労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大阪府・大阪府(23年度任用) 
事件番号  東京高裁平成25年(行コ)第395号  
控訴人  大阪府 
被控訴人  国(処分行政庁・中央労働委員会) 
被控訴人補助参加人  大阪教育合同労働組合 
判決年月日  平成26年3月18日 
判決区分  棄却 
重要度   
事件概要  1 組合は、大阪府が、組合からされた府公立学校の常勤講師、非常勤講師又は学力向上支援員である組合員18名の平成22年度の任用の保障(雇用の継続)を、また、常勤講師、非常勤講師である組合員15名の平成23年度の任用の保障(雇用の継続)を議題とする各団体交渉(本件団交)の申入れに応じなかった等として、救済を申し立てた。
2 初審大阪府労委は、組合の各申立てを却下又は棄却した。組合は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、各初審命令主文中、本件団交申入れについて、救済申立てを棄却した部分を取り消し、本件団交申入れに応じなかったことに関する文書手交を命じた。大阪府は、これを不服として、東京地裁に取消訴訟を提起したが、同地裁は、大阪府の請求を棄却した。
3 大阪府は、これを不服として、東京高裁に控訴を提起したが、同高裁は、大阪府の控訴を棄却した。 
判決主文  1 本件控訴を棄却する。
2 訴訟費用は控訴人の負担とする。  
判決の要旨  1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないからいずれも棄却すべきものと判断する。その理由は、補正し、後記2に付加するほか、原判決「事実及び理由」中の第3の1及び2に記載のとおりであるから、これらを引用する。
2 当審における控訴人の主張について
(1) 控訴人の主張(1)について
 大阪府は、混合組合の法的性格について、単一性格説・一元適用論が相当であると主張するが、原判決説示のとおり、混合組合については、構成される組合員に対して適用される法律の区別に従い、地公法上の職員団体及び労組法上の労働組合としての複合的な法的性格を有すると解するのが相当であり、その限りにおいて、組合は、労組法2条の規定する労働組合に該当し、労組法7条による不当労働行為救済の申立てができるというべきである。
 大阪府は、一般職の地方公務員は、労組法が適用除外されているため(地公法58条1項)、労組法3条にいう「労働者」に該当しないと主張するが、一般職の地方公務員が労組法3条の「労働者」に該当することはその定義上明らかであり、地公法58条は、一般職の地方公務員が労組法3条の労働者であることを前提として、その従事する職務の特殊性から、労働基本権について合理的な範囲で制限をし、他方で、それに応じた範囲内で労働基本権の保護を規定し、その限りにおける労組法の適用排除を規定しているにすぎないと解される。
 その他、大阪府は、単一性格説・一元適用論が相当であるとして、またそれを前提として、るる主張するが、これらの主張を考慮しても、原判決の前記認定判断は相当であるから、大阪府の主張は採用できない。
(2)  控訴人の主張の主張(2)について
 憲法28条及び労組法7条2号によって労働者に団体交渉権が保障された目的やその趣旨に照らすと、労組法により、使用者が団体交渉を行うことを義務づけられている義務的団交事項とは、団体交渉を申し入れた労働者の団体の構成員である労働者の労働条件その他の待遇や当該団体的労使関係の運営に関する事項であって、使用者に処分可能なものをいうと解されるところ、本件各団交事項は、任用が繰り返されて実質的に勤務が継続されている実態を踏まえて、任用の継続を前提とする勤務条件の変更又は継続を求めるもので、それが大阪府において処分可能なものであるから、義務的団交事項に属すると解するのが相当であることは、原判決説示のとおりである。
 大阪府は、会計年度を超えた継続的な任用、更新は法律上も認められておらず、常に新たな任用であるなどとして、本件各団交事項が義務的団交事項に当たらない旨主張するが、原判が認定するとおり、大阪府においては、常勤講師や非常勤講師等が、公立学校等の教育体制を維持するための不可欠の存在として、恒常的に教育組織に組み込まれており、現に繰り返し任用されて、会計年度を超えて継続して勤務しているという実態を直視すれば、本件各団交事項が義務的団交事項に属すると解するのが相当である。
(3)  控訴人の主張(3)について
 大阪府は、本件各団交事項が、翌年度における新たな任用を求めて団体交渉を求めることに他ならないから「管理運営事項」に関する団体交渉の申入れに当たると主張するが、本件各団交事項は、上記(2)のとおり、恒常的に会計年度を超えて継続して勤務している実態を踏まえて、勤務条件の変更又は継続を求めるもので、新たな任用を交渉事項としたものではないから、大阪府の主張は採用できない。
3 以上によれば、控訴人の請求はいずれも理由がない。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成22年(不)第29号 却下、棄却 平成23年7月22日
大阪府労委平成23年(不)第18号 却下、棄却 平成24年1月11日
中労委平成23年(不再)第52号 一部変更 平成24年10月17日
中労委平成24年(不再)第2号 一部変更 平成24年11月28日
東京地裁平成24年(行ク)第454号 却下 平成25年2月13日
東京地裁平成25年(行ク)第1号 却下 平成25年2月13日
東京地裁平成24年(行ウ)第876号・同平成25年(行ウ)第16号 棄却 平成25年10月21日
最高裁平成26年(行ツ)第274号・平成26年(行ヒ)第287号 上告棄却・上告不受理 平成27年3月31日
 
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