平成9年労働争議統計調査結果概要



1 平成9年の労働争議の概況

  (1)  平成9年の労働争議は、総争議件数1,334件、総参加人員129万6千人で、前年に比べ、件数は94件(対前年比7.6%)増、総参加人員は11万3千人(9.5%)増となった。
 このうち、争議行為を伴う争議は件数782件、行為参加人員21万3千人、労働損失日数11万日で、前年に比べ、件数は87件(12.5% )増、行為参加人員は3万5千人(19.4%)増、労働損失日数は6万7千日(157.4%)増といずれも増加した。
第1表第1図
 
  (2) 争議行為を伴う争議を行為形態別にみると、「半日以上の同盟罷業」は件数176件、行為参加人員4万7千人、労働損失日数10万6千日で、前年に比べ、件数は13件(対前年比6.9%)減、行為参加人員は2万4千人(103.2%)増、労働損失日数は6万8千日(175.0%)増となった。
 また、「半日未満の同盟罷業 」は件数655件、行為参加人員 16万9千人で、前年に比べ、 件数は87件(15.3%)増、行為参加人員は1万人(6.2%)増となった(第2表第2図)。
 
  (3)  月別に争議行為を伴う争議の行為参加人員及び労働損失日数をみると、行為参加人員は3月や11月が多く、労働損失日数は3、4月が多い。
 前年に比べると、行為参加人員の3月の減少、7、11月の増加、労働損失日数の3、4、11月の増加が目立っている(第3図)。
 
  (4)  平成9年の労働争議は、総争議件数a@労働組合員1,000人当たりの争議行為を伴う争議の行為参加人員及び労働損失日数をみると、行為参加人員は17.3人(前年14.3人)、労働損失日数は9.0日(同3.4日)で、前年に比べ、行為参加人員、労働損失日数ともに増加した。
 「 争議行為を伴う争議(半日以上の同盟罷業及び作業所閉鎖のみ。)」における行為参加人員1人当たりの労働損失日数は2.3日で、前年の1.8日を上回った(第3表)。



2 春季賃上げ争議の状況

  (1)  平成9年春季賃上げ争議(2〜5月に発生し、主要要求事項に「賃金増額」を含む労働争議をいう。)の総争議件数は336件、総参加人員は45万3千人で、前年に比べ、総争議件数は37件(12.4%)、総参加人員は5万人(12.5%)の増加となった。
 このうち、争議行為を伴う争議は件数301件、 行為参加人員8万6千人で、前年に比べ、件数は46件(18.0%)、行為参加人員は1万8千人(25.5%)の増加となった。
 争議行為を伴う争議のうち、「半日以上の同盟罷業」は、件数101件、行為参加人員3万人、 労働損失日数7万1千日で、前年(87件、1万6千人、2万3千日)に比べ件数、行為参加人員及び労働損失日数とも増加となった。
 また、「半日未満の同盟罷業」の件数は226件、行為参加人員は5万8千人で、前年(204件、5万6千人)に比べ、件数、行為参加人員ともに増加した(第4表)。
 
  (2)  春季賃上げ争議の年間争議に占める割合をみると、総争議は件数で25.2%、総参加人員で35.0%となっており、前年に比べ件数、総参加人員ともに増加した。
 また、争議行為を伴う争議の年間争議に占める割合をみると、件数で38.5%、行為参加人員で40.7%となっている。
 このうち、「半日以上の同盟罷業」は件数で57.4%、行為参加人員で64.6%、労働損失日数で66.9%、「半日未満の同盟罷業」は件数で34.5%、行為参加人員で34.5%となっている(第5表)。



3 産業別の状況

  (1)  争議行為を伴う争議を産業別にみると、件数及び行為参加人員は、製造業、運輸・通信業、サービス業、公務で多く、労働損失日数は、製造業、運輸・通信業、サービス業でほとんどを占めている。
 前年に比べると、件数では製造業、運輸・通信業の増加、また行為参加人員及び労働損失日数では運輸・通信業の増加が目立っている。
 また、「半日以上の同盟罷業」についてみても、運輸・通信業で件数、行為参加人員及び労働損失日数のいずれも増加している(第6表)。
 
