事件名 |
紅屋商事 |
事件番号 |
仙台高裁昭和61年(行コ)第3号
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控訴人 |
紅屋商事 株式会社 |
控訴人 |
紅屋労働組合 |
控訴人 |
青森県地方労働委員会 |
被控訴人 |
紅屋商事 株式会社 |
被控訴人 |
紅屋労働組合 |
被控訴人 |
青森県地方労働委員会 |
判決年月日 |
昭和63年 8月29日 |
判決区分 |
一審判決の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、53年度及び54年度の賃金改定において組合員を差別した
として争われた事件で、青森地労委の救済命令(58.8.18)の一部を取消した一審青森地裁判決(61.2.25)を不服
として使用者及び地労委、組合が控訴していたが、高裁は、使用者の控訴を棄却し、組合の控訴に基づき原判決を変更し、地労委
の控訴は参加人組合の控訴により後になされており不適法だとして却下した。 |
判決主文 |
1 第一審原告の本件控訴を棄却する。
2 第一審補助参加人の本件控訴に基づき、原判決を次のとおり変更する。
1 第一審被告が昭和54年 (不) 第 5号不当労働行為救済申立事件について昭和58年
8月18日付でした命令中、「役職手当に関する部分」を取消す。
2 第一審被告が昭和55年 (不) 第 8号及び同年 (不) 第 9号不当労働行為救済申立事件について昭和58年
8月18日付でした命令中「X1を除くその余の者についての職責手当に関する部分」を取消す。
3 第一審原告のその余の請求を棄却する。
3 第一審被告の本件控訴を却下する。
4 訴訟費用は、第一、二審を通じてこれを十二分し、その一を第一審被告の、その余を第一審原告の各負担とする。 |
判決の要旨 |
5200 除斥期間
組合のなした救済申立は法定の期間内になされた適法なものと判断され、その理由は原判決理由に説示するとおりである。
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
本件1の命令中役職手当に関する部分は違法であり、一審原告の右部分の取消を求める請求は理由があるから認容し、その余の請
求は理由がないから棄却すべきものであり、その理由は原判決理由のとおりである。
6221 不利益取扱い
職務職能給の対比につき、ほぼ同一の勤続年数の組合員と非組合員を抽出して行うことは、十分合理性がある。
2900 非組合員の優遇
組合員の職務職能給が全体として低額に格付されているのは、組合員であることを理由とし、かつ組合に対する支配介入を目的と
したものとみるのが相当である。
5008 その他
組合員の職務職能給の格差是正のために、非組合員と同額までの賃金の格付を命じたことは、労委の裁量の範囲に属するもので適
法である。
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
職責手当の支給される主任以上の地位は勤続が長いからといって当然任命されるものではないから、主任以上の役職についていな
い組合員に職責手当を支給しなかったことは不当労働行為といえず、その支給を命じた命令部分は違法である。
1202 考課査定による差別
2900 非組合員の優遇
組合員X1の職責手当が非組合員より低位にあるのは、同人が組合員であることを理由とし、かつ組合に対する支配介入を目的と
したものとみるのが相当である。
5008 その他
組合員X1の職責手当が非組合員より低位されていることの救済として、非組合員と同額に是正するよう命じたことは、労委の裁
量の範囲内に属し、適法である。
6180 その他手続
一審被告の本件控訴は、一審補助参加人の本件控訴がなされた後になされたものであるから、不適法として却下する。
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業種・規模 |
卸売業、小売業、飲食店 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集23集262頁 |
評釈等情報 |
労働判例 532号 99頁
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