労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  奈良学園 
事件番号  大阪高裁平成 2年(行コ)第29号 
       平成 2年(行コ)第38号 
控訴人  学校法人 奈良学園(第29号事件) 
控訴人  奈良県地方労働委員会(第38号事件) 
控訴人参加人  大阪私学教職員組合奈良学園分会こと奈良学園教職員組合(第38号事件) 
被控訴人  学校法人 奈良学園(第38号事件) 
被控訴人  奈良県地方労働委員会(第29号事件) 
被控訴人参加人  大阪私学教職員組合奈良学園分会こと奈良学園教職員組合(第29号事件) 
判決年月日  平成 3年11月29日 
判決区分  一審判決の全部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、(1)団交拒否、(2)組合員の差別取扱い、(3)組合への支配介入をめぐって争われた事件で、奈良地労委は(1)(2)(3)について救済命令(62・11・16決定)を発したが、奈良地裁が同地労委命令のうち(1)の一部を取り消し、(2)(3)の命令について支持した(2・4・25)ため、学園が命令支持の部分を不服として控訴(第29号事件)、また奈良地労委が(1)の取り消した部分を不服として控訴(第38号事件)していたが、大阪高裁は(1)(3)の命令は適法であり、(2)の命令は違法であるとして同地裁の判決の一部変更をした。 
判決主文  1 原判決を次のとおり変更する。
  第1審被告が奈労委昭和60年(不)第2号奈良学園不当労働行為救済申立事件について昭 和62年11月16日付でした命令のうち主文第2項を取消す。
  第一審原告のその余の請求を棄却する。
2 訴訟費用は、第1、2審を通じこれを3分し、その1を第1審被告の負担とし、その余を 第1審原告の負担とする。 
判決の要旨  1302 就業上の差別
6342 不利益取扱いに関する不当労働行為の成否の判断の誤り
短大生募集の高校訪問を担当するか否かは昇給等の労働条件に有利不利がないから、組合員X1及びX2を高校訪問担当から外したことをもって不当労働行為といえず、これを不当労働行為とした労委命令は取消を免れない。

4820 単一組織の支部・分会等
補助参加人組合に本件救済申立ての申立人適格を認めた本件命令に違法はない。

2301 人事事項
組合員に個別人事は交渉議題にならないとして団交を拒否してはならない旨の本件命令は違法である。

2123 その他交渉出席者
上部団体役員の参加を認めない慣行の存在等特段の事情が認められない本件において、上部団体役員の参加を理由に団交を拒否したことは、不当労働行為である。

2244 特定条件の固執
ベアにつき人勧準拠の回答に終始した団交は不当労働行為である。

4601 「抽象的不作為命令」を命じた例
団交応諾及び支配介入をしてはならない旨を命ずる労委命令は、主文が抽象的に過ぎるとの使用者の主張に理由がない。

業種・規模  教育(自動車教習所を含む) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集26集455頁 
評釈等情報  労働判例  603号 26頁 
中央労働時報  839号 48頁 
ジュリスト 香川孝三 1015号  294頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
奈良地労委昭和60年(不)第2号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和62年11月16日 決定 
奈良地裁昭和63年(行ク)第6号 全部認容  平成 1年 5月26日 決定 
奈良地裁昭和62年(行ウ)第7号 救済命令の一部取消し  平成 2年 4月25日 判決 
奈良地裁平成 2年(行ク)第1号 一部認容  平成 2年 6月 6日 決定 
大阪高裁平成 2年(行ス)第7号 全部認容  平成 2年 7月 5日 決定 
大阪高裁平成 2年(行タ)第11号 全部却下  平成 3年11月29日 決定 
中労委昭和62年(不再)第62号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  平成 4年12月 2日 決定 
最高裁平成 4年(行ツ)第39号 上告の棄却  平成 4年12月15日 判決 
 
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