「平成18年度女性雇用管理基本調査」調査結果の概要

1 正社員・正職員の採用状況

(1) 採用状況

平成18年春卒業の新規学卒者又は中途採用者(過去1年間)を正社員・正職員として採用した企業割合は77.1%と、平成15年度調査(以下、「前回調査」という。)の71.9%を上回っている(付属統計表第1表)。

採用を行った企業についてみると、「四年制大学卒(大学院卒を含む)」の「事務・営業系」では、いずれの職種・コースとも「男女とも採用」した企業の割合が37.9%(平成15年度45.4%)と前回調査に比べ低下したものの最も高く、次いで「男性のみ採用」が32.6%(同30.0%)となっている。一方、「技術系」では「男性のみ採用」が62.8%(同55.8%)と前回調査と比べ上昇し最も高く、次いで「男女とも採用」が28.1%(同35.4%)となっている。

「短大・高専卒」の「事務・営業系」では「男女とも採用」した企業の割合が6.5%(同34.5%)と前回調査と比べ大きく低下する一方、「女性のみ採用」が80.7%(同51.5%)と大きく上昇している。また、「技術系」においても「男女とも採用」が14.1%(同31.7%)と前回調査と比べ大きく低下する一方、「女性のみ採用」が32.0%(同14.2%)と大きく上昇している。

今回新たに調査した「専門学校・専修学校卒」では、「事務・営業系」において「女性のみ採用」した企業の割合が42.6%と最も高く、次いで「男性のみ採用」が39.9%となっている。「技術系」では、「男性のみ採用」した企業が約7割(69.4%)となっている。

「高校卒」の「事務・営業系」では、「男女とも採用」した企業の割合が20.1%(同35.6%)と前回調査と比べ大きく低下する一方、「女性のみ採用」が56.0%(同47.2%)、「男性のみ採用」が22.6%(同14.6%)と上昇している。また、「技術系」では、「男女とも採用」が21.7%(同24.3%)と前回調査と比べ低下する一方、「女性のみ採用」が11.8%(同7.9%)と上昇している。

また、「中途採用者」については、「男女とも採用」した企業の割合が50.6%(同53.0%)と前回調査と比べ低下したものの最も高く、「その他(職種・コースにより異なる結果)」が、9.8%(同2.8%)と上昇している(図表1、付属統計表第2表)。

図表1 採用区分、採用状況別企業割合

図表1 採用区分、採用状況別企業割合
(2) 新規学卒採用を行った企業における女性の採用状況

新規学卒採用を行った企業全体について、新規学卒採用者に占める女性の割合別にみると、「女性の採用なし(男性のみ採用)」が36.9%、「女性採用100%(女性のみ採用)」が17.4%、「女性採用80〜100%未満」が12.5%、「女性採用40〜60%未満」が11.1%となっている。

これを規模別にみると、5,000人以上規模では「女性採用20%未満」が41.5%で最も多く、次いで「女性採用20〜40%未満」が24.6%となっているが、規模が小さくなるほど「女性採用なし(男性のみ採用)」及び「女性採用100%(女性のみ採用)」の企業割合が高くなる傾向がみられ、30〜99人規模では、「女性採用なし(男性のみ採用)」が47.6%、「女性採用100%(女性のみ採用)」が24.9%を占めている(図表2)。

図表2 規模別新規学卒採用者に占める女性割合別企業割合

図表2 規模別新規学卒採用者に占める女性割合別企業割合
(3) 男性のみ採用の理由

正社員・正職員を男性のみ採用した職種・コースがあった企業が、男性のみを採用した理由は(複数回答)、「女性の応募がなかった」が55.2%(同55.0%)と最も多く、次いで「募集・採用人数が1人だった」が22.5%(同25.5%)、「女性の応募はあったが、試験の成績等が採用基準に達していなかった」が12.1%(同11.5%)となっている。

規模別にみると、「女性の応募がなかった」は規模による差はあまりみられないが、「女性の応募はあったが、試験の成績等が採用基準に達していなかった」は、規模が大きくなるほど高くなる傾向が顕著である(図表3、付属統計表第3表)。

図表3 規模別男性のみ採用理由別企業割合(M.A.)

