労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  あけぼのタクシー 
事件番号  福岡地裁昭和53年(行ウ)第1号 
原告  あけぼのタクシー 有限会社 
被告  福岡県地方労働委員会 
被告参加人  あけぼのタクシー労働組合外個人2名 
判決年月日  昭和56年 3月31日 
判決区分  請求の棄却 
重要度   
事件概要  この事件は、日常の出勤態度、勤務状況不良等を理由とする執行委員長ら二名の懲戒解雇が不当労働行為にあたるとして争われたもので、初審地労委(福岡51(不)23、52・12・5)は、被解雇者の原職復帰、中間収入不控除の全額バック・ペイ及びポスト・ノーティスを命じ、その余の救済申立てを棄却したが、右命令を不服とする会社が行政訴訟を提起していたが、地裁は請求を棄却した。 
判決主文  1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 
判決の要旨  1107 その他
親睦会の結成、運営や組合の解散、脱退について会社の策動が推認され、解雇事由が薄弱であること等を総合して判断すると組合員に対する出勤停止、解雇はいずれも本人らの組合活動を嫌悪して行われた不当労働行為である。

1400 制裁処分
執行委員会出席のため無届で休車した組合役員に対し、休車届の提出を求めた措置自体は正当であるが、親睦会の結成、運営や組合の解散、脱退について会社の策動が推認され、解雇事由が薄弱であること、休車を理由として執拗に始末書の提出を求め、組合の弱体化がはかられていること等を総合して判断すると組合員に対する出勤停止、解雇はいずれも本人らの組合活動を嫌悪して行われた不当労働行為である。

4401 原職復帰と他の措置を併せて命じたもの
救済命令は不当労働行為がなかったと同様の状態を回復することを目的とするものであり、「懲戒解雇を取消し」の文言は同趣旨で用いられていることから、命令が不明確で違法であるとの使用者の主張は採用できない。

4405 バックペイから他収入控除
組合役員が解雇で他社に雇用され、解雇時の賃金を上回る収入を得ていても解雇等により、組合は壊滅的打撃を受けており、労委が侵害の除去の観点から賃金相当額全額のバック・ペイを命じても労委の裁量権行使の合理的範囲内である。

業種・規模  道路旅客運送業(ハイヤー、タクシー業) 
掲載文献  労働委員会関係裁判例集17集74頁 
評釈等情報  労働関係民事裁判例集 32巻2号  211頁 
中央労働時報 中嶋士元也  684号 20頁 
労働判例  365号 67頁 
ジュリスト 渡辺章  771号  154頁 

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顛末情報
行訴番号/事件番号 判決区分/命令区分 判決年月日/命令年月日
福岡地労委昭和51年(不)第23号 一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む)  昭和52年12月 5日 決定 
福岡地裁昭和53年(行ク)第4号 全部却下  昭和53年 3月13日 決定 
福岡地裁昭和53年(行ク)第2号 一部認容  昭和53年 3月13日 決定 
福岡高裁昭和54年(ラ)第107号 全部却下  昭和55年 7月17日 決定 
最高裁昭和55年(行ク)第323号 その他  昭和55年 9月25日 決定 
福岡高裁昭和56年(行コ)第5号 控訴の棄却  昭和59年 3月 8日 判決 
最高裁昭和59年(行ツ)第235号 控訴審判決の一部破棄自判  昭和62年 4月 2日 判決 
 
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