労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 INAXメンテナンス
事件番号 東京高裁平成21年(行タ)第38号
申立人 株式会社INAXメンテナンス
相手方 国(裁決行政庁 中央労働委員会)
判決年月日 平成21年9月16日
判決区分 救済命令の執行停止
重要度  
事件概要  本件は、Y会社が個人業務委託契約を締結して親会社の製品である住宅設備機器の修理等の業務に従事するCE(カスタマーエンジニア)が加入するX組合本部、X組合支部及びX組合支部分会(以下、本部、支部及び分会を併せて「X組合ら」という。)からの平成16年9月6日付け、同月17日付け、同月28日付け及び同年11月17日付け各団体交渉申入れ(以下、これらを併せて「本件各団体交渉申入れ」という。)に対し、CEは個人事業主であり労組法上の労働者に当たらないとしてこれに応じなかったことが不当労働行為であるとして、X組合本部及び同支部が救済を申し立てた事件である。
 初審大阪府労委は、Y会社に対し、CEはY会社との関係において労組法上の労働者と認めるのが相当であり、Y会社がX組合本部及び同支部との団体交渉に応じなかったことは同法第7条第2号に該当する不当労働行為であるとして、Y会社に対し、①団体交渉応諾、②文書手交を命じたところ、これを不服としてY会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、初審命令を維持し、Y会社の再審査申立てを棄却した(以下「本件命令」という。)。
 Y会社は、本件命令を不服として東京地裁に行政訴訟を提起したが、同地裁は、中労委の発した同命令を支持し、Y会社の請求を棄却した。
 Y会社は、これを不服として、同地裁判決の取消しを求めて、東京高裁に控訴するとともに、救済命令取消請求控訴事件の判決が確定するまで、同命令の執行を停止することを求めて、同高裁に申し立てたところ、同裁判所はこれを認容した。
判決主文  相手方が、申立人に対し、中央労働委員会平成18年(不再)第47号事件(初審:大阪府労働委員会平成17年(不)第2号事件)について、平成19年10月3日付けでした命令の執行は、申立人を控訴人とし、相手方を被控訴人とする東京高等裁判所平成21年(行コ)第192号不当労働行為救済命令取消請求控訴事件の本案判決が確定するまでこれを停止する。
 申立費用は相手方の負担とする。
判決の要旨  労働者に保障された権利に配慮するとしても、Y会社が団体交渉に応じ、それまで団体交渉に応じなかったことが不当労働行為であることが大阪府労委で認められたことを明示する文書を手交することは、本件救済命令の取消しを求める訴えの利益が喪失するなど司法審査の機会を奪うという重大な損害を生じさせ、仮にその後Y会社が本案訴訟で勝訴したとしても原状回復が不能又は著しく困難となる可能性が高いということができるから、Y会社には重大な損害を避けるための緊急の必要が認められる。そして、本案について理由がないとみえるということもできないから、本件救済命令の執行は本案判決が確定するまでこれを停止するのが相当である。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成17年(不)第2号 全部救済 平成18年7月21日
中労委平成18年(不再)第47号 棄却 平成19年10月3日
東京地裁平成19年(行ク)第44号 緊急命令申立ての認容 平成21年4月22日
東京地裁平成19年(行ウ)第721号 棄却 平成21年4月22日
東京高裁平成21年(行コ)第192号 全部取消 平成21年9月16日
最高裁平成21年(行ツ)第362号・平成21年(行ヒ)第473号 上告棄却、上告受理 平成23年2月1日
最高裁平成21年(行ヒ)第473号 破棄自判 平成23年4月12日
 
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