労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  熊谷海事(くまがいかいじ)工業(移管前) 
事件番号  中国船員地労委平成18年第1号 
申立人  全日本海員組合 
被申立人  熊谷海事工業株式会社、Z 
命令年月日  平成18年12月22日 
命令区分  一部救済 
重要度   
事件概要   本件は、会社が、(1)同社所有の新船、飛竜丸を被申立人Zに裸傭船契約し、Zが非組合員を雇用乗船させた後、同船を会社と再傭船契約したこと、(2)同社所有の八雲丸の乗組員(組合員)4名が会社を退職した後、同船をZに裸傭船契約し、Zが退職した4名を雇用乗船させた後、同船を会社と再傭船契約したこと、(3)労使交渉の過程において、Zに交渉の対応を行わせ一切の交渉に応じなかったこと等が不当労働行為に当たるとして争われた事件である。  中国船員地労委は、会社に対し、①飛竜丸及び八雲丸の使用には組合員を乗組員とすること、②団体交渉に誠実に応じること、③文書手交、④履行報告を命じ、その余の申立を棄却した。
 
命令主文  1 被申立人会社は、同社の曳船・給水などの運航業務に飛竜丸及び八雲丸を使用する場合は、申立人組合所属の組合員の乗り組んでいる飛竜丸及び八雲丸を使用しなければならない。

2 被申立人会社は、申立人組合が飛竜丸及び八雲丸の各裸傭船契約、各乗組員、各定期傭船契約について、団体交渉を申し入れたときは、実質的かつ公正に対処し、同社の主張する理由については、その根拠となる資料の提示等により具体的に説明するなどして、誠実に応じなければならない。

3 被申立人会社は本命令書受領後、1週間以内にA4版の用紙1枚に下記内容(略)を記載し、申立人組合に手交しなければならない。

4 被申立人会社は、第3項の命令を履行したときは速やかに当委員会に文書で報告しなければならない。

5 その余の申立を棄却する。  
判断の要旨  1 飛竜丸及び八雲丸の裸傭船契約について
 会社の飛竜丸及び八雲丸の裸傭船、Zによる非組合員である乗組員の雇用、定期傭船という連続性のある行為は、結果として会社所有の船が非組合員によって会社の曳船業務等の運行に供される状態を作り出すのであり、組合に対する弱体化行為であり、労働組合法第7条第3号の支配介入に該当する。

2 団体交渉拒否ないし誠実交渉義務違反について
 飛竜丸及び八雲丸の運行が組合員によってなされるか非組合員によってなされるかは重大な労務問題であり義務的団交事項であるが、会社は乗組員の雇用主はZであるとして交渉に応じず、その後もZが会社の取締役に選任されたとして同人を出席させたことは、本来の社内の人間以外の者を交渉担当者とすることによる交渉拒否であり、労働組合法第7条第2号の団交拒否ないし誠実交渉義務違反に該当する。  
掲載文献   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
中国船員地労委平成18年第2号 一部救済 平成19年12月11日
広島地裁平成19年(行ウ)第5号(第1事件)・平成20年(行ウ)第1号(第2事件) 棄却・却下 平成20年9月3日
広島高裁平成20年(行コ)第24号 全部取消・却下 平成21年9月29日
最高裁平成22年(行ヒ)第46号 上告受理 平成24年2月3日
最高裁平成22年(行ツ)第45号・平成22年(行ヒ)第45号 上告棄却・上告不受理 平成24年2月3日
最高裁平成22年(行ヒ)第46号 一部破棄差戻し 平成24年4月27日
広島高裁平成24年(行コ)第9号 棄却 平成25年4月18日
最高裁平成25年(行ヒ)第313号 上告不受理 平成25年9月19日
 
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