図表3 規模別男性のみ採用理由別企業割合(M.A.)
(4) 子どものいる子育て年代女性の中途採用状況

過去1年間に正社員・正職員を中途採用した企業のうち、子どものいる子育て年代(25〜44歳)の女性を採用した企業割合は38.6%(平成12年度18.9%(注))となっている。

また、女性を中途採用した企業のうち、3年前と比べて子どものいる子育て年代の女性の採用が「増えた」企業は23.0%(同11.3%)、「減った」企業は7.4%(同6.2%)となっている(図表4、付属統計表第4表)。

図表4 子どものいる子育て年代女性の中途採用状況

図表4 子どものいる子育て年代女性の中途採用状況

(注)平成12年度は、「出産・育児期に一度就業を中断し、子育てが一段落したところで再就職する女性、いわゆる再就職女性」の採用状況について質問している。

2 コース別雇用管理制度について

(1) コース別雇用管理制度の導入状況

労働者の職種、資格や転勤の有無等によっていくつかのコースを設定して、コースごとに異なる雇用管理を行う、いわゆるコース別雇用管理制度が「あり」とする企業の割合は11.1%で、調査を開始した平成元年度(2.9%)以降、上昇し続けている。規模別にみると、1,000人以上の規模では平成12年度以降「あり」の割合が低下していたが、今回すべての企業規模で上昇している(図表5)。

図表5 規模別コース別雇用管理制度のある企業割合の推移

図表5 規模別コース別雇用管理制度のある企業割合の推移

また、産業別にみると、金融・保険業が42.8%(平成15年度41.1%)と前回調査と同様に最も高い状況にあることは変わらないが、教育,学習支援業〈学校教育を除く〉(12.7%→21.0%)、不動産業(13.1%→20.6%)で大きく上昇している(図表6、付属統計表第5表)。

図表6 産業別コース別雇用管理制度のある企業割合

図表6 産業別コース別雇用管理制度のある企業割合

なお、コース別雇用管理制度のある企業について、総合職の有無別の内訳をみると、コースの組み合わせの中に「総合職(全国的規模の転勤のあるコース)」と「総合職(転居を伴う転勤がない又は一定地域内のみの転勤があるコース)」の両方がある企業は30.3%、「総合職(全国的規模の転勤のあるコース)」のみがある企業は35.3%、「総合職(転居を伴う転勤がない又は一定地域内のみの転勤があるコース)」のみがある企業は14.5%、「総合職(全国的規模の転勤のあるコース)」と「総合職(転居を伴う転勤がない又は一定地域内のみの転勤があるコース)」の両方ともない企業は16.2%となっている(付属統計表第6表)。

(2) コース別雇用管理制度のある企業のコース別採用状況

コース別雇用管理制度のある企業のコースごとの新規学卒者採用状況をみると、いわゆる「総合職」(企画的業務に従事)の「全国的規模の転勤のあるコース」を100とした場合、「採用あり」企業割合は58.6%(平成15年度46.7%)となり、前回調査を上回っている。「採用あり」企業を100とした場合、「男女とも採用」した企業割合は51.9%(平成15年度54.4%)、「男性のみ採用」は44.1%(同45.0%)、「女性のみ採用」は4.0%(同0.6%)となっている。一方、「総合職」の「転居を伴う転勤がない又は一定地域内のみの転勤があるコース」では、「採用あり」とする企業割合は23.6%であり、うち「男女とも採用」は53.3%、「男性のみ採用」は29.4%、「女性のみ採用」は17.3%となっている。

また、いわゆる「一般職」(定型的業務に従事し、転居を伴う転勤のないコース)では、「採用あり」とする企業割合は35.6%(同36.8%)となっている。うち「男女とも採用」は30.1%(同42.7%)と前回調査と比べ大きく低下する一方、「女性のみ採用」は64.0%(同52.0%)と大きく上昇している。なお、「男性のみ採用」は5.8%(同5.3%)となっている(図表7、付属統計表第7表)。

