形成外科が扱う疾患は多岐にわたりますが、当園において最も多いのは四肢の外傷及び皮膚潰瘍・穿孔症です。 |
皮膚潰瘍・穿孔症を形成する原因はいくつもありますが、ハンセン病後遺症による神経障害もそのうちの一つです。 |
神経障害による皮膚への影響には、知覚神経や運動神経のみならず自律神経も関わります。つまり知覚神経麻痺(温痛覚が失われる)・運動神経麻痺(動かせない、筋肉が委縮する、関節が拘縮する)にとどまらず、自律神経により調節されている皮膚のバリア機能、すなわち発汗、皮脂の分泌、血流の調節などの機能も低下することにより皮膚の予備力は低下し、そのため少しの刺激で皮膚潰瘍ができたり、一度できた潰瘍が難治となることにつながります。 |
また、潰瘍ができるところには多くの場合、筋委縮や関節拘縮による骨突出があり、穿孔症の原因となるばかりでなく、進行するとその直下の骨髄炎、骨壊死を引き起こし、治療はさらに難渋してしまいます。
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皮膚潰瘍、特に荷重部や物理的刺激の加わる部位の潰瘍の治療は、創部安静が最重要となりますが、これは日常生活自立度を維持し、体幹・四肢の筋力を維持する観点とは相反し、この点も治療を難しくする要因となります。 |
日常生活動作を維持しつつ、いかに潰瘍を作らないか、あるいは完治せずともいかに潰瘍を悪くしないか、それを心がけて治療にあたっております。 |
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形成外科 佐野法久 |