労働委員会命令データベース

(この事件の全文情報は、このページの最後でご覧いただけます。)

[命令一覧に戻る]   [顛末情報]
概要情報
事件名 南労会(平成9年度賃上げ等)
事件番号 中労委平成12年(不再)第45号・第47号
再審査申立人 (45号)医療法人南労会・(47号)全国金属機械労働組合港合同 、同南労会支部
再審査被申立人 (45号)全国金属機械労働組合港合同 、同南労会支部・(47号)医療法人南労会
命令年月日 平成18年7月5日
命令区分 一部変更
重要度  
事件概要 1  本件は、南労会が、(1)平成9年度賃上げについて、新賃金体系及び妥結月実施に同意しないことを理由として賃上げを実施しなかったこと、(2)平成9年夏季及び年末一時金について、遅刻早退控除及び処分等控除に同意しないことを理由として各一時金を支給しなかったことが不当労働行為であるとして、大阪府労委に救済申立てがあった事件である。 
2  初審大阪府労委は南労会に対し、(1)平成9年度賃上げについて、妥結月実施を条件とせず、新賃金体系に関して十分な説明を行うなど組合らと誠実に協議すること、(2)平成9年夏季及び年末一時金について、支部組合員が平成3年8月4日以前の勤務時間制度に基づく勤務をしたことを対象とする遅刻早退控除及び処分等控除を実施することなく妥結し、各一時金を支払うこと、(3)文書手交を命じ、その余の申立てを棄却したところ、南労会及び組合らはこれを不服として、それぞれ再審査を申し立てたものである。 
命令主文 1  主文要旨(初審命令主文を一部変更)
 (1)  南労会は、平成9年夏季及び年末一時金について、支部組合員が平成3年8月4日以前の勤務時間制度に基づく勤務をしたことを対象とする遅刻早退控除及び処分等控除の実施を条件とすることなく、支部と誠実に団体交渉を行うこと 
(2)  上記の団体交渉で妥結に至った場合に、支部組合員に対し各一時金を支給すること 
(3)  南労会は、平成9年度賃上げの同年4月への遡及実施について、支部と誠実に団体交渉を行うこと 
(4)  上記の団体交渉で妥結に至った場合に、各一時金について、平成9年度賃上げによって生じる差額を清算すること 
(5)  文書手交 
(6)  その余の救済申立棄却 
(7)  その余の本件各再審査申立棄却 
判断の要旨 (1)  平成9年度賃上げについて 
ア  新賃金体系について
 南労会は、南労会の回答額で妥結する旨回答している組合らに対して、重要な労働条件の変更を行うものである新賃金体系について組合らと実質的な協議を行うことのないまま、新賃金体系に同意しなければ平成9年度賃上げを実施しないとして賃上げを実施しておらず、このような南労会の対応は、誠実な団交を行ったものとは認められない。(労組法7条2号に該当) 
イ  妥結月実施について
 妥結月実施については、南労会が、支部組合員に対して、妥結が遅れれば遅れるだけその不利益が増大する結果となることを予測して、いまだ団交が尽くされたと認めることができない新賃金体系について支部の反対を封じ同意をさせようとしてあえて賃上げの条件としたものとみることができ、新賃金体系に関する不誠実な団交という不当労働行為を介在させることによって、組合及び支部の方針を変更させるために行われたものであると評さざるを得ないものであって、したがって、組合及び支部の弱体化を企図したものであり、その運営に支配介入したものといわざるを得ない。(労組法7条3号に該当) 
 
(2)  平成9年夏季及び年末一時金について 
ア  遅刻早退控除について
 南労会が、平成9年夏季及び年末一時金について、3年変更及び7年変更(支部と合意のないまま実施した診療時間及び勤務時間の変更)による勤務時間を基準とする遅刻早退控除の導入を妥結の条件とし、その結果合意・妥結が成立せず、同一時金を支部組合員に支給しなかったことは、3年変更等に反対する支部及び3年変更前の勤務時間に従って勤務している支部組合員を嫌悪し、南労会の方針に従わせるためにことさら不利益に取り扱ったものとみることができ、また、組合及び支部の運営に支配介入しその弱体化を図ったものということができる。(労組法7条1号及び3号に該当) 
イ  処分等控除について
 3年変更等は南労会が一方的に導入しようとしたものであるから、3年変更等に従わないことを理由に支部組合員に対する処分を行うことは相当とはいえない。したがって、3年変更等に従っていないことを理由とする処分等を理由に支部組合員の一時金の控除を行うことは適切なものと言うことはできず、これを一時金支給の条件とすることは合理性を欠く。そして、南労会がこのような処分等控除に固執した結果、平成9年夏季及び年末一時金について合意が成立せず、支部組合員に対して同一時金を支給しなかったことは、3年変更等に従わず、支部の指示に従い3年変更前の勤務制度に従って勤務している支部組合員をその活動のゆえに不利益に取り扱おうとするものであり、同時に支部の運営に支配介入するものである。(労組法7条1号及び3号に該当) 
掲載文献 不当労働行為事件命令集135集《18年5月~8月》900頁

[先頭に戻る]

顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成4年(不)第30号、平成4年(不)第33号、平成5年(不)第2号、平成6年(不)第19号、平成7年(不)第27号、平成7年(不)第28号、平成7年(不)第53号、平成8年(不)第28号、平成9年(不)第16号及び平成9年(不)第17号 棄却(4-30)、一部救済(7-53、9-16)、全部救済(その他) 平成11年12月27日
大阪府労委平成10年(不)第27号 一部救済 平成12年7月17日
中労委平成12年(不再)第3号及び平成12年(不再)第4号 一部変更 平成18年3月15日
東京地裁平成18年(行ウ)第238号 平成18年(行ウ)第462号 一部取消 平成20年4月23日
東京地裁平成18年(行ク)第330号、第364号 緊急命令申立ての一部認容 平成20年4月23日
東京高裁平成20年(行コ)第240号 棄却 平成21年5月28日
最高裁平成21年(行ツ)第267号
最高裁平成21年(行ヒ)第341号
上告棄却・不受理決定 平成22年2月4日
最高裁平成21年(行ヒ)第342号 不受理決定 平成22年2月4日
 
[全文情報] この事件の全文情報は約232KByteあります。 また、PDF形式になっていますので、ご覧になるにはAdobe Reader(無料)のダウンロードが必要です。