図表7 コースの種類、コース別雇用管理制度のある企業における採用状況別企業割合

図表7 コースの種類、コース別雇用管理制度のある企業における採用状況別企業割合
(3) コース別雇用管理制度の見直し状況

過去3年間にコース別雇用管理制度の見直しをした企業割合は19.4%(平成15年度23.0%)であった(付属統計表第8表)。

その見直しの内容をみると、「昇格に上限のあるコースの昇格上限を引き上げるなど、各コースの処遇の見直し」が23.6%(同16.8%)と最も多く、次いで、「コース転換円滑化のための措置の導入(コース転換希望者への教育訓練の実施等)」が18.2%(同20.3%)、「勤務地を限定したコースを追加するなど、転勤の有無、範囲によるコース区分の見直し」が17.6%(同12.7%)となっている。また、前回調査で最も多かった「一方へのコース転換のみ認めていたものを両方向とするなど、コース転換の柔軟化」が13.1%(同37.6%)と大きく低下している。

なお、5,000人以上規模企業については、「勤務地を限定したコースを追加するなど、転勤の有無、範囲によるコース区分の見直し」(34.5%)が最も高く、次いで、「コース転換の資格要件の緩和」(27.6%)、「職務内容、職務レベルの高低によってコースを分割、またはコースの統合」(24.1%)となっている(付属統計表第9表)。

3 配置について

(1) 部門別の配置状況

部門別に男女の配置状況をみると、各部門とも「いずれの職場にも男女とも配置している」とする企業割合が最も高く、その割合が特に高い部門は「人事・総務・経理」が84.2%、「販売・サービス」が78.1%、「生産」が75.1%となっている。

また、前回調査との比較では「販売・サービス」、「生産」(それぞれ2.5%ポイント、2.6%ポイントの上昇)等で男女とも配置している企業割合が上昇している。

一方、「男性のみ配置の職場がある」については、「営業」が40.3%(同38.1%)と最も高く、次いで「研究・開発・設計」が30.6%(同28.6%)となっており、「女性のみ配置の職場がある」割合が高いのは、「人事・総務・経理」の12.4%(同10.5%)となっている(図表8、付属統計表第10表)。

図表8 部門、配置状況別企業割合の推移

図表8 部門、配置状況別企業割合の推移
(2) 女性の職域の拡大状況

3年前に比べて、女性を新たに配置又は女性の数が増えた業務(以下、「女性の職域拡大業務」という。)があった企業は29.9%であり、規模別にみると、規模が大きくなるほど高く、5,000人以上規模では61.5%となっている(図表9)。

図表9 規模別女性の職域拡大業務のある企業割合

図表9 規模別女性の職域拡大業務のある企業割合

さらに、ポジティブ・アクションの取組状況別に女性の職域拡大業務のある企業割合をみると、「取り組んでいる」企業では45.0%と最も高く、「今後取り組むこととしている」企業では、34.6%となっている(図表10)。

図表10 ポジティブ・アクションの取組状況別女性の職域拡大業務あり企業割合

図表10 ポジティブ・アクションの取組状況別女性の職域拡大業務あり企業割合

4 昇進について

(1) 女性管理職を有する企業割合

係長相当職以上の女性管理職(役員を含む。以下同じ。)を有する企業割合は66.6%(平成15年度62.5%)で、男女雇用機会均等法施行から3年経過時点の平成元年度(51.6%)と比べ、15.0%ポイント上昇している。これを役職別にみると、部長相当職は8.8%(同6.7%)、課長相当職は21.1%(同20.2%)、係長相当職は32.0%(同32.0%)となっている(図表11)。

図表11 役職別女性管理職を有する企業割合の推移

図表11 役職別女性管理職を有する企業割合の推移

(注)平成7年度の役職別の数値及び平成10年度の係長相当職以上の数値は、今回集計したものである。また、平成10年度の役職別の数値は、平成12年度調査結果報告の際、再集計した数値である。

