事件名 |
日本チバガイギー |
事件番号 |
東京地裁昭和53年(行ウ)第118号
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原告 |
日本チバガイギー 株式会社 |
被告 |
中央労働委員会 |
被告参加人 |
総評合化化同総連・化学一般労連日本チバガイギー支部 |
判決年月日 |
昭和60年 4月25日 |
判決区分 |
救済命令の一部取消し |
重要度 |
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事件概要 |
本件は、化同日本チバガイギー労組(現・総評合化化同総連・化学一
般労連日本チバガイギー支部)が公然化するとともに、賃上げ等の要求に関し団体交渉を申し入れたところ、会社は、(1)朝礼
で部長が組合非難の発言を行い、(2)組合が集会開催のために食堂あるいは中庭の使用を申し入れたところ、その使用を制限
し、(3)組合員が鉢巻、腕章を着用して就労したところ、その取りはずしを要請し、(4)夏期一時金について組合との妥結が
遅れたことを理由に、組合員に対する支給時期を他の従業員より遅らせ、(5)組合員の会社におけるビラ配付に対して、その妨
害を行い、かつ警告書を発し、(6)組合掲示板貸与の要求に対して掲示事項の許可等組合活動を制限する貸与条件を受け容れな
ければ貸与できないとして、組合掲示板を貸与せず、(7)その他支配介入の言動があったとして争われた事件である。
初審大阪地労委(昭49(不)33、35号、50・10・17)は、会社の右行為は(7)を除きいずれも不利益取扱いある
いは支配介入であるとして、(1)組合掲示板の貸与、(2)陳謝文の掲示を命じ、中労委(昭50(不再)73、74号、
53・7・5)は、初審命令中、腕章等取りはずし要請は不当労働行為に当たらないとして、陳謝文からこの部分を削り、その余
の再審査申立てを棄却した。会社がこれを不服として行政訴訟を提起したが東京地裁は、(1)(3)のみ支配介入であるとし
て、他の救済命令を取り消した。 |
判決主文 |
一 原告を再審査申立人、参加人を再審査被申立人とする中労委昭和
50年(不再)第73号不当労働行為再審査申立事件につき、被告が昭和53年7月5日付でした別紙(三)命令書記載の命令
中、次の部分を取り消す。
参加人を申立人、原告を被申立人とする大阪地労委昭和49年(不)第33号、同第35号不当労働行為申立事件につき、大阪
府地方労働委員会が昭和50年10月17日付でした別紙(二)命令書記載の命令中、別紙(一)記載部分に対する再審査申立て
を棄却した部分。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用はこれを三分し、その各一を原告、被告及び参加人のそれぞれの負担とする。 |
判決の要旨 |
2610 職制上の地位にある者の言動
2620 反組合的言動
工場長を兼務している部長が朝礼において組合を誹謗し、組合からの脱退を勧奨する発言をしたことは支配介入である。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
会社が組合に対してした本件食堂の使用制限及び屋外集会開催の拒否が施設管理権を乱用したものとはいえず、これを不当労働行
為とした命令は取り消す。
1201 支払い遅延・給付差別
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合との夏期一時金交渉において就業時間中の組合活動の制限等を提案して一括妥結を求めて合意が遅れ、支給が別組合の組合員
らより4日間遅れたことをもって不当労働行為とした命令は取り消す。
2800 各種便宜供与の廃止・拒否
6344 支配介入に関する不当労働行為の成否の判断の誤り
組合及び訴外組合に対し、同一の組合掲示板の貸与条件を提示し、これを拒否した組合に貸与しなかったとしても、同条件が受け
入れられないような不合理なものとはいえず、不当労働行為として命令は取り消す。
3020 組合活動への制約
組合が正門付近で行った無許可のビラ配布に対し警告を行ったことは支配介入である。
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業種・規模 |
化学工業 |
掲載文献 |
労働委員会関係裁判例集20集106頁 |
評釈等情報 |
労働関係民事裁判例集 36巻2号 237頁
労働判例 452号 27頁
ジュリスト 土田道夫 894号 139頁
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