概要情報
事件名 |
大阪府労委平成23年(不)第18号 |
事件番号 |
大阪府労委平成23年(不)第18号 |
申立人 |
X労働組合 |
被申立人 |
Y府 |
命令年月日 |
平成24年1月11日 |
命令区分 |
棄却 |
重要度 |
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事件概要 |
被申立人府が、府立学校等で勤務する常勤講師又は非常勤講師である申立人組合の組合員15名の平成23年度の雇用継続等を議題とする団交に、当該講師らの個別の任用は交渉事項ではないこと等を理由として応じなかったことは不当労働行為であるとして、救済申立てがあった事件である。
大阪府労委は、常勤講師に係る申立てについて組合の申立人適格を認めることができないとして却下し、その他の申立てを棄却した。
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命令主文 |
1 申立人が被申立人に平成23年1月25日付けで申し入れた団体交渉について、常勤講師に係る申立てを却下する。
2 その他の申立てをいずれも棄却する。
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判断の要旨 |
1 申立人組合の申立人適格について
申立人組合の構成員のうち、①公立学校の教職員には地方公務員法が、②公立学校の非常勤講師、非常勤特別嘱託員及び私立学校の職員等には労組法が、③公立学校の校務員等単純な労務に雇用される一般職に属する地方公務員には「地方公営企業等の労働関係に関する法律」の規定により労組法が、それぞれ適用され、同組合はいわゆる混合組合である。
そして、労組法適用者の問題に関する混合組合の活動は原則として労組法上の労働組合としての活動とみなすべきであると考えられるから、申立人組合が労組法適用者の問題に関し不当労働行為救済申立てを行った場合には申立人適格を認めるのが相当である。
そうすると、本件申立てに係る15名の組合員のうち3名は府との関係において労組法適用者である非常勤講師であるから、申立人組合はこれらの者に関する部分については申立人適格を有するものの、地公法が適用される常勤講師である残りの12名に関しては申立人適格を認めることができないから、これら常勤講師に係る申立てについては却下する。
2 団交申入れに対する府の対応について
組合は、本件団交申入書の団交事項は、雇止め(任用止め)反対、雇用(任用)更新及び配置校や担当教科という具体的労働条件についての要求であるので、地公法にいう管理運営事項であったとしても当然に義務的団交事項であり、府の団交拒否には正当な理由がない旨主張する。
そこで、団交申入書についてみると、組合の要求事項は、平成23年度に労組法適用組合員3名をそれぞれの希望条件に従って任用することであるとみることができる。
次に、非常勤講師の任用に関する制度をみると、当該3名の平成23年度の任用は更新ではなく、新規の採用としてしか任用されないものであるとみることができる。一般的に、新規の任用は義務的団交事項には当たらないと言わざるを得ないが、近い将来の任用を期待させるような特別の事情がある場合にはそれを考慮する必要がある。
この点に関して、毎年3回設定されていた府教育委員会と組合との話合いの場において、当該3名の次年度以降の優先的な採用を府教委が約束していた等の事実は認められない。また、3名が個別に勤務校の校長等から何らかの継続任用の約束をされていた事実も認められない。
これに加え、府が申立人組合の組合員のみを特別に扱うものとして情実人事の疑いを免れないことをも理由の1つとして団交に応じられないとしたことに不自然な点はない。
以上のとおり、本件団交申入書に記載の団交事項については、新規任用に係る事項であると判断され、労組法適用組合員3名について継続して任用されることを期待させるような特段の事情も認められない以上、府が個別の任用に関する交渉要求について応じられない旨回答したことには正当な理由があったといえる。よって、本件申立てを棄却する。
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掲載文献 |
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