世界最先端の
超高齢化社会を支える

老健局/年金局

キーワード
介護保険、地域包括ケア、介護×テクノロジー、年金、iDeCo、社会保障協定

目次

いくつになっても地域で自分らしい暮らしができる社会へ

世界に類を見ない超高齢社会を迎えている我が国において、高齢者が住み慣れた地域で安心して自分らしい暮らしを続けられる社会を目指して、最新のテクノロジーを活用しつつ、地域づくりと一体となって、介護保険制度をはじめとする高齢者福祉・介護施策を推進しています。

介護保険制度の運営

介護が必要となった高齢者に、ホームヘルパーなどの在宅サービスや特別養護老人ホームなどの施設サービスなど、高齢者のそれぞれのニーズに応じて多様なサービスを提供する公的保険制度を運営しています。また、医療や介護が必要となっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるために、医療・介護・予防・住まい・生活支援が包括的に確保される体制(地域包括ケアシステム)の構築を進めています。

介護分野におけるテクノロジーの活用

ベッドから車椅子などの移乗をサポートするロボット
IoTを活用しスマートフォンで利用者の状況を一元管理する機器の例

今後高齢化が進展し、介護のニーズが更に増加することが見込まれる一方で、2040年に向けて現役世代人口が急減し、介護人材の確保が更に困難になることが見込まれています。

このため、サービスの質を確保した上で、テクノロジーを活用した効率的な介護現場を構築すること=「生産性の向上」に向けた取組を進めています。

具体的には、介護現場が必要とする介護ロボット等の製品・技術の開発を関係省庁と協力して進めるとともに、業務改革に寄与する新たなテクノロジーの試行実施、効果的なケアモデルの構築、介護現場での実証、全国への普及・促進を図っています。

介護予防をきっかけとした高齢化社会の地域づくり

高知県高知市の「いきいき百歳体操」の例

高齢化が進み、介護人材が不足する中でも、高齢者ご本人の力や地域の力を活用することで、介護予防の取組を進めながら、地域の方々とつながりつつ、自分らしい暮らしを続けることができます。

例えば、銭湯を利用した介護予防教室、スーパーマーケットを活用したサロンや出張健康相談、公園の遊具を活用した健康体操など、高齢者と地域の方々がつながる様々な仕掛けが考えられ、実際に多くの取組が各自治体で行われています。

厚生労働省では、こうした仕掛けを増やし、地域づくりを進めていくための仕組みづくりについて、介護保険制度を一つのツールとして、各自治体と協力しながら取り組んでいます。

認知症施策にオールジャパンで取り組む

日本認知症官民協議会

高齢化に伴い、認知症の方は今後ますます増え、2025年には約700万人となり、65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。このように、認知症は誰もがなりうるものであり、認知症になっても希望をもって日常生活を過ごせる社会を目指し、今般、認知症施策推進大綱が取りまとめられました。

認知症施策は、バリアフリーのまちづくりの推進、金融商品の開発など幅広い取組が必要となるため、関係省庁とも連携した施策を大綱に盛り込み、取組を進めています。

更に、認知症になってからもできるだけ住み慣れた地域で普通に暮らし続けていくための障壁を減らしていく「認知症バリアフリー」の取組を推進するため、行政のみならず、民間組織の経済団体、医療・福祉団体、自治体、関係学会、当事者組織等が連携し、「日本認知症官民協議会」を立ち上げ、官民あげての取組を推進しています。

介護分野のビッグデータの整備

エビデンスに基づく介護サービスの提供を促進するため、介護データ(ケアの内容や利用者の状態等に関する情報)の収集・分析を進めるとともに、医療データとも連結した分析を実施しています。

このことを通じて、介護サービスの効果を正確に把握し、介護サービスの質の向上に向けた制度見直しにつなげています。

世界が注目する日本の高齢化対策

アジア健康構想フォーラムにてアジア諸国とディスカッション(写真提供:(公財)日本国際交流センター)

日本は、世界に例の無いスピードで高齢化が進展していますが、これは日本にとって難しい課題である一方、世界各国がフロントランナーである日本の取組に大きな関心を寄せています。