産業別にみると、係長相当職以上の女性管理職を有する企業割合が高いのは、医療、福祉96.4%(同91.9%)、飲食店、宿泊業82.3%(同77.1%)、金融・保険業80.2%(同76.3%)となっており、いずれも前回調査から上昇した。

規模別にみると、おおむね規模が大きくなるほど、各役職とも女性管理職を有する企業割合が高くなり、5,000人以上規模では、部長相当職(42.5%)、課長相当職(86.0%)がそれぞれ5.5%ポイント、11.9%ポイント、1,000〜4,999人規模では、部長相当職(20.3%)、課長相当職(62.9%)がそれぞれ6.1%ポイント、9.4%ポイント、前回調査から上昇した(付属統計表第11表)。

(2) 管理職に占める女性の割合

係長相当職以上の、管理職全体に占める女性の割合(以下、「女性管理職割合」という。)は6.9%(平成15年度5.8%)となっており、前回調査に比べ1.1%ポイント上昇した。これを役職別にみると、部長相当職では2.0%(同1.8%)、課長相当職では3.6%(同3.0%)、係長相当職では10.5%(同8.2%)といずれも前回調査から上昇した(図表12)。

図表12 役職別女性管理職割合の推移

図表12 役職別女性管理職割合の推移

産業別にみて、係長相当職以上の女性管理職割合が高いのは医療、福祉37.9%(平成15年度33.0%)、教育、学習支援業〈学校教育を除く〉17.5%(同16.6%)、飲食店、宿泊業14.4%(同13.6%)である。前回調査と比べると、金融・保険業(6.1%→12.2%)で大きく上昇している。

規模別には、規模が小さいほど女性管理職割合が高い傾向が引き続きみられるが、前回調査に比べ、5,000人以上規模(3.3%→6.1%)で大きく上昇している。役職別にみると、300人以上の規模の企業において、係長相当職の女性管理職割合が大きく上昇している(図表13、付属統計表第12表)。

図表13 規模別役職別女性管理職割合の推移

(当該役職者総数=100.0%)

(3) 女性管理職が少ないあるいは全くいない理由

女性管理職が少ない(1割未満)あるいは全くいない役職区分が一つでもある企業についてその理由をみると(複数回答)、「必要な知識や経験、判断力等を有する女性がいない」とする企業割合が46.9%(平成15年度48.4%)と最も高く、次いで「勤続年数が短く、管理職になるまでに退職する」が30.9%(同30.6%)、「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」が27.9%(同27.6%)となっている。

規模別にみると、規模が大きくなるほど「将来管理職に就く可能性のある女性はいるが、現在、管理職に就くための在職年数等を満たしている者はいない」をあげる企業割合が高くなっている。一方、「家庭責任を多く負っているため責任ある仕事に就けられない」「仕事がハードで女性には無理である」は規模が小さくなるほど高くなっている(図表14、付属統計表第13表)。

図表14 規模別女性管理職が少ないあるいは全くいない理由別企業割合(M.A.)

図表14 規模別女性管理職が少ないあるいは全くいない理由別企業割合(M.A.)

5 女性の活躍の推進状況について〜 ポジティブ・アクションの推進状況〜

(1) ポジティブ・アクションの推進状況

過去の雇用慣行や性別役割分担意識などが原因で男女労働者の間に事実上生じている格差の解消を目的として行う措置、すなわち「女性の能力発揮促進のための企業の積極的取組(ポジティブ・アクション)」について、「取り組んでいる」企業割合は20.7%(平成15年度29.5%)、「今後、取り組むこととしている」企業割合は6.7%(同8.8%)、「今のところ取り組む予定はない」とする企業割合は22.3%(同28.7%)、「今後の予定については、わからない」とする企業割合は50.3%(同33.0%(注))であった。

