概要情報
事件名 |
葦原運輸機工 |
事件番号 |
中労委昭和47年(不再)第4号
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再審査申立人 |
葦原運輸機工 株式会社 |
再審査被申立人 |
全国自動車運輸労働組合大阪合同支部 |
命令年月日 |
昭和48年11月21日 |
命令区分 |
一部変更(初審命令を一部取消し) |
重要度 |
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事件概要 |
分会長に対する下車勤、退職予告およびに懲戒解雇、分会執行委員に対する懲戒解雇、一時金支給についての組合間差別等をめぐる事件で、初審命令後に事情変更の認められる部分について初審命令を変更したほかは、再審査申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 初審命令主文第3項を次のとおり変更する。 3 被申立人は、X1、X2、X3およびX4に対して、寮および食堂の利用について他の従業員と差別してはならない。 2 その余の本件再審査申立てを棄却する。 |
判定の要旨 |
0600 暴力行為
分会員に対する暴力行為等の懲戒解雇理由は、解雇を正当化するためことさらとりあげたものや、事実に反するもの等合理性を認められないものばかりであることからみると、本件懲戒解雇は、労組法7条1号および3号に該当する不当労働行為であると判断される。
0700 職場規律違反
X1に対する退職予告には何ら合理的理由はなく、X1の組合活動を嫌悪した会社が、経営会議の妨害を口実に行った不当利益取扱いと認めざるを得ない。
0700 職場規律違反
分会執行委員3名に対する職場規律違反等を理由とする懲戒解雇理由は、いずれも合理性はなく、その真の理由は、分会執行委員を企業外に排除し、分会の組織および活動に支障を与えようとして行なったものと認めざるを得ないから、本件懲戒解雇は、労組法7条1号および3号に該当する不当労働行為であると判断される。
1201 支払い遅延・給付差別
3103 労働協約締結をめぐる行為
平和協定に署名することを分会員に求めること自体が支配介入と認められるから、署名することを年末一時金支給の条件とし、署名を拒否した分会員に対して、一時金を支給しなかったことは、不利益取扱いと認めざるを得ない。
1201 支払い遅延・給付差別
平和協定に署名した分会員に対しても年末一時金の20%分を支給しなかったことについて、会社は資金の枯渇を理由としてあげているが、組合を脱退すれば支払うといった会社の言動からみれば、会社の主張は採用できず、不利益取扱いであると判断される。
0412 順法闘争・残業拒否
1302 就業上の差別
早出拒否は、分会が自主的に行なうべき争議行為であるから、分会長X1が、会社の早出拒否を行なわないようにという要請を拒否したとしても、これを理由としてX1を問責することは許されないにもかかわらず、会社がX1に下車勤を命じたのは、はなはだしい不利益取扱いと認めざるを得ない。
2245 引き延ばし
会社の行なった団交の内容は、ほとんどの場合、社長が交渉議題とは無関係なビル建設計画について一方的説明をしたり、組合側交渉委員数の不足を理由に交渉に入るのを拒んだり、社長が民謡を歌いたいと発言するなど、誠意ある団交とは認められず、団交拒否に該当する。
2500 別組合の結成・援助
どの上部団体にも属さない組合を希望するとの社長声明を配布していること、新労はまさに上部団体に加盟していない組合であること、新労役員に社長親族がいること等からみると、新労は、会社の指導によって結成され、かつ分会に対抗する組織であると言わざるを得ず、会社のかかる行為は、支配介入行為であると判断される。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
親睦団体を育成強化しようとした社長発言、上部団体に加盟しないことを希望する旨の書面を配布し、署名を求めた行為などは、いずれも会社が分会の弱体化を企図して行なった諸言動の一環をなすものであって、支配介入に該当すると認められる。
3103 労働協約締結をめぐる行為
会社提案の平和協定の内容は、分会の行なった正当な争議行為を非難するばかりでなく、今後3年間一切の争議行為を放棄するという労働者のもつ労働基本権を不当に制限するもので、このような協定を分会員を含む従業員に対して署名を求めること自体支配介入行為である。
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業種・規模 |
道路貨物運送業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集52集303頁 |
評釈等情報 |
中央労働時報 昭和49年2月10日 553号 18頁 
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