国立療養所菊池恵楓園

園  長  挨  拶

令和5年4月
園長  境 恵祐


    菊池恵楓園ホームページの閲覧ありがとうございます。
    当園は熊本市の中心部から約11㎞北へ離れた場所にあり、周辺は近年熊本市のベッドタウンとして人口が増え小中学校が建ち、隣接する御代志駅も再開発されて発展中の地域です。

    1909(明治42)年全国で5か所作られた最初の公立療養所のうちの1つ、九州癩療養所として開設された当園ですが、その110年を超える歴史の中には多くのハンセン病患者・回復者の苦難を内包しています。国の誤ったハンセン病政策により、患者は社会から隔離され、家族や親しい人との関係を断たれ、差別を受けました。治療薬が登場してハンセン病が治る病気となってからも法律による隔離は続きました。ようやく1996(平成8)年に「らい予防法」が廃止され、2001(平成13)年に「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟で原告勝訴となり国が謝罪をしましたが、入所者が療養所で過ごさなければならなかった時間はあまりにも長く、ここで人生を終える人もたくさん居ました。

    2022(令和4)年5月には敷地内に歴史資料館が開館しました。ハンセン病への理解を深める展示や貴重な資料、ここで暮らした人々の息遣いが感じられる作品など数多くの見どころがあります。ぜひ一度ご来館いただきハンセン病問題について考えてみる機会にしていただければ幸いです。

    2023(令和5)年3月10日時点で入所者は141名、平均年齢は86歳を超えており、またハンセン病の後遺症のため介護、看護を必要とされる方も増えています。菊池恵楓園はハンセン病回復者の方々の療養の場であるとともに生活の場でもあり、安心して過ごしていただけるように職員一同心がけています。皆様のご理解とご支援をよろしくお願いします。