務所・事務センター)
- [2] 還付請求書の入力 (年金事務所・事務センター)
- [3] 機構本部における請求データの取りまとめ(日本年金機構本部)
- [4] 決裁(厚生労働省)
- [5] 日本銀行に支払い依頼
- 2)5週間を超える支払い遅延の発生とその原因
還付請求書入力処理分については、1週間ごとに全国分の支払いデータ(1週間で約20,000〜25,000件)を取りまとめて関係機関に振込依頼(データを格納した媒体の授受)をしているが、支払いデータの中に廃止された金融機関への振込依頼や名称変更による金融機関コード誤りなどが存在すると、すべての依頼が処理されないことになっている。その結果、エラーを訂正する間、遅延が発生する。
過去半年分のエラー調査を行った結果、平成22年7月26日〜平成23年3月14日の間に、この種の金融機関統廃合に伴うエラーは196件発生した。このエラーに伴い遅延した国民年金保険料還付金支払い件数は、「377,432件」、金額ベースでは、「15,369,428,448円」であることが判明した。
このように、金融機関の統廃合に伴うエラーの影響は大きく、多くの支払い遅延を引き起こしていることは明確である。このため、この種のエラーへの対策が、遅延防止策となる。 - (b)のケースについての調査結果
このケースは事前説明の有無にかかわらず、そもそも5週間も待たされることが長すぎるとの苦情である。このような苦情は直近に支払った保険料である場合に多い。例えば、国民年金から、厚生年金保険に切り替わった場合、厚生年金保険の加入処理の関係で、国民年金保険料の口座振替が厚生年金加入日以降に行われたために還付が発生したケースである。この場合、5週間もかかるのは長いので支払い処理をもっと短くしてほしいとの要望がある。
改善案
以下の第1案、第2案、第3案はいずれもシステム上の対応であり、第1案が望ましいが時間がかかる場合はその前に第2案もしくは第3案の対応が考えられる。
- 第1案)回線接続による改善である。現在のバッチ(一括処理)方式では20,000件〜25,000件のデータを媒体で持ち込んでも、その内1件でもエラーがあると全てエラーとなり、再度のデータ登録処理に時間を要しているため、回線接続での授受が実現すれば、エラー後のデータ登録処理が速やかに実施可能となると考えられる。回線接続はできるだけ早期の対応が望ましい。
- 第2案)運用面での改善である。エラーが出たらすぐに訂正して再度持ち込むような特別ルートをあらかじめ関係機関と調整し、確立しておくことで、仮にエラーが発生したとしても振込予定日を変更せずに対応することが可能と考えられる。
- 第3案)関係機関の協力を得て、金融機関統廃合情報をできるだけ早期かつ正確に把握し、システムチェックを事前に行うことでエラーの発生を避けることが可能と考えられる。
課題(B)「年金再計算(時効特例)による支払いが遅い」の場合
年金事務所の窓口では、時効特例の支払い予定日については、さまざまなケースがあるため、お客様に明確に伝えてはいない。しかし、日本年金機構のホームページでは「手続きから支払いまでの期間は2〜3カ月程度」との説明があるので、これ以上かかると遅いといわれるものと考えられる。
- 1)日本年金機構における再裁定および時効特例給付の標準支払いフローについての調査
再裁定および時効特例給付の標準支払いフローでは、平均処理期間は通常再裁定2.2カ月、時効特例は2.5カ月である。
以下、作業明細- [1] 再裁定(年金記録の調査、訂正)の受け付け・審査
- [2] 再裁定の入力前処理
- [3] 裁定システム入力
- [4] 5年以内分の支払い(振り込み通知書)
- [5] 5年超分は時効特例算出システムに入力
- [6] 内容再審査後に補正不要分について再入力
- [7]要補正分については、補正処理、復活処理、時効特例給付算出および遅延加算金処理を手作業で行う。
- 2)支払い遅延の原因調査
国民年金保険料還付金支払い遅延の原因となっている金融機関の統廃合に伴うエラーのような理由は、再裁定や時効特例給付の処理の場合には見られない。
時効特例の平均処理期間は2.5カ月である。しかし、この平均処理期間より遅れている時効特例の未処理件数は、減少してきているものの、平成23年7月現在で、2.4万件ある。
時効特例で特に支払いが遅延していると考えられるのが、作業明細[7]「要補正分については、補正処理、復活処理、時効特例給付算出および遅延加算金処理を手作業で行う」ケースである。この作業により通常処理に比べて2〜3カ月余計に時間がかかることから、支払い遅延が発生する。通常2.5カ月プラス2〜3カ月で、結果4.5カ月〜5.5カ月となり、「支払いが遅い」という苦情につながる。
改善案
実際、時効特例給付の未処理件数はかなり減少している。平成22年8月には19万件あった未処理件数は、現在約1/8に減少した。時効特例に関する苦情も減少しているが、以下の対策により、「支払いが遅い」という苦情をさらに減らせると考える。
- 1案)現状の対応策の主軸である手作業による内容審査部門へのベテラン人員の投入を継続することで、処理時間の短縮化を図り未処理件数をなくす。
- 2案)日本年金機構のホームページ上の時効特例の処理時間に関する表現を改めることで、誤解を招かないようにする。具体的には、「時効特例法について」の中で、「お手続きからお支払いまでの期間は、2〜3ヶ月程度です」としている部分を、幅広い事例に対応できるよう、例えば「お手続きからお支払いまでの期間は通常2〜3カ月ですが、手作業による時効特例給付及び遅延加算金の算出といった複雑なケースでは更に時間がかかる場合があります。」というように修正した方が良いと考える。
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