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自然毒のリスクプロファイル:ニセクロハツ(Russula subnigricans) ベニタケ科ベニタケ属

ニセクロハツ(Russula subnigricans) ベニタケ科ベニタケ属

特徴 傘の大きさ 中型から大型 
形と色 

傘 : 5 12cmで比較的大型で,成熟すると中央がくぼんだじょうご型になる。色は灰色から黒褐色。

ひだ:薄いクリーム色で疎である。 傷をつけるとうすい赤褐色になる。 その後も黒変しない。

柄 : 灰褐色からやや黒色で固めである。 
発生時期  夏から秋 
発生場所  ツブラジイ(ブナ科シイ属)のある地上に発生する。東海や関西など西日本
その他  クロハツ,ニセクロハツ,クロハツモドキの分類,見分けは難しい。
これら3種の分類が現在再検討されている。  )
間違いやすい食用キノコ 
症状   食後30分から数時間程度で嘔吐,下痢などの胃腸,消化器系の中毒症状を示す。その後18-24時間ほどで横紋筋溶解が原因と考えられる全身筋肉痛,呼吸困難を示し、死亡に至ることもある。 
毒性成分  

骨格筋・心筋の障害時に上昇する血清中クレアチンキナーゼの値を指標にして、致死性の毒成分としてシクロプロペンカルボン酸が同定されている。その他。

従来、ルスフェリンなどが報告されていたきのこはニセクロハツ近縁種と現在考えられている。 

 

 
ニセクロハツ はさらに成熟すると,中央部がくぼんだじょうご型になる。

死亡例もあり注意を要するキノコである。

よく似ているきのこ

クロハツ はアカマツ、クロマツなどの松林やブナなどの広葉樹林の地上に発生する。中央部がへこみ,じょうご状である。生で食べると中毒を起こす。ニセクロハツに非常に似ているので要注意。肉を傷つけると、白い肉が数分ほどで赤,そして 30 分から 1 時間程度で黒へ変色する。 クロハツモドキも同様に変色する。 ニセクロハツは黒変しない。古い物は変色しない場合もある。ニセクロハツは赤色後に黒変しない。 

 1

(1)毒性成分

ルスフェリン,ルスフェノール,カナバニンの他,シクロプロペンカルボン酸*3が骨格筋の組織を溶解し、その溶解物が臓器に障害を与えることが判明した。 

(2)食中毒の型 胃腸消化器系 

(3) 中毒症状 食後 10 20 分程度で嘔吐,下痢などの胃腸,消化器系の中毒症状を示す。その後,縮瞳,言語障害血尿などの症状が現れ,時に心臓衰弱により死亡する。 

 

(4)発症時間 ・摂取量によって摂食から発症までの潜伏期間が異なる。  
(1)発症事例
 

(症例1)

吸い物に入れて2人が摂食し,全員が摂食 10-20 分後に嘔吐,下痢をした。一人が 18 時間後,顔面,四肢に軽い痙攣,瞳孔の縮小,意識消失を認めた。強心剤,鎮痙剤カクテルを筋注し,痙攣は止まった。摂食 20 時間後,昏睡状態になり,摂取から 24 時間後に死亡した。もう一人は,摂食 28 時間後に入院し強心剤,ビタミン剤などを注射。翌日,より意識不明になり縮瞳が著明になり,入院 4 日目に死亡。

 (症例

大阪府にて採取し,塩水につけたものを翌日すまし汁にて家族 5 人が摂取。摂取 20 分後にほぼ同時に嘔吐した。うち 1 人は言語障害,血尿が現れ,心臓衰弱のため入院,後日全快した。

(2)患者数
※厚生労働省発表
 

ニセクロハツ

/ 年度

発生件数

摂食者総数

患者数

死者数

2015

0

0

0

0

2014

0

0

0

0

2013

0

0

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2012

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2011

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2010

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0

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2009

0

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2008

0

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2007

0

0

0

0

2006

1

1

1

1

2005

1

2

2

2

2004

0

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2003

0

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2002

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2001

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2000

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0

0

0

(3)中毒対策  
(1)毒性成分の分析法  
(1)諸外国での状況   

(1)その他の参考になる情報

 
間違いやすいキノコ   クロハツと間違えやすいが,傘を傷つけて赤から黒変するものはクロハツで,黒変しないものはニセクロハツと言われている。
一般名  クロハツ 
学名 

Russula nigricans  

区別できる特徴   
引用・参考文献 1)

長沢栄史「フィールドベスト図鑑  14  日本の毒きのこ」   ( ) 学習研究社 

2)

編著者・奥沢康正、久世幸吾、奥沢淳治 「毒きのこ今昔-中毒症例を中心にして-」(株)思文閣出版

3)

Matsuura M, Saikawa Y, Inui K, Nakae K, Igarashi M, Hashimoto K, Nakata M.

Identification of the toxic trigger in mushroom poisoning

Nature Chemical Biology 5, 465-467 (2009)

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