事件名 |
西日本旅客鉄道(大阪・岡山不採用) |
事件番号 |
東京高裁平成12年(行コ)第210号
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控訴人 |
X1外2名 |
控訴人 |
国鉄労働組合岡山地方本部 |
控訴人 |
国鉄労働組合近畿地方本部 |
被控訴人 |
中央労働委員会 |
被控訴人参加人 |
西日本旅客鉄道株式会社 |
判決年月日 |
平成13年12月26日 |
判決区分 |
控訴の棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、国鉄分割民営化により新会社として発足した西日本旅客鉄道
株式会社に、大阪不採用事件においては2名、岡山不採用事件においては1名の国労組合員が採用されなかったことが、労働組合
の所属等を理由とする差別扱い等の不当労働行為であるとして申立てがあった事件である。
初審大阪地労委及び岡山地労委は、会社に対し、本件組合員らを会社発足時において採用したものとして取り扱うこと、文書手
交等を命じたところ、これを不服として、会社から再審査の申立てがなされ、中労委は、本件各不採用は不当労働行為に当たらな
いとして初審命令を取り消し、組合らの救済申立てを棄却した。
組合らはこれを不服として、東京地裁に行政訴訟を提起し、同地裁は組合らの請求を棄却する判決を言い渡したところ、組合ら
はこれを不服として、東京高裁に控訴を提起し、同高裁は、控訴を棄却する旨の判決を言い渡した。 |
判決主文 |
1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、参加によって生じた費用を含めて、控訴人らの負担とする。 |
判決の要旨 |
1500 不採用
国鉄から承継法人への移行は、改革法に基づいて行なわれ、各旅客鉄道会社及び貨物会社へ国鉄の事業が分割されて移行するもの
であるものの、その承継されるべき資産、権利義務等は、実施計画において規定されているものに限られ、それ以外の資産、権利
義務等が承継される余地がなく、問題とされている国鉄と職員との労働契約関係については、改革法が承継法人に承継させないと
の立場をとっていることから、国鉄と職員との労働契約関係が承継される余地はないとされた例。
1500 不採用
4911 解散事業における使用者
改革法は、設立委員等に採用候補者名簿に記載された者の中から承継法人に採用される者を選択して採用する権限を付与している
のであって、名簿に登載されない者については、設立委員等には採用の権限がないことから、承継法人の職員となる余地はなく、
また、承継法人が労働条件に対する現実的かつ具体的に支配力を有していたとはいえないことから、承継法人が名簿に登載されな
かった者との関係において使用者に当たるということができないとされた例。
1500 不採用
4911 解散事業における使用者
設立委員等は採用行為を行うものの、その権限は採用基準の決定、募集、搭載された名簿からの採用決定、採用通知等に限られて
いるのであり、通常の採用において使用者が行う採用とはその権限において著しく制限を受けており、設立委員等ないし承継法人
は採用候補者名簿に登載されていない者とされた者との間の差別取扱いについては是正する権限を有しないのであるから、改革法
の下においては採用候補者名簿に登載されていない者について、設立委員等ないし承継法人を使用者とする不当労働行為が成立す
る余地はないとされた例。
1500 不採用
1501 黄犬契約
設立委員等の定めた採用の基準(募集の条件)には、特定の労働組合に加入しないことあるいは脱退することを採用(雇用)の条
件としていないことは明らかであるから、設立委員等による承継法人の職員の募集は、労働組合法七条第一項本文後段の黄犬契約
の禁止には当たらないとされた例。
1500 不採用
改革法は、採用候補者名簿の作成等に関する不当労働行為責任を国鉄ないし精算事業団に負わせることをしているのであって、不
当労働行為制度を排除しているものではなく、憲法二八条、労働組合法七条に違反するものではないとされた例。
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業種・規模 |
鉄道業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集36集967頁 |
評釈等情報 |
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