労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  済生会中央病院 
事件番号  東京高裁昭和55年(行コ)第83号 
控訴人  社会福祉法人 恩賜財団済生会 
控訴人  社会福祉法人 恩賜財団済生会支部東京都済生会中央病院 
被控訴人  中央労働委員会 
被控訴人参加人  全済生会労働組合 
被控訴人参加人  全済生会労働組合中央病院支部 
判決年月日  昭和56年 9月28日 
判決区分  一審判決の一部取消し 
重要度   
事件概要  本件は、本部及び病院が組合員に対し、51年夏期及び年末一時金を支払わなかったことが不当労働行為であるとして申立があった事件で、本部及び病院は、初審東京地労委の救済命令を支持した中労委命令を不服として行政訴訟を提起したが、東京地裁は病院には訴訟当事者能力がないとして病院の訴を却下し、本部の請求についてはこれを棄却したため、本部及び病院は東京高裁に控訴した。東京高裁は、病院の控訴は棄却したが、本部の請求については、本部は病院を名宛人とする命令の取消を求める訴の利益はなく、さらにポスト・ノーティスの掲示期間は満了しており履行不能であるから本部を名宛人とするポスト・ノーティスの取消を求める利益はないとして、一審の請求棄却部分を取消し、その請求について訴を却下した。 
判決主文  1 原判決中、控訴人社会福祉法人恩賜財団済生会の請求を棄却した部分を取消す。
2 前項の請求につき訴を却下する。
3 控訴人社会福祉法人恩賜財団済生会支部東京都済生会中央病院の控訴を棄却する。
4 訴訟費用(参加によって生じた費用を含む。)は、第1、第2審とも控訴人社会福祉法人 恩賜財団済生会及び堀内光の負担とする。 
判決の要旨  6150 当事者能力・当事者適格
病院は、法律上独立の権利義務の主体となりえない支店の一部を構成するにすぎず、訴訟当事者能力を有しないから、病院の訴えを不適法であるとして却下した原判決は相当である。

6150 当事者能力・当事者適格
労委の命令は、名宛人として特定表示されていた者以外に対しては効力を及ぼさないと解すべきであり、病院を名宛人とする部分について済生会はその取消を求める法律上の利益がなく、原判決を取消す。

7410 取消し変更の申立てについて判断された事例
済生会を名宛人とした救済命令に従うべき緊急命令が発せられていることは事実であるが、緊急命令は、当該事件の判決の確定によって当然に失効するものであり、緊急命令の存在を理由に済生会は病院を名宛人とする部分の取消しを求める法律上の利益があるものとはいえない。

6353 抽象的不作為命令、条件付き救済命令
陳謝文の掲示は、初審命令交付後1週間以内に行い、10日間掲示すべき旨命じているので、すでに掲示期間は満了し履行は不能であるから、その部分の取消しを求める利益はない。

業種・規模  医療業 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集17集178頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 32巻5号  586頁 
ジュリスト 秋田秋就  763号  153頁 
労働経済判例速報 山口浩一郎 1118号 23頁 
労働判例  375号 82頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
東京地労委昭和52年(不)第29号 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和52年 8月 2日 決定 
中労委昭和52年(不再)第58号 再審査棄却(初審命令をそのまま維持)  昭和53年 3月15日 決定 
東京地裁昭和53年(行ク)第64号 全部認容  昭和54年 5月25日 決定 
東京地裁昭和53年(行ウ)第55号 請求の棄却  昭和55年 8月 8日 判決 
最高裁昭和56年(行ツ)第206号/他 控訴審への差戻し  昭和60年 7月19日 判決 
最高裁昭和56年(行ツ)第205号/他 控訴審への差戻し  昭和60年 7月19日 判決 
東京高裁昭和60年(行コ)第78号 控訴の棄却  昭和61年 3月31日 判決 
最高裁昭和61年(行ツ)第108号 上告の棄却  平成 1年 3月 3日 判決 
 
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