  (2)  労働組合員 1,000人当たりの行為参加人員及び労働損失日数を産業別にみると、 行為参加人員では公務の 77.5人、労働損失日数では運輸・通信業の55.7日が、他の産業に比べて多い。
 前年に比べると、行為参加人員、労働損失日数ともに運輸・通信業の増加が目立っている。(第7表)。



4 民営の企業規模別の状況

  (1)  民営企業における争議行為を伴う争議をみると、企業数は1,094企業、行為参加人員は9万9千人、労働損失日数は11万日で、前年に比べ、企業数は322企業(対前年比41.7%)増、行為参加人員は2万5千人(34.4%)増、労働損失日数は6万7千日(157.4%)増となった。
 企業規模別にみると、企業数では規模の小さい企業、行為参加人員及び労働損失日数では規模の大きい企業の占める割合が高くなっている(第8表第9表)。
 前年と比べると、各規模とも企業数、行為参加人員、労働損失日数が増加しているが、特に1,000人以上規模の労働損失日数は大幅な増加となっている。
 
  (2)  民営企業における争議行為を伴う争議について、労働組合員1,000人当たりの行為参加人員は10.3人、労働損失日数は11.5日で、前年に比べ、行為参加人員は2.7人増、労働損失日数は7.1日増とともに増加となった。
 企業規模別にみると、「1,000人以上」規模で他の規模と比べ行為参加人員、労働損失日数とも少なくなっている。
 前年と比べると、すべての規模において行為参加人員及び労働損失日数とも増加となっている(第10表)。



5 主要団体別の状況

     争議行為を伴う争議を主要団体別にみると、件数、行為参加人員、労働損失日数は、連合では各々342件、11万9千人、2万3千日、全労連では各々230件、5万人、9千日、全労協では各々23件、3千人、4千日等となっている(第11表)。



6 主要要求事項別の状況

     総争議を主要要求事項別にみると、「賃金増額」が614件(全体の46.0%)と最も多く、次いで、「臨時給与金」が407件(同30.5%)、「その他の賃金及び手当て」が165件(同12.4%)、「組合保障及び組合活動」が138件(同10.3%)、「解雇反対・被解雇者の復職」が112件(同8.4%)等となっている。
 前年に比べ、「賃金増額」、「臨時給与金」の増加が目立っている。
 また、[賃金及び手当]関係(952件)は全体の71.4%と、依然高い水準にある(第12表)。



7 労働争議の解決状況

  (1)  平成9年の労働争議1,334件のうち、9年中に解決又は解決扱いとなった件数は1,178件(労働争議全体の88.3%)で、解決を翌年へ繰り越した件数は156件(同11.7%)であった。
 解決方法別にみると「労使直接交渉」が482件(解決件数の40.9%)、「第三者関与」が266件(同22.6%)、「その他(解決扱い)」が430件(同36.5%)となっている。
 なお、「第三者関与」により解決したものをみると、「労働委員会のあっせん」によるものが250件で最も多く、「第三者関与」により解決したものの9割強を占めている(第13表)。
 
  (2)  労働争議の解決状況を継続期間(争議発生から解決に至るまでの日数をいう。)別にみると、「31日以上」で解決した労働争議が456件(解決件数の38.7%)と最も多く、次いで「11〜30日」、「5日以下」、「6〜10日」の順となっている。
 前年に比べると、「5日以下」で減少し、その他の継続期間では増加となっている。
 主要要求事項別にみると、「賃金増額」、「その他の賃金及び手当」「事業の休廃止・合理化」については「5日 以下」が最も多くなっているが、その他の項目については、「臨時給付金」と「福利厚生・年金」を除き、すべて「31日以上」が占める割合が最も高くなっている(第14表)。




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