概要情報
事件名 |
京セラ(旧サイバネット工業) |
事件番号 |
中労委昭和56年(不再)第1号
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再審査申立人 |
京セラ 株式会社 |
再審査被申立人 |
全関東単一労働組合 |
命令年月日 |
昭和58年 4月 6日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
傷病欠勤中の分会長に対し、就業規則上最も短い2カ月間の休職期間を決定し、また期間満了をもって退職させたこと、休職措置に関する団交要求を拒否したことが争われた事件で、分会長に対する休職通知及び退職通知の取消し、原職復帰、団交応諾、ポスト・ノーティスを命じた初審命令について会社側から再審申立てがなされ、中労委は、2カ月間の休職扱いしたことは相当であるとして初審命令を取り消し、退職問題及び団交応諾については初審命令を維持し、ポスト・ノーティスについては文書手交にあらためた。 |
命令主文 |
初審命令主文を次のとおり変更する。 1 京セラ株式会社は、全関東単一労働組合の組合員X1に対する昭和55年8月10日付け退職通知がなかったものとして取り扱わなければならない。 2 京セラ株式会社は、全関東単一労働組合が昭和55年7月22日付け団体交渉要求書により申し入れた事項について、誠意をもって団体交渉に応じなければならない。 3 京セラ株式会社は、下記の文言を記載した文書を全関東単一労働組合に交付しなければならない。 記 会社が、貴組合分会長であるX1の疾病に関する団体交渉に誠意をもって応ぜず、また、X1に対する昭和55年8月10日付け退職通知を行い退職したものとして取り扱ったことは、労働組合法第7条に該当する不当労働行為であると中央労働委員会によって認定されました。よって、今後、このような行為を繰り返さないようにいたします。 昭和 年 月 日 全関東単一労働組合 執行委員長 X2殿 京セラ株式会社 代表取締役 Y1 4 全関東単一労働組合のその余の救済申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
1106 契約更新拒否
3102 争議対抗手段
疾病による休職扱いはやむを得ないとしても、組合がこれを業務上の疾病と認めるよう要求したのに対し団交にも応じず、監督署からの休職期間延長の要請にもこたえず、2カ月の休職期間満了と同時に退職扱いしたのは不当労働行為であり、初審判断は結論において相当であるとされた例。
1600 休暇の取扱い
分会長の休職扱いについて、本人から提出された診断書からして会社が業務外と判断し、規則どおり休職通知をしたのは相当であり、これを不当労働行為とした初審判断は失当であるとされた例。
2240 説明・説得の程度
分会長の休職の取扱いについての団交申入れに対し、すでに説明済みであるとして団交に応じないのは不当労働行為であるとした初審判断が支持された例。
4421 文書掲示等を命じた例
分会長の休職期間満了を理由とした退職扱い及び休職措置に関する団交拒否の救済に関連して初審のポスト・ノーティスを文書手交にあらためた例。
5124 その他の審査手続
会社側が過去の審問での経緯から、地労委に対し審問期間における会社側出席者の身体的安全の保障についての上申書の提出をし文書回答を要請したのに、労委が回答せず結果的に審問に1回も出席できなかったのは、手続の公平を欠き違法であるとの主張について、そのことによって会社側の審問出席が不能になったとは認められないとして斥けた例。
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業種・規模 |
電気機械器具製造業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集73集551頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 1983年7 月10日 701 号 20頁 
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