「取り組んでいる」企業割合を規模別にみると、規模が大きい企業ほどその割合が高く、5,000人以上規模で66.5%(同74.0%)、1,000〜4,999人規模で49.7%(同59.5%)、300〜999人規模で35.8%(同46.7%)、100〜299人規模で23.4%(同34.7%)、30〜99人規模で17.4%(同25.2%)となっており、いずれの規模においても平成15年度を下回った。

一方、「今のところ取り組む予定はない」企業割合も、前回調査に比べ低下している。規模別にみると、規模が小さい企業ほどその割合が高いが、前回調査より企業割合は低下しており、30〜99人規模で25.9%(同31.4%)、100〜299人規模で15.5%(同24.0%)、300〜999人規模で12.1%(同19.7%)、1,000〜4,999人規模で9.8%(同17.0%)、5,000人以上規模で7.0%(同10.0%)となっている(図表15、付属統計表第14表)。

図表15 規模別ポジティブ・アクションの取組状況の推移

図表15 規模別ポジティブ・アクションの取組状況の推移

(注1)平成12年度は、「既に、取り組んでいる」。平成15年度は、「平成11年度以前より取り組んでいる」及び「平成11年度以降から取り組んでいる」の計。

(注2)平成15年度までは、「わからない」。

(2) ポジティブ・アクションを推進することが必要と考える理由及び効果があったと思われる事項

ポジティブ・アクションに「取り組んでいる」又は「今後、取り組むこととしている」とした企業が、社内でポジティブ・アクションを推進することが必要であると考える理由は(複数回答)、「男女ともに職務遂行能力によって評価されるという意識を高めるため」が66.8%(平成15年度68.0%)と最も高く、次いで「女性の能力が有効に発揮されることにより、経営の効率化を図るため」が65.3%(同64.1%)、「男女社員の能力発揮が生産性向上や競争力強化につながるため」が56.2%(同52.5%)、「働きやすく公正に評価される企業として認められ、よい人材を確保できるため」が53.9%(同46.9%)等となっている。また、前回調査に比べ、「労働力人口の減少が見込まれているため」が15.9%と割合は少ないものの、10.0%ポイント上昇している(図表16、付属統計表第15表)。

図表16 ポジティブ・アクションを推進することが必要と考える理由別企業割合 (M.A.)

図表16 ポジティブ・アクションを推進することが必要と考える理由別企業割合 (M.A.)

ポジティブ・アクションに「取り組んでいる」企業が効果があったとする事項は(複数回答)、必要であると考える理由同様「男女ともに職務遂行能力によって評価されるという意識を高める」が最も高く(40.9%、平成15年度47.2%)、次いで「女性の能力が有効に発揮されることにより、経営の効率化を図る」(38.4%、同40.3%)、「男女社員の能力発揮が生産性向上や競争力強化につながる」(34.2%、同37.5%)、「働きやすく公正に評価される企業として認められ、良い人材を確保できる」(28.6%、同29.3%)等となっている(図表17、付属統計表第16表)。

図表17 ポジティブ・アクションの効果があったと思われる事項別企業割合 (M.A.)

図表17 ポジティブ・アクションの効果があったと思われる事項別企業割合 (M.A.)
(3) ポジティブ・アクションの取組事項

ポジティブ・アクションに「取り組んでいる」企業における取組事項をみると(複数回答)、「人事考課基準を明確に定める(性別により評価することがないように)」とした企業が68.3%(平成15年度64.1%)と最も高く、次いで「パート・アルバイトなどを対象とする教育訓練、正社員・正職員への登用等の実施」が47.3%、「女性がいない又は少ない職務について、意欲と能力のある女性を積極的に採用」が42.9%(同44.3%)、「出産や育児等による休業等がハンディとならないような人事管理制度(教育訓練を含む)、能力評価制度等の導入」が41.4%、「職場環境・風土の改善(男女の役割分担意識に基づく慣行の見直し等)」が40.6%(同39.0%)等となっている(図表18、付属統計表第17表(1))。

図表18 ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業における既に行っている取組事項別企業割合 (M.A.)

