概要情報
事件名 |
南労会(9年度賃上げ等) |
事件番号 |
大阪地労委 平成10年(不)第27号
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申立人 |
全国金属機械労働組合港合同南労会支部 |
申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
被申立人 |
医療法人 南労会 |
命令年月日 |
平成12年 7月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、南労会が、(1)平成9年度賃上げにおいて、定昇分については支部が新賃金体系への移行に同意することを、ベア分については妥結月実施をそれぞれ条件とし、これに同意しなった組合員に賃上げを実施しなかったこと、(2)9年の夏季・年末各一時金について、組合らと未合意の勤務時間変更に基づく遅刻・早退等を控除の対象とすることを支給条件とし、これに同意しなかった組合員のみ一時金を支給しなかったことが争われた事件で、9年度賃上げについて誠実に協議すること、9年度の夏季・年末各一時金交渉を、各一時金について変更前の勤務時間に基づいて勤務したことを理由とする控除は行わないことを条件に速やかに妥結し、組合員以外の職員と同一基準により支給すること、文書手交を命じ、その他の申立ては棄却した。 |
命令主文 |
1 平成9年度賃上げについて誠実に協議すること。 2 平成9年の夏季・年末各一時金交渉を、各一時金について変更前の勤務時間に基づいて勤務したことを理由とする控除は行わないことを条件に速やかに妥結し、支部組合員以外の職員と同一基準により支給すること。 3 文書手交 4 その他の申立ての棄却。 |
判定の要旨 |
2240 説明・説得の程度
南労会は、本件新賃金体系が賃金体系の抜本的変更であるにもかかわらず、職能資格制度の内容については移行後に協議するとして、組合らの求める資料等示さず、なんら具体的な説明を行わなかったものであり、さらに、平成9年度賃上げ交渉においても、新賃金体系移行について十分な協議をしたとの疎明もないことからすれば、この新賃金体系移行について十分な説明や協議が行われたとは到底認められないとされた例。
4603 その他
平成9年度の賃上げにつき、妥結月実施を賃上げの条件とするには相当な合理的理由がなくてはならないところ、この点について、南労会が主張する裁判所が妥結月実施を条件とすることを明確に是認したとの疎明はなく、また、その他の合理的な理由の主張もなく南労会が妥結月実施を平成9年度賃上げ実施の条件としたことは、未妥結の賃上げ問題の解決を一層困難にさせ、それにより組合及び支部の弱体化を企図したものと判断するのが相当であるとされた例。
2249 その他使用者の態度
平成9年度賃上げに関する団交においては、南労会は組合らの賃上げの根拠資料の提出要求にも応じておらず、誠実な団交があったものとは認められないとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
南労会が、十分な説明をしないまま遅刻早退控除を一時金の支給条件とすることに固執し、その結果労使合意が成立せず、支部組合員に対し平成9年夏季及び年末の各一時金を支給しなかったことは、南労会と対立する組合らに対する嫌悪から支部組合員を経済的に不利益に取扱い、もって組合及び支部の弱体化を図ろうとしたものと判断するのが相当であるとされた例。
1201 支払い遅延・給付差別
南労会が、警告書の交付を理由とする一時金の額の控除を一時金支給の条件とすることに固執し、その結果労使合意が成立せず、支部組合員に対し平成9年夏季及び年末の各一時金を支給しなかったことは、南労会と対立する組合らに対する嫌悪から支部組合員を経済的に不利益に取扱い、もって組合及び支部の弱体化を図ろうとしたものと判断するのが相当であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
平成9年夏季一時金の団交において、同一時金を算定期間の平均基本給の2か月分とする根拠につき具体的な資料を示すことなく提示し、他方で組合らが求めた支部組合員各人の金額等をその必要性がないとして示さなかったこと、同年年末一時金の団交において、組合らが求めた同一時金を算定期間の平均基本給の2.4か月分とした回答に係る資料を示さなかったことが、それぞれ認められ、同年夏季及び年末の各一時金について、南労会は誠実な団交を行ったものと認められないとされた例。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集117集240頁 |
評釈等情報 |
 
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