中学の頃から目標にしていた大学に、1浪で入ったんです。これでやっと自由の身だ! って思って、入学当初はやる気に燃えていました。
ところが実際に通い始めると、周りは良家のお坊ちゃん、お嬢さまばかりで、地方出の僕とは雰囲気がまったく違ったんです。講義も理解できないことが多くて、自分がものすごいバカに思えました。
5月の連休が明けた頃からかな。だんだん体の調子が悪くなってきて、朝起きるとめまいがするようになったんです。親からの仕送りでアパート暮らしをしていたので、夜のバイトは休まなかったんですけどね。勉強にはまったく興味がなくなって、大学に行かなくなりました。
バイト仲間とはくだらない話で盛りあがったりしてましたけど、部屋に帰るとドッと気分が落ち込んで、それをまぎらわすためにゲームばかりしていました。
立ち直るきっかけになったのは、大学でカウンセリングを受けたことですね。サークルの先輩に、「学生相談室に行ってみたら」ってアドバイスされたんです。
カウンセリングなんて、いったい何の役に立つんだ?って、疑問だったんですけど、今の状況からどうにかして抜け出したいという気持ちもあったから、しぶしぶ行ってみたんです。
カウンセラーの先生によると、僕は俗に言う「五月病」だったらしいです。
環境が変わるって、けっこうストレスなんですね。それで疲れて、無気力になってしまった。
僕はもともと完ぺき主義なんですよ。たとえば、70点取れたとしても、100点じゃないから意味がない、と思い込んでしまう。
でも、この性格が今まで頑張ってこられた原動力にもなっている、って先生に言われて、目からウロコっていうか、自分に対する見方が変わりました。
今はこの大学に入ってよかったと思っています。友達も増えました。最初はとっつきにくく見えたヤツも、実際に話してみるとそうでもなかったりして。
ただ考えているだけじゃなくて、とりあえずでもいいから、何か行動してみることが重要なんだと思います。
※これらのエピソードは取材をもとに再構成したものです。特定の個人を示すものではありません。