概要情報
事件名 |
第一小型ハイヤー
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事件番号 |
東京地裁昭和44年(行ウ)第9号
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原告
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第一小型ハイヤー株式会社
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被告
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中央労働委員会
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参加人
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第一ハイヤー労働組合
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判決年月日
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昭和46年9月20日
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判決区分
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棄却
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重要度 |
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事件概要 |
会社が、組合内の批判勢力の活動を援助し、営業車の持出し等を理由に、組合執行委員長X2の懲戒解雇、執行委員X1の降職、執行委員4名の出勤停止及び組合員6名の訓戒処分を行ったことが不当労働行為であるとして争われた事件で、初審北海道地労委は、会社に対し、組合運営に対する介入禁止及び降職された者の復帰を命じ、その余の申立てを棄却した。
組合は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令の一部を変更し、 X2の原職復帰及びバックペイを命じ、その余の再審査申立てを棄却した。
本件は、これを不服として会社が東京地裁に行政訴訟を提起した事件であるが、同地裁は会社の請求を棄却した。
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判決主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、原告と被告との間に生じた部分および参加によって生じた部分とも、すべて原告の負担とする。
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判決の要旨 |
1 正当な理由がない無届欠勤は就業規則に規程する懲戒解雇事由に該当するが、従前不問に付している場合は、従業員の注意を喚起する特別の措置を講じない限り、いきなり先例を変更して懲戒処分をすること、殊に最も重い懲戒解雇処分に出ることは、平等待遇の原則に反する。
2 けん責処分において始末書を実際提出することはそれ自体重要なものではなく、証拠書類の保存程度の意味しか有しないものと解されるから始末書を提出しないからといって、これを解雇理由とするのは著しく妥当性を欠く。
3 就業規則に規程する懲戒解雇事由は、高度の規律違反や業務妨害行為を指しているものであって、稼働成績不良の場合は含まれていないからこれを解雇理由とすることは妥当でない。
4 違法な争議行為に組合幹部の懲戒上の責任が必然的に随伴するものではなく、組合幹部の企画・決定したこと自体あるいはその指揮に基づく組合員の行為が懲戒事由に該当することが証明されない限り、幹部責任を肯定することはできない。
5 組合が会社の施設にビラを貼付した行為は、会社に損害を与えた行為というべきであるが会社の財産に重大な損害を加えたものということはできず、したがってこの行為を懲戒解雇理由とすることは失当であるといわなければならない。
6 組合長の懲戒解雇は、前記1~5認定のように解雇措置に妥当性がなく、これに会社の組合に対する態度を総合してみると、同人を企業外に排除することになり組合の弱体化を意図したものと推認される。
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掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集12集72頁 |
その他 |
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