労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名  大阪府(執行停止申立) 
事件番号  東京地裁平成24年(行ク)第454号 
申立人  大阪府 
相手方  国 
決定年月日  平成25年2月13日 
決定区分  却下 
重要度   
事件概要  1 組合は、府が、組合からされた府公立学校の常勤講師、非常勤講師又は学力向上支援員である組合員18名の平成22年度の任用の保障(雇用の継続)を議題とする団体交渉(本件団交)の申入れに応じなかった等として、救済を申し立てた。
2 初審大阪府労委は、組合の申立てを却下又は棄却した。組合は、これを不服として再審査を申し立てたところ、中労委は、初審命令主文中、非常勤講師又は学力向上支援員である組合員に係る本件団交申入れについて、救済申立てを棄却した部分を取り消し、本件団交申入れに応じなかったことに関する文書手交を命じた。
3 大阪府は、中労委命令を不服として、救済部分の取消しを求める訴えを提起するとともに、行訴法25条2項に基づき、同部分の執行停止を申し立てた。東京地裁は、本件執行停止申立てを却下した。 
判決主文  1 本件申立てを却下する。
2 申立費用は申立人の負担とする。 
判決の要旨  1 国は、本件救済命令について、行政代執行の対象とならないこと、緊急命令が発令されていないことなどを挙げ、執行停止の対象とはならないと主張するが、救済命令が行政処分に当たることは明らかであり、行訴法上の執行停止には処分の効力の停止も含まれるところ、大阪府が本件文書手交を命じる処分の効力の停止を求めていることは明らかであるから、執行停止の対象となる。
2 行訴法25条1項は執行不停止を原則としている。 他方、同条2項本文は「処分の取消しの訴えの提起があった場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止をすることができる。」と規定し、同条3項は、重大な損害を生ずるか否かの判断において考慮, 勘案すべき事項を定めている。
3 本件において、大阪府は、①本件文書手交によって、文書を手交した事実及びそれによる実質的な意思表示をした事実を取り消すことができない、②本件文書手交によって、団体交渉の申入れがあった場合にはこれに応じなければならなくなり、団体交渉に応じたという実績により、本案判決で申立人が勝訴した場合でも同様の団体交渉の申入れに応じないことが極めて困難になる、③組合は、抗議行動と称して庁舎前でシュプレヒコールを上げたり、本件命令に関して記載したビラを配布していることを 「重大な損害を避けるための緊急の必要性」を認め得る事情として主張する。
 労働委員会の発する救済命令は、行政処分として、使用者に命令を履行すべき公法上の義務を負わせるものであるが、当該命令自体は履行確保のための強制力を当然に有するものではない。 そして、大阪府の主張する上記事情のうち、 ①、②の事情は、本件救済命令の効力が存続することによって当然に生ずる損害とはいい難いし、そうした損害については、本案訴訟後にこれを回復することが容易でないとか、相当でないなどとはいえず、その損害の程度が重大であるともいえない。 また、③の事情も、本件救済命令の効力が存続することによって当然生ずる損害とはいい難いし、仮に、甘受すべき程度を超えた組合活動に伴う損害が生ずることがあったとしても、そうした損害につき、事後的な回復が容易でない、相当でないともいえないし、その損害の程度が重大であるともいえない。さらに、大阪府の主張する上記事情を勘案しても、現時点で、そうした損害の発生の蓋然性を含め、社会通念上、損害を回避するための緊急の必要性があることを認めるに足りる疎明もない。  
その他   

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成22年(不)第29号 却下、棄却 平成23年7月22日
大阪府労委平成23年(不)第18号 却下、棄却 平成24年1月11日
中労委平成23年(不再)第52号 一部変更 平成24年10月17日
中労委平成24年(不再)第2号 一部変更 平成24年11月28日
東京地裁平成25年(行ク)第1号 却下 平成25年2月13日
東京地裁平成24年(行ウ)第876号・同平成25年(行ウ)第16号 棄却 平成25年10月21日
東京高裁平成25年(行コ)第395号 棄却 平成26年3月18日
最高裁平成26年(行ツ)第274号・平成26年(行ヒ)第287号 上告棄却・上告不受理 平成27年3月31日
 
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