労働委員会命令データベース

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概要情報
事件名  京都福田 
事件番号  中労委 昭和60年(不再)第47号 
中労委 昭和61年(不再)第24号 
再審査申立人  株式会社 京都福田 
再審査被申立人  京都福田労働組合 
命令年月日  昭和62年11月 4日 
命令区分  一部変更(初審命令を一部取消し) 
重要度   
事件概要  会社が、組合結成に中心的な執行委員長X1及び執行委員X2に対し、それぞれ主任職の解任及び主任補佐職の解任を伴う配転を行ったこと、書記長X3に対し、主任職の解任を伴う配転及び配転先での「応援」命令拒否を理由に解雇したことが争われた事件で、X1及びX2両名に対する措置の取消し、原職復帰、役職手当相当額(年5分加算)の支払い及び文書掲示を、またX3に対しては、降格を伴う配転及び解雇がなかったと同様の状態を回復させること、及び文書掲示、社内報への掲載を命じた初審命令について、その後退職したX2のバックペイは退職日までの分とすること、文書の手交及び掲示は、両事件を通じて一つの文書掲示とすることの主文を一部変更したほかは、会社のその余の再審査申立てを棄却した。 
命令主文  主     文
I 中労委昭和60年(不再)第47号事件に係る初審命令主文第1項を、次のとおり変更する。
1. 株式会社京都福田は、昭和59年9月1日付けX1に対する主任職の解任及びX2に対する主任補佐職の解任を伴う配置転換の措置がいずれもなかったものとして取り扱い、X1を原職に復帰させ、X1については当該異動日から原職復帰に至るまでの間、X2については当該異動日から昭和61年2月25日までの間、同人が受けるはずであった役職手当相当額及びこれに年率5分を乗じた額の金員をそれぞれ支払わなければならない。
II 中労委昭和60年(不再)第47号事件及び中労委昭和61年(不再)第24号事件に係る各初審命令主文第2項を、次のとおり変更する。
2. 株式会社京都福田は、下記内容の文書を京都福田労働組合に交付するとともに、縦1メートル、横 1.5メートルの模造紙に明瞭に墨書して、本社の正面入口付近の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。
               記
                 昭和  年  月  日
 京都福田労働組合
  執行委員長 X1 殿
                株式会社 京都福田
                代表取締役 Y1
 当社が行った次の行為は、中央労働委員会において不当労働行為であると認められました。今後このような行為をくり返さないようにいたします。
(1)昭和59年9月1日付けで、京都福田労働組合の執行委員長X1に対して企画管理部主任の職を解任したこと、副執行委員長兼書記長X3に対して営業部営業第二課主任の職を解任し営業一課へ配置転換したこと、及び執行委員X2に対して経理課主任補佐の職を解任し総務課へ配置転換したこと。
(2)副執行委員長兼書記長X3がタイヤ修理工場への配置転換を拒否したことを理由として、昭和60年3月8日付けで同人を解雇したこと。
III その余の本件再審査申立てを棄却する。 
判定の要旨  1102 業務命令違反
書記長X3に対してタイヤ修理工場への応援を命じ、これを拒否したことを理由に同人を解雇したことが不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
営業部営業二課主任と書記長との地位と職務内容とは両立しないとして書記長X3を主任職から解任し、配転したことが不当労働行為であるとされた例。

1300 転勤・配転
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
経理課主任補佐であるX2は、会社の経理全般に係わる業務に従事し、その地位と職務内容は組合役員たる立場と両立し得ないとして、同人を主任補佐職から解任し、配転したことが不当労働行為であるとされた例。

1302 就業上の差別
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
書記長X3に対してタイヤ修理工場への応援を命じたことが、組合の中心的活動家を本社から排除し、多数の従業員との接触を妨害しようとした不当労働行為であるとされた例。

1400 制裁処分
3010 労組法7条1号(不利益取扱い、黄犬契約)と競合
企画管理部門主任と組合執行委員長との地位と職務内容とは両立しないとして委員長X1を主任職から解任したことが不当労働行為であるとされた例。

4407 バックペイの支払い方法
4421 文書掲示等を命じた例
本件主任補佐職解任を伴う配転措置の救済として、同人が既に退職していることから、当該異動日から退職日までの間のバックペイ及び文書手交及び掲示を命じた例。

4614 文書手交のみを命じた例
各初審命令が誓約書の手交及び掲示を各別に命じているが、本件内容等に照らして各別に命ずる必要がないと判断し、両事件を通じて主文のとおりまとめて命じた例。

業種・規模  窯業・土石製品製造業 
掲載文献  不当労働行為事件命令集82集596頁 
評釈等情報  中央労働時報 1988年3月10日  775号 16頁 

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顛末情報
事件番号/行訴番号 命令区分/判決区分 命令年月日/判決年月日
京都地労委 昭和59年(不)第11号-1 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和60年 9月13日 決定 
京都地労委 昭和59年(不)第11号-2/他 全部救済(命令主文に棄却又は却下部分を含まない)  昭和61年 3月 6日 決定 
東京地裁 昭和63年(行ク)第17号 全部認容  平成 2年 9月28日 決定 
東京地裁 昭和63年(行ウ)第3号 請求の棄却  平成 2年 9月28日 判決 
東京高裁 平成 2年(行コ)第150号 控訴の棄却  平成 3年 5月23日 判決 
最高裁 平成 3年(行ツ)第170号 上告の棄却  平成 4年 3月 3日 判決 
 
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