労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  南労会(賃金・一時金等) 
事件番号  大阪府労委平成4年(不)第30号、平成4年(不)第33号、平成5年(不)第2号、平成6年(不)第19号、平成7年(不)第27号、平成7年(不)第28号、平成7年(不)第53号、平成8年(不)第28号、平成9年(不)第16号及び平成9年(不)第17号 
申立人  全国金属機械労働組合港合同 
申立人  全国金属機械労働組合港合同南労会支部 
被申立人  医療法人南労会 
命令年月日  平成11年12月27日 
命令区分  一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) 
重要度   
事件概要  法人が、組合に対し(1)平成3年度及び4年度の賃上げにおいて別組合と差別したこと、(2)平成4年から8年までの夏季及び年末一時金について、遅刻早退控除の導入及びワッペン控除の導入等に合意しないことを理由に支給しなかったこと、(3)未妥結であった賃上げ及び一時金の支払いについて、妥結月実施及び地労委への救済申立ての取下げを条件としたこと、(4)平成7年度及び8年度の賃上げを、新賃金体系に合意しないことを理由に実施しないこと等が、それぞれ不当労働行為であるとして争われた事件で法人に対し、(1)平成7年度及び8年度賃上げについての誠実団交、(2)未支給の一時金交渉の速やかな妥結及び他の職員と同一基準の支払い、(3)文書手交を命じ、その余の申立ては棄却した。 
命令主文  1 被申立人は、平成7年度及び同8年度賃上げについて、交渉が妥結した月から実施することを条件とせず、新賃金体系に関して十分な説明を行うなど申立人らと誠実に協議しなければならない。
2 被申立人は、申立人らとの間において、平成4年から同8年の間の夏季及び年末の各一時金交渉を、速やかに下記各条件によって妥結し、協定締結の上、全国金属機械労働組合港合同南労会支部組合員に対し、同組合員を除く被申立人職に対して既に支給したものと同一の基準により支給しなければならない。
 (1)遅刻早退を理由とする控除については、平成3年8月4日以前の勤務時間に基づいて実施しなければならない。
 (2)ワッペンを着用して就労したことを理由とする控除については、これを実施してはならない。
 (3)懲戒処分及び警告書交付を理由とする控除については、平成3年8月4日以前の勤務時間に基づいて勤務したことに対する懲戒処分及び警告書交付を理由として実施してはならない。
 なお、同7年度及び同8年度賃上げについて妥結に至ったときは、この賃上げによって生じる同7年及び同8年の夏季及び年末の各一時金に係る差額を清算しなければならない。
3 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。
                 記
                            年 月 日
全国金属機械労働組合港合同
 委員長    X1    殿
全国金属機械労働組合港合同南労会支部
 執行委員長   X2   殿
                        医療法人南労会
                         理事長   Y1
 当医療法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第七条第一号、第二号及び第三号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。
                 記
(1)平成4年から同8年の間の夏季及び年末の各一時金交渉において、同3年8月5日に変更された勤務時間に基づき遅刻早退を理由とする控除を実施すること、ワッペンを着用して就労したことを理由とする控除を実施すること並びに上記変更前の勤務時間により勤務したことに対する懲戒処分及び警告書交付を理由とする控除を実施することを一時金支給の条件とし、そのため妥結に至らなかったとして、貴組合員に対してのみこれらの一時金を支給しなかったこと。
(2)未妥結であった賃上げ及び一時金について貴組合から一括妥結提案がなされた際、並びに平成8年度賃上げ交渉の際に、賃上げは妥結した月から実施するという条件を付したこと。
(3)平成7年度及び同8年度賃上げ交渉において、新賃金体系移行に合意することを賃上げ実施の条件としながら、これについて十分協議を行わなかったこと。
4 申立人らのその他の申立ては棄却する。 
判定の要旨  1201 支払い遅延・給付差別
別組合との賃上げ額の格差は、設立当初から存在する診療所職員と紀和病院職員の定昇額そのものの差であり、前年どおりの方式に基づいてなされた法人の回答を労働組合間差別であり不当労働行為であるとすることはできないとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2803 その他
一時金における遅刻早退控除の導入について、法人が控除の対象としている遅刻早退は、支部が反対している変更した勤務時間に基づいて算定するとされており、変更前の勤務時間に基づいて勤務している支部組合員にとって極めて大きな影響を持つものであること、また、支部からの遅刻早退回数の明示要求に対しこれを拒否するなど、誠実な団交を行ったものとは認められないことから、遅刻早退控除の導入を一時金支給の条件としたこれらの行為は労組法七条一号、二号及び三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2803 その他
一時金におけるワッペン控除の導入について、法人は誰が幾日ワッペン着用就労を行っていたかを現認しないまま支部組合員全員がワッペン着用就労していたとみなしており、またワッペン着用期間も業務を運営していたことを考慮すれば、査定期間をすべて欠勤とみなしてこれに係る一時金の半額を控除することは合理性を欠くものであることから、本件控除への同意を一時金支給の条件としたことは労組法七条一号及び三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2803 その他
法人による未妥結であった賃上げの妥結月からの実施の主張は、それが実施されれば支部組合員の金銭的損失が大きなものとなり別組合員との格差が大きくなること、賃上げが遅れて妥結したときは実施時期を当該年度の4月に遡及することが慣行であったこと、妥結月実施に合理的理由がないことから、本件主張を未妥結の賃上げ及び一時金支給の条件としたことは労組法七条三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
未妥結であった賃上げ及び一時金支給の実施について、法人は地労委への救済申立てを取り下げることを条件としているが、これは労使が合意に達した事項に関連する申立てを取り下げるというものであり、不当とはいえないとされた例。

2240 説明・説得の程度
新賃金体系移行についての協議において、法人は抽象的内容の説明にとどまるなど合意に至る努力を行っておらず、誠実な団交を行ったものとは認められないとして、労組法七条二号に該当する不当労働行為であるとされた例。

1201 支払い遅延・給付差別
2801 団体運営に関する補助金支給
一時金における処分等控除の導入について、法人は、本件控除の対象になっている警告書を、勤務時間変更に反対し、変更前の勤務時間により勤務している支部組合員全員に交付していることが認められ、また、その警告書は支部組合員に対し具体的な勤務時間について指示していないにもかかわらず、それに従っていないとする根拠のないものであるから、このような条件に固執し合意が成立せず、一時金を支給しなかったことは、労組法七条一号及び三号に該当する不当労働行為であるとされた例。

業種・規模  医療業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集115集522頁 
評釈等情報   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委 平成10年(不)第27号 一部救済 平成12年7月17日
中労委 平成12年(不再)第3号及び平成12年(不再)第4号 一部変更 平成18年3月15日
中労委 平成12年(不再)第45号・第47号 一部変更 平成18年7月5日
東京地裁 平成18年(行ウ)第238号 平成18年(行ウ)第462号 一部取消 平成20年4月23日
東京地裁 平成18年(行ク)第330号、第364号 緊急命令申立ての一部認容 平成20年4月23日
東京高裁平成20年(行コ)第240号 棄却 平成21年5月28日
最高裁 平成21年(行ツ)第267号
最高裁 平成21年(行ヒ)第341号
上告棄却・不受理決定 平成22年2月4日
最高裁 平成21年(行ヒ)第342号 不受理決定 平成22年2月4日
 
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