女性活躍の更なる推進に向けて ―女性活躍推進法改正で何が変わる?
女性活躍推進法は、女性が自らの意思で職業生活を営み、その個性と能力を十分に発揮できる社会をめざす法律です。2025年に公布された改正法により期限が10年間延長され、男女間賃金差異の情報公表義務の対象拡大などについて、2026年4月1日から施行されます。この記事では、改正の背景とポイントをわかりやすく整理します。
くらしにつながるポイント
結婚や出産、介護など、人生の節目で「このまま働き続けられるだろうか」と悩んだ経験のある人は少なくありません。ライフステージが変わっても、自分らしく仕事と向き合い、働き続けられる環境は、毎日の安心や将来の選択肢を広げます。少子高齢化が進む今、女性を含む多様な人材が活躍できることは、個人の暮らしを支えるだけでなく、企業の成長や社会全体の活力にもつながっています。
データで見る、女性の働き方の今
日本の就業構造は、ここ数年で大きく変化しています。女性の就業率は各年齢階級で上昇が続き、かつて30~40代で大きく落ち込んでいた「M字カーブ」は台形に近づいています。第1子出産後も約7割の女性が就業を継続するようになりました。
一方で、すべての課題が解消されたわけではありません。25~29歳のピーク後に正規雇用比率は減少しており、出産・育児期に仕事と両立ができず離職を余儀なくされる層が一定程度存在します。再就職に際しては、短時間・パートタイム就労への移行が多いことも見逃せません。また、女性の健康上の課題によって昇進を断念するケースもあります。そのため男女間賃金差異や女性管理職比率についても、長期的には改善しているものの、国際的に見ると依然としてその水準は低いというのが現状です。
図 女性の年齢階級別労働力率(2024年)
女性活躍推進法ってどんな法律?
では、女性活躍推進法とは、具体的にどのような仕組みなのでしょうか。
女性活躍推進法は、職業生活において女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、2016年4月に施行されました。国・地方公共団体・事業主の責務を明確化し、一定規模以上の一般事業主(国及び地方公共団体以外の事業主)に行動計画策定などを義務付けています。女性活躍推進法における一般事業主が行うべき行動計画策定に関する取組の流れは、以下のとおりです。
①女性の活躍に関する状況把握、課題分析
女性労働者の割合や男女の平均継続勤務年数の差異、平均残業時間等の労働時間の状況、女性管理職比率といった基礎項目で自社の女性の活躍に関する状況を把握し、課題分析します。
②一般事業主行動計画の策定、社内周知、公表
状況把握、課題分析の結果を勘案して、計画期間や数値目標、取組内容、実施時期を盛りこんだ行動計画を策定します。その後、雇用するすべての労働者に周知し、外部に公表します。
③一般事業主行動計画を策定した旨の届出
策定した行動計画を都道府県労働局に届け出ます。
④取組の実施、効果の測定
定期的に数値目標の達成状況や、行動計画に基づく取組の実施状況の点検・評価をします。その結果を基に課題分析を行い、次期の行動計画策定につなげます。
※常用労働者数101人以上の企業が対象になります。
女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の策定についての詳しい情報はこちら
改正法で何が変わる?
多様な労働者が活躍できる就業環境の整備を図るために、労働施策の総合的な推進や労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律が2025年6月に公布され、2026年4月1日から改正女性活躍推進法のうち男女間賃金差異の情報公表義務の対象拡大などについて施行されます。改正の主なポイントは次のとおりです。
ポイント1 情報公表の必須項目の拡大
これまで従業員数301人以上の企業に公表が義務付けられていた男女間賃金差異の情報公表を、常時雇用101人以上の一般事業主に拡大。また、女性管理職比率の情報公表を、常時雇用101人以上の一般事業主に新たに義務付けました。
ポイント2 女性活躍の推進に当たっての「女性の健康上の特性」への配慮の明確化
特に女性については、ライフステージに応じた健康上の特性が就労へ影響し、就業継続やキャリア形成への妨げとなる可能性もあります。そのため女性の職業生活における活躍の推進に当たっては、「女性の健康上の特性」に配慮して行われるべき旨を基本原則で明確化しました。
ポイント3 法の有効期限の延長
女性活躍推進法の成立時、法の有効期限は2026年(令和8年)3月31日までとされていましたが、2036年(令和18年)3月31日まで10年間延長しました。
ポイント4 基本方針へのハラスメント対策の位置付け
政府が策定する女性活躍の推進における基本方針の記載事項の一つに、ハラスメント対策を位置付けました。ハラスメントのない職場の実現に向けて国の啓発活動を強化していきます。
労働施策の総合的な推進や労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律等の一部を改正する法律の詳細はこちら
まとめ
誰もが力を発揮できる職場をめざして
女性の職業生活における活躍は、企業だけでなく、働く一人ひとりの選択肢を広げ、社会全体の持続可能性を高める重要なテーマです。今回の改正により、誰もがライフステージに応じて能力を発揮し続けられる就業環境の整備が進みます。後編では、自分らしい働き方を考える際にぜひ活用してほしい「女性の活躍推進企業データベース」をご紹介します。
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