概要情報
事件名 |
南労会(勤務時間変更等) |
事件番号 |
大阪地労委 平成 3年(不)第35号
大阪地労委 平成 4年(不)第3号
大阪地労委 平成 7年(不)第50号
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申立人 |
全国金属機械労働組合港合同南労会支部 |
申立人 |
全国金属機械労働組合港合同 |
被申立人 |
医療法人南労会 |
命令年月日 |
平成 9年 7月30日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
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事件概要 |
病院が、<1>支部との労働条件に関する事前協議合意協定に反して、平成3年8月5日、診療時間及び勤務時間の変更を行ったこと、及び同7年5月2日、週休2日制の導入及び勤務時間の変更等を行ったこと、<2>上記<1>の変更前の勤務時間に基づき勤務していた組合員に対して、同変更を理由に賃金をカットしたこと、<3>組合員X1に対し、採用時に欠員の発生を条件として常勤化するとの約束を反故にし、欠員発生にもかかわらず同人を雇い止めとしたこと等が不当労働行為であるとして争われた事件で、大阪地労委は、<1>平成3年8月5日及び同7年5月2日に行った診療時間及び勤務時間変更等がなかったものとしての取扱い並びに上記変更事項に関する労使協議の実施、<2><1>の各変更を理由として組合員に対して行った賃金カットの明細の明示及び同変更前の勤務時間に基づく勤務が命じられていたら得られたであろう賃金相当額と既支給額との差額(年率5分加算)の支払い、<3>文書手交(<1>及び<2>に関して)を命じ、その余の申立てを棄却した。 |
命令主文 |
1 被申立人は、平成3年8月5日に行った診療時間及び勤務時間の変更並びに同7年5月2日に行った週休2日制の導入、勤務時間の変更及び生理休暇の取扱いの変更がなかったものとして取り扱うとともに、被申立人松浦診療所における診療時間、勤務時間、週休2日制及び生理休暇の取扱いについて速やかに申立人らとの間で労使協議を行わなければならない。 2 被申立人は、申立人らに対し、平成3年8月5日の勤務時間変更を理由として行った申立人組合員に対する賃金カットの明細並びに同7年5月2日の週休2日制導入、勤務時間変更及び生理休暇の取扱い変更を理由として行った申立人組合員に対する賃金カットの明細を明らかにするとともに、申立人組合員に対し、同3年8月5日からこれら賃金カットが中止されるまでの間、同3年8月5日変更前の勤務時間に基づく勤務が命じられたならば得られたであろう賃金相当額(実際の勤務時間に基づく超過勤務手当を含む)と既に受け取った賃金額との差額及びこれに年率5分を乗じた金額を支払わなければならない。 3 被申立人は、申立人らに対し、下記の文書を速やかに手交しなければならない。 記 年 月 日 全国金属機械労働組合港合同 委員長 X2 殿 全国金属機械労働組合港合同南労会支部 執行委員長 X3 殿 医療法人南労会 理事長 Y1 当医療法人が行った下記の行為は、大阪府地方労働委員会において、労働組合法第7条第1号、第2号及び第3号に該当する不当労働行為であると認められました。今後このような行為を繰り返さないようにいたします。 (1)昭和61年3月13日に締結した労働条件等について事前に協議し合意の上実行するとの労使協定に違反して、貴組合南労会支部と誠意をもって協議し合意することなく、平成3年8月5日、診療時間及び勤務時間を変更したこと。 (2)貴組合らと誠意をもって協議することなく、平成7年5月2日、週休2日制を導入し、勤務時間及び生理休暇の取扱いを変更したこと。 (3)平成3年8月5日に行った勤務時間の変更を理由として、貴組合員に対する賃金カットを行ったこと。 (4)平成7年5月2日に行った週休2日制の導入、勤務時間の変更及び生理休暇の取扱いの変更を理由として、貴組合員に対する賃金カットを行ったこと。 4 申立人らのその余の申立ては棄却する。 |
判定の要旨 |
2250 未妥結・打切り・決裂
2251 一方的決定・実施
2300 賃金・労働時間
3103 労働協約締結をめぐる行為
当該3年変更は、支部の活動を嫌悪する医療法人が、事前協議合意協定に反して、第2次再建案について合意に至っていない事項が残っており、かつ新勤務案についても勤務時間等に関して協議が尽くされていないにもかかわらず、支部が再三X1の診療所での常勤化を求めたことに藉口し再建案協議を打ち切り、一方的な労働条件の変更を行ったものであり、労組法7条2号及び3号に該当する不当労働行為である。
2251 一方的決定・実施
2302 労務管理・労使関係
3103 労働協約締結をめぐる行為
3年変更によって勤務時間を巡り労使関係が悪化している中で、支部と事前に協議することなく就業規則を改正し7年変更を行った医療法人の行為は、支部の行為を嫌悪して行ったとみざるを得ず、誠実団交応諾義務違反であり、支部活動の弱体化を企図した支配介入である。
1203 その他給与決定上の取扱い
2901 組合無視
医療法人が、3年変更に際し個々の組合員に具体的な勤務時間を通知せず、就業規則等に根拠がない賃金カットを行ったことは、組合員らが支部の決定に基づき3年変更前の勤務時間により勤務を行っていることを嫌悪して、組合員に経済的不利益を与え、もって支部の弱体化を企図したものと判断される。
1203 その他給与決定上の取扱い
医療法人が、不当労働行為である7年変更を基に行った賃金カットは、支部の決定に基づき組合員らが3年変更前の勤務時間により勤務を行ったことを嫌悪し、組合員らに経済的不利益を与え、もって組合らの弱体化を企図したものと判断される。
1106 契約更新拒否
組合員X1の雇止め当時、看護科にはX1に加え常勤看護婦6名が在籍していたところ、第2次再建案では常勤看護婦5名とパート看護婦1名体制が定員として想定されており、1名の常勤看護婦の欠員が発生したとしても常勤看護婦5名は確保できていたことが認められるから、医療法人が支部に対する対抗策としてX1の雇止めを行ったとまでは解されない。
4417 条件付命令・協議命令
4602 組合との協議を命じた例
組合らは、3年変更及び7年変更に関する団交応諾を求めるが、3年変更以降5年以上が経過していることに加えて、既に7年変更が行われ、診療所に事実上2種の勤務時間が併存している本件においては、過去の個別の団交申入れについての団交応諾を命じるより、診療時間、勤務時間等に関する今後の取扱いについての労使協議を命じることが相当である。
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業種・規模 |
医療業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集108集459頁 |
評釈等情報 |
 
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