私の場合、僕の場合

こころがあったかくなる保健室の思い出
サンデーさん(16)の場合

中学で始まった突然のいじめ

私って、小学校の頃からストレスがかかると、頭がギューって締め付けられて痛くなるんです。お母さんもそうだから、似たのかもしれません。

今は高校でバスケ部に入って、楽しくやってるから、頭が痛くなることも少なくなったんですけど、中学の頃はもっとひどかったです。1年生の夏くらいから、急にいじめが始まって、1年くらいそれが続きました。

いじめのきっかけは、クラスで目立ってた女の子が、私を無視するようになったのが始まりです。机に落書きされたり、椅子にゴミを置かれたり、靴を隠されたり…。あげるとキリがありません。

何でそんなことされるのか、さっぱりわからなくて、考えれば考えるほど、頭が痛くなりました。そのうち、めまいや吐き気もしてきて、ご飯も食べられなくなって…。一日中ボーッとしてました。


ただそばにいてくれたことがうれしくて…

あるとき、朝礼で貧血を起こして倒れちゃったんです。それで初めて保健室に行ったら、養護の先生がすぐにベッドに寝かせてくれて、ずっと付き添ってくれたんです。

若い女の先生だったんですけど、何も聞かずに、ただそばにいてくれるっていうのがすごくうれしくて、思わず泣き出してしまいました。中学で初めてホッとする時間がもてたから。

それ以来、調子が悪くなくても保健室に行くようになって、先生といろいろ話してました。授業中に、「具合が悪いので……」って、ウソついて抜け出して行っても、お説教したりしないで、ニコニコして待ってくれて。そういう場所があったから、不登校にならずにちゃんと卒業できたんです。


「逃げ場」をつくったっていいじゃない

受験勉強で忙しくなると、いつの間にかいじめもなくなって、保健室の存在を忘れる日が多くなって、養護の先生にお礼も言わないまま、卒業しちゃいました。

でも、ときどき、思い出すんです、先生のこと。今も誰か、私みたいに困ってる生徒を助けてあげてるのかなって考えると、こころがあったかくなります。

きっと私だけじゃなくて、悩んでる子ってもっとたくさんいるんじゃないかって思います。私の場合はたまたま保健室が逃げ場だったんですけど(笑)、そういうところって意外と身近にあるのかなって。

親友とか、好きな先生とか、家族とか。結局、誰かに話してみようって、思えるかどうかだと思うんです。


※これらのエピソードは取材をもとに再構成したものです。特定の個人を示すものではありません。

 

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