図表18 ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業における既に行っている取組事項別企業割合 (M.A.)

また、今後行う予定の取組事項としては「女性がいない又は少ない職務・役職に女性が従事するため、教育訓練を積極的に実施」(35.0%、平成15年度29.6%)や「女性がいない又は少ない職務・役職について、意欲と能力のある女性を積極的に登用」(33.7%、同28.8%)等が多くなっている。

前回調査結果と比べると、すべての取組予定事項において前回を上回っている(図表19、付属統計表第17表(2))。

図表19 ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業における今後行う予定の取組事項別企業割合 (M.A.)

図表19 ポジティブ・アクションに取り組んでいる企業における今後行う予定の取組事項別企業割合 (M.A.)
(4) ポジティブ・アクションに取り組まない理由

ポジティブ・アクションに「今のところ取り組む予定はない」とした企業の、ポジティブ・アクションに取り組まない理由としては、「既に十分に女性が能力発揮し、活躍しているため」が56.7%(平成15年度44.2%)と最も高く、前回調査に比べ12.5%ポイント上昇している。「日常の業務が忙しいため、対応する余裕がない」は10.7%(同12.7%)、「トップの意識が伴わない」は5.1%(同8.1%)と前回調査に比べ低下する一方、「ポジティブ・アクションの手法がわからない」は7.7%(同6.6%)と上昇傾向がみられる(図表20)。

図表20 ポジティブ・アクションに取り組まない理由別企業割合の推移

図表20 ポジティブ・アクションに取り組まない理由別企業割合の推移

規模別にみると、「既に十分に女性が能力発揮し、活躍しているため」は規模が大きくなるほど高い割合となっている。これに対し、「ポジティブ・アクションの手法がわからない」は、規模が小さくなるほど高くなっている(図表21、付属統計表第18表)。

図表21 規模別ポジティブ・アクションに取り組まない理由別企業割合

図表21 規模別ポジティブ・アクションに取り組まない理由別企業割合
(5) 女性の活躍を推進する上での問題点

女性の活躍を推進する上での問題点をみると(複数回答)、「家庭責任を考慮する必要がある」とする企業割合が47.7%(平成15年度 48.7%)と最も高く、次いで「女性の勤続年数が平均的に短い」が42.5%(同43.4%)、「時間外労働、深夜労働をさせにくい」が35.8%(同35.5%)となっている。

なお、「女性の勤続年数が平均的に短い」「一般的に女性は職業意識が低い」等は低下傾向がみられる(図表22)。

図表22 女性の活躍を推進する上での問題点別企業割合の推移(M.A.)

図表22 女性の活躍を推進する上での問題点別企業割合の推移(M.A.)

規模別にみると、「家庭責任を考慮する必要がある」は規模による差がみられないが、「女性の勤続年数が平均的に短い」は30〜99人規模では38.9%と低く、一方、「時間外労働、深夜労働をさせにくい」は規模が小さくなるほど高い割合となっている。これに対し、「中間管理職の男性や同僚の男性の認識、理解が不十分である」は、規模が大きくなるほど高くなる傾向が顕著である(図表23、付属統計表第19表)。

図表23 規模別女性の活躍を推進する上での問題点別企業割合(M.A.)

図表23 規模別女性の活躍を推進する上での問題点別企業割合(M.A.)

6 セクシュアルハラスメントの防止のための取組について

(1) セクシュアルハラスメントの防止のための取組内容

セクシュアルハラスメント防止方針を従業員に周知するための取組内容をみると(複数回答)、「就業規則、労働協約等の書面でセクシュアルハラスメント防止についての方針を明確化し、周知した」とする企業割合が40.1%(平成15年度32.5%)と最も高く、前回調査と比べ7.6%ポイント上昇している。次いで高いのは、「ミーティング時などを利用してセクシュアルハラスメント防止の周知を行った」30.9%(同33.5%)であった(図表24)。

図表24 セクシュアルハラスメント防止のための取組内容別企業割合 (M.A.)

