概要情報
事件名 |
日本チバガイギー |
事件番号 |
大阪地労委昭和49年(不)第33号
大阪地労委昭和49年(不)第35号
|
申立人 |
化学産業労働組合同盟日本チバガイギー労働組合 |
被申立人 |
日本チバガイギー 株式会社 |
命令年月日 |
昭和50年10月17日 |
命令区分 |
一部救済(命令書主文に救済部分と棄却又は却下部分を含む) |
重要度 |
|
事件概要 |
会社部長の組合および上部組合誹謗、組合脱退勧奨、組合活動のための食堂使用拒否、鉢巻、腕章着用およびビラ配布活動への介入妨害、夏季一時金支給上の差別、掲示板および組合事務室貸与差別等をめぐる事件で、掲示板の貸与及び組合への誹謗・脱退勧奨・食堂使用拒否・ビラ配布妨害・鉢巻・腕章着用介入・夏季一時金支給遅延を内容とする陳謝文の掲示を命じ、組合事務所の貸与については棄却した。 |
命令主文 |
主 文 1 被申立人は、申立人に対して、被申立人がチバガイギー労働組合に貸与している掲示板と 同形状の掲示板を、同等の場所において貸与しなければならない。 2 被申立人は、縦1m×横2mの白色木板に下記のとおり明瞭に墨書して、宝塚工場正門付近 の従業員の見やすい場所に10日間掲示しなければならない。 記 年 月 日 申立人代表者あて 被申立人代表者名 当社は、下記の行為を行いましたが、これらの行為は、労働組合法第7条第1号及びに第 3号に該当する不当労働行為であることを認め、ここに陳謝するとともに、今後このような 行為を繰り返さないことを誓約いたします。 記 1昭和49年4月8日、宝塚工場における朝礼において、医薬品本部生産部長Y1が貴組合 の上部団体を誹謗したり、貴組合の組合員に貴組合からの脱退をすすめたりしたこと 2昭和49年4月10日午後5時から食堂を使用させてほしい旨の貴組合からの申出に対し、午 後6時以降の使用しか認めず、更に屋外集会の開催をも認めなかったこと 3貴組合の組合員が、会社構内において正当なビラ配布活動を行うことを妨害したこと 4昭和49年度夏期一時金闘争に際し、貴組合が鉢巻、腕章を着用して就労したところ、Y1 部長ら職制がこれを取りはずすよう、執ように命じたこと 5貴組合との昭和49年度夏期一時金交渉に際し、不当な条件を持ち出して妥結を困難にし、 もって貴組合の組合員に対する夏期一時金の支給をチバガイギー労働組合員及び非組合員 に比べて遅らせたこと 以上、大阪府地方労働委員会の命令によって掲示します。 3 申立人のその他の申立ては、これを棄却する。 |
判定の要旨 |
0210 リボン・ワッペン等の着用
労使関係が紛糾している状況の下で、公然化間もなく、脆弱な組織力しかもたない組合が団結力を高めるために、一時金闘争中に鉢巻、腕章戦術に出たことは止むを得ないもので、会社の信用を損ねたり、衛生上問題を生じたとも認められないので、本件組合の行為は正当な組合活動と認められる。
1201 支払い遅延・給付差別
2901 組合無視
夏期一時金解決に際し、掲示板設置要求等必ずしも限られた時間内に解決することを要しない懸案事項との一括解決を条件とし、これを固執したことは一時金と性格を異にする問題との刺違えを要求するものであり、結局組合に諸要求を撤回させた上、別組合より遅れて夏期一時金を支給したのであるから、本件会社の行為は不当労働行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
会社部長の朝礼時における発言は、組合および上部組合を誹謗し、組合脱退を勧奨するものであり組合への支配介入行為である。
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
正当な組合活動と認められる鉢巻、腕章着用組合員に対して、会社部長らが口々に非難したり、組合委員長に対して取りはずしを求め、拒否されるや、自ら組合員を集めて取りはずすよう威圧を加えたことは、使用者に許されている言論の自由を逸脱した支配介入である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
団交結果報告のため終業時間後の食堂の使用を申入れたのに対し、会社の本部の終業時刻が5時45分であることを理由に6時以降に限り使用を認めるとし、さらに屋外での集会開催をも拒否したことは、従来従業員会に就業時間中にも使用を認めていたこと、食堂で集会が開かれても本部の業業務に格別の支障がおきるとは考えられず、他に拒否すべき特別な事情も認められないこと、集会出席のため組合員が終業後1時間も待たされることは集会運営に困難を来すこととなること等から、組合集会を妨害しようとしてなされた不当労働行為である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
組合掲示板使用はすべて会社の許可を得た事項に限る等会社が掲示した貸与条件は是認しがたく、別組合がこれを承知して貸与されたとしても、不当な条件である以上、申立組合が拒否したのも当然であり、これを理由に申立組合のみ貸与しなかった会社の行為は支配介入である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
会社は組合に当然に事務所を貸与すべき法的義務を負っておらず、また、別組合にも貸与していないのであるから平等取扱いの原則に反しておらず、したがって、本問題は今後の労使交渉に待つべきであって、会社に対し組合事務所の貸与を命じることはできない。
3020 組合活動への制約
本来労働組合には就業時間中でない限り、組織の拡大強化に努める自由が認められており、組合活動の状況及び成果を一般従業員に周知させるビラ配布は組合活動の最も基本的なものであり就業規則の制限規定の効力は及ばないと解するのが相当であるところ、本件ビラ配布に際し、特に喧噪にわたったとか、受領を強制したとか、経営秩序を乱したとは認められない以上、単に就業規則に規定があるとの理由によりビラ配布行動を妨害したことは支配介入である。
|
業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
不当労働行為事件命令集57集65頁 |
評釈等情報 |
労働判例 昭和50年12月15日 236号 71頁 
|