事件名 |
紅屋商事 |
事件番号 |
青森地裁昭和58年(行ウ)第9号
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原告 |
紅屋商事株式会社 |
被告 |
青森県地方労働委員会 |
被告参加人 |
紅屋労働組合 |
判決年月日 |
昭和61年 2月25日 |
判決区分 |
救済命令の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、昭和53~55の各年度における賃金改定にあたり、組合員
を低く格付けするとともに、組合員に対し役職手当を支給しなかったことが争われた事件で、格付けの是正、差額の支給及び役職
手当の支払いを命じた青森地労委の救済命令を不服として行訴を提起していたが、地裁は、救済命令の一部を取消し、その余の請
求を棄却した。 |
判決主文 |
1 被告が昭和54年(不)第5号不当労働行為救済申立事件につい
て昭和58年8月18日付でした命令中、主文第1項の役職手当部分を取消す。
2 被告が昭和55年(不)第8号および同年(不)第9号不当労働行為救済申立事件について昭和58年8月18日付でした命
令中、主文第1項のX1、X2、X3次の職務職能給で4万8200円を超える部分、X1を除くその余の者の職責手当部分およ
び主文第2項のX1、X2の職務職能給で4万8200円を超える部分、X3を除くその余の者の職責手当部分を取消す。
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用はこれを10分し、その9を原告の、その余を被告の各負担とする。 |
判決の要旨 |
5201 継続する行為
賃金改定における差別は、査定又は賃上額決定とこれに基づく賃金支払いとを全体として一個の不当労働行為とみるべきであり、
その決定された賃金支払いの最後のものから1年以内であれば救済申立は適法である。
4413 給与上の不利益の場合
4415 賃金是正を命じた例
差別を設ける合理的理由が認めがたい基本給についての差別は組合員であることを理由とし、かつ、組合に対する支配介入を目的
としてなされたものとするのが相当であり、労委が基本給の差額是正を命じたことは妥当である。
6221 不利益取扱い
組合員を役職の地位に昇任させないことが不当労働行為に該当するというためには、昇任したものと比較して昇任資格の具備につ
き劣っていないことの積極的事実が認められなければならない。
6221 不利益取扱い
6353 抽象的不作為命令、条件付き救済命令
役職への昇任差別が認められた場合でも、救済命令によってなしうるのは、組合員であることを理由に昇任につき差別してはなら
ないと一般的に命じるのが限度である。
5008 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
役職への昇任差別が認められた場合でも、具体的に一定の地位に昇任せしめるよう命じることは企業の人事権を侵害するもので
あって、労働委員会の裁量の限界を超えた違法なものであり許されない。
5008 その他
6320 労委の裁量権と司法審査の範囲
役職への昇任差別が認められた場合に、昇任を命じないで昇任したものと同一の役職手当の支給を命じることは給与規定に反する
行為を命じることになるから許されない。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集21集127頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 37巻1号 70頁
労働判例 475号 119頁
ジュリスト 秋田成就 905号 123頁
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