厚生労働省では、二国間の交流、G20など多国間の交流の場等で日本の取組を発信し、国際交流を進めています。

介護報酬の決定

介護サービス提供の対価として受け取る介護報酬の「価格」を決め、サービスの安定供給と質の高いサービス提供体制づくりを進めています。

100年先まで続く「世代間の支え合い」を実現する

年金は老後生活の基本を支える制度です。働き方の多様化、高齢期の長期化が進む中で、社会・経済の変化に対応した、安心で信頼できる年金制度の確立に向けた制度の見直しや、日本年金機構と連携し、年金制度の適切な運営に取り組んでいます。

公的年金の運営

国民から信頼される年金制度の運営のために、年金の給付、記録の管理、保険料の徴収等の年金実務を日本年金機構とともに行っています。

「持続可能性」と「給付の十分性」の両立

年金財政の仕組み

公的年金は、国民の老後生活の基本を支える制度です。年金局では、急速に少子高齢化が進む中で、制度の「持続可能性」を向上させつつ、「給付の十分性」も確保するという難しい課題に取り組んでいます。平成16年には、将来、現役世代の保険料負担が過重なものになることが見込まれたことから大改革に取り組み、保険料引上げの上限を固定した上で、その財源の範囲内で給付水準を自動的に調整するという財政の新たな枠組みを導入しました。今後は、この財源の範囲内で、給付水準をいかに確保していくかという課題に取り組んでいきます。

信頼される公的年金制度の運営

年金制度の安定的な運営と負担の公平性を確保するため、日本年金機構と連携し、厚生年金保険の適用促進対策や国民年金の保険料収納対策を推進するとともに、年金記録の管理、適用、徴収、給付、相談等の各業務を正確、確実かつ迅速に行うよう取り組んでいます。また、パソコンやスマートフォンでいつでも年金記録の確認等ができる「ねんきんネット」の普及推進等を通じて、国民に信頼される公的年金制度の運営に取り組んでいます。

一人ひとりの生活設計を支援

iDeCo普及推進キャラクター「イデコちゃん」

公的年金に上乗せして、老後の生活を支える制度として私的年金(企業年金・個人年金)があります。例えば、個人が任意で加入し、掛金額や運用方法を自ら選択できるiDeCo(個人型確定拠出年金)もその一つです。このiDeCoは掛金や運用益に税制優遇があるため、老後だけでなく現役時代もメリットを享受できるものですが、平成29年1月から基本的に誰でも加入できるようになり、令和元年12月末には加入者数が146万人超となっています。また、企業の規模に関わらず私的年金が利用できるよう、中小企業向けの支援策を講じています。これからも、国民一人ひとりの老後の生活設計のための取組を支援していきます。

年金広報の取組

令和の年金広報コンテスト厚生労働大臣賞(ポスター部門)
「年金の日」啓発ポスター

働き方の多様化、高齢期の長期化が進む中で、さまざまな世代の理解を得ていくため、広報の充実・強化に取り組んでいます。令和の時代を迎え、次代を担う若い世代の方々と一緒に、年金や老後の資産形成について考えることを目的として、ポスターや動画等を募集する「令和の年金広報コンテスト」を実施しました。また、毎年11月30日を「年金の日」として、民間との協働イベントや日本年金機構による出張相談・年金セミナー等を実施しています。

年金制度改正

近年、より多くの方がより長く多様な形で働く社会へと変化する中で、長期化する高齢期の経済基盤の充実を図ることが求められています。こうした社会的要請に応えるため、年金制度改正法案を令和2年通常国会に提出し、法案の成立を目指しています。

この法案は、短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大、在職中の年金受給の在り方の見直し、受給開始時期の選択肢の拡大、私的年金の加入可能要件の見直しなどを主な柱としています。

社会保障協定

グローバル化が進行する中、海外で働く日本人や海外から働きに来る外国人の方が増加しています。日本と外国の年金制度等の保険料の二重払い等を防ぐとともに、将来の年金受給資格を確保することなどを目的として、社会保障協定の締結を進めています。