概要情報
事件名 |
熊谷海事工業 |
事件番号 |
最高裁平成22年(行ツ)第45号・平成22年(行ヒ)第45号 |
上告人兼申立人 |
広島県(処分行政庁:広島県労働委員会) |
同参加人 |
国土交通大臣 |
同補助参加人 |
全日本海員組合 |
被上告人兼相手方 |
熊谷海事工業株式会社 |
同補助参加人 |
個人Z |
決定年月日 |
平成24年2月3日 |
決定区分 |
上告棄却・上告不受理 |
重要度 |
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事件概要 |
1 第1事件については、(1)Y会社がZとの間でY会社所有の船舶である飛竜丸及び八雲丸に関する裸傭船契約及び定期傭船契約の締結を行った(Y会社が船体のみをZに賃貸し、その上で、Y会社がZから船体と船員(非X組合組合員)を賃借した。)ことが、労組法7条3号の不当労働行為に、(2)Y会社がX組合との間での飛竜丸、八雲丸等の運行等に関する団体交渉を拒否したことが、労組法7条2号の不当労働行為に、また、第2事件については、(3)Y会社がX組合との労働協約の更新を拒否したことが、労組法7条3号の不当労働行為に、(4)Y会社が、その所有する船舶である八代丸を十分に稼働させず、同船の乗組員に精神的・経済的な不利益を与えたことが、労組法7条1号の不当労働行為に当たるとして、救済申立てがあった事件である。
2 中国船員地労委は、第1事件については、①飛竜丸及び八雲丸の使用にはX組合組合員を乗組員とすること、②団体交渉に誠実に応じること、③文書手交、④履行報告を命じ、その他の申立てを棄却した(平成18年12月22日、平成18年第1号命令)。また、同地労委は、第2事件については、①労働協約締結に関する実質的かつ公正な団体交渉が行われ、具体的な結論が出されるまでは、従前の労働協約に従って、X組合との労使関係を営むこと、②バックペイ、③バックペイの対象となる八代丸の乗組員が原職復帰できるよう真摯に団体交渉を行うべきこと、④文書手交、⑤履行報告を命じ、その他の申立てを棄却した(平成19年12月11日、平成18年第2号命令)。
これに対し、Y会社は、これらを不服として広島地裁に行政訴訟を提起したところ、同地裁は、第2事件に係る(3)の取消しを求める部分については、X1及びX2がY会社を退職したことにより、Y会社に対する拘束力は失われ、訴えの利益が欠けるとして却下し、その余の請求を棄却した。
Y会社は、同地裁判決を不服として、広島高裁に控訴したところ、同高裁は、中国船員地労委による救済命令交付後、X組合の組合員すべてがY会社を退職し、組合員がY会社の従業員としての地位を争っている等の事情も認められず、本件各救済命令は、いずれもその基礎を失い、拘束力を失ったから、救済命令の取消しを求める本件訴えは、いずれも訴えの利益がないとして却下し、地裁判決を取り消した。
本件は、X組合が、同高裁判決を不服として、最高裁に上告及び上告受理申立てを行った事件である。
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決定主文 |
本件上告を棄却する。
本件を上告審として受理しない。
上告費用及び申立費用は上告人兼申立人の負担とする。
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決定の要旨 |
1 上告について
民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、上告補助参加人の上告理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
2 上告受理申立てについて
申立補助参加人が本件上告受理の申立てをした時には、既に申立人が上告受理の申立てをしていたことが明らかであるから、申立補助参加人の本件上告受理の申立ては、二重上告受理の申立てであり、不適法である。
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その他 |
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