図表24 セクシュアルハラスメント防止のための取組内容別企業割合 (M.A.)

規模別にみると、「ミーティング時などを利用してセクシュアルハラスメント防止の周知を行った」を除くすべての取組内容について、規模が大きいほど実施企業割合が高くなっている(付属統計表第20表)。

(2) セクシュアルハラスメントの防止のための相談・苦情対応窓口設置内容

セクシュアルハラスメントの防止のための相談・苦情対応窓口の設置内容をみると(複数回答)、「人事担当者や職場の管理職を相談担当者に決めている」が60.4%(平成15年度55.3%)と最も多く、前回調査と比べ5.1%ポイント上昇している。「企業内に相談室を設置し、相談専門の担当者を配置している」4.8%(同2.7%)、「企業内に専用電話を開設している」2.7%(同1.1%)、「社外の専門機関に委託している」2.5%(同0.8%)も、低い水準ではあるが、前回調査と比べ上昇している(図表25)。

図表25 セクシュアルハラスメント防止のための相談・苦情対応窓口設置内容別企業割合(M.A.)

図表25 セクシュアルハラスメント防止のための相談・苦情対応窓口設置内容別企業割合(M.A.)

また、規模別にみると、セクシュアルハラスメント防止のための取組内容同様、規模が大きいほどいずれの設置内容についても実施企業割合が高くなっており、例えば、5,000人以上規模においては「企業内に専用電話を開設している」については5割以上、「企業内に相談室を設置し、相談専門の担当者を配置している」は4割以上の企業が設置していると回答している(付属統計表第21表)。

なお、セクシュアルハラスメント相談・苦情対応窓口の担当者の性別にみると、「男女双方を配置」が37.6%と最も多いが、次いで「男性のみ配置」が30.0%となっている(付属統計表第22表)。

(3) 男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした防止のための取組状況

男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした、防止のための取組状況をみると、男性に対するセクシュアルハラスメントも「対象としている」が42.9%、「一部対象としている」が5.7%で、合わせると48.6%と、半数近くの企業が男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした取組を行っている。

産業別にみると、男性に対するセクシュアルハラスメントも「対象としている」割合が最も高いのは金融・保険業の75.0%であり、一方、最も低いのは、建設業の31.6%となっている。

規模別にみると、規模が大きくなるほど「対象としている」割合が高くなっている(図表26、付属統計表第23表)。

図表26 規模別男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした防止のための取組状況別企業割合

図表26 規模別男性に対するセクシュアルハラスメントも対象とした防止のための取組状況別企業割合
(4) セクシュアルハラスメント事案への対応状況

過去3年間に、セクシュアルハラスメントの相談実績又は事案のあった企業は10.5%であり、規模別にみると、5,000人以上規模では86.0%、1,000〜4,999人規模では55.1%となっている(図表27)。

図表27 規模別セクシュアルハラスメント相談実績又は事案のある企業割合

図表27 規模別セクシュアルハラスメント相談実績又は事案のある企業割合

相談実績又は事案のあった企業のうち、その事案にどのように対応したかみると(複数回答)、「会社の雇用管理上の問題として対応した」が90.6%となっている(付属統計表第24表)。

(5) セクシュアルハラスメントが起こった場合、対応として特に難しいと感じている内容

セクシュアルハラスメントが起こった場合、対応として特に難しいと感じている内容として(複数回答)、「当事者の言い分が食い違う等、事実確認が難しい」41.7%(平成15年度38.0%)、「プライバシーの保持が難しい」39.3%(同37.2%)、「微妙な問題なので、相談を受ける時にどういう点に留意すべきかわからない」19.7%(同18.2%)、「被害者が精神的ダメージを受けている場合の対応の仕方がわからない」14.8%(同13.4%)とする企業割合が高くなっている(図表28)。

図表28 セクシュアルハラスメントが起こった場合、対応として特に難しいと感じる事項別企業割合の推移(M.A.)

図表28 セクシュアルハラスメントが起こった場合、対応として特に難しいと感じる事項別企業割合の推移(M.A.)

