労働委員会関係裁判例データベース

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概要情報
事件名 南労会(勤務時間変更等)
事件番号 東京地裁平成17年(行ウ)第546号
原告 医療法人南労会
被告 国(裁決行政庁 中央労働委員会)
被告補助参加人 全国金属機械労働組合港合同
被告補助参加人 全国金属機械労働組合港合同南労会支部
判決年月日 平成20年3月5日
判決区分 一部取消
重要度  
事件概要 本件は、Y医療法人(以下「Y法人」)が、①平成3年及び7年に勤務時間の変更等を強行したこと、②変更前の勤務時間に基づき勤務していた組合員の賃金をカットしたこと等が不当労働行為であるとしてX組合及びその支部から申立てがあった事件である。
 初審大阪府労委は、Y法人に対し、①平成3年及び7年に勤務時間の変更がなかったものとしての取扱い、速やかに労使協議を行うこと、②勤務時間変更を理由として行った賃金カットの明細を明らかにし、この間の賃金の差額に年率5分を乗じた金額を払うこと、③文書交付を命じ、中労委は、初審命令の主文の一部を変更し、その余の再審査申立てを棄却した。Y法人は、これを不服として東京地裁に行政訴訟を提起した。
 同地裁は、中労委命令のうち、勤務時間変更に関しての労使協議を命じた部分及び初審の文書交付命令を是認した部分を取り消し、Y法人からのその余の請求は棄却した。
判決主文 1裁決行政庁が中労委平成9年(不再)第37号事件について平成17年9月21日付けで発した命令主文第Ⅰ項の1及び第Ⅱ項を取り消す。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,原告及び被告に生じた費用は,これを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とし,補助参加人に生じた費用は,補助参加人の負担とする。
判決の要旨 ①  3年変更の不当労働行為性
  3年変更の実施は、Y法人にとって、必要やむを得ないものであった一方、事前協議合意協定の趣旨を踏まえて、経営状態に関する説明会を含む多数回に及ぶ協議又は事前折衝を重ねて第2次再建案の理解を求める努力を尽くし、それでもなおX組合の支部との合意に至ることができなかったのであるから、使用者であるY法人は、3年変更前の協議等において、労働組合であるX組合支部との第2次再建案についての合意達成の可能性を模索したものというのが相当であり、誠実義務交渉を尽くしていないということはできない。そして、Y法人は、Y法人が事前合意がないままに3年変更を実施したことが事前協議合意協定を無視した、X組合支部の自主的運営を阻害するものではない。したがって、3年変更におけるY法人の対応については、労組法
 7条2号及び3号の不当労働行為に当たるということはできない。
②  7年変更の不当労働行為性
  Y法人がX組合らに対し、団体交渉等を通じて、既に週休2日制を導入していたY1病院との勤務体制の統一を図る、という説明をし、勤務パターンを示し、一定の周知期間をおいた後、個々の組合員の具体的な勤務時間を明示して、新就業規則を導入しようとし、他方、X組合員らにおいては、Y法人との妥協というよりも、Y法人を経営危機に追い込みかねないような攻撃をし、Y2診療所の支配権を奪取するかのような方針を掲げてY法人と交渉をしたのであり、その結果、Y法人とX組合支部との合意に至ることができなかったのであるから、使用者であるY法人は、7年変更前の協議等において、X組合らの前記姿勢に照らし、労働組合であるX組合支部との新就業規則についての合意達成の可能性を模索したものと解するのが相当であり、誠実交渉義務を尽くしていないということはできない。そして、Y法人は、Y法人が事前合意がないまま7年変更を実施したことがX組合支部の自主的運営を阻害するものであるともいえない。
③ 3年変更及び7年変更に基づく各賃金カットの不当労働行為性
   Y法人が行った3年変更及び7年変更に関連する賃金カットは、3年変更及び7年変更が上記のとおり不当労働行為に当たらないとしても、これに反対するX組合支部の活動を嫌悪し、明確な根拠すら示さないまま賃金カットを続けたのであるからこれにより、X組合支部の組合員であることを理由として不当に不利益に取り扱い、これを通じてX組合支部の自主的運営を阻害してその弱体化を企図したものというほかはなく、労組法7条1号及び3号の不当労働行為に当たると解するのが相当である。

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
大阪府労委平成3年(不)第35号
大阪府労委 平成4年(不)第3号
大阪府労委平成7年(不)第50号
一部救済 平成9年7月30日
中労委平成9年(不再)第37号 一部変更 平成17年9月21日
東京地裁平成18年(行ク)第154号 緊急命令申立ての一部認容 平成20年3月5日
東京高裁平成20年(行コ)第153号 一部取消(中労委命令を残部取消により全部取消) 平成21年7月28日
最高裁平成21年(行ヒ)第446号 不受理決定 平成22年2月4日
最高裁平成21年(行ツ) 第340号 上告棄却 平成22年2月4日
 
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