労働委員会命令データベース

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概要情報
事件番号・通称事件名  山口県労委平成29年(不)第1号
田中酸素不当労働行為審査事件 
申立人  X組合(「組合」) 
被申立人  Y会社(「会社」) 
命令年月日  平成30年7月26日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、被申立人会社が、申立人組合の組合員A2に対し、平成29年2月20日付けでB2営業所への配置転換を命じたことが不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件で、山口県労働委員会は、会社に対し、文書手交を命じ、その余の申立てを棄却した。 
命令主文 
1 被申立人は、本命令書受領後1週間以内に、下記内容の文書を申立人に手交しなればならない。
2 その余の申立てを棄却する。

平成  年  月  日
組合
執行委員長 A1 様
会社            
代表取締役社長 B1 ?
 当社が行った下記行為は、山ロ県労働委員会において、労働組合法第7条第1号に該当する不当労働行為であると認定されました。
 当社は、今後、このようなことを繰り返さないように留意します。
              記
 組合員であるA2氏に対するB2営業所への配置転換において、選考過程に合理性を欠き、また、当該配置転換の前に当社が指示した業務内容とその後の勤務実態とに乖離がある不当な取扱いをしたこと。 
判断の要旨  1 争点1(会社が本件配転を命じたことは、A2が組合員であることを理由とする不利益取扱いに当たるか。)について
 本件配転に際し、会社として人員配置の必要性があったことを否定するものではないが、A2に対する本件配転に至る経緯、人選及び配転後のA2の業務実態が配転前に会社が求めていた業務内容と一致しない点に妥当性ないし合理的理由は見出しがたい。
 さらに、本件配転に深く関与したB4自体が、本件配転によってA2の意欲が向上することを期待していたとしながら、B3営業所やB2営業所におけるA2の業務内容ないし業務実態を充分に把握していなかった点や、会社として本件配転が永続的なものか一時的なものか決めていなかったにもかかわらずA2のB3営業所への復帰を検討した形跡が窺えない点も含め、本件配転は、極めて不自然な取扱いであると言わざるを得ない。
 上記のとおり、本件配転に合理的な理由を見出すことができないとの判断は、すなわち、会社が非組合員である従業員に比し、A2を軽視した意思の表れと評価でき、これまで労使紛争が絶えず繰り返されている事情に鑑みても、会社による組合嫌悪の念は推認できる。
 したがって、本件配転は、会社が組合員であるA2を嫌悪して、A2及び組合の意に反し、不利益に取り扱ったものと認めざるを得ない。
2 争点2(会社が、本件配転を命じたことは支配介入に当たるか。)について
 本件配転により、A2がB3営業所の労働者代表に選出され得なくなった事情は認められるが、これに伴って、組合が主張する「働きやすい会社」にするための労働組合としての活動がなし得なくなったなどの特段の事情が窺えないことは、A2が労働者代表に選出される前にB3営業所でサービス残業を是正したと主張することからも明白である。
 本件配転後、組合としてB3営業所の状況把握が困難になったことは否めないが、組合員のいない営業所は他にもあり、本件配転前もA1らが組合ニュースの配布等を行なっていたことからすれば、本件配転により直ちに組合の活動・運営に支障が出たとは言えないものである。
 加えて、非組合員の労働条件の改善要求や組合員が不在となったB8営業所における労働条件に関する問題は、組合に対する不当労働行為と関連するものではなく、本件配転が支配介入に該当する旨の主張は採用できない。 
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中労委平成30年(不再)第41号 一部変更・棄却 令和2年2月5日
東京地裁令和2年(行ウ)第105号 棄却 令和4年6月2日
東京高裁令和4年(行コ)第53号 棄却 令和4年9月1日
東京高裁令和4年(行コ)第185号 棄却 令和4年12月22日
最高裁令和5年(行ツ)第74号・令和5年(行ヒ)第64号 上告棄却・上告不受理 令和5年5月24日
最高裁令和5年(行ヒ)第65号 上告不受理 令和5年5月24日
最高裁令和5年(行ツ)第138号・令和5年(行ヒ)第144号 上告棄却・上告不受理 令和5年7月19日
 
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