規模別にみると、「当事者の言い分が食い違う等、事実確認が難しい」の割合は、30〜99人規模で37.6%、100〜299人規模で47.7%、300〜999人規模で57.4%、1,000〜4,999人規模で63.2%、5,000人以上規模で74.5%と、規模が大きくなるほど高くなっている(図表29、付属統計表第25表)。

図表29 規模別セクシュアルハラスメントが起こった場合、対応として特に難しいと感じる事項別企業割合 (M.A.)

図表29 規模別セクシュアルハラスメントが起こった場合、対応として特に難しいと感じる事項別企業割合 (M.A.)

7 仕事と育児の両立について

(1) 育児休業取得者

在職中に出産した者又は配偶者が出産した者に占める育児休業取得者(注)の割合(以下、育児休業取得率という。)を男女別にみると、女性は88.5%(平成15年度73.1%)、男性は0.57%(同0.44%)と、それぞれ15.4%ポイント、0.13%ポイント上昇した。また、育児休業取得者の男女別割合をみると、女性が97.2%(同97.1%)、男性が2.8%(同2.9%)となっている。

平成17年4月から全面施行されている次世代育成支援対策推進法においては、育児休業の取得促進のための措置等の次世代育成支援対策を企業内で実施することが求められている。次世代育成支援対策のための行動計画の策定が義務となっている301人以上と、努力義務である300人以下の企業規模別に育児休業取得率をみると、女性については、301人以上規模は94.1%(同80.4%)、30〜300人規模は80.2%(同64.1%)と、全体的に育児休業取得率が上昇していたが、300人以下の企業の方が上昇幅がやや大きくなっている。一方、男性の取得率は30〜300人規模の方が0.80%と高いが、次世代育成支援対策推進法施行前の平成15年度(0.83%)と比べると横ばいであるのに対し、301人以上規模では、0.13%から0.43%に上昇している(図表30、付属統計表第26表)。

図表30 規模別育児休業取得率

図表30 規模別育児休業取得率

(注)調査対象企業において、平成17年4月1日から平成18年3月31日までの1年間に出産した者又は配偶者が出産した者に占める、平成18年10月1日までの間に育児休業を開始した者(育児休業開始予定の申出をしている者を含む。以下同じ。)の割合。平成15年度の数値は、平成14年4月1日から平成15年3月31日までの1年間に出産した者又は配偶者が出産した者に占める、平成15年10月1日までの間に育児休業を開始した者の割合であり、企業規模別の数値は今回再集計したものである。

(2) 育児のための勤務時間短縮等の措置

育児のための勤務時間短縮等の措置((1)短時間勤務制度、(2)フレックスタイム制度、(3)始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ、(4)所定外労働の免除、(5)事業所内託児施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与、(6)育児休業に準ずる措置)の制度がある企業割合は51.7%(平成15年度45.3%)で、6.4%ポイント上昇した。また、制度のある企業を100とした場合、最長で子が「小学校就学の始期に達するまで」以上の期間利用できる制度のある企業割合をみると、34.8%(同22.5%)と、12.3%ポイント上昇した。

301人以上と300人以下の企業規模別にみると、勤務時間短縮等の措置の制度がある企業割合は、301人以上規模は86.6%(同81.1%)と5.5%ポイント、30〜300人規模では48.3%(同41.8%)と6.5%ポイント上昇した。また、制度のある企業について、最長で子が「小学校就学の始期に達するまで」以上の期間利用できる制度のある企業割合をみると、30〜300人規模では33.5%(同21.6%)で11.9%ポイントの上昇であるのに対し、301人以上規模は42.2%(同27.1%)で15.1%ポイント上昇した(図表31、付属統計表第27表)。

図表31 規模別「小学校就学の始期に達するまで」以上の期間利用できる育児のための勤務時間の短縮等の措置の制度のある企業割合

図表31 規模別「小学校就学の始期に達するまで」以上の期間利用できる育児のための勤務時間の短縮等の措置の制度